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毒と本能の試練

AIへの指示>>

次話の展開は以下の通りです。

カエルを捕食するのを決意する主人公。カラフルで小さなカエルを見つけ捕食するが失敗するがそこでスキルを入手。何度も失敗してるうちにスキルレベルが上がってカラフルなカエルを捕食する。カエルは毒をもっていてしばらく苦しむが毒抗体のスキルを入手する。前世の知識でヤドクガエルの事を思い出し、自分も毒を摂取すれば毒を使えるようになるのでは?と考えカラフルなカエルを食べまくる主人公。食べすぎて消化のスピードが間に合わず苦しみ、消化スキルを入手する。

朝の森は、霧に包まれていた。川沿いの岩に体を丸めた悠斗アズール・サーペントは、蛇の金色の瞳で周囲を警戒しながら舌をチロチロと動かした。空気中の匂いが、湿った土、苔、そして微かな動物の気配を運んでくる。生命力2、持久力2の弱小な体では、いつ敵に襲われてもおかしくない。


「腹、減ったな……。蛇って何週間も食わなくていいはずだけど、レベル上げにはエネルギー必要だろ」


前世の知識を頼りに、悠斗は食料について考えた。筋力2では大型の獲物は無理。小さな虫やカエルなら、なんとか捕まえられるかもしれない。川辺にはカエルが生息しやすいはずだ。蛇の本能が「捕食」を求めるように、腹の底から疼きが湧いてくる。人間の感覚では気持ち悪いが、蛇の体はそれを自然と受け入れていた。


「よし、カエルだ。見つけて、食う。簡単だろ……たぶん」


悠斗は慎重に岩から滑り降り、川沿いの湿った草地へ向かった。蛇の視界は近くの動きに鋭く、草の間を跳ねる小さな影を捉える。舌を動かすと、湿気と混じったカエルの匂いが強い。視覚と嗅覚が連動し、獲物の位置が頭に浮かぶ。人間の頃には感じられなかった、狩りの興奮が体を駆け巡った。


草の陰に、目標がいた。体長5センチほどの小さなカエル。体は鮮やかな緑に赤と黄色の斑点が散り、まるで熱帯魚のようにカラフルだ。悠斗の蛇の目は、その色彩を異様に鮮明に捉えた。赤が強調され、黄色が輝く。人間なら「可愛い」と思うかもしれないが、蛇の本能は「食える」と判断した。


「よし、あいつだ。筋力2でも、これならいける!」


悠斗は体を低くし、「蛇の滑走」(レベル1)を使って静かに近づいた。速度5%向上の効果で、草を擦る音は最小限。距離2メートルまで迫り、舌でカエルの匂いを確認。汗のような、わずかに酸っぱい匂い。準備は完璧――のはずだった。


「くらえ!」


体を弾くように跳び出し、口を開けてカエルに飛びかかった。だが、カエルは驚くほどの速さで横に跳ね、悠斗の牙は空を噛んだ。顔から草地に突っ込み、鱗が泥にまみれる。カエルはピョンピョンと逃げ、嘲笑うように「ケロ」と鳴いた。


「くそっ、なんで!? 俊敏3なのに!」


悔しさでヒス音を漏らす悠斗。蛇の視界では、カエルの動きが一瞬スローモーションに見えたのに、体が追いつかなかった。筋力2の非力さと、捕食の未熟さが露呈した瞬間だ。だが、その時、頭に声が響いた。


《行動:捕食の試みにより、通常スキル「捕食の本能」(レベル1)を取得しました。獲物の動きを5%予測しやすくなり、攻撃精度が3%向上。筋力+0.5》


「おお! スキルゲット! 失敗したけど、これで次は……!」


新しいスキルに希望を見出し、悠斗は泥を払うように体をくねらせた。「捕食の本能」は、蛇の本能を強化するスキルだ。筋力が2.5に上がり、わずかだが攻撃力が向上。カエルの匂いを再び追うと、別のカラフルなカエルを見つけた。今度は慎重に、草の陰を利用して近づく。


次のカエルも、緑に赤と黄色の斑点を持つ小さな個体。悠斗は「観察眼」(レベル1)と「捕食の本能」(レベル1)を意識し、カエルの動きを観察。跳ぶ方向を予測し、風向きを舌で確認。距離1.5メートルで体を縮め、跳び出した。


「今度こそ!」


だが、また失敗。カエルは斜めに跳び、悠斗の牙は地面をかすめた。泥が口に入り、苦い味が広がる。蛇の感覚では、土の匂いと味が直結し、吐き気のような不快感が襲う。カエルは再び「ケロ」と鳴いて逃げた。


「マジかよ……こんな小さいやつにすら勝てないなんて!」


苛立ちと焦りが募るが、悠斗は諦めなかった。蛇の体は持久力2で疲れやすいが、休息を挟みながら同じカエルを追う。3回目、4回目――失敗を重ねるたび、カエルの跳ぶ癖(右に跳ぶ傾向)が分かってきた。「捕食の本能」の予測効果が、微妙に精度を上げていく。

5回目の挑戦。悠斗はカエルの右側に体をずらし、跳ぶ瞬間を狙った。舌で匂いを確認し、草の振動を鱗で感じる。カエルが跳ぶ――右へ! 悠斗は体を弾き、牙を突き出した。


ガリッ!


小さな体が口に収まり、ぬめっとした感触が舌に広がった。成功だ! カエルの弱々しい抵抗を無視し、悠斗は飲み込んだ。蛇の喉は広く、獲物を丸呑みする感覚は人間の「咀嚼」とは全く異なる。胃に収まる重みが、初めての達成感をくれた。


《行動:捕食の成功により、通常スキル「捕食の本能」がレベル2に上昇。獲物の動きを10%予測しやすく、攻撃精度5%向上。筋力+0.5》


「よっしゃ! レベルアップ! 筋力3だ!」


喜びも束の間、胃に異変が起きた。焼けるような痛みが広がり、体が震える。鱗が熱を持ち、金色の目がぼやける。カエルのカラフルな体が脳裏に浮かんだ。


「うっ、なんだこれ……!? 毒!?」


悠斗は川岸の岩に体を丸め、痛みに耐えた。蛇の感覚では、痛みは鈍いが、毒の熱は全身を焼き尽くすようだ。生命力2では、このまま死ぬかもしれない。舌を動かす力もなく、視界が暗くなる。


「くそっ、こんなところで……! 美咲、亮、母さん……まだ何もできてねえ!」


未練が魂を奮い立たせ、悠斗は意識を保った。前世の知識が閃く――カラフルなカエルは、ヤドクガエルに似ている! 南米の毒ガエルは、鮮やかな色で警告し、強力な神経毒を持つ。だが、蛇の中には毒に耐える種もいる。もしかして、この体も……?

その時、頭に声が響いた。


《行動:毒への抵抗により、通常スキル「毒抗体」(レベル1)を取得しました。毒ダメージを5%軽減、毒耐性が3%向上。抵抗+0.5》


「毒抗体!? よし、生き延びるぞ!」


スキル取得の瞬間、痛みがわずかに和らいだ。抵抗が2.5に上がり、毒の進行が遅くなる。悠斗は川に体を浸し、冷たい水で体温を下げた。蛇の鱗が水を弾き、振動が全身を癒す。数時間後、毒の熱は収まり、悠斗は生き延びた。


「ハァ……マジで死ぬかと思った。ヤドクガエル、恐るべし……」


休息後、悠斗は新たな仮説を立てた。前世の知識では、ヤドクガエルの毒は捕食者が避けるためのものだが、特定の動物は毒を体内に蓄積し、自身も毒を持つことがある。もし、このアズール・サーペントの体が毒を吸収できるなら、戦闘力の低さを補えるかもしれない。


「毒を使えたら、筋力3でも強敵に勝てる! よし、カエルを食いまくるぞ!」


決意を新たに、悠斗は川辺でカラフルなカエルを探した。「観察眼」(レベル1)で草の動きを観察、「捕食の本能」(レベル2)で跳ぶ方向を予測。次のカエルを捕まえると、毒の痛みを覚悟で飲み込んだ。焼ける痛みが再び襲うが、「毒抗体」(レベル1)のおかげで耐えられる。


《行動:捕食の成功により、通常スキル「捕食の本能」がレベル3に上昇。獲物の動きを15%予測しやすく、攻撃精度7%向上。筋力+0.5》


カエルを3匹、5匹と食べ続ける。毒の痛みは毎回襲うが、「毒抗体」がレベル2に上がり、ダメージ軽減が10%、耐性が5%に向上。抵抗は3に達し、毒への適応が進む。だが、問題が起きた。カエルを10匹食べた頃、胃がパンパンになり、消化が追いつかない。体が重く、動きが鈍る。鱗が膨らみ、まるで風船のようだ。


「うっ、食べすぎた……! 消化、間に合わねえ!」


苦しむ悠斗に、再び声が響いた。


《行動:過剰な捕食により、通常スキル「消化強化」(レベル1)を取得しました。消化速度が5%向上、満腹時の移動ペナルティが3%軽減。持久力+0.5》


「消化スキル!? こんなのもあるのか!」


新たなスキルで胃の重さが少し和らぎ、悠斗は安堵した。持久力が2.5に上がり、長時間の行動がわずかに楽になる。だが、毒の蓄積はまだ不完全だ。カエルの毒を武器にするには、もっと食べ続ける必要がある。


夕暮れの川辺で、悠斗はステータスを確認した。

ステータス:

レベル:3(捕食と毒耐性で経験値獲得)

生命力:2

精神力:3

持久力:2.5(消化強化)

筋力:3.5(捕食の本能×3)

俊敏:3.5

知力:4.5

抵抗:3(毒抗体×2)

器用:2

信仰:1

神秘:3



ユニークスキル:物語の紡ぎ手、絆の追跡者、心の囁き、癒しの鱗、魔獣の威圧(すべてレベル1、未使用)


通常スキル: 観察眼(レベル1) 蛇の滑走(レベル1) 捕食の本能(レベル3) 毒抗体(レベル2)消化強化(レベル1)


「毒抗体がレベル2か……まだ毒を攻撃に使えそうにはないな。もっとカエルを食うか、それとも村に向かうか」


悠斗は舌をチロチロ動かし、風向きを確認した。遠くに人間の匂い――煙と汗の混ざった匂いがする。村が近い。だが、この弱さで人間に会えば、モンスター扱いで討伐されるかもしれない。ユニークスキル「物語の紡ぎ手」で説得を試みるか? いや、成功率20%ではリスクが高い。


「もう少しスキルを強化してからだ。毒を武器にできれば、交渉の切り札になる」


悠斗は川辺に留まり、カエル狩りを続けることを決めた。蛇の視界で、夜の森が青く輝く。舌が捉えるカエルの匂い、鱗が感じる草の振動――すべてが、生き延びるための武器だ。未練を胸に、悠斗のサバイバルは新たな段階へ進む。

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