第五話 殺戮 後編
同時刻、ユウキと雷華は苦戦していた。敵の攻撃が速すぎるのだ──そして何より防御が硬い!
「おいユウキ!どうすればいい?」と俺。
だがしかし、彼は返事をしない。その代わりに聞こえてきたのは──「うわあああ!!」という叫び声だった。その声の主はユウキだ。どうやら敵の攻撃を受けてしまったらしい……くそったれめええ!!ふざけんじゃねえぞッ!
「雷華、ヒールだ!」
「りょ」
「一旦戦線離脱しろ」
「オッケー」
さて、どうしたものか。王と神に挟まれた俺一人。なんとか時間稼ぎをしなければ。齋をこちらに来させるわけには行かない。
考えているうちに、神が拳を放った。軌道を読む。避けた。しかし、これで終わりではない。俺は後ろから神の背中を思い切り押す。運良く神が飛んでいく軌道上に王がいた。神はそのまま王に突撃し、王は倒れた。
「うグッ‥‥」
「小癪な‥実に小賢しい」
「どうだ?王は死んだ。これでお前は一人ぼっちだ」
「ふふ、ふはははは!」神は不敵に笑いだした。
「何がおかしい?」と俺。
「いや、なに……貴様らがあまりに哀れでな……だがしかし、我を殺せたとしても神を殺すことはできぬ!!」
なるほどそう来たか。ならば仕方ない──俺は創造神に向かって駆け出す!すると敵が攻撃してくるのがわかったので軽く避けると再び創造神に攻撃した。しかし、やはり避けられてしまう。そして今度は敵の方から攻撃を仕掛けてきたのだ!
「龍核撃派!!」
俺は拳を突き出したが──またも防御されてしまう。しかもそれだけではない。俺の拳から放たれた光線は敵の体をすり抜けたのだ!一体どうなっているんだ……!?そこで俺はあることを思い付いた──試してみるか? 俺は再び拳を振り上げる……するとどうだ?またもや時間が止められてしまったではないか……!だがしかし!今回は違ったのだ──なんと創造神の心臓を取り出すことに成功したのだ。だがしかし、その瞬間に時が動き出す……
「な、なに!?」
俺の拳から現れた創造神が目を見開いている。俺はすかさずもう一度拳を振り下ろすと──今度こそ仕留めることができたようだ。だがしかし、それで終わりではなかった!なんと創造神の体が二つに分裂したのである!!
「ぐはっ……」俺は腹を押さえた──見ると血が流れているではないか……!どうやら攻撃を喰らったらしい。くそったれめえええ!!なんでだよおおおお!? その時だった。俺が顔を上げると目の前にもう一人の創造神がいた。鏡像か。そして、俺の首を掴もうとしてくる……がしかし、間一髪で躱せた!危ないところだったぜ……!だがしかし、次に目を開けた時俺が見たのは信じられない光景だった。なんと二人の神が俺に向かって攻撃を放っていたのだ!俺は瞬時に回避したが間に合わなかったらしい……横腹に攻撃を喰らってしまったようだ──
「ぐはっ……」
「どうした?先ほどまでの威勢はどこへ行った?」そう敵は言うと俺の腹を蹴る──「うっ……」
さらに敵は俺の髪を掴むと──「ふんっ」と言い、地面に叩きつけた。
「うっ……ぐっ……クソッ!痛えぜ畜生!」
俺は叫ぶと同時に立ち上がった。そして相手を睨み付ける。するとその時だった。突然、敵の動きが鈍くなったのだ──フハハハ!俺の『邪眼』に睨まれる気分はどうだ!「う、動けん……貴様!何をした!」と敵が叫ぶ。
「俺の『邪眼』はな、相手を金縛り状態にするんだよ」そう俺が言うと敵は悔しそうな顔になった。そして──「だがしかし我には効かないぞ?」と言う。確かにその通りだが、残念ながら俺の狙いはこれではない──俺は敵の心臓をもぎ取る…….するとどうだ?なんと創造神が口から血反吐を吐き出して倒れたのだ……!よし、なんとか倒せ‥てねえわ。これ鏡像だったわ。アホか。「残念だったな」と言う敵が背後から飛びかかって来るが俺はそれを躱すと反撃に出た。敵は俺の攻撃を喰らい吹き飛ばされる──その瞬間、時が止まった。
『邪眼』を使い動きを止めると、創造神の首に手を伸ばした。そしてそのまま引きちぎろうとすると──「させん!」と言った後、創造神は俺の手を掴んだのだ!しまった……だがしかしもう遅い!!このまま奴の首を取ってやる……!だがしかし、奴は信じられない行動に出てきたのだ…….なんと自分の首を切り離したのである!!
「ククッ……残念だったな小僧」と創造神は言った。
そして次の瞬間には元に戻っていたのだ──だがしかし、俺にはもう関係なかった。俺は拳を振り上げると敵の心臓を殴りつける──そしてその瞬間、創造神は倒れ伏すのだった……やったぜ!ざまーみろ! 冥師と齋の戦いはまだ続いていた。『結界牢獄』冥師は結界を張り、斎を閉じ込める。
「結界か。面倒だな。」そう言うやいなや、齋は呪文を詠唱し、演算子により最適解を見つける。
『龍縛』『龍爆』同時発動。齋の傍らに二体の龍が召喚される。二匹の龍は齋のスキルにより生成された。
「行け、龍爆」結界が爆散する。だが、霧が晴れるとまた結界が現れていた。
「チッ・・」冥師が一瞬にして結界を張ったのだ。「無駄だ。俺の結界は無敵だ。」
「そうか?じゃあ試してみるか?」
齋がニヤリと笑う──そして再び呪文を詠唱し始めた。今度はかなり長いようだ。その間にも斎は、召喚した龍に攻撃させる。だがしかし、敵も負けじと結界を張り続けるため、戦いは膠着状態となった── 10秒後、ようやく齋の呪文が完成したようだ。彼は叫んだ──『龍縛』!!その瞬間だった。龍縛によって結界を呪縛する。そして、結界は爆散した。「な、なに!?」冥師が叫ぶ。
「この結界は無敵なんだろ?だったらそれを破壊するまでだ」と齋が言う。
「ククッ・・・面白い!!やってみろ!!」敵は再び結界を張った──そして斎は召喚した龍に攻撃させる。だがしかし、敵の攻撃によってかき消されてしまった。だがしかし、間髪入れずに追撃する──『龍爆』!!強力な爆発により、敵が吹き飛ばされる──さらに追い打ちをかけるように、『龍縛』で敵の四肢を縛り上げた。
「クソッ……!こんなはずでは..!!」と敵が言った。
そして次の瞬間にはもう遅かった──齋のクロックアップが発動する。すると敵は金縛りになったように動けなくなる──だがしかし、すぐに金縛りが解けてしまったようだ。
「フッ……無駄だと言ったはずだぞ?」冥師は余裕の表情を見せる。
だがしかし、斎はニヤリと笑うと、再び呪文を詠唱し始めた。『龍縛』!!冥師の動きを封じると、さらに追撃する──『龍爆』!!凄まじい爆発により、敵は吹き飛ばされた。
「ぐはっ・・・!?」と敵が言う。
「さて、次はどんな呪縛を喰らってみたい?」と斎が聞く。
だがしかし、敵はニヤリと笑った後、立ち上がった──そして次の瞬間にはもう遅かったようだ。齋によるクロックアップの発動である。
「さあ、これでお前の時間は終わったな」と齋が呟く。
「フフッ…….まさかこんな結末になるとは思いませんでしたよ……ですが、どうやら俺の負けのようです」冥師がそう言った直後、斎はとどめを刺した。
そしてその直後だった──敵が爆発したのだ。だがしかし、それはただの爆発ではなかった。冥師が自爆したのだ・・・!爆風に吹き飛ばされそうになるがなんとか堪えたのだった。
「ふう・・・危なかったな」と齋は言った。「ほう……あの攻撃を耐えたか」と王が言った。崩れ落ちた神のかわりに。神は死んでいるのだ。そして、俺は魔力の使い過ぎで行動不能している。
「うるせえよ、クソ野郎」齋はそう言い返す。すると奴が齋の体に剣を突き立ててきた──だがしかし、その攻撃は防御壁の結界によって弾かれる。齋は奴を睨みつけた。そして再び攻撃にかかる──だがしかし、またも避けられてしまった。そこで今度は防御を捨てて攻撃に出ることにした。
「おらああ!!」と叫びながら拳を振るうがやはり当たらない。それどころか逆にカウンター攻撃を受けてしまった。
「うっ……」齋がその場に倒れ込む──だがしかし、すぐに立ち上がった。そしてまたも攻撃を試みる── 今度は防御を捨てて攻撃だ。さらにクロックアップを発動。目にも止まらぬ速さで敵の懐に飛び込み、腹に蹴りを入れると少し距離をとる──そして再び拳を振るうと見せかけて足払いを放ったのだ。するとどうだろう?奴は見事に引っかかってくれたようだ──斎の脚が王の足に絡まりそのまま転倒する。その隙を狙ってすかさず顔面を殴打する。
「ぐわっ!」と王が叫んだ──どうやら効いているようだ。さらに追撃をかけるべく蹴りを放つが、突然後ろから何者かに攻撃されたようだ──だがしかし、振り返ってみるとそこに立っていたのは王だった。
「フハハ!残念だったな!」王は得意げに笑うと再び齋に攻撃を仕掛けてくる──だがしかし、斎はそれを軽々と躱す。そして奴の腕を掴むと思い切り投げ飛ばしたのだ──するとどうすることもできないようでそのまま壁に激突したようだ。そして、王はそのまま動かなくなった。
「ふう・・・これで終わりだな」と齋が言った瞬間だった。背後から何者かに攻撃される──だがしかし、その攻撃も防御壁によって阻まれたようだ。振り返るとそこにいたのは王だった──どうやらまだ生きていたらしい。
「くッ……やってくれるな小僧!さすがは俺の分身を倒しただけのことはある!」そう言うと同時に再び攻撃を仕掛けてきたのだ──だがしかし、斎はその攻撃を簡単に躱すと逆にカウンターを仕掛ける──だがしかし、その瞬間だった。
「かかったな!!」王が叫んだ──すると突然齋の体が動かなくなったのだ。
「これは・・・!?」齋が驚いていると、王はニヤリと笑いながら言った。
「フハハ!どうやら俺の力を見くびっていたようだな!この俺に弱点などない!!」そしてそのまま攻撃してくる──だがしかし、その前に斎は何とか防御壁を展開させた。だがしかし、それでも王の攻撃を受けてしまうことになる。
その衝撃で吹き飛ばされると地面を転げ回った。だがしかし、それでもなんとか立ち上がる。
だがしかし──齋は致命的なことに気づいたのだ。それは自分が攻撃できないということだ。つまり防御しかできないのである。このままでは負けるのは時間の問題だ。
そこで斎は覚悟を決めたようだ──まずは一旦距離をとるため後ろに下がると防御壁を展開しながら駆け抜けた。そして一気に距離を詰めると王に飛び蹴りを放つ──がしかし、その攻撃も虚しく躱されてしまったらしい──攻撃を当てたというのに全くダメージを与えられないとはなんとも屈辱的だ。
「フハハ!無駄だと何度言ったらわかるのだ?」と王が嘲笑うように言った。
だがしかし、斎も黙ってはいない──今度は拳に魔力を集中させて攻撃を仕掛けることにする。そして再び王に向かって駆け出す──そしてついに攻撃を当てることができたようだ。王はその場に倒れ込んだのだ。やはり攻撃力がないとはいえ防御力もないらしい。流石は神といったところだろうか・・・まあ、今はもうただの老人なのだが・・・。そんなことを考えつつも齋はさらに追撃を仕掛けた──だがしかし、またしても避けられてしまう。そして今度はこちらの番だと言わんばかりに攻撃してくる──だがしかし、それは防御壁によって阻まれたようだ。
「チッ・・・またか!!」と王が苦々しい表情をしながら言う。
斎はそれを無視してさらに攻撃を仕掛ける──だがしかし、またしても避けられてしまったらしい・・・。
その後も何度か攻防を繰り返したが結局奴を倒すことはできなかったようだ。それどころかこちらが一方的にダメージを受けるだけという有様だった──そこで斎は一度距離をとることにする。それを見て安心したのか王はニヤリと笑う。
突如、王の表情が変化した。俺の最後の力を持ってして出した奥義。『神速之鋏』により、王の腹部を俺の拳が貫いた。そして、俺は倒れる。「グッ・・・まさかこの私が負けるとは・・・」と王が言った。
そして彼はニヤリと微笑むとその場に倒れ込んだ──その瞬間だった。
「勝ったぞおお!!」齋は大きな声をあげて王の亡骸に向かって叫んだ。
するとその時、齋の中で何かが弾ける感覚があった。それと同時に力が湧いてくるような感覚を覚えたのだ。だがしかしそれは一瞬のことだったため斎は気づかなかったようだ──だがしかし、間違いなく何かが起こったのは間違いないようなのだが・・・。
そんなことを考えているうちに周囲を覆っていた結界が消えていったらしいことに気づいた。俺が倒れたことにより、結界を維持できなくなったのだった。
こんな感じで、大殺戮はなんとか未然に済んだ。良かった良かった。全員無事である。そして、俺は齋たちに駆け寄った。「大丈夫か?」と聞くと彼らは笑いながら答えた。
「ああ、大丈夫だ」
「なんとか倒せたよ」
二人とも無事だったようだ。良かった・・・。それにしてもあの神は本当に強かったな──まあ、それもそうだろうが・・・。
だがしかし、それでも倒せたということはやはり俺のおかげなのかもしれないな!そう考えるとなんだか誇らしい気分になるのだった。我ながら単純な男だとは思うが──まあいいだろう