森の探知者と遠ざかる戦音
AIへの指示
主人公は村に近づいてみようと考えます。といっても村からだいぶ離れた森にいます。いまだに自分がどんな場所にいるかは不明です。そしてカエルの捕食を続けスキルやステータスが順調に上がってる中、人の気配を察知します。それまでに観察眼のレベルもあがり、蛇としての探知能力もスキルとして取得して複数のスキルを取得したことにより上位の探知系スキルへ進化します。人を観察するとどうやら冒険者のようだ。冒険者はどうやら魔物の素材を集めているようです。戦ってるモンスターや冒険者を観察し、自分が未だ弱い存在であるのを再確認する主人公。まだ人の近く、村などに行くのは危険だと判断し、冒険者が来た方とは逆の方向へ向かいます。
朝の森は、霧と鳥のさえずりに包まれていた。悠斗は川辺の岩陰に体を丸め、舌をチロチロ動かして空気を味わった。湿った土、苔の青臭さ、遠くの獣の匂い――蛇の嗅覚は、世界を立体的な地図のように描き出す。鱗が朝露に濡れ、冷たい感触が全身を駆ける。生命力1.7の体はまだ弱いが、フェニックスの恐怖を生き延びた自信が、悠斗を突き動かしていた。
「村に行ってみるか。人間の匂いが近いし、未練の手がかりがあるかもしれない」
前世の記憶――美咲の笑顔、親友・亮との約束、母への「ありがとう」――が心を焦がす。だが、村は未知の領域だ。モンスター扱いで討伐されるリスクは高い。ユニークスキル「物語の紡ぎ手」(レベル1、成功率20%)は、説得に使えるかもしれないが、失敗すれば終わり。悠斗は慎重に決断した。
「まずは村の近くまで行って、様子を伺う。毒分泌と隠密行動があれば、なんとかなる……はず」
悠斗は川沿いを離れ、森の奥へ滑り出した。「蛇の滑走」(レベル1)で速度5%向上、草を擦る音を抑える。蛇の視界は近くの草や虫を鮮明に捉え、遠くはぼんやり。舌で匂いを追うと、人間の匂い(煙と汗)が南西に強い。だが、森の全体像は不明だ。この森はどこにあり、どんな魔物が潜むのか? 前世の知識は役に立たず、知力4.5を頼りに進むしかなかった。
村へ向かう途中、悠斗は食料と経験値を確保するため、カエル狩りを続けた。川辺の湿地に、緑に赤と黄色の斑点が輝くヤドクガエルが跳ねる。蛇の目は色彩を強調し、赤が燃えるように映る。「観察眼」(レベル1)で跳ぶ癖を分析、「捕食の本能」(レベル4)で動きを20%予測。俊敏4の体を弾き、牙がカエルを捉えた。
ぬめっとした感触、毒の焼ける痛み。「毒抗体」(レベル5)でダメージ10%軽減、抵抗4で耐える。胃に収まる重みが、成長を実感させた。
《行動:捕食の成功により、通常スキル「捕食の本能」がレベル5に上昇。獲物の動きを25%予測しやすく、攻撃精度11%向上。筋力+0.5》
《行動:環境観察の継続により、通常スキル「観察眼」がレベル2に上昇。敵の動きを10%予測しやすく、アイテム発見率5%。知力+0.5》
カエルを10匹食べ、毒の蓄積が進む。口内の分泌物が濃くなり、「毒分泌」(レベル1)のダメージが微増(6)。「消化強化」(レベル1)で消化速度5%向上、持久力2.5で連続捕食も可能に。ステータスは順調に上がっていた。
ステータス(途中経過):
レベル:4
生命力:1.7
精神力:3
持久力:2.5
筋力:4.5(捕食の本能)
俊敏:4
知力:5(観察眼)
抵抗:4
器用:2.5
信仰:1
神秘:3.5
だが、悠斗は気づいた。カエル狩りでスキルは上がるが、戦闘経験が不足している。「毒分泌」はゴブリン程度に効くが、フェニックス級の魔獣には無力。まだ弱すぎる。
森を進む中、悠斗は蛇の感覚を磨いていた。舌の嗅覚は、風向きで匂いの濃淡を捉え、鱗の触覚は地面の振動を拾う。鳥の羽音、遠くの川のせせらぎ、木の葉の擦れ――すべてが情報だ。「観察眼」(レベル2)で環境を分析し、危険を避ける。
ある時、舌が新たな匂いを捉えた。獣の血と腐臭。近くに死体がある。悠斗は「隠密行動」(レベル1)で気配を5%抑え、匂いの元へ滑った。そこには、半分食いちぎられた鹿の死体。爪痕は大きく、狼か熊か。悠斗は「観察眼」で痕跡を分析し、敵の不在を確認。蛇の感覚とスキルの連携が、探知能力を高めていた。
《行動:匂いと振動の追跡により、通常スキル「蛇の探知」(レベル1)を取得しました。匂いと振動の感知範囲が5%拡大、敵の位置を3%精度で特定。知力+0.5、俊敏+0.5》
「蛇の探知か! これ、めっちゃ便利じゃん!」
さらにカエル狩りと環境観察を続け、「観察眼」がレベル3(予測15%、発見率7%、知力+0.5)に、「蛇の探知」がレベル2(範囲10%拡大、精度5%、俊敏+0.5)に上昇。複数の探知系スキルの熟練が、悠斗の感覚を研ぎ澄ました。
《行動:探知系スキルの統合により、通常スキル「観察眼」「蛇の探知」が進化。通常スキル「森の探知者」(レベル1)を取得しました。匂い、振動、視覚で敵やアイテムを10%精度で特定、感知範囲20メートル。知力+1、俊敏+1》
「森の探知者!? スキル進化きた!」
新しいスキルは、蛇の感覚を極限まで強化。舌を動かすと、20メートル内の匂いが3Dマップのように浮かぶ。鱗は微細な振動を捉え、視界は動く物を強調。人間の頃では想像できない、森との一体感があった。
「森の探知者」(レベル1)で森を進む中、悠斗は新たな匂いを捉えた。汗、革、鉄――人間だ! 距離は50メートルほど。振動からは、3人の足音。悠斗は「隠密行動」(レベル1)で気配を抑え、木の根元に体を潜めた。蛇の視界で、木々の隙間から人影が見える。
3人の冒険者。革鎧の剣士、杖を持つ魔術師、ローブの回復役。剣士が血まみれの狼の皮を剥ぎ、魔術師が「素材の品質がいいな」と呟く。悠斗は「森の探知者」で観察。剣士の動きは訓練され、ステータスは10~12(推定)。魔術師の杖から魔力が漏れ、神秘は15以上か。回復役は信仰が高そう。悠斗の筋力4.5、抵抗4では、相手にならない。
「やばい……こいつら、俺なんか一撃だ」
冒険者が戦った狼の死体を観察。爪痕や焦げ跡から、剣と魔法の連携が分かる。狼はレベル5程度(ステータス6~8)だが、悠斗より強い。自分がまだ弱小な魔獣だと再確認し、背筋が冷えた。
「村に行くのはまだ危険だ。こんなのに見つかったら、素材として剥がれる……」
冒険者の匂いは南西――村の方向。悠斗は逆の北東へ逃げることを決めた。「毒分泌」や「隠密行動」があるとはいえ、リスクは高すぎる。ユニークスキルは役立たずで、頼りは通常スキルと知力6だ。
北東へ滑る途中、悠斗の鱗が新たな振動を捉えた。キンキンキンキン――金属がぶつかる戦闘音。距離は200メートル以上。「森の探知者」で分析すると、鉄の匂いと血の匂いが混じる。人間と魔物の戦いか? 冒険者か、別のグループか。
「近づくのはヤバいけど、様子を見たい……いや、ダメだ。生き残るのが先」
悠斗は戦音を背に、森の奥へ進んだ。舌が木の実の甘い匂いを捉え、鱗が地面の湿気を伝える。蛇の視界は、夜の闇に青く輝く。村は遠ざかるが、未練は消えない。美咲、亮、母――彼らにたどり着くため、悠斗は強くなることを誓った。
ステータス:
レベル:5(捕食と探知で経験値獲得)
生命力:1.7
精神力:3
持久力:2.5
筋力:4.5
俊敏:5.5(蛇の探知、森の探知者)
知力:6(観察眼、森の探知者)
抵抗:4
器用:2.5
信仰:1
神秘:3.5
スキル:
ユニークスキル:物語の紡ぎ手、絆の追跡者、心の囁き、癒しの鱗、魔獣の威圧(すべてレベル1)
通常スキル:
蛇の滑走(レベル1) 捕食の本能(レベル5) 毒抗体(レベル5) 毒分泌(レベル1) 消化強化(レベル1) 隠密行動(レベル1) 森の探知者(レベル1)
「まだ弱い。でも、スキルを磨けば、いつか……」
戦音が遠ざかる中、悠斗は森の奥へ消えた。