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遺産相続   作者: たか
絶望編
21/24

戦闘

「はぁっ!」

西本は光の拳より速く、間合いをつけ頬に攻撃した。しかし、光は怯むことなくそのまま殴ろうとした拳を振るい、西本の鼻筋に当てた。鼻を押さえ、二、三歩下がる。その隙に光は更に追い討ちをかけ、西本の足を払い転倒させ、頭突きをした。頭に思いっきり当て、額からは血が流れ出た。それを手のひらで擦って拭き取り、身体を回し、光から離れると再び立ち上がり西本は地面を蹴った。大股で走り、あと一歩か二歩で回し蹴りが入る距離だ。そして西本は計画通り右足を大きく振り光の腰を狙う。しかし、その時に光はバックステップし、西本の足を掴みそのまま上にあげ西本のバランスを崩し、再び転倒させた。ゴツンと頭に響き、意識がクラッとする。頭を回し、意識を戻すともうそこには光の膝が目の前に接近していた。そのまま膝が西本の顔にあたり、また頭を強く打ち付けた。その衝撃で西本は失禁してしまった。


押されている……武君が。

西本と光の戦いをみていた恵梨香は勝てないと判断した。光は格闘が強いというような身体はしていない。おそらく、想いが光を強くしているのだろうと直感した。そして、その戦いは西本がダウンし決着した。光はそのまま西本を片手で掴み、持ち上げると窓ガラスに西本の顔を何回もぶつけさせた。やがて窓ガラスにはヒビが入り、割れた。光は西本を放り捨てると、剛を掴みポイっと捨てた。幸い剛は勉と足枷で繋がれており、それが今功を制している。剛の身体は宙ぶらりんになっている。しかし、ここは三十階のビルだ。落ちれば確実に死んでしまう。

何か……何か手は……。

唯一自由に動ける恵梨香は周囲を見て使える武器を探した。充が使っていたマシンピストルを見つけ、手に取るがそれには安全装置がかかっていて銃の事に詳しくない恵梨香はそれの解除方法がわからなかった。仕方なくそこに戻し、別の武器を探した。しかし––––。

「ぐぅっ––––」

それに気づいた光が後ろから恵梨香の首に腕を回し、一気に力を入れ締め上げていた。両手を腕に触れ、離そうとするが光の力が強く、女の恵梨香の力では到底離す事はできなかった。

「そいつに手を出すなっ!」

覚醒した西本が高く飛び上がり、右足を光の顔面に当てた。一瞬光は怯み、チャンスとばかりに西本は一気に攻撃を仕掛けようとした。だが光は持っていた恵梨香を投げ飛ばし、身体を西本に当てて転ばせた。

「ぐっ!」

「殺す……殺す……」


光がジリジリと西本に迫る。西本は上に倒れている恵梨香を優しく寝かせ、立った。しかし、西本は既にわかっていた。

絶対に勝てはしない事に。

西本は光の後ろを見ると、三男が充が持っていたナイフを握り勝ちを確信した笑みを浮かべ気配を消しながら迫っていた。だが、光はそれに気づき三男に振り返る。

「ひいっ!」

慌てた三男は四方八方にナイフを振るうが光はその動きを見切り、華麗に避けていく。そして三男に近づき、三男の腹を殴った。衝撃で三男は意識を失い、持っていたナイフを落とす。そして三男も割れている窓ガラスから落とそうとした。 しかし、西本がいる距離では光の所に着くまで一秒はかかる。一秒あれば光は三男を落としてしまうだろう。それでも何もしていないよりマシだ。西本は飛び上がったその時、恵梨香が光の足を掴み一瞬動きを鈍らせた。

「ギャアア」

手を振り払い、光は思いっきり恵梨香の手を踏みつけた。ゴキゴキと骨が折れる音が響く。痛みで恵梨香は再び失神した。

「もうやめろォ!」

西本は光の後ろに回り、腕に西本の腕を回し動きを止めた。

「ナイスじゃ!」

窓から剛が現れ、ポケットから拳銃を出し光の喉を実弾が直撃した。

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