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【書籍発売中】ハズレスキル『おもいだす』で記憶を取り戻した大賢者〜現代知識と最強魔法の融合で、異世界を無双する〜  作者: 延野正行
第2部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

70/71

第61.5話 聖剣復活!

「ハズレスキル『おもいだす』で記憶を取り戻した大賢者~現代知識と最強魔法の融合で、異世界を無双する~」のコミカライズが、ピッコマ&コミックノヴァにて最新話更新されました。こちらもよろしくお願いします。


挿絵(By みてみん)

 力強い言葉とともに、白い光が収束していく。その元の部分には一本の聖剣があった。

 それまで風の精霊パダジアの首元に深く突き刺さっていた剣は、徐々に、かつゆっくりと引き抜かれていく。そこに匂い立つ殺気も、怨嗟の気配もない。神々しい眩い聖気に満ちあふれていた。


「馬鹿な……」


 ルギアは奇跡の光景を仰ぎ見ながら、おののく。

 そう。それは奇跡だった。

 そして星が誕生するような美しい光景だった。



 ─────────────────────────────────────


【名前】 グラディス

【ギフト】 けんそうび

【クラス】 聖騎士 LV 8

【レア度】 ★★★★★★

【スキルツリー】 LV 230

[能力アップ LV80]

全能力 800%上昇


[白魔法 LV70]

ヒーリング 聖光闘気

邪気払い 断聖界

ヒーリングⅡ レジストシャワー

天使の翼


[剣技 LV80]

十字斬り 聖撃

閃光剣 聖痕の光

セイントバッシュ 千光閃刃

ホーリーショット ホーリーフレア


 ─────────────────────────────────────



 ついに聖剣グラディスがパダジアから抜かれる。

 俺はそっと聖剣の柄に手を伸ばしたが、途中で止めた。


「グラディス、いいんだな?」


『お前以外に、誰が我が輩を使いこなせるんだ、馬鹿賢者』


「……相変わらずの減らず口だな。持ち主そっくりだよ」


『我が輩の持ち主は数多存在する。だが、先代を指すなら間違いだ。あいつは我が輩より口が悪い』


「ふふ……。じゃあ、行くか」


『ああ。その前にちょいとこの状況を元通りにしてやるか』



 スキル〈時元斬り〉



 グラディスは空間を切り裂く。

 その瞬間、崩れかけていた神殿が一瞬にして元通りになる。


『今の起こっている事象の時間部分だけ斬ってやった。とりあえず生き埋めはなくなったな。……おかげで嬢ちゃんの『へんしん』まで解除しちまったが』


「あ、あれ? 『へんしん』が解けちゃった」


 ミィミは『へんしん』が解かれ、元の愛くるしい緋狼族の娘に戻る。


『さて、憂いはなくなった。あいつが死んでからざっと800年分、暴れてやるか。…………っておい。馬鹿賢者、どうした?』


「馬鹿野郎! いきなり人の魔力を使って、大技使うなよ」


『なんだ、お前。そのレベルは? 全盛期の5分の1にも満たねぇじゃないか』


「色々あったんだよ」


 俺は〈収納箱(イ・ベネス)〉から魔力回復薬を取り出し、2本を一気のみする。先ほどの魔法は『時師』と呼ばれるレアクラスだけが使える魔法だ。クラスツリーレベル200という、今の俺から見れば途方もないレベルで覚える上級魔法で、故に大量の魔力を消費させる。『大賢者』というクラスで魔力量が高かったため事なきを得たが、他のクラスなら死んでいたかもしれない。


『ったく、仕方ねぇ……。合わせてやるか』


「グラディス、あいつだ。倒せるか?」


『誰に言ってんだよ』


 俺は聖剣グラディスを構える。

 その切っ先はルギアに向けられていた。


『覚悟しろよ、人間。我が輩の硝子のハートに土足で踏み入りやがって。誰に喧嘩を売ったか教えてやる!!』


 聖剣グラディスが黄金色に燃え上がる。


「怒りは結構だが、ほどほどに頼むぞ」


『我が輩より若い奴が何を弱気なことを言ってる』


 グラディスはジェットエンジンのように飛び出した。俺もその流れについていく。

 その姿を見て、ルギアの表情が変わった。慌てて、手をかざす。


「パダジア!!」


 俺たちとルギアの間には入ったのは、パダジアだった。聖剣を抜いた後でも、未だに暴走は止まらない。禍々しい歯牙を見せて、俺たちに襲いかかってきた。


『人間に操られていた我が輩も情けないが、精霊――お前も情けねぇ! いつまでもクズの言いなりになってんじゃねぇよ!!』


 〈レジストシャワー〉!!


 グラディスから黄金色のシャワーが溢れ出す。あらゆる状態異常、呪いをすべて解いてしまうチート級回復魔法だ。グラディスは剣技だけじゃない。聖剣の中にはクラス【聖騎士】が実装されており、一部の白魔法を使うことができる。


 光のシャワーを浴びた風の精霊パダジアの表情が穏やかになっていく。文字通り憑きものが落ちた精霊は、菩薩のような笑みを浮かべて、俺たちの方を見つめる。


『聖剣グラディス、そして大賢者様……。ありがとうございます』


「礼はあとにしてくれ、パダジア。今はこいつを断罪する」


『そうだ。手伝え、風の精霊』


 聖剣グラディスの切っ先がルギアを捉える。

 いよいよ進退窮まったか。

 ルギアの表情に当初の余裕は微塵もない。


「インノシマ! 私を連れて逃げろ! インノシマ!!」


 倒れたインノシマに怒声を浴びせるが、ぴくりともしない。パダジアは元に戻り、メイシーもアリエラによって正気に戻った。もはやルギアに味方するものは、この神殿内にはいない。


「形勢逆転だな、ルギア」


『てめぇ、聖剣である我が輩を虚仮にするとはいい度胸だ。お尻ペンペンじゃすまねぇぞ。覚悟しろ』


「ふん! ならばもう1度、精神を掌握するだけだ」



 ギフト〈せいしんは〉



 ルギアの手から薄い波のようなものが広がる。一帯を覆い尽くし、その場にいる生命の精神に食い込んでいく。たちまち周囲は悲鳴が響き、ミィミ以下、俺の仲間は苦しみ始めた。しかし――――。


 〈セイントバッシュ〉!


 グラディスが一振りした瞬間、人の精神を絞め付けていた黒い波はあっさりと切り裂かれる。心臓を直接絞め付けるような焦燥感は失せ、仲間たちは元に戻った。表情に安堵感を見せる一方、ルギアは息を呑んだ。


「ば、馬鹿な! これはギフトによる攻撃だぞ!! それを一瞬で」


『ギフトだの、スキルだのと、この聖剣グラディス様には関係ない。我が輩はお前の祖先が生まれる前から聖剣をやってきてるんだ。年季が違うんだよ』


 そしてグラディスと俺は飛び出した。

 真っ直ぐルギアに向かって行く。

 ルギアは最後まで足掻く。


「我が声を聞き、叫べ!!」



 〈死霊の声〉!



 たちまちルギアの周囲に大量のゴーストが浮かび上がる。俺が帝国で見たゴーストとは質も量も違った。おそらくこれがルギアの奥の手なのだろう。

 ルギアはゴーストに命令し、俺たちにけしかける。向かってくるゴーストを見ても、俺とグラディスは怯まない。何故ならゴーストにとって、聖剣は最大の敵だからな。


「殺せ! 奴らを殺せ!!」


『聖剣にゴーストって馬鹿かよ、お前!!』



 〈ホーリーショット〉!!



 聖属性を帯びた無数の弾が撃ち出される。俺の〈弟子の知識〉によって全体化された弾は、確実にゴーストを浄化していく。ルギアとの間に壁のように立ちはだかったゴーストは、膨らませた風船のように撃ち落とされてしまった。


「くそ……!! まだだ!!」



 〈呪いの奔流ヴォイドエクストリーム〉!!



 黒く、巨大なレーザー光線のような一撃がルギアから放たれる。


「あいつ、まだ隠し技を……!!」


『かまわねぇ! 突っ込むぞ!!』


 俺とグラディスは黒い奔流の中に突っ込む。それを見て、ルギアは半狂乱になりながら笑い、ミィミとミクロは息を呑んだ。

 一瞬、周囲が静まり返る中、黒い奔流の中で光が満ちる。次の瞬間膨れ上がると、奔流は真っ二つに切り裂かれる。その衝撃は凄まじく、ルギアの身体が袈裟に切られるほどだった。


 黒い奔流の中から出てきたのは、俺とグラディスだ。タンッと地を蹴ると、一気にルギアとの間合いを詰める。グラディスから光の奔流が燃え上がるのを見た瞬間、俺は迷わずルギアに振り下ろした。


「うおおおおおおおお!!」

『おおおおおおおおお!!』


 ルギアに纏わり付いた呪い。

 それを一枚一枚無力化し、最後にその身を切り裂く。

 ルギアは瞼を大きく見開き、ついに天を仰いだ。


「神よ!! お助けを!!!!」



 〈閃光剣〉!!!!



 光の剣の切っ先がついに地面を叩く。

 もはや呪いそのものといっていいルギアの肉体は、光の奔流に呑まれていった。塵芥と成り果て、そして光の中で呪いとともに消滅していく。


 それがグリズ・ダ・ルギアの最期だった。

☆★☆★ 好評発売中 ☆★☆★


週末書店お立ち寄りの際には、

書籍第2巻よろしくお願いします。


挿絵(By みてみん)

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