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仕事が済んで
今日はおとなしく部屋に帰ることにした。
まだご飯も食べられないし
昨日も夢ばかり見て寝られなかったから
今日はしんどくて・・・
買い物もせずに何もない部屋に帰る。
ユーちゃんのこと考えて
めんどくさがりながら作ってたころが
今は懐かしい。
あれも実は幸せだったのかな・・・
かろうじてお風呂だけ入って
ベッドに倒れこんだ。
あたし、たぶん初めてだ。
ご飯が食べられなくなるほど
誰かのことを好きになったのは・・・
しかも、ユーちゃんは
あたしの心が手に取るように分かるから
会いたいけど会うのが怖い。
どんな反応されるか・・・
どうしたらいいのか分からない。
涙がつーーっと耳に向かって流れていった。
「何泣いてんだよ・・・
飯も食わねーで。」
ユーちゃんがベッドに腰掛けて言った。
「うわぁ!」
あたしはびっくりして飛び起きた。
「そこまで驚かなくてもいいだろ。」
ユーちゃんは苦笑い。
と、あたしはそのとき信じられないものを見た。
ユーちゃんの手に真っ赤な傷。
この前もあった・・・
今度のは前より傷が大きい。
あたしは、ユーちゃんの腕を隠してる
白い服をまくり上げてみた。
!!!
「やめろ。そんなもん、見んじゃねーよ。」
ユーちゃんはあわてて隠したけど
肘までつづく真っ赤な傷から
あたしは目が離せなかった。
「どうしたの?その傷・・・」
「何でもねーよ。」
「そんなわけないでしょ。」
「カンケーねーだろ!」
・・・・・・・・・・・・・
関係ないのか・・・
そうだよね・・・
あたしは、ぐうたらさんだから
ポイントをためる相手に選ばれただけ。
しかもユーちゃんにではなく
あたしの知らない誰かに。
ポイントがたまったら何の関係もなくなるの。
そうだった・・・
見ることさえも出来なくなる
あたしには何の関係もない天使・・・
ユーちゃんが来たくて来てるわけじゃない。
あふれる涙を見られたくなくて
あたしは布団にもぐりこむと
ユーちゃんに背を向けた。
「あんたの悪夢をとってやるから
今日は、ぐっすり眠んな。」
ユーちゃんはあたしの頭にそっと
手を乗せた。
「ほっといて!あたしがどうなろうと
あんたには関係ないんでしょ!」
あたしはユーちゃんの手を
跳ね除けた。
「いてっ!」
ユーちゃんが傷を押えた。
「あ・・・ごめん・・・大丈夫?」
あの傷が目に浮かんだ。
あたしは、
そっとユーちゃんのほうに向いた。
「やっとこっち向いてくれた・・・」
ユーちゃんはにこっと微笑んだ。
「な、そのままだと、明日は倒れんぞ。
頼むから言うこときいてくれねー?」
そう言って、ユーちゃんは
あたしをベッドに寝かせた。
ユーちゃんはベッドの横にひざまづいて
あたしの頭にそっと手を乗せた。
「明日は元気な顔見せてくれよな。」
そういうとユーちゃんは
あたしのおでこにそっとキスした。
あたしは魔法にかかったように
そのままスーッと眠りに落ちていった。




