第9話 金策
金とは何だろう。それは、選択肢を広げる為のものだ。だから、自分で稼ごうが、借金をしようが、入手経路はどうであれ、使い方が重要なのである。
俺は、なにをするにも、まず金が必要であることをしっていた。
俺は、スラングを売りに出した。街中でも有名な武器商会にだしたので、すぐにその価値が証明された。
「こ、このような一品!わ、分かりました。300万CPで買い取りましょう」
商会の番頭は、非常に大きく驚いていた。おそらく店頭には500万CPほどで並ぶんだろうな。
鋼のブーメランを購入した。折り畳み式であり、携帯には便利である。俺は、早速家に帰ると、刻印を刻む事にした。
・鋼のブーメラン
・使用魔術紋様――刻印精度・高度
【投擲者の紋章】…命中率、飛距離、速度激増
【修復の紋章】…自動修復高速。最大耐久値激増
【烈風の紋章】…烈風属性添付
【重力の紋章】…重力の調節可能。攻撃力激増
・鋼製のブーメラン。折り畳み可能。
烈風の属性は、ノックバックの効果をのせる。重力の操作により、最初は軽量化して、徐々に重たくするようにした。
刻印後俺は、昨日と同じ症状に、悲鳴を上げた。
「なんとかしなければ、体がもたない!」
昨日リゼがくれた魔石を使って、何とか激痛を和らげて、今は寝ている。
苦痛は、2日程続き、俺は虚ろな中、温かいものに抱かれる夢を見た。
ああ……必ずや、俺はこの力を御してみせる
――3日経過
ついに苦痛から醒めて、俺は新たに能力の調節が必要である事をあらためて認識した。強大すぎる力は、時として、仇となる。
俺は汗の染みた服を洗い、洗濯物を干すと、新たな服に着替える。
俺は、ブーメランとネックレスを携帯して、城門の外に出た。
金を最も手っ取り早く集めるには、危険であるが魔物を狩って、それを売却する事だ。ギルドに所属すれば、依頼をこなせば、それに応じた額の報酬を得られるが、中間金を取られるし、何せ以前の俺の事もあり、あまり仲良くしたくない。むしろ冒険者登録ができないだろう。
俺は、しばらく歩き、ファットラビットを見つめた。
「使用にも、調節が必要だぞ」
俺は、低い体勢に構えて、かなりマナの量を抑えた形で、紋章にマナを送る。
「顔まで飛ぶなよ!」
そう言って、俺はブーメランを放つ。高速で回転し、今回は烈風の属性にはマナを送らなかった事から、追加ダメージとノックバックの効果は無い。
スパンっ!
そのような音が鳴ってもいいのではないかと思うくらい、綺麗にファットラビットにダメージを与える事が出来た。今回は、粉砕することなく、綺麗に切断できた。
俺はこの調子で、10体ほどのファットラビットを狩った。気が付いたのは、ブーメランでは、カチコチタートルを倒すことが、容易では無く亀の頭をタイミング良く狙わなければならない。
10体のファットラビットを午前中に、肉屋のおっさんに渡して、また城門を抜けた。