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遺産相続   作者: たか
復讐編
12/24

新章

「ひ……ひぃっ!」

ショットガンの銃口がじりじりとボディーガードに迫る。

「おっと、こっちだとすぐ死んでしまうか。いや……二分ほどなら生きてるか」

男はブツブツとつぶやきながら銃を構える。ボディーガードは後ろに下がるが、後ろはエレベーターで壁に背中が当たりコーナーに詰まる。そして––––。

「ぐぎゃぁっっ」

ショットガンのパイプ音が鳴り、ボディーガードは吹っ飛んだ。壁に身体がぶつかり、大量の血が付着する。散弾が肺に当たり、苦しい呼吸をしていた。

「まあ……すぐ殺そうと思えばできるが、奴らに俺のことを教えさせるためあえて生かしておいてやろう」

ボディーガードの腹を人差し指で触り、血をつけたあと壁に字を書いていった。男が長年夢見たことだ。

“鳳林家死”

それだけ書き込むと、ボディーガードの服で血をぬぐいエレベーターを押して下降させた。


西本はスマートフォンで時間を確認すると、九時三十分だった。ボディーガードの男が拳銃を持っていった時確認すると九時十分だ。さすがに遅かった。イライラして舌打ちし、足を小刻みに動かす。妙にリズム感がありそれがイラつかせる。スマートフォンの電波はまだ圏外になっていた。ようやくエレベーターが動き出し、三十階で止まった。ドアが開くが、そこにはおぞましい光景があった。ボディーガードの男が腹から大量の血を流し、生き絶えていたのだ。そしてその後ろには鳳林家死と血文字で書かれている。この男の血だろう。

「ぅ……」

かすかに男の呻き声が聞こえた。よくみると腹も少し動いている。まだ生きていた。

「大丈夫か!」

西本は咄嗟に駆け寄って男を支える。しかし、この状態では助かることはできない。

「誰だっ。誰にやられた!」

西本は一瞬三人を睨むが、三人は知らないと首を振った。

「ひ……一人……」

喉をやられ、うまく声が聞き取れない。

「一人?」

西本は確認する。男は小さく頷いた。

「誰だそいつは」

「わ……わか……わからない。でも、一人……一人だった……」

「他の奴らは?」

「ぜ……ん……」

何か言おうとしたが、男は力が無くなりガクッと倒れた。手を取り脈を見るが、動いていなかった……。そして、エレベーターが閉まりかけ全員慌てて中に入ろうとした。西本は素早くひらくのボタンを押し、ドアを開けて外に出る。そして西本は外のエレベーターのボタンを押しっぱなしにする。

「やばい! みんな出ろ!」

「バカ! なにしてる! 早くしろ!」

「バカなのはお前だ! このエレベーター……上へ行くぞ! 行ったら一瞬で蜂の巣だ」

「まさか……」

「こいつを見なかったのか! こうなりたいか! このエレベーターはそいつに操作されてんだよ!」

西本の考えを理解し、全員外に出る。そして西本はボタンを離し、エレベーターが閉まると上に向かって行った。数秒後、エレベーターが止まり今度は下降する。

「う……うわあああ」

次男と三男はエレベーターから離れ走って行く。

「馬鹿野郎! 待て! あの男は敵は一人って言った。ならこっちの利は人数だけだ! それがバラバラになってどうする? それに、武器は俺の持ってるグロックと恵梨香の持ってる日本刀だ! お前ら手ぶらなんだぞ! 今はチームワークだ!」

離れかけていたが、二人は再び西本の元に集まった。

「このエレベーターがここに着くまであと数十秒。その前に手短な店に隠れろ」

西本は五人を押し、近くの中華料理店に押し込んだ。

「あんたは?」

と、長男。

「俺は残る」

「どうして」

「さすがに敵も俺たちが近くにいるなんて思わない。逆にここにいるのが心理的な隠れ家だ。それに、今は確認する」

「確認?」

「そいつの持ってる重火器が何なのかだ。そして隙あらば、撃つ!」

「そ……そうか……」

と言うと長男は奥に顔を引っ込める。そしてエレベーターは三十階に到達した。チンという音に気づき、西本は物陰に隠れる。チャンスはエレベーターが開き、そいつが出てきてエレベーターの光が照らされる数秒。その時に撃ち込む。

中からは男が出てきた。そして西本は持ち物を確認する。防弾ジャケット、防弾マスク、肩には二丁のマシンピストル。そして右足と左足には拳銃のホルスター中に拳銃も入っている。そして背中にはショットガンをしょっている。男は左右を確認すると、左の通路を通った。男が背中を見せる。チャンスと西本はグロックを構えて男の首筋を狙う。しかし、手が震え狙いが定まらない。慌てて再び物陰に隠れ、荒い息をする。中華料理店に入り、静かにドアを閉めた。

「ダメだ……」

「ダメ?」

と、長男。

「この銃は使えない……」

「なぜだ。銃だぞ?」

「奴は完璧な重装備だ。この銃は無力」

「そ……そんな……」

長男は落胆し、一気に力が抜けた。

絶望の雰囲気が周囲を覆う。

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