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雅人さんから電話があった。
「今日の夕方、飯でも一緒にどう?」
って。
チラッとユーちゃんの顔が浮かぶ。
ユーちゃんならきっと
行ってこいって言うんだろうな・・・
「分かりました。」
気が付けば、そう返事してたあたし。
約束の時間に会社の前に
雅人さんが迎えに来た。
あ、スーツ着てる・・・
「会社帰りだから・・・変?」
照れ笑いしながら雅人さんがあたしに聞く。
「いえ・・・素敵です。」
いつもとなんか感じが違う。
正直、かっこいい。
「じゃ、行こうか。」
「はい。」
レストランに行って、
あたしが注文したのは、たらこスパ。
あ、あの時もたらこスパだったっけ・・・
ふとユーちゃんが目に浮かぶ。
雅人さんはトンカツ。
ふと見ると、添えてあったトマトだけ残してる。
「俺、トマト苦手なんだよね・・・」
ふーーん。
ご飯を食べて、
「ちょっと飲みに行こうか。」
と、夜景の綺麗なバーに連れて行ってくれた。
一応あたしも女の子ですから
そう言うのは嫌いじゃない。
綺麗な色のカクテルを飲みながら
ちょっと雰囲気に酔ってみる。
帰りがけ、ちょっと足がふらついた。
さっきのカクテル
アルコール、きつかったのかな・・・
「先に帰ってください。
あたし、ちょっと休んでから帰ります。」
あたしの言葉に
「大丈夫?じゃ、ちょっと休めるとこ行く?」
「はい。」
喫茶店にでも寄って、
ちょっと酔いさました方がいいかも・・・
そう思ってたら、
雅人さんは
「足元危ないからつかまって。」
って、ちょっと強引にあたしの腕をとった。
「大丈夫ですから・・・」
歩調が早い・・・
少し気分が悪くなってきた・・・
「ちょっとすみません・・・」
立ち止まろうとするあたしを
「もうすぐだから・・・」
と、強引に引っ張る雅人さん。
ふと、すぐ側にベンチが見えた。
「ちょっと座らせてください。」
あたしが言うと、
はっと気付いたように
ベンチに一緒に腰掛けた。
少し、楽になった。
しばらく座ってると
「どう?少し楽になった?」
と、雅人さんが聞いてきた。
「はい、大丈夫みたいです。」
「じゃ、行こうか。」
落ち着いて周りを見回すと
・・・・怪しいネオンが。
まさか・・・
背中にイヤな予感が走った。
「ちょっとコーヒー飲みたくなりました。
喫茶店は、無いかなぁ・・・」
あたしの言葉に
「ルームサービスとったげるよ。」
・・・・・・・・・・・・・・・・
「あたし、そろそろ帰らなくちゃ・・・」
「真希ちゃん!」
掴んでた腕を引き寄せられ
抱きしめられた。
・・・・・・・・イヤだ・・・
「ごめんなさい!」
あたしは、雅人さんを突き放すと
走って、元来た方へかけだした。
人混みに紛れて
駅までの道を早足で歩いた。
うつむいて
唇噛みしめて。




