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翌朝、あたしはひどい目をして
会社に行った。
腫れた目は隠しようがなく
しょうがないから今日はメガネ。
「わ、珍しいね・・・」
と言いかけてみんな口をつぐむ。
そりゃそうだろう。
泣きはらした目を見たら・・・
何があったんだ?という
みんなの好奇心を背中に感じながら
一日仕事に打ち込んだ。
お昼になっても
ご飯がのどを通らない。
屋上で空を見上げて時間をつぶした。
とてもじゃないけど
誰かとしゃべったりする気分じゃないし。
誰かを想うって
こんなに苦しいことだったんだ。
悲しいくらい晴れている空に
出来ることなら吸い込まれてしまいたかった。
空気になって
感情から開放されたら
どんなに楽だろう・・・
夕方、
雅人さんは今日も律儀に待っていた。
あたしは雅人さんの所に行った。
「こんにちは。」
「あ、こんにちは。今日はメガネなんだね。」
そう言って
あたしの顔が暗いのに気付いた。
「どうしたの?」
「今日で、おしまいにしてください。
こうやって待ってるのは。」
あたしは言った。
さすが、女の子の扱いには慣れてる雅人さん。
「とりあえず、話だけ聞かせてよ。
座れるとこに行こう。
お茶でも飲みながら聞かせてくれる?」
それまではいやとは言えず、
あたしは雅人さんと
喫茶店に座っていた。
きっとお腹はすいてるんだろうけど
何も食べられなくて
あたしはオレンジジュースを頼んだ。
「真希ちゃん、何か食べなよ。」
雅人さんが言うけど
「お腹すいてなくて・・・・」
と、さりげなくかわした。
「僕は別にこのままで
もしかしたら
ずっとこのままかもしれないけど
それでも、
友達くらいではいて欲しいんだけどな。
それもだめ?」
・・・・・・・・・
話してることが苦痛。
早く一人になりたかった。
だから・・・
あたしは嘘をついた。
「好きな人が出来たんです。
だから・・・・
その人と付き合いたいと思うので
・・・ごめんなさい。」
「そうか・・・
じゃ、そいつとうまく行かなかったり
相談があったら
いつでも待ってるから
連絡して。」
そう言って、雅人さんは
寂しげに笑った。
・・・ごめんなさい・・・
あたしは一人で部屋に戻った。
もしも、いま、ユーちゃんが出てきたら
あたしはどうなるだろう・・・
笑う?怒る?泣く?
自分でも分からなくて
ユーちゃんに会うのも怖くて
一人当てもなく街をさまよい始めた。
ただ、時間だけつぶせたらよかった。
何も考えずに歩ければよかった。
でも・・・・
朝から何も食べていないあたしは
途中でしんどくなってしまった。
当然といえば当然だけど。
そして、道のそばに作ってある
花壇のレンガの上に座った。
一度座ると動けないくらい疲れていた・・・
そうだ・・・昨日は眠れなかったし・・・
「こんなとこで、なにやってんの?」
見るからに危険そうな男の子が3人
あたしの前に立った。
「一人でいるんなら
俺たちとあそばねー?」
一人がしゃがみこんで
あたしの顔のぞいて言った。
黙ったままのあたし。
怖くて声が出なかった。
どうしよう・・・・
夜遊びなんかした事ないから
どうしたらいいかわかんないよ・・・
でも、今、
とってもピンチだということは分かる。
「おごってやるからさぁ。
なぁ?いいだろ?」
無理やりあたしの手を引っ張って
立たせる。
「さ、行こうぜ!」
ニヤニヤ笑いながら引っ張られる。
・・・まずい。




