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判明

入学式が終わって教室へとゾロゾロと入っていく。

(…緊張した)

僕も教室へと入り、指定された席に座ると、

「挨拶素晴らしかったです。」

隣の席に座った少年に話しかけられた。

少しくすんだ金髪に綺麗な青い目をしていた。

「はじめまして。僕は、エミリオ。」

「…イルビア・ロットです。イルって呼んで欲しい。」

エミリオと握手をかわす。

「イルね…分かった。」

エミリオは、にこやかな笑顔を僕にむけた。

「これか「君はロット伯爵の息子か?」

いきなり、横から話かけられる。

制服を改造していて貴族らしい。

挨拶無しに邪魔させれムッとしたが、笑顔浮かべて返事をする。

「そうです。」


ロット伯爵…代々伯爵位を賜っている由緒ある家系であるが、辺境を統治しているため、伯爵位の中では余り上の権力を持っていない。

現在イルビアの父が、フィルツ・ロットが統括している。


「なるほどな…」

貴族の少年は何かに納得したように頷くと自分の席に向かった。

イルビアはエミリオと目を合わせ一緒に首をかしげる。

すると授業の鐘が鳴り、二人は席に座る。


「今日から担任になるウィズ・アルバーノだ。」

教壇の前に立ち、自己紹介をしている人物にクラスはざわつく。

ウィズ・アルバーノは、大国の中だけで無く大陸に名を轟かせる人物である。

彼の使う剣術には右に出るものはなく、S級の魔物ハンニバルを倒したとされている。

そんな人物が目の前にいるクラスメイトは否応なしに心浮きだつものだろう。

「騒ぐな。」

彼から迸った気迫に話していた少年少女は口を閉ざした。

(……。)

イルビアは、彼をじっ見つめるだけに留める。

「まず、授業が始まる前に、これを使って調べさせてもらう。」

ウィズ先生は、持っていた拳ほどの大きさを持った石を持って、クラスに見せた。

「分かると思うが、これは魔力判断をするものだ。握るだけでいい。」

ウィズ先生は石を握り、手を開くと石は赤く燃え上がるように揺らめいた。


魔力…人の体内を循環し、魔法となるもの。

人の魔力は人それぞれ。多い者が居れば、僅かな者もいる。

魔力は5分類される。火、水、風、土、聖。

12才までは極微量な為に判断されないが、判断石を使えば自らの魔力が分かる高価なものである

今回は、これからの未来に必要な事として使われる。


「そうだな…まず、イルビア・ロット。来なさい。」

ウィズ先生に呼ばれイルビアは前に出る。

「期待してる。」

イルビアはウィズ先生から石を渡され、ギュッと握った。

そして手を開くと…


石は全く反応を示さなかった。



**



「イルビア・ロット。話がある。着いて来なさい。」

ウィズ先生に呼ばれた。

「大丈夫?」

エミリオが心配そうに見てくれた。

「…ありがとう。行ってくる。」

ちゃんと笑えていたか不安だったが、そんなことを気にする余裕も無く、ウィズ先生の元へと足早に移動した。



「失礼します。」

ウィズ先生についていくと一つの扉の前で止まり、ノックと声を掛けてから先生は前の扉を開けた。

「待っとったよ…ゴホッ君が、イルビア・ロットであってゴホッるかい?」

(…大変聞き取り辛い…です!!!)

「…イルビア・ロットです。」

「ロット。この方は、ルクシュルージュの校長先生だ。」

ウィズ先生に紹介された校長先生は、白くなった大きく蓄えた髭と咳で話辛そうにしているこの方…

「ここゴホッ校長をしとるゴホッゴホッだ。よろしくな。ゴホッ」

(…え…名前聞こえなかったんですけど…)

「宜しくお願いいたします。校長先生」

「入学式の時はゴホッ出席出来ず申し訳なかったな。挨拶ゴホッ素晴らしかったとゴホッ聞いておるよ。」

「…ありがとうございます」

「して、ゴホッゴホッ。君は、魔力石が反応しなかったゴホッそうじゃね?」

「……そうです。」

無意識だろう奥歯でギリリと噛み締めた音は、鈍く響いた。

「ワシの前でもう一度ゴホッしてもらえんかの?」

校長先生から授業で使った判断石より少し大きい石を渡させた。

「授業よりもゴホッ細かく判断出来る石になるゴホッゴホッ」

僕は、祈りを込めて握り、手放して校長先生に渡した。

校長は判断石をじっと見つめながら僕に言った。


「ふむ。…ロットくんゴホッ。君は、精霊とか契約してゴホッいるのかの?」


精霊…大気の魔素が濃縮され姿、形を持ったもの。

精霊と契約することで体内の魔力向上などが与えられる。

契約する条件や儀式などは未だ不明。


「いえ…していません。」

「そうかゴホッ。…不思議じゃの…ゴホッゴホッ」

「…?」

判断石から目を離し、僕の目を見つめる。

「君は、元々ゴホッ魔力はある。それも人よりもゴホッ多く。

しかし、何らかのゴホッ形で魔力は全て君ではないものに使われておるようじゃ。」

僕は、ゾッとした。

(知らない存在に、全ての魔力使われている…)

「どうしたら…契約を切ることが出来るのですか?」

「…切ろうにも契約なのかもゴホッ分かっておらん。……力になれんですまない…ゴホッ」


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