息子
クッ……。馬鹿野郎。
マシンピストルを連射され、身体中に穴が空き、大量に血を流して倒れている次男の遺体を見ながら西本は床を何回も殴った。痛覚のみ残るが、なおも殴り続けた。これ以上一人も殺したくなかった。それなのに。
「と、まぁこういう事だ」
マシンピストルを肩に背負い直し、充は言う。信じかけた彼の心に再び猜疑心が生まれた気がした。
「ちょっとでも信じようと思えばすぐに首を取ろうとする。それが人間ってモノですよ。ところで、アンタ名前は?」
「……。西本……西本武」
「西本さんよぉ、アンタも同じだろ? 俺を信じさせようとして、油断したところで背中をグサリってどこだろ。おっと、そうだ」
充はポケットから手錠が何個も付いているロープを出し、それを剛、長男、三男の足に巻きつけていく。足首に手錠を付け、そしてぐるぐると紐を回す。
「これでお前らは身動きができん。さて、西本。これでゆっくり話せるぜ?」
ショットガンを向けながら充は言う。
クッ––––。
西本はジリジリと後ろに下がる。
「おっと、下がるなよ? ここまで出張ったんだ……」
「キャアアアア!」
突然西本がさっき潜んでいた物陰から恵梨香が飛び出した。心臓の鼓動が鳴り、呼吸が荒い。膝に手を当てて肩で大きく息を吸っていた。
「バッ……馬鹿野郎! 何でお前まで」
「そ……それが、男の人が!」
「男ぉ?」
「ククク……来たか」
充。
––––コツッコツッコツッ。
足音が響く。確かに何者かがこちらに向かっている。誰だ? また新たな人間なのか? そして、そいつは現れた。そいつは、ガタイのいい筋肉質で長髪で髪は腰まで届いている。服はボロボロでところどころ汚れている。そいつの目も、充と同じ復讐心に満ち満ちている。
「無事……だった……か……」
男の発音は途切れ途切れだ。まるで話しながら何を言おうか考えているかのようだった。
「済まなかったな。連絡をしないで」
「だい……じょう……ぶ」
「お……お前は……!」
剛は男を見て驚愕した。瞳孔が開き、目の焦点が合っていない。はぁはぁと呼吸が苦しくなり、脂汗が流れる。
「知ってるよなぁ? お父様。彼を––––」
ニヤニヤしながら充は言う。誰だ? この男は。剛に関係ある人物なのだろうか?
「親父……こいつは?」
長男は首をかしげた。
「こいつはワシの……。息子じゃ」
復讐編、完––––。




