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魔王対今代勇者

 血戦場


 飛行魔法で魔王が降り立ち、勇者もそれを検知して飛行して対応。


 最初は相撲対戦を申し込んでいるので双方着地し、見届け人が翻訳魔法などで式次第?を奏上する。


「まずは相撲対戦の三番勝負となります。武器の使用は御控え下さい、素手による掴み、投げの応酬のみ、張り手は使えますが、ベアナックル、手刀、蹴り技もご容赦を」


 張り手と言うか掌底での攻撃はあるが、手刀で切り裂こうとすると全く話が変わって来るので禁止。


 モンク、僧侶系の「フタエノキワミー、ア~~」などの秘拳や奥義の類もあるので、ベアナックル無し、相撲の次の格闘戦ではヴァーリトゥードになるので許可。


 見届け人は魔王親衛隊隊長の飛行兵が勤めているので、魔王に対しては敬語、勇者にも敬意を払ってはいる。


 トリーや力士と教官などは、近寄り過ぎると爆裂だけでなく、軽い衝撃波だけで死ぬので退避壕の中。

 

 白竜は近くで見ているが、親父や暗黒竜、魔女や王家に招待客は魔道具の中継を見ている。


 今回は暗黒竜的にも妹が困っても「待たせたな」と言って割り込んで、魔王と対戦するのはできない。


「今回助けに行けねえわ、勘弁しろよ」


 どちらも敵対した相手が死ぬことはあるが、そこで中断されて自力で蘇生するか、補助員を出して復活、最終戦まで継続する。



「勇者よ、この一戦、何度夢見た事か? 長く現れなんだのには恨み言を言わせて貰おうか」


「はあ? スンマセン」


 この魔王は「大戦略でタクティクスでファイヤーエンブレム状態で開始、生産と兵器開発も魔法創造も錬金術もやりたいんだモン」と言う濃ゆい系統のユーザーなので、素手で殴り合ったり剣技で勝負したり、カッチカッチの鎧と盾で固めたまま鈍器使って殴り合うのはお好みでは無かった。


 初期配置とかキャラメイク時の趣味嗜好で「ノルマン人だっ」「アーリア人が移動して来たっ」「ウェルキンゲトリクスでガリアを護るぞ」「いやここはカエサルでもガリア攻めして裏表両方楽しむ」「奴隷からカリフの養子になって傭兵から王になるぞ」「三国志で超無能で魅力の欠片もカリスマ性も無い領主で中国統一を果たす」と言う縛りプレイまで楽しみ尽くしたヘンタイなので、カーチャに絡んだり苦情を言う謂われはない。


 タクティクスを極めたので、ディスクをわざわざコピーして「ガウォークのようなもの」「トマホークミサイルのような物」まで出現させたりもして、それでも勝とうと苦労するヘンタイ。


「ちっこい頃は魔の森で狩りするか、魔窟ダンジョンでレベル上げしてたんで」


 勇者の方は「広大なマップの平原戦でも、ショットガン一丁で突き進むか一発も撃たないで、魔物、魔獣、超獣引き連れて回避するのに走りまくり、安全圏に隠れて誤射で魔獣同士殺し合う声と、断末魔の悲鳴だけ楽しむヘンタイプレイ」「VAILが二体死んだ断末魔の声を確認したら残りの魔物を倒す」「数百匹の魔獣超獣が暴れまくるマップで、ただの一度も発砲しないで、魔獣同士の相打ちだけを目指して争わせ、機銃掃射とかプラズマガンの発射音、魔獣が攻撃する時の声と動作、砲弾が耳の横をガンガン通って行く音声、安全圏に隠れて魔獣同士殺し合っているのを見て楽しむ。サイバーデーモン数体だけ生き残ったら殺しに行くヘンタイプレイ」の常習者なので、大戦略とかファイヤーエンブレムとかスパロボのタクティクス行為はしない。


「それでそのレベルか、凄まじい物だな」


 地球を防衛する軍隊プレイの二作目でも、廃ゲーマーほど上手くないので、陸戦兵の装甲一万程度でエアバイク騎乗で逃げ、インフェルノモードでもスナイパーライフル一丁で片付けたりできないから、装甲三万以上まで上げてサッカーボールグレネード撒いて、緊急回避できなければその場で自爆、包囲されまくって飽和攻撃されても、敵が死滅するまで同じ作業を続けて勝利と言う、泥臭すぎる下手くそプレイでジェノサイドガン貰ったりもした。


 最終戦でペイルウィング使って円盤都市の真上まで少しづつ飛んで登り、上にある黄色い尖塔から始末することもできたが、プレイ動画のように都市が出現する場面でグレネード一発撃ち込んで、下向きに生えてるパーツゴッソリ落とすのに成功した回数は少ない。


「へえ、成人するまでギルド登録とか冒険者にも成れねえんで、ひたすらレベル上げてやした」


 バイトで資金を稼いだり、塾や講習で授業を受けても大してステータスが上がらないので、王都の周囲にある魔の森を一周してきて魔獣殺しまくり、ドロップアイテム拾ってきて気品とか美しさ?のステータスもアップ、レベル上げしすぎて全ステータスカンストしたら、最後に王子様主催のダンスパーティーが始まらず、魔王軍が攻めて来て今までの武闘会のライバルと一緒に魔王軍を蹴散らし、本陣にまで斬り込んでこの後魔王の首級を上げて凱旋すればトゥルーエンディング。


 帰ると「わたくしのような者では国を守れません、どうか貴方様のような大きな力で国をお治めください」と王様に言われ、国を譲られる寸前まで来ている。


 もし魔王と魔王の側近を倒し切れずに異世界転移されると、聖なる力とか聖法気とか無くして、日本語名を名乗って電話対応のサポートセンターでバイトするか、魔王はマグロナルドで働いて四畳半貧乏生活するかもしれない。


 疲れ果てて帰ったら、レンチンごはんに温めてないレトルトカレーかけて、ご飯の熱でカレー温めて食ったり、武器が無いので100均のナイフで魔王襲撃しなければならない。



「えー、テステス、音声宜しいですか? ホワイトバランスは? はい、3,2,1キュー」


 下級天使も撮影に来て、平面世界の裏側にぶら下がってるガミラス星みたいな住人、ダイソンスフィアの建設管理維持要員も注視して、数万枚ある平面世界の一つで起こる、魔王勇者対決の一大イベントを、賭けなどしながらカラアゲチキンと餃子食って、ビール飲みながら楽しんでいる。


 オッズでは1.3倍程度の、勇者勝利のガチガチの銀行レースなので不人気だが、魔王勝利は数十倍のオッズで「夢買ってみなよ」の高配当。


 魔王が何ラウンドまで持つか、魔法戦だけでも勝つのではないかと予想され、副勝とか細かく賭けられている。


「宜しいですかな? それでは第一戦目、ハッケヨイ、ノコッタッ(ヘブライ語)」


『加速、韋駄天、超加速、踏み込み超強化、縮地、超速飛行、爆轟加速、超力噴射……』


 まず勇者側の身体強化や踏み込み強化、荒木調でデコ出しして走り、髪の毛セルが左右に移動、加速技飛行技の全てと背中側で爆裂して加速する手段も使って、竜魔術の有り得る全ての速度アップの手段で激突する。


 ここまでやると魔王が爆散するか、衝突して弾き飛ばされただけで音速マッハや第一宇宙速度を超えて、宇宙の彼方に放逐されてしまうが、相手も絶対防御呪文を持つ化け物なので爆散はしない。


 いつもの竜騎士の制服を着ていると一瞬で燃えてしまうので、今日は強化服の上に勇者の聖鎧を着込んで燃焼系に耐えている。


「うおおおおおおっ!」


 魔王側も加速や身体強化はしたが、ここまで凄まじい加速をしてくる生物は見た事が無く、下級天使であろうともこんな加速はしないので、どうにか回避して方向を曲げていなそうとしたが、それでも懐に突っ込まれ、がっぷり四つに組まれて弾き飛ばされた。


「ぐああああああっ!」


 防御呪文同士が当たって一部砕け、重加速と衝突で肋骨まで砕かれ、吹き飛ばされてからも捕まって勇者の加速が続いて、普通の布製である青装束などすぐに燃えて無くなってしまい、どこかから飛んで来た光の線とかモザイクが、魔王の最後の尊厳を守った。


「わ、我が孫よ……」


 すぐにあの世が見えてしまい白目剥いて、魔王のママが三途の川の向こうで手招きしているのも見え、どこかの柳生烈同みたいなセリフを言いながら、懐に入られた勇者に吹っ飛ばされていった。


「んがああああっ、飛べええええっ!」


 超音速で岩とか丘とか突っ切って、最後に勇者が止まるために魔王の腕を両手で掴んで回転しながら投げ、自分だけ反作用で減速して、哀れな魔王は山に激突、運動エネルギーの全てを放出して地面ごと大爆発した。


「なんじゃあ、そりゃああっ?」


「モーーーーーー?」


 教官とか力士とかトリーも、モーちゃんまで目が点。魔女とか白竜は見慣れた光景なので驚かなかったが、魔王親衛隊とか魔国竜騎士団は、相撲勝負の第一戦で魔王が死んだと思った。


「魔王様ああああっ!」


「ああああああっ!」


 飛行兵は操作が必要なので膝を着かなかったが、魔国竜騎士団も火竜まで膝を着いてしまい、モーちゃんも腰が抜けて座り込んでしまって、今代魔王の死を嘆いた。


「そんな、こんな簡単に魔王様が……」


 普通なら「これはメラゾーマではない、メラだ」と言うイキった魔王のセリフが聞けるはずなのだが、なんか言う前にふっ飛ばされた。



 魔王は自分に張ってある絶対防御呪文が「ギブアップ」「わぁたぁしぃ、もぅむぅりぃ」などとホザいてから、粉々に砕けて消える日が来るなどと思ってもみなかった。


「あ? まさか、そんな……」


 絶対壊れない、象が踏んでも壊れないのが絶対防御呪文なのだが、まさか破壊の限度がある仕様とは知らなかった。


 周囲も土煙とか悪天候とかブラックレインとかそんな状態ではなく、岩盤と地面が溶け、真っ赤に赤熱して山体崩壊。


 どうやら自分はその中に放り込まれていて「溶けた石の中にいる」状態なのは理解した。


 山が壊れて止めてくれなかったら、そのまま坂道を滑走して飛んで、山頂との差が高度150メートルを超えると、レーザーで焼き切られて死んでいた。


 骨もぐしゃぐしゃに潰れて折れ、即死しないようジュージュー言いながら蘇生して再生していたが、魔王も自分が一回殺されたのを自覚した。


「なんと、何と恐ろしい攻撃か? これが勇者?」


 相撲対戦なので追撃には来ず、蘇生や再生を許してくれている。


 そうでなければあらゆる攻撃が続いて粉砕され、跡形もなく消滅するまで攻撃が続き、先代魔王のように「殺すことも消滅させることもできないので聖人聖女が封印する」みたいな甘い最後を許してくれない。


 色々な魔獣も見て来て従魔として使わせ、人間国に対してあらゆる破壊行動も見て来たが、自分がここまでの剥き出しの暴力に晒されたことは無く、戦える魔王だったと思っていたのが恥ずかしくなり、オボッチャマで殺し合いの素人で書生、戦えないお公家集団の一人だと思い知らされた。


「相撲とは、ここまで命を掛ける物であったか?」


 土俵が無いので背中とか膝に土を付けるだけで良いのだが、反則負けを取られてもおかしくないぐらいのマジ殺人技。


 勇者からすると、ただ突き飛ばして投げ技を一回放っただけなのだろうが、本気の格闘戦や剣技になるとどうなるのか? ある意味楽しみではあるが恐ろしいと思う魔王だった。


 再度絶対防御呪文を自分に掛けて展開、どうにか回復して再起動。



 魔王親衛隊は飛行兵でミスリルゴーレムを起動して追跡、埋まっている魔王を探して溶けた石を撤去した。


「魔王様っ、ご無事ですかっ?」


 ビクンビクンしながらも、生きていた魔王を見て隊長も号泣。


「もう、ここまでに致しましょう、これ以上は流石に……」


 複座の飛行兵で、ここまで魔王を運んで来た親衛隊兵士も、あまりの惨状に泣いた。


 恐ろしすぎる勇者、それも殺人技や力技の暴力だけに特化した生き物を見て、頭脳派の魔王では決して対抗できないのを悟った。


「良いのだ。これより我は、今まで殺して来た人間達の呪いを受け、あらゆる種類の暴力で、何度も様々な死に方をして、惨めに無様に殺されなければならぬ、それこそが我が運命」


 まだ数千種類の殺人技の一つだけを食らった序の口で、手足が揃っていて骨折だけで済み、頭も顔もハラワタの中身も吹き飛んではいない。


「おやめ下さいっ、どうかご自愛をっ」


 それでも魔王は立ち上がって、アイテムボックスから衣服や伝説級のローブを出し、修復が終わるとポイントゼロにバミってある場所に戻った。


 上着のボタンとか溶けてなくなっていて、胸の薔薇?も散らされて無い。


 薔薇の花嫁と言うか運命の相手で勇者は、既にスタンバイ終了。白竜から飲み物でも受け取って飲んでいた。


「まだやりますかね? 周りの皆さん泣いてますが?」


 勇者の方も一応情けは掛けるが、ここに送り出される前にジジイとかババアとかオッサンオバハンとか少年少女に、泣いて頼まれて可能な限り魔王を苦しめて苦しめて、あらゆる残虐な行為を加えてから殺すように、跪いて頼み込まれているので、戦いが始まれば希望者の言う通りにする。


「構わぬ、もう一番、勝負じゃ」


 相撲三番勝負なので二敗すれば次に行ける。三回殺されないでも済む。



「み、見合って…… ハッケヨイッ、ノコッタッ」


 もう一度先程と似たような加速と分身まで行われ、ガップリ四つどころか周囲を包囲されて、電磁誘導によって回転と加速が開始された。


「超電磁スピンッ、宇宙まで飛べええええっ!」


 必殺技的に、本人とかロボが回転するのではなく、被験者である魔王が回転させられて、自分の現在地や状況も認識できなくされ、受け身を取ることもできない状態で何処かに叩きつけられる。


 それも勇者が言うとおり、空まで飛ばされてグランダッシャー形状?やゴッドバード状態で固定されたまま大飛行。当然その結果は?


「ぐはああああっ!」


 平面世界を囲う山脈や、軌道エレベータから発射される重レーザーで、まず貫通蒸散の警告を受けてから撃墜墜落させられる。


「うおああああああっ」


 生身の生物がレベル500を超える能力を発揮するのは無理なので、魔王も勇者も暗黒竜も、人間形態の時は下級天使や神聖騎士と同じく、皮膚の下は聖剣のような素材の外骨格で形成され、ソリッドステートの脳で思考して、対消滅エンジンと人工筋肉で作動している。


 つまり、どれだけ苦しんでも、生身のように簡単に蒸発して死ねない。


「ぎゃあああああっ!」


 ついにフェーザーまで放射されると、手足が吹き飛んで消し炭にされ、その推進力と反作用、バーナード星の重力で引かれて落下して行く。


 高度500メートル程度なので空気はあったが、あらゆる攻撃に晒され、光子魚雷までは受けなかったものの、生身の生物なら復活も蘇生も不可能なぐらい破壊されて、それでもこの世界の構造とかことわりによって魔王は再生され続ける。


「はあっ、はあっ、はあっ、はあっ、うぐあああああっ」


 勇者のように、人間世界で不要になって邪魔になったからと言って、人間程度の兵器や武装、身内からの毒や呪い程度で心をへし折って殺せる相手ではない。


 今までにも負傷や苦悩、家族や仲間を失う、仲間に裏切られる盗まれる騙される、系統の苦痛は経験していても、肉体を完全破壊されてから、あらゆる激痛を体験した後、無理矢理蘇生させられる地獄は経験していない。


 先代の牛魔王の苦痛の一端を思い知った魔王。バラされた跡に再生中楔でも打ち込まれ、結合もできないで苦痛に苛まれ続けるなら死んだ方がマシ。


「魔王様っ、魔王様ああっ」


 周囲の者も、王城や新宮殿から魔道具で見ている者も、ここまで一方的なパーフェクトゲームになるとは思っておらず、相撲など相手を転ばせる程度の遊びだと思っていた者も、平面世界の機能で魔王の手足が吹き飛ばされて、墜落して地面と衝突して潰れ、惨めな悲鳴を上げながら再生蘇生させられる場面が見れるとは信じられなかった。



「やってくれた、勇者様が孫の仇を討って下さった、おおおおっ」


「ざまあみろっ、今まで殺された城砦の奴らの恨みを思い知れっ」


「坊や、見てるかい? あの魔王があんなに苦しんでるよっ」


 良識があって気品があるはずの使節団、既に攻略され終わったり滅んだ国の生存者で陳情者は、魔王が激痛に顔をゆがめる所を見て泣いて喜んだ。


 これが市井の者だったり一般市民の平民なら、家族の仇を討ってくれている勇者を見て、地面を叩いて動物のような声を搾り出して泣き喚いている。


 本物の天使体?は、強度的にも簡単にプリントアウトして出すことが出来ないので、吹き飛んだ手足の神経を停止しながら部品交換される。


 既に生産されている部品が転送交換されて修理完了。



「さて? まだやりますかね、素手でやったら同じなんで、聖剣でも使いますか?」


 飛行兵に乗ったまま魔王を抱くようにして守り、魔道具を通じて泣き叫ぶ親衛隊隊長。


「もうやめてくれっ、魔王様をこれ以上傷付けないでくれっ」


「やめよハイファ、これこそが我の苦行、今生で最期の支払いなのだ」


 手刀で魔王の生首飛ばしたり、脳が入ってないので脳チップで計算装置握り潰して破壊したり、胸を貫通して動いてる対消滅エンジン引き摺り出して、ゲッター線?垂れ流しで恐竜帝国絶滅とか、縮退炉をバスターマシン三号かハッカドール三号?にグーで打ち込んで点火、周囲も放射線で汚染、もう一つのエンジンで一万年掛けて地球帰還を目指さないで済むよう、素手での対戦はキャンセルされたが、剣での戦いは実行される。



 勇者は聖剣、魔王も手持ちの宝剣をアイテムボックスから取り出して対戦する。


 ここで初めて剣技や剣豪や剣聖のスキルでは、カンストした魔王が上回っているが、スピードにストレングスなどの差で、文字通り太刀打ちできない。


「ふふ、剣の技も磨いて、其方と対戦する日を夢見て来たが、ここまでの力の差、剣技だけでは覆せぬか?」


「はあ、おら刀使った事無いんで、長物は苦手でやす」


 勇者側は、また刀の持ち手が上下逆で、両手で振るうと腕がクロスする素人握り。


「刀の持ち手が逆だ」


「はあ、そうでした」


 騎士団長に指摘されたのを覚えていて、力技で両手剣を片手持ちにする。盾は出さない。


「参る、魔国伝統の剣、秘太刀、柳一文字」


 歩法、走法、縮地など利用し、視認阻害されて姿を消した上で、死角から何度か切りかかられようと、何事も無く受け止めた勇者。


 後ろからも一太刀浴びせられたが、それすら問題なく回避して切っ先も逸らして受け切り、逆に魔王が持っている剣先を切り落としてやった。


「恐ろしい奴…… この秘太刀、同門でもなければ初見で受け切った物などおらぬ。その上でこの宝剣を切り落とすとは?」


「へえ、切ることに関しては、マンティス系の最上位とか、鎌イタチ系の最上位とか、そいつら殺すのに色々やってますんで」


 複数同時全周攻撃が普通で、その上で仲間の屍を乗り越えての二の太刀三の太刀が来るので、ソッチ系の攻撃はお手の物。


 魔国忍軍とか竜の巣忍軍とか、多数攻撃で毒あり暗器あり暗殺具多数の、投網でも取り縄でも毒鉄びしでも電流爆破鉄条網でも、何でもアリのヴァーリトゥードで戦って来たので、柳生烈同?一人を相手に切り合っても、刀一本を無刀取り合っても、乳母車横の槍を取って投げても、床下の連装銃を使っても平気で殺せる。


 まあこの世界は、ガリィがいるクズ鉄町と同じで、拳銃発射しただけでタイホされて、銃器単純所持でも即タイホ、機構とか構造や作り方を知っていて、火薬まで所持していたら確実に死刑で塩の柱になるので、アサルトライフルとかスナイパーライフルで「異世界をブチ抜く」系統の銃道(近接火気使用戦闘として本当にある)は使えない。



 二度目の切込みは無言で行われたが、魔王の左腕を勇者の見えない手が掴んだ。


 ここで片腕を諦めて、即座に脇から切り落として逃げてから再生すれば何事も無かったが、何度も腕を外そうとしたので手遅れ。


「ううむぅっ、くはあああっ!」


 即座に袈裟懸けに斬られ、片腕どころか内容物、対消滅エンジンごと斬られてしまった。


 地上でこんなものを爆破される訳には行かないので、防爆仕様で危機的状況になれば平面世界の裏側とか外部に放逐されるので、大気圏外に捨てられて爆縮した。


「む、無念……」


 残存バッテリーで駆動していた魔王だが、すぐに活動限界が来て、新しいエンジンが転送されて来て修復されるまで死んだ。

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