3話 新川とチーソーの赤い部分
夏休みに入り、塾に行き、お盆には側弯症の手術が再度行われ、入院をした。
医者からは1年間運動を禁止された。その影響でダンスはできないことを改めて知った。
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夏休みが終わり、メンバー皆にその事を告げた。皆⋯?新川が消えた。
まあいいや。
こんな私の事情伝えなくても関係ない。
だが、ダンスの振り付けを考えるときに彼がいないと後で先生に怒られるので探して連れ戻した。
私は振り付けや構成を積極的に行った。ダンスの課題曲は360° ドラえもんの映画の曲だ。きっとこの曲を選んだ2年の体育委員はドラえもんが好きなのだろう。
美馬か⋯(2組で同じ小学校の男子)
ちなみに新川も体育委員だ。
ダンスの振り付けをティックトックやYouTubeで調べると良いものが見つかった。簡単で踊りやすそうだ。
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次の日の体育の時間、その映像を見せた。舘林以外は皆、賛成した。皆⋯?
「新川はどこいった?」
私はそう言い、グループ総出で探すことになった。
すると新川が他のグループに遊びに行っているところを発見した。
そして皆で新川を連れ戻した。
ところで舘林が反対した理由を聞くことにした。
「ダンスってのは自分達だけで考えないとじゃん。そんなのルール違反だよ」
「だめってルールないし、先生も去年オタ芸したグループがあったって言ってたじゃん」
「なにそれ。先生の話聞いてなかったわwww」
舘林と私は1年の時から同じクラスで彼女のノリが⋯⋯まあ、はい⋯。
裏表がなく、誰にでも楽しく明るいところが強すぎてすこーーしだけうざいなーーぁぁと思っていた、なんて言えないけど実際のところそう思っていたことは事実だ。
そしてこの日は結局全然振り付けが決まらなかった。
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翌週のダンスの時間では体育館にいる、ダンス専門であるトリプルハートの先生を呼び、冒頭だけでも考えてもらおうと思った。
それには舘林、そして胡桃(三谷)以外の皆が賛成をした。
この時、新川はその場にいた。
「いいよォそんなことしなくて?」
胡桃がそういうと舘林が続いて
「そうだよ。そんなことしなくていいってば」
すると、ここまで黙っていた新川が話始めた。
「じゃあお前らなんでまだ考えていねぇんだよ。さっさと考えられないんだったら先生呼んだ方が早いって」
その隙に私は先生を呼んだ。
舘林と三谷の2人は最初不快そうな顔をしていたが、いざ先生に教えてもらったときには笑顔になっていた。
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三谷胡桃とは私が2年になって始めてできた友達だ。
2年の初め、席の周りの人は皆、1年の時に同じクラスだった子、もしくは同じ小学校の人だったためそこでは新たに友達はできなかった。しかし、休み時間に教室をうろついていると話しかけられ、アニメの話で盛り上がった。そして私から
「ライン繋ごォ!」
と言い、QRを渡し、
「なんで持ち歩いてるの?www」
となりより1層盛り上がり仲良くなった。
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金曜日の昼休み、来週は職場体験だな〜と思い胸を膨らませていた。
すると新川が現れ、私のバックのキーホルダーを見た。
「お前麻雀できるのか!?」
「いやwwルールもなにもわからない笑笑これはラヴィットのチーソーの赤い部分のキーホルダー。知ってる?」
「あ!あれか!!」
「新川は麻雀できるの?」
「もちろん!家に麻雀があって親とよくやってる笑笑」
「凄いね!麻雀って難しい?」
「リーチさえわかれば初心者はできる。5歳の妹ですらできるし笑笑
でも俺昨日親とおじいちゃんとやったらボロ負けだった笑笑まあ楽しいからやってみな」
「まじか笑今度期末テストが終わったら覚えてみよ笑」(職場体験の翌週、期末テストがあるのだ)
「覚えたら一緒にやろうぜ」
⋯⋯??
「どこで、?」
もしかして新川の家でってこと!?
男子の家行ったことないな、笑 。私の頬は少しずつ赤くなっていった。
すると学級委員の渡邊真央がいきなり現れた。
「そこのカップルいちゃつくな!!!次音楽だから並んで!!」
「はーい笑」
私はそう言い、音楽の準備をした。
そのときの新川の様子はなにも見ていなかった。というか覚えていなかった。
私は胸の鼓動がおかしいことに気がついた。
新川ともっと話していたい。
これが恋なのか?すぐに認めることはできなかった。
新川は授業中うるさくて、ダンスの時なんかどっか行くし、そんな人を好きになるなんて⋯
でも、イケメン、高身長(175cmくらい)、話していると楽しい、場を盛り上げてくれる、
やっぱり彼のことが好きなのかな。どうしよ、職場体験。どう接すればいいんだろう。
恋はいつの間にか来る。