報復
銃で撃たれ、力がなくなり光はその場で倒れた。トドメとばかりに剛が上にまたがり、額に銃口を押し付ける。
「ザコのくせに我が鳳林を潰そうなどと考えるからじゃ……」
「あっ……あっ……」
剛は吐き捨てると軽く引き金を引いた。拳銃の乾いた音が響き、光の心臓は停止した。剛は鬼のような形相をしている。
撃った……自分の息子を……殺した……。
西本は再び頭が混乱する。
俺がいけなかったのか? 俺が動きを止めたから……。でも、そうしなければ光は全員殺していた……。俺は……どうすればよかったんだ……。救いたかった。俺は二人の心の闇を払いたかった。そして、やり直させたかった。仲のいい兄弟に……戻したかった……。俺は……俺は偽善者なのか?
「さて、こやつらも逝った事じゃ。西本君、ご苦労じゃった」
剛は倒れた光の身体を蹴った。
「やめろ……」
「ん?」
「もうやめろ!」
「何をやめるんじゃ。こいつらはクズじゃ。今夜ワシらを殺そうとした。お主のおかげで助かった」
俺の……おかげ……。
「それが……たまんねぇ……」
「あ? 貴様はさっきから何をゴチャゴチャほざいてある。そうか、依頼金じゃな? 確かにこんな事に巻き込んだんじゃ。それ相応の金を払おう」
「金で……解決できる問題じゃねぇだろ」
「くどいの貴様。巻き上げるつもりか?」
「金はいらねぇっつってんだ!」
西本は吠えた。叫び、西本は唾を飛ばす。
「何を言っておる?」
「お前は……自分の息子を殺した。なのにどうしてそんな平然としていられるんだ? お前は今何を思ってる」
「? 特に何も?」
「うおおおおおっ!」
西本は自我を失い、拳を剛に打ち付けた。剛は床に倒れ、西本は後追いをかけるように馬乗りになり連続して顔を殴り続けた。剛は血を吐き、それが西本の頬に当たる。それでもなお、西本は手を止めなかった。
「もうやめなよ! どうしたのよ武君!」
恵梨香は西本の手を握った。片手は光に潰されていて、片方の手で西本の手を包み込んだ。西本の目は焦点が合っておらず、スーハースーハーと息も荒かった。恵梨香の手を無理やり離させ、西本は剛を抱え上げ窓ガラスから放った。ブランと剛は垂れ下がり、そして勉の身体も持ち上げた。それをポイっと放り投げた。二人は落ち、下でドンと大きな音が聞こえた。
「武君……」
「これで……良かったんだ。だろ? 充、光……」
だんだんと西本の目は光を取り戻した。




