第弐話 奥州一の智将 『片倉景綱』
今日は。
この話を投稿させてもらいます。
利一君が倒れた時、私は無意識に走り出していた。
みんなの止める声も聞かずに、だ。
その時、私に『憑依』している武将が話しかけてきた。
『千佳殿、向かわないほうがよろしいですぞ。』
(ううん、私は向かうわ!彼は私の恩人ですもの!)
『・・・千佳殿はお人好しですな。』
(そう言ってくれて結構!)
保健室に着いた時、すでに利一君はベッドの上でぐっすり眠っていた。
この状況・・・なんかデジャヴ。
・・・そういえば、私は利一君に助けられたことがあったな。
その時に憑依現象が私の身に起きたっけ・・・。
4年前 某小学校
「ねー、千佳ちゃん、そのシュシュかわいいからちょうだいよ〜」
私は小学生の頃、いじめられていた。
円満解決した時に知ったのだが、私の容姿に嫉妬したらしい。
確かに、今の友達は私のことを「容姿端麗・文武両道・性格完璧の完全無欠人間」と呼んでいる。
でも、反応するだけ無駄だったから無視をしていた。
「ちょっと、千佳ちゃん〜、聞いてる〜?」
だけどこの日は、違った。
それは私がイライラしてしまっていたからだ。
いつもなら完全に無視できたものをイライラしていたせいで・・・
「うっさい!黙ってて!!」
大きな声で反発してしまった。
その時、私は冷静ではなかった。
だから、忘れていた。
「あれ?そんなに怒っていいの?」
私をからかう相手の後ろには、大企業の親バカ社長がいることに。
「お父様に言いつけてあなたを退学にしてやろうかな?今までは黙っていてあげたのに、ねぇ?」
「くっ・・・!」
「お父様に言いつけて欲しくなければ・・・」
(あれ?なんか、頭に入ってこない・・・。いけない、話を聞かなくちゃ、居場所がなくなってしまう・・・)
「・・・っていうことをやってもらいましょうか?」
「やだ、ひどーい」
取り巻きたちが騒いでいる。
「早くやって?やれば物だけで済むのよ?それだけで済むのに、そんなに謝りたくないの?」
「・・・」
できない。できるはずがないのだ。
聞こえてなかったから。
「早くー。」
『目・・・めよ・・・』
「聞いてるn・・・!?」
ドサァ・・・
私は、いきなり来た何かによって気絶してしまった。
その時は仕方無く見逃してもらったけれども、私は正直、辛かった。
確実に後で色々言われると思ったからだ。
そして、そう思った時、利一君と《憑依》して来た武将・・・『片倉景綱』が現れたんだった。
武将辞典 弐
片倉景綱:奥州一の智将。
徳川家康に5万石で召し抱えられそうになるも、
伊達家の忠義を理由にそれを拒否した。
片倉小十郎景綱。