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「ユーちゃん、手、どうしたの?」
「なんでもねーよ。」
うそだ・・・
あの顔。あの手。
何も無いわけがない。
お箸をおいてユーちゃんの手をとった。
「ちょっと見せて。」
「やめろ!」
そして、ユーちゃんは
食べかけのハンバーグを残したまま
消えた。
おかしい。
いつものユーちゃんじゃない。
何があったんだろう・・・
その日から、ユーちゃんは
あたしのところに来てくれなくなってしまった。
ご飯作っても
そうじしてみても
ユーちゃんは出てこない。
あれから雅人さんと食事に行くこともあったけど
やっぱりご飯だけ食べて
帰る日が続いた。
一週間後・・・
こんなに続けてユーちゃんに会えないのは
出会ってから初めて。
いいお天気だったから
シーツを洗って干す。
乾いてまたシーツをかけたら
お日様のにおいとともに
ユーちゃんを思い出した。
「お日様のにおい♪」
って、シーツの上に転がってたユーちゃん。
何できてくれないのかな・・・
って思いながら
目を閉じてお日様のにおいを感じていたら
なんか、鼻の奥がつーんとしてきた。
せっかく洗ったシーツの上に
ぽとん・・・
涙が一滴。
あれ?なんで?
会いたいんだ・・・・
ユーちゃんに。
突然そう思った。
どうしたら会えるんだろう・・・
「うわぁ!」
びっくりした・・・
隣にユーちゃんがいた。
というより倒れていた。
「やっぱりお日様のにおいっていいなぁ♪」
って。
あれ?この前と違って普通に戻ってた。
「ねぇ、何でこの前
ハンバーグ食べかけでいなくなっちゃったの?」
「え?あ!わりぃ!いろいろあってな。」
そういってにっこり。
あたしの目はユーちゃんの手に。
あのときの傷は・・・?
・・・・いくら見ても、もう
傷は無かった。




