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第4話 スリング

俺はその足で、近所の雑貨屋に赴いた。雑貨屋でも多少の武器を扱っており、スリング(石などを投擲する為の武器)であれば、冒険者や兵士の登録が無くても所有が出来た。スリングを今手持ちの少ないCPで購入した。本来は短剣でも買いたかったが、CPが無かった。


 スリングを持参して、久しぶりに魔物狩りに行こうと考えたのだ。なぜなら俺には確信があったからだ。ゼノから今度こそ本物の力を賜った。いや、ゼノと同化したことにより、その力を徐々に発現できるようになっている事を。


 俺は意気揚々と、国の外に出た。一応神童と呼ばれたときに、周辺諸国を自由に行き来できる通行証の発行を受けていた。門番は、苦虫をかみつぶしたような顔をしていたが、そんなことは些末なことである。


 俺は、周辺の平原にすむ。中型の魔物を狩る事にした。まずは、ファットラビットを討伐しよう。ファットラビットは、体長約1メートルの巨大ウサギであり、その機動力と後ろ足の蹴りは強力である。また、体当たりもかなりの威力であった。


 初級の冒険者が最初にぶつかる関門である。


 冒険者登録をしていない俺だが、このスリングなら仕留めることが可能であると判断した。先ほどの骨董屋で、同じような魔導具をみたからである。俺は、ファットラビットに会う前に、目を瞑り、頭の中に紋章を思い浮かべた。


 「さっきのスラングは、この紋様が非常に粗悪だったな。ここはこうして、マナの伝導を効率化させて……」


 俺には分かったのだ。あの紋様では、精度が『粗悪』になる事が、そして、俺は頭に浮かんだ最高の紋様を、スリングに刻み込んだ。


 刻印士とは、魔導具の製作者である。武器や生活用品に、特定の紋様を刻み、使用者がそれにマナを送る事によって、その超常を引き起す。個々には、特異な魔術というモノが存在する。例えば、リゼは紅蓮系の魔術が得意であり、料理の火入れには己の魔術を使用する。


 調理師であり紅蓮魔術師でもあるのだ。このように、人には得意な魔術があり、それ以外は、特別な人間以外は、複数属性を扱う事が難しい。


 そこで考えられたのが、魔導具である。これは、紋様そのものが、魔術発現までの各々が脳内で展開している式を、代わりに作り出す役割を果たしている。


 刻印士にしても、得意魔術の紋様しか作成はできない。それと、緻密なマナ操作が要求される事から、刻印士自体になれる者が少ない。


 俺はそこらへんに転がっている石をスリングにセットする。


 数十メートル先にファットラビットがおり、ムシャリムシャリと草を食べていた。可愛らしさは無く、ふてぶてしいその様相は醜悪であった。


 草を食べている時は、やや警戒心が薄くなる。俺は、思いっきり、スリングを振り抜き石を投擲した。マナの流れが紋章に伝わり、淡く緑色に輝いた。


 瞬間、空気を切り裂く爆音と共に、石がファットラビットの顔面に命中した。その後が無残であった。高速で飛んだ石の被弾と共に、ファットラビットの顔面が粉砕したのだ。


 俺は、あまりの威力に驚愕を隠せなかった。



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・スリング

・使用魔術紋様――刻印精度・高度

 【投擲者の紋章】…命中率、飛距離、速度激増

 【修復の紋章】…自動修復(オートリペア)高速。最大耐久値激増

・投擲用の武器。石や魔石などをセットして、投げつける。

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 自分で作っておいて、恐ろしく感じた。強すぎるだろ。

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