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相変わらず、雅人さんは
会社の前に毎日のように待っていた。
「すごいねぇ・・・
毎日毎日。ねえ、雅人さんと
まだ付き合ってないの?
あんなに熱心に誘ってんのに?」
優子があきれたように言う。
そうだよね・・・
他人事のようだけど、
よく続くよねぇ・・・
ご苦労様です。
でも、あたし、たぶん雅人さんとは
恋人にはなれないなぁ・・・
友達としてならいい人だけど・・・
「こんばんは。」
会社の玄関で待っていた雅人さんに
今日はあたしから挨拶した。
「こんばんは。じゃ、行きましょう!」
嬉しそうにそう言って並んで歩き始める。
客観的に見たらかなり男前。
彼女くらいすぐに出来そうなのに・・・
ご飯を食べながら、あたしは聞いてみた。
「雅人さん、もてるんじゃないですか?」
あたしの唐突な問いに
「そう見える?実はそうだけど。」
なんて笑ってかえしてきた。
だよね・・・
背は高いし、俳優さんにでもなれそうな顔してるし
なびこうとしないあたしに
こんなに優しい。
「じゃ、そろそろあたしにかまうのは
おしまいにして彼女でも作ってください。」
あたしがそう言ったら
雅人さんは、まじめな顔して
「真紀ちゃんは誰か好きな人でもいるの?」
って聞いてきた。
「いいえ。そんな人いません。」
「じゃ、ゆっくりでいいから
俺の事好きになってくれないかな。
これでも、女の子に
嫌われるほうじゃないんだけど。」
たぶんそうだろう。
それは認める。
「そんなのは申し訳ないし・・・」
「迷惑じゃないんなら、
しばらくこのままいようよ。
それとも、そんなに俺のことって嫌い?」
一瞬、言葉に詰まった。
嫌いかと聞かれたらそうじゃない。
でも、愛せるかといわれたら
・・・・たぶん無理。
結局、このままの関係を
断ち切る気はなさそうな雅人さん。
一人になって歩きながら
自然に大きなため息が出る。
「恋する女のため息じゃねーな・・・」
にこにこしながらユーちゃんが言った。
何だユーちゃんか・・・
「なんでつきあわねーんだよ。
嫌いじゃねーんだろ?」
「だって、すきでもないし。」
「いいやつじゃねーか。
今どき、あれだけ我慢して待ってるやつなんて
そうそういねーぞ。」
・・・・そうか・・・
ユーちゃんは、あたしが付き合ったら
ポイントたまるもんなぁ・・・
彼氏が出来たら嬉しいんだろうな・・・
「いやなんだもん。しょうがないでしょ。」
「何がいやなんだよ。」
「男と女の関係。
友達としてならいいけど・・・・」
「そんなこと言ってると、いつまでたっても
恋人なんかできねーじゃん。」
「それでいい。」
「よくねーよ。」
めんどくさいな・・・
出てこなかったら気になるけど
出てきたらうるさい・・・
もういいや。当分会えなくても。
だから、その話はもう止めてください・・・
あたしの気持ちが分かるユーちゃんは
明らかにしょんぼり・・・
「あんたに幸せになってほしいだけなのに・・・」
あたしの幸せ?
あたしの幸せがどこにあるかなんて
あたしでもわかんないのに
他人のあんたに
分かってたまりますか!




