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「待てって言ってんだろ!」
「誰も待つって言ってない。」
あたしはとっても素直じゃない。
っていうか、いま、混乱してます。
暗いところで必要ないはずの
サングラスの下に隠れていたのは
ユーちゃんの優しい目だった。
ユーちゃんに会いたかったけど
ユーちゃんに今のあたしの気持ちを
絶対に知られたくないような気もして
どうしていいかわからないまま
目を合わせられなくて
腕をはなしてくれないから
仕方なく立ち止まった。
「ちょっと、目つむってろ。」
え?
思わずユーちゃんの顔を見る。
「いいから、早く!」
いつにないきつい言い方に
反射的に目を閉じる。
その瞬間、ふわぁーっと体が浮いたような気がした。
え?
ちょっと目を開けると
「きゃぁ!」
「バカ!目開けるんじゃねー!」
あたしの足の下に地面はなかった。
地面どころか・・・・
はるか下に街の明かりが見える。
あたし、夢見てんの?
いや、でも、足浮いてるし・・・
こわいっ!!!
なんか、つかまるものない?
すっごい怖い!!!
夢中でユーちゃんの腕にしがみついた。
「もういいぞ。」
手のひらに汗をびっしょりかいて
あたしはユーちゃんに
ぎゅっとしがみついていた。
そーーと目を開ける。
?
あたしの部屋?
あたしは確か街をさまよっていたはず・・・
「だからぁ、もういいってば。」
ユーちゃんがまた言った。
はっと気付くと
あたしはまだユーちゃんの腕を
しっかりつかまえたままだった。
あわてて手をはなす。
気まずーい雰囲気が漂った。
ユーちゃんを見ることが出来なくて
うつむいたまま。
じっとしてると体が痛い・・・
耐え切れなくて首をポキッって鳴らした。
「はははは!!!」
大笑いするユーちゃん。
「そんなに笑わなくてもいいじゃない。」
ついむきになっていってしまってから
後悔した。
ユーちゃんの目が笑ってなかった。
「無茶すんじゃねーよ。
こんな時間にあんなとこ一人でうろつくなんて
何考えてんだ!」
「あいつと付き合うの
やっぱりやめちまったんだな・・・」
「うん・・・」
会話が続かない。
「バカヤロー・・・」
寂しそうにそういうと
ユーちゃんはふっと消えてしまった。
ユーちゃんが助けてくれたのに
あたしはお礼のひとつも言うことができず
自己嫌悪。
その日は落ち込んだ気分のまま
布団に倒れこんだけど
いやな感じの夢ばかり見て
寝付かれなかった。
何か覚えていないけど
いやな感覚だけが残る夢。
次の日、目の下にクマがくっきり現れて
やっぱりメガネで出社。
優子が飛んできて
「どうしたの?その顔・・・」
あたしは
「眠れなくて・・・」
って、かすかに笑顔を作ると
自分の席に着いた。




