2話 新川と事前訪問
黒川杏 生年月日2009年8月19日 M-1、キングオブコントは毎年見ている。M-1に関しては過去の大会はアマプラで見た。ルミネもよく親と見に行っている。お笑い好き。また、中学に入りアニメと漫画にもハマった。
7月に入り職場体験の事前訪問を行うことになった。
学校から徒歩5分。
家から電車を使っても20分(駅直結)。
なんと快適な職場なんだろうか。
本番の職場体験は家から直接向かうが事前訪問はメンバー全員で学校から行く。
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私はこの職場体験のリーダーとなったため、学校の玄関で皆の自己紹介カードが入った封筒を受け取った。
私は歌舞伎座に向かう途中、ふと気づいた。
それは、私と松田、久保さん以外のメンバー、皆がマスクを着用しているということだった。
暑い日だったのに、なぜ皆がマスクをしているのかと不思議に思った。
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私たちは歌舞伎座に到着した。その建物はとても壮大で迫力があり、圧倒された。
待ち合わせ場所は歌舞伎座の地下にある木挽場広場のセブンイレブンだ。
数分程担当の人を待つと現れた。
「山崎美佳です。本日はどうぞよろしくお願いします。」
と言い、礼儀正しく1人ひとりに名刺を渡した。
そのときに私は封筒を山崎さんに渡した。
エレベーターで3階にあるお食事処へ向かった。
床は真っ赤な絨毯、壁は高級そうな絵がずらりと、定員約160人も入るという広さ。
そんな中、私たち7人だけの空間で真ん中の席をぎゅうぎゅうに詰めて座った。
「皆さん緊張しないで大丈夫ですよ!では1人ずつ自己紹介をお願いします!」
山崎さんは封筒を開け、カードを見ながら皆の平凡な自己紹介を聞いていた。
「この中で歌舞伎座に来たことがある人はいますか?」
この質問に今まで静かだった森が興奮した口調で話し始めた。
「僕は小学校のときに3回来たことがあります!それで今回この職場体験で第1希望に歌舞伎座と書きました!」
それに続き私も話し始めた。
「私は歌舞伎座には行ったことがありませんが楽しそうなので第1希望に歌舞伎座と書きました!」
「凄いですね!希望を書けるんですね。2人共ありがとうございます。ちなみに森さんは歌舞伎座から家が近いのですか?」
「近いというか僕の家は銀座2丁目(歌舞伎座は4丁目)で少し離れているので3回ともタクシーで行きました」
銀座に住むって相当金持ちだな⋯社長の息子なのか⋯?
「贅沢だな〜w」
久保さんは私の思っていることを弁明してくれた。
こうして話していると私は山崎さんが持っている皆の自己紹介カードが見えた。
特に目が止まったのは新川だ。
自己紹介カード 新川怜音 左端に彼の写真(生徒手帳の写真の使い回し)があった。
思っていた5倍イケメンだった。
マスクを着けない方がイケメン。逆マスク詐欺じゃないか。
私は面食いでもなければ恋愛にも興味もない。強いて言えば友達の恋愛は応援するくらい。
それに推しといえるほど推している芸人もアニメもない。
私の人生に恋愛は無縁だと思っていた。
ーーかもしれない。