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矛盾

作者: ジャンルとキーワードが思いつかない人

 矛盾している、と自分でも思う。

 一人でいたいことと誰かといたいこと。

 死にたいと思うことと生きたいと思うこと。


 私にとって生きることは苦痛なのだろうか?

 否、私には普通の生活がある。

 両親がいて、兄妹がいて、恋人も出来て、別れて、新しい人が出来て、結婚して、子供が出来て。

 そういう、普通の生活をしてきた。


 だけれど昔から、何処か自分が普通ではないことを理解していた。

 普通の人はどちらかの感情しか持たないものを、私は両方持ってしまうらしい。

 私は周りを――私を騙すようにこの感情へと蓋をし続けた。

 それは普通ではない、それはすべて違うと。


 私は誰かの傍にいるのが好き(嫌い)だ。

 私は生きていたい(死んでしまいたい)と思う。

 そうやって自分と周りを騙し続けて。


 ……そして私は気づいた。

 この体はもう長くはないと言われて。

 あぁ、もう死ぬんだって時に。


 私はいつだって死にたい(生きたい)と思っていたことを思い出した。

 私はいつだって一人でいたい(誰かといたい)と思っていたことを思い出した。


 どうしてだろう。

 何故だろう。

 願いは叶ったはずなのに。

 私はどうして――涙が出るのだろうか。






 私しかいないその部屋で、私は一人死ぬのだと理解する。

 たったそれだけで私の涙は流れ続ける。


 誰かがいるのは鬱陶しい(楽しい)と思っていた。

 一人でいるのが楽だ(寂しい)と思っていた。

 生きているのが辛い(嬉しい)と思っていた。

 死んでしまうのが待ち遠しい(怖い)と思っていた。


 矛盾はいつだって私を付きまとっていた。

 どちらが正しいのかもわからない私の感情。


 死んでしまえば、この気持ちを理解することは、出来るのでしょうか?

感情はいつだって矛盾を抱えるものだと誰かが言った気がします。

だからいつだって自分自身のことが分かるわけではないと思います。

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