表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
赤目のナイト  作者: 芦田香織
始まりの場所
4/8

四話

ちゅんちゅんという鳥の鳴き声と、顔にかかる光で目が覚めた。

どうやら昨日はあのまま寝てしまったようだ。

なぜか体にはタオルケットがかかっていた。


もしかしてレイがかけてくれたのだろうか。


そのレイ本人は部屋にはいなかった。

もしかしてすでに今日のスケジュールが始まってしまったのだろうか、と慌てて時計を確認したが、始まりの時間よりまだ二時間も早かった。

クリスはほっとして、顔を洗おうと思い共用の洗面所に向かおうとドアノブに手をかけかけたとき、ガチャリと扉が開いて、クリスは慌てて後ずさった。

あと少しで扉とぶつかるところだった。扉の向こうにはレイがいた。


「……何してるの」


レイはその問いに関して答えは求めていないようで部屋に入ってくると、自分の机に座って、もうクリスのことなど見ていなかった。


クリスは特に気に留めず、洗面所に向かう。


部屋を出たところで、カインと出会った。


「カイン、おはよう」


クリスがそう声をかけると、カインはまるで幽霊でも見たような顔をして一瞬後ずさった。


「わ、あ、あ、クリス……おはよう」


おはようと言った笑顔は少しぎこちなく、すぐにうつむいてしまったが、クリスは自分と同様に話すのが苦手なのかもしれない、と解釈して、そのまま洗面所に向かった。


顔を洗って戻ると、隣の部屋からあくびをしながら寝ぼけまなこのユースが出てきた。


「よう、クリス」


「あぁ、おはようユース」


「なぁ、今から食堂に行くんだけど、お前らも行かねえか?朝飯食うだろ」


「そうだな、レイを呼んでくる」


よろしく、とユースは軽く手を挙げて、それからカインを探しに行った。

クリスは部屋を覗くと、先ほどと同じ体制のままのレイに声を掛けた。


「レイ、今からユースたちと食堂に行くんだが、行かないか?」


「行かない。あんたたちだけで行けば」


レイに冷たく断られ、あまり無理やり誘うのもどうかと思ったので、クリスは大人しく引き下がった。


食堂に向かうと、すでにユースとカインが席についていて、こっちこっちとクリスを手招いた。

食堂にはすでにまばらに人が入っており、厨房からは朝食のいいにおいがする。


「あれ?レイは?」


「行かない、と断られた」


「まじかー、フラれちまったか」


ユースはそう言ってけらけらと笑う。

いつも楽しそうだなこの男は、とクリスは特に反応もせず自分の朝食の皿にのっているパンに手を付けた。

カインもユースも黙々と朝食を食べ進める。


「なあ、これ今日のスケジュールなんだけどさ」


ユースがそう切り出して、ひらりと机の上に紙を載せる。


「この昼からの訓練さ、本物のモンスター使うらしいぜ」


ユースは声を潜めてささやくようにそう言う。

案の定カインはひえっと小さな悲鳴を上げて、おびえていた。


「大丈夫だって!そんな強くねえやつだろ?平気だって」


お気楽そうにユースが笑う。

さすがにクリスでも本物のモンスターと戦ったことはない。

でもカインのような恐怖はなく、むしろ好奇心が勝っていた。

ただそれと同時にこの二人は大丈夫なのだろうか、という不安も芽生えた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ