表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/38

毒の目覚めと天空の脅威

AIへの指示>>

悠斗はカエルを食べ続け、「毒抗体」が進化して毒攻撃スキルを取得。 木に登って鳥の巣を見つけタマゴの捕食をしようとしますが、親鳥が巣に帰ってきて辺りをめちゃくちゃに破壊します。親鳥はファンタジー世界で有名なあの鳥でした。主人公はうまく擬態や気配を消して難を逃れスキルも得ます。まだ手を出すのは危なかったという緊張感があるシーンです。

朝霧が川辺を覆う中、悠斗アズール・サーペントは草の陰でカラフルなカエルを追っていた。緑に赤と黄色の斑点が輝くヤドクガエル。その毒を喰らい、己の武器にする――それが悠斗の決意だった。蛇の金色の瞳は獲物を捉え、舌が酸っぱい匂いを感知する。鱗が湿った土を滑り、静かに接近。

「捕食の本能」(レベル3)の予測効果で、カエルの跳ぶ方向を15%精度で読む。右に跳ぶ癖を捉え、俊敏3.5の体を弾く。牙がカエルの体を貫き、ぬめっとした感触が口に広がる。毒の焼ける痛みが胃を襲うが、「毒抗体」(レベル2)でダメージは10%軽減。悠斗は耐え、飲み込んだ。


《行動:捕食の成功により、通常スキル「捕食の本能」がレベル4に上昇。獲物の動きを20%予測しやすく、攻撃精度9%向上。筋力+0.5》


カエルを10匹、20匹と食べ続ける。毒の痛みは毎回襲うが、抵抗3の体は適応を進めていた。30匹目を超えた頃、体の奥で何かが変わった。鱗が熱を持ち、口内に奇妙な分泌物を感じる。舌を動かすと、酸のような匂いが鼻腔を刺激した。


《行動:毒の蓄積により、通常スキル「毒抗体」がレベル5に進化。通常スキル「毒分泌」(レベル1)を取得しました。口から弱い毒液を分泌可能(ダメージ5、範囲1メートル、成功率30%)。抵抗+1、神秘+0.5》


「毒分泌!? きた! これで戦える!」


悠斗は興奮でヒス音を漏らした。筋力4、抵抗4、神秘3.5――まだ弱いが、毒攻撃はゴブリン程度なら脅威になる。試しに口を開けると、透明な液が滴り、草に触れるとジュッと煙を上げた。人間の感覚では「気持ち悪い」と思うだろうが、蛇の本能はそれを武器と認めた。


「よし、次は村だ。毒があれば、モンスター扱いされても交渉の切り札に――」


だが、腹が重い。「消化強化」(レベル1)でも、30匹のカエルは負担だった。持久力2.5では長時間の移動も厳しい。悠斗は新たな食料を探すことにした。カエルは毒の供給源だが、エネルギー効率が悪い。蛇の視界で川辺を見回すと、木々の上に鳥の巣が見えた。


「タマゴか! 栄養価高いし、動かないから捕りやすい!」


悠斗は近くの樹齢百年はありそうな大木に狙いを定めた。蛇の視界では、20メートル上の枝に藁と羽でできた巣が映る。舌をチロチロ動かすと、鳥の匂いとタマゴの微かなカルシウム臭が混じる。敵の気配はない。絶好のチャンスだ。


「蛇の滑走」(レベル1)で幹に近づき、鱗を木の表面に引っ掛けて登る。蛇の触覚は、樹皮の粗いテクスチャーを全身で感じ、振動が鳥の不在を告げる。人間の頃なら高所恐怖症で震えただろうが、蛇の体は木に巻き付く本能で安定していた。俊敏3.5の動きで、10分かけて巣に到達。


巣には、拳大の白いタマゴが3つ。表面に金色の斑点が輝き、異世界らしい神秘的な美しさがあった。悠斗の蛇の目は、斑点の輝きに一瞬魅了された。舌でタマゴを舐めると、温かく、かすかに甘い匂い。筋力4なら、丸呑みできそうだ。


「こりゃ、栄養満点だろ! いただき!」


口を開け、タマゴに牙を近づけた瞬間――空気が変わった。


ゴオオオッ!


爆風のような突風が森を揺らし、悠斗の体が枝から滑り落ちそうになる。鱗が木に引っかかり、辛うじて耐えた。蛇の聴覚が、地面を通じて轟音を捉える。見上げると、巨大な影が太陽を覆っていた。

翼を広げた全長5メートルの鳥。金色の羽毛が炎のように輝き、鋭い嘴と爪は鋼のよう。尾羽は虹色に揺れ、目はその名の通り燃える赤。悠斗の前世知識が叫んだ――フェニックス! ファンタジー世界で有名な不死鳥だ。伝説では、炎を操り、死から蘇る神聖な存在。この世界では、村一つを灰にできる災害級の魔獣として恐れられている。


「うそだろ!? なんでこんなのが!?」


フェニックスの赤い目が悠斗を捉えた。巣を荒らそうとした侵入者への怒りが、空気を灼く。悠斗の生命力2、抵抗4では、フェニックスの炎を一瞬も耐えられない。蛇の本能が「逃げろ」と叫ぶが、枝の上では逃げ場がない。


フェニックスが翼を振ると、炎の波が巣を包んだ。悠斗は咄嗟に体を枝に巻き付け、「観察眼」(レベル1)で周囲を分析。炎の隙間、風の流れ――逃げるなら今だ! だが、フェニックスの気配は圧倒的。ユニークスキル「魔獣の威圧」(レベル1、成功率30%)は論外。「毒分泌」(レベル1)も、フェニックスには効くはずがない。


「くそっ、隠れるしかない!」


悠斗は蛇の感覚をフル活用した。鱗を枝の色に合わせ、緑と茶の模様を強調。蛇の視覚では、自分の体が背景に溶け込むのが分かる。舌を引っ込め、呼吸を止める(蛇に呼吸はないが、振動を抑えるため)。心臓がない体が、初めて幸運に思えた。フェニックスの目は鋭いが、動かなければ――。


フェニックスが咆哮し、巣の周りを炎で焼き払った。枝が燃え、木が裂ける。悠斗の鱗は熱に耐えきれず、軽い火傷を負う。生命力2が1.5に減るが、「毒抗体」(レベル5)の抵抗4で致命傷は免れた。フェニックスの爪が巣をかすめ、木が揺れる。悠斗は体を硬くし、気配を消した。


《行動:擬態と気配隠蔽により、通常スキル「隠密行動」(レベル1)を取得しました。気配を5%抑え、発見率を3%低下。俊敏+0.5、器用+0.5》


スキル取得の声が、悠斗に希望を与えた。フェニックスは巣を確認し、タマゴが無事なのを見て飛び去った。炎の尾が空を切り、森に静寂が戻る。悠斗は枝から滑り落ち、地面で体を丸めた。


「ハァ……死ぬかと思った……フェニックスって、マジでやばいな……」


川辺に戻った悠斗は、鱗の火傷を冷たい水で冷やした。蛇の触覚は、水の冷たさを全身で感じ、生命力1.5がわずかに回復(1.7)。舌を動かすと、フェニックスの焦げた匂いがまだ残る。蛇の視界では、焼けた木々が黒く映り、恐怖が蘇る。


「まだ手を出すのは早すぎた……。レベル3、筋力4、抵抗4じゃ、伝説の魔獣に挑むなんて自殺行為だ」


前世の知識が、フェニックスの危険性を再確認させた。不死鳥は神聖だが、敵対すれば容赦ない。この世界の魔獣は、悠斗の想像を超える。村に行く前に、もっとスキルを強化する必要がある。

ステータスを確認した。


ステータス:

レベル:4(捕食と危機回避で経験値獲得)

生命力:1.7(火傷で減少)

精神力:3

持久力:2.5

筋力:4(捕食の本能×2)

俊敏:4(蛇の滑走、隠密行動)

知力:4.5

抵抗:4(毒抗体)

器用:2.5(隠密行動)

信仰:1

神秘:3.5(毒分泌)

スキル:


ユニークスキル:物語の紡ぎ手、絆の追跡者、心の囁き、癒しの鱗、魔獣の威圧(すべてレベル1、未使用)


通常スキル:

観察眼(レベル1) 蛇の滑走(レベル1) 捕食の本能(レベル4) 毒抗体(レベル5) 毒分泌(レベル1) 消化強化(レベル1) 隠密行動(レベル1)



「毒分泌と隠密行動か……これで村に行っても、少しは生き延びられるかも」


悠斗は舌で人間の匂いを追った。煙と汗の匂いが、川を下った先に強い。村は近い。だが、フェニックスの恐怖が教えてくれた――慎重さが命だ。「隠密行動」で気配を抑え、村の様子を伺う。ユニークスキル「物語の紡ぎ手」で人間を説得できれば、未練の手がかり(親友、美咲、母)が得られるかもしれない。


「美咲、亮、母さん……待ってろ。俺、絶対にたどり着くから」


蛇の視界で、夕陽が川を赤く染める。鱗が光を反射し、毒の匂いが口から漂う。悠斗は川沿いを滑り、村への第一歩を踏み出した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ