勇者と魔王、対戦決定
竜の巣、燃える大地
炎竜の死骸返還手続きが遅れ、二週間経過してからようやく検疫が終わり、ウィルスなどの繁殖や寄生虫の浸食が無いと判断されたので、やっと亡骸が平面世界裏側の真空から上側に転移して来た。
隣の平面世界の海水に漬かったので、感染警戒度が違い過ぎたので最低でも二週間に延長。
完全に生命活動を停止している炎竜であっても、その原則だけは変更できないので経過観察が追加された。
まず番の炎竜が呼ばれ、息子は母親に会いたくないのでバックレ。ベルも呼ばれ長男も来たので飛行して現着した。
『ああ、母さん、やっと帰って来る』
一人だけ再会を喜んでいるベルと、象以上の大きさがある若竜姿の番の肩?など抱いている長男。
身元引受人である炎竜の番も、竜の試練の時に後ろを向いている状態で妻?から撲殺され、番よりも間引いたはずの娘の命や行動を優先され試練も台無し、別居して愛の欠片も残っておらず、浮気女的な汚物とまでは行かないが「行旅行方不明者捜索願い」だけ提出して待ち、葬儀も何もしない塩対応。
今回、王都には魔王が二匹もいるので勇者は出られず、炎竜か暗黒竜が復活の呪文を唱える。
『どうしたの? 父…… 炎竜が来ない?』
母の亡骸が返還される時間だが、復活もできる炎竜が一行に来ない。
そこに上空から転移ゲートが開いて下級天使が数人現われ、輸送用ゲートを開いてメスの炎竜の亡骸を設置した。
『そこの竜、死体の竜と片側同じx染色体だな、受取竜か? そこの人間、受け取りにサインせよ』
まるで昔の佐川ぐらいで、電話で「おるか~?」で在宅確認、指定時間外に平然と配達に来て「よっしゃサインくれ」ぐらいの、オラオラの態度で引き渡しが行われた。
『兄さんも来ない』
ベルがエグエグ泣いていると、暗黒竜の紋章の転移門が開いて、いつものようにバーーンと両開き?の門を開いてダリーシュが到着した。
『待たせたなっ』
こちらは妹センサーが標準装備なので、妹が困っている時には只今到着、正義?執行。
『兄さん』
『兄貴(////)』
暗黒竜とクランの連中も、いつもの根拠地の街から移動し、魔の森の深い場所である竜の狩場だった場所に、舎弟の土竜を使って根城を作って、鹵獲したストーンゴーレムや巨大アイアンゴーレムを操れる奴は騎乗し、出城から出撃して高レベルの奴に寄生して、随伴歩兵としてパーティーを作成して新入りもレベル上げ。
魔獣を狩れるだけ狩ってギルドで売るか、低レベルの魔獣や魔物は食料として竜の巣側に引き渡して、森を切り開いて更地にする作業に入っていたが、その合間に正義執行。
『やっとオバチャン帰って来たか、す~ぐ生き返らせてやっからな』
万全を期して、竜の涙とかエリクサーをチュー入する暗黒竜方式の復活準備がされ、下のお口から白いのはタップリ注入しなかったが、復活しなければヤリ治し?
『命を失った炎竜に再び命を、死者蘇生』
竜天使?が舞い降りて来る蘇生呪文で、何かビカビカビカ~と光って蘇生。「炎竜のオバチャン、新しい体よ~」がプリントアウトされて魂とか移転して復活、古い体は消滅させられる前にアイテムボックスに収容された。
経理部からも言われたが「回収できれば小国の国家予算ぐらい」「王国内全部の孤児とスラムの子を何世代でも育てられる」と聞かされたので回収。
人間国から竜の巣に支払われる弔慰金とか、クランに入菌する予算はベルに一銭も入らない。
まあ兄から「お小遣い」は出る。
夜会で渡された「暗黒竜の鱗と皮の女性用鎧」なんかも、国宝物で国家予算ぐらいして、服飾品警察のババアからも中身と合わせて、拍手と「ブラボー」が出るぐらいの品なのでキニシナイ。
『母さんっ、目を覚ましてっ、私よっ、ベルよっ』
娘が駆け寄って揺さぶると、炎竜も目を覚まして娘を見た。
『おお、ベルか、ここは?』
燃える大地なのは周囲を見てすぐ分かったが、経過時間などが分からない。
『心配したんだからっ、二週間も帰って来ないなんてっ』
今日は竜姿の娘も見れて、お腹の中に芽生えた新しい命まで明確に感知出来て、母になった娘とも感動の再会、まだ卵の孫にもスリスリしてご挨拶。
『ああ、ついに産まれる、孫が、可愛い孫が……』
こちらも命の連鎖のような物を感じて感動、新しい命のためになら、自分の命を捨てても惜しくはない。
『母さんっ』
何やら女同士で盛り上がって、抱き合ってオイオイ泣いていたが、間引かれて人間に預けてしまった娘の方は、ショコタン的にずっと前から命の危険を感じていたのか、ヤンキー的に超早い結婚をして、ヤルことヤって出産前。
息子の方はエロ本を隠しているぐらいで、年齢イコール彼女無し期間。
殴り合いで上下の位置決めには参加しないので、勝ったオス特有のフェロモンで「清潔感」の正体、良い匂いとか出さないのでメスには全くモテず、チームとかレディースとの出会いも無く、夜にシコシコしているか、小便がたまって前立腺を刺激され、朝立ちしてビンビンなのを起こしに来た母親に観察されて笑われ「出てけっ」となって気まずくなったりもする程度。
まだまだ希望もあるので、40歳童貞ブサイクアトピー系コミュ障アスペみたいに、ママにお願いしてバックからヤって、母ちゃんオイオイ泣いたりしないで良い年齢。
まだまだ中坊の仲間とバカやってるだけで「モテね~」「彼女欲しい~」と言って夜の「チャリで来た」暴走をするか、遠出して狩りに出かけるぐらいのステータス。
竜の「ムキムキマッチョ、ミスターユニバース決定戦」的な本も持っていて、ダンベルとか腹筋ローラーなどの筋トレグッズも少々持っているので心配。
つい最近、一目見た時から怪しいと思っていた仲間の一人が「男の娘」に転向して、息子に色目を使っているのでジェンダーがとても心配な母。
他の仲間も「おい、どうしたんだよ?」「何で女装してんだよ?」「良い匂いとかさせやがって、誘ってんのか?」「まだ付いてんのか? もう取ったのか? 調べさせろ」「ヤらせろ」「誰にファーストキスと処女?あげようっかな~?」と家で盛り上がっていたので超心配。
母親の不在中に中坊でも家を出られるので、勝手に魔の森での狩りに入隊するのに応募してしまい、土竜が一晩で建設した竜の巣側の出城に行って、新体制で新ドクトリンの中で「人間国駐屯兵」として軍隊的生活などして、片腕の道徳教師に教育されてリコ(誰?)が宇宙の戦士になったり、宇宙兵ブルースの徴兵官みたいな奴に騙されて従軍している。
メスとは一緒に収容されていないので、劇場版の機動歩兵みたいに雌も雄も全員一緒にシャワー浴びたりできないので、メスの顔している男の娘が「ケツ貸せっ」で総受けになったり、初体験で処女?を貰った相手が男の娘だと性癖を破壊されてしまい、バイかゲイになる可能性もある。
母と娘で感動の再会を済ませ、義理の息子とか義理の甥?なんかも交えて話し合い。
『あれから色々あったんだ、人間とは戦争になりそうだったけど、クs…… 姉さんとか、妹のターニャとか、色々やってたから戦争にならないで平和条約がどうとか? 母さんの息子とか友達で攻め込むのも数減らされて捕まって、私らは動けなかったから、代わりにジナンの奴が敵討ちに行ってくれて、メテオストライク撃ち込んだ奴殺してくれたんだ』
『そうかい、あの小さい子が仇を……』
『一回死んだそうなんだけど、こっちの兄さんが復活させちゃったからまだ生きてるんだ、隊長とか副官も』
『もういいんだよ、お前達さえ生きていてくれたら、お腹の中の子が生きててくれてたら、もうそれだけで、ううっ』
とにかく息子に付き纏って「長男を舐めるようにして可愛がる」固執から解放され、今後はお婆ちゃんとしてドラゴニュートの孫を本当にナメナメして可愛がる。
竜騎士村のストナ家が広くなったので、人化すればそちらでも可能だが、長男とベルはまだ王都には帰れないので「ピーとポーのひみつきち」か、暗黒竜のクランで間借りして、魔獣でも狩って整地などしながら社会復帰を目指すことになる。
土竜の幼竜達の秘密基地なので「ママ(カーチャ)と母ちゃん(土竜)は住める」が、意地の悪い姉ちゃんとお調子者の人間の兄、炎竜のおばちゃんには幼竜の許可が必要。
更に新入居で入って来る住人が、炎竜をぶっ殺した竜騎士団と小隊長本人なので同居できない。
『まあ立ち話もなんだ、一回だけでも竜の巣と長老に挨拶して、俺のクランの出城にでも行くか? 人化したら街にも入れるけど、竜騎士村の家とカーチャのとこは竜騎士団だから無理だな』
竜の巣での軟禁にも飽きたので、復活の御挨拶をしてから、暗黒竜のクランで厄介になることにした一同。
『あ? オバチャン。復活したから前の体貰ってっていい? 悪いけど素材にしたら、人間の孤児とか貧しい子とか、一杯食わせてやれるんだと』
『いいよ、今度はこの子達も世話になったねえ、ダリーシュ』
人間の長男が一回死んでるのも、娘が抱いて逃げて暗黒竜に守って貰ったのも、勇者に卵割られそうになったのも、過去視で大体知っていて娘からも教えて貰ったので、暗黒竜には色々と感謝している。
『いいってことよ、妹と弟もいるしよう、血は繋がってないけど叔母さんだし。よ~し、今日は俺の奢りだっ』
『おおっ』
新宮殿、迎賓館
バタバタと引っ越しが進み、王国の政庁などはそのままだったが、神聖騎士一行は新都に遷都。
魔王到着から遅れること三週間、やっと魔国使節団も到着した。
魔王追跡隊も、キャンプの痕跡までは到達したが、魔法追跡で縮地が使われたのを測定。
竜魔術の恐ろしいほどの魔力も測定されたので、飛行兵も破棄破壊されず全力で飛行したと結論が出て、既に人間国に到達したと思われるので撤収。
魔国内でも何をどう話すかも決まらず、善神に鞍替えするのが嫌な連中の反乱とか武装蜂起もあって、どうにか鎮圧して話を纏めてやって来た。
神聖騎士と武官の天使50人で、魔王でも魔国使節団でも取り押さえるのが可能だったが、一応勇者も呼ばれた。
「ようこそいらっしゃいました魔国の皆様、ご意見は纏まりましたでしょうか?」
天使の文官や神聖騎士の視認力で、上空からの映像でも魔国内は内戦状態だと確認できた。
「は、まずはご挨拶をさせて下さい。神話の中の戦士である、貴方様に尊敬と祝福を」
文言の中に忠誠とか降伏の一文はどうしても入れられず、諸侯として膝を屈することもできないで、立ったままの挨拶が精一杯な状態なのが見て取れて、尊敬と祝福を入れるのが限度。
下手打つと帰ってすぐ殺されそうな気の毒な相手に、同情すると同時に外交的成果は期待できそうになかった。
「条件を簡潔に述べよ、入り組んだ文学的表現は不要、降伏か反抗か、和平か戦争か、それだけを答えよ」
天使の文官から最後通牒が出されてしまい、気の毒な魔族の使者は青い顔をもっと青くした。
「どうかご容赦ください、まだ国内の意見すら纏まっておりませぬ。和平への道を求める者は多いのですが、邪神からの祝福まで捨てられる者は、レベルもスキルも持たない無能だけなのです、市民の大半が生きるための糧を得る手段すら失い、明日からの生活すらままならなくなります」
気の毒すぎる全権?大使は泣き出してしまった。それでも膝を屈する事や座り込んで懇願するのは、天使達や神聖騎士に屈従するのを意味するので不可能だった。
魔国内では「勝ち組」と呼ばれる集団がいて、先遣隊五千が負けたと言うのは嘘で、魔国侵攻軍内で不当な革命を起こされた魔王が逃れ、最前線の先遣隊を率いて決戦を行おうとしている。と思い込んでいるだけの妄想。
まずは人間国を叩きのめし、魔国の同胞と戦うのは躊躇っているが、天使の軍団など何するものぞ、鎧袖一触全て破壊してやるのだと盛り上がり、有り得るはずが無い自慰行為的大勝利を毎夜語って喜んでいる。
「では、和平の道だけでも探りましょう。こちらも邪神への信仰まで捨てよとは言えません」
天使としては「屈服」「無条件降伏」などの明確な文言と態度を求めたが、神聖騎士本人が玉虫色の決着を認めてしまったので禍根が残る。
「わ、和平の道を…… 魔国国民全員に信仰を捨てさせないでください」
「ええ、そうしましょう」
使者もどうにか平和を求めたので、最終決戦は回避。天使の武官や神聖騎士本人の神征は中止となり、魔国全員塩の柱の刑で、善人だけが生き残る最低の決着は回避された。
もう片方の当事者として、亡命してきた魔王本人も呼ばれていたので、客の前で口論にならないよう別々に召し出された。
「第十八代魔王、出ませい」
「あ、あれが今代の魔王……」
「我が国を踏みにじった悪魔」
警備上、魔王を見たら自分の命を玉として砕ける人物が多過ぎたので、この場に入るには宣誓書以外にも魔道具で判断され、大した力も無くて魔王に傷一つ付けられないので諦めている者だけが入場できた。
「おのれ、死んでも許さぬっ」
「不倶戴天の敵」
魔王本人も、魔封じの道具や手枷や呪具を付けようとしたら、王都を滅ぼして暴れると公言していたので付けられず、何かあれば天使が取り押さえるとして神聖騎士と謁見。
「魔王よ、改めて聞こう、神聖騎士様の家臣として、諸侯の一人として仕える気はないか?」
答えは分かっているが、来客で使節団の前でも明確に答えさせておく。
「無い。下級天使達よ、お前達と戦えと言うならそうする。だが一度は世界に覇を唱えようとした者として処刑など受けぬぞ、取り押さえられるまでどれだけ道連れにしてやれるか試してやろうではないか」
魔王程度がどれだけ頑張っても、この世の支配者で運営組織、平面世界の使者である天使に反抗したり、道連れに破壊するのは不可能。
魔法攻撃は全て寝言で、物理攻撃も効きはしない。
「魔王さ…… いえ、魔王さん、争いごとはもうやめましょう。本日来られた魔国の使節も、和平への道だけは承諾しました。宜しければ貴方も話し合いのテーブルへ」
神聖騎士も「様」を付けてしまいそうになったが、自分の身分を思い出してさん付けに留め、魔国の使者は別室で和平交渉中だと伝えた。
「奴等は我を君主として求めておらぬ、そのような話し合いに参加しても意味は無い。最後に、勇者との一騎打ちを所望する」
「おお……」
国からも捨てられ、牢から救い出してくれた親衛隊と竜騎士団が帰国できる道があるとすれば、自分が勇者に殺されて華々しく散った後にしか道は無いと考えた。
亡命後数週間惑い続け、今後の国と民の妨げにならないよう、魔王を旗頭に抵抗しようと思う者達の望みを絶つためにも、ここで死ぬしかないと決めた一人の老人。
「もうそれしか道は無いのですね?」
「うむ」
最後まで神聖騎士に敬語すら使わず、自分こそが年長者で超越者であると、矜持を持って接し態度を崩さなかった。
「信仰を捨てて、ただの市民として天寿を……」
「下らぬ、そのような生き方などせぬ」
信仰とレベルやスキルを全て捨てて、一市民として生きる気はないか確かめられたが、自分の処刑方法は勇者との一騎打ちとして選んだ。
もし勝った場合でも、下級天使や神聖騎士に殺される道を選び、魔術や洗脳による支配も拒んだ。
魔の森荒野、決戦場
後日、魔国的な吉日が選ばれ、白装束ならぬ青装束で、決死の覚悟で勇者に挑む魔王の姿があった。
先日メテオストライクが落ちたさらに先の場所で、勇者の十二階梯竜魔術が炸裂してもどうにかなる場所で、王都には被害が及ばないと思われる。
それでも、竜魔術の星呼びを使われると、平面世界を貫通するぐらいの威力があるので地震などの被害は出る。
そこに魔国竜騎士団の案内で、魔女と護衛を乗せた飛竜が降り立ち、リードを放されたモーちゃんがトコトコと歩いて来た。
「モーーーーーーー↑」
許可を得たのか別れの挨拶の時には無効なのか、封印が解けて元の姿に戻った牛魔王。
「先代魔王として魔王と会見がしたい」
「はっ、どうぞこちらへ」
魔王親衛隊からも賓客として迎えられ、使い慣れた給茶機から茶など出されて、待合の席で会談。
「折角の旅立ちの前に済まぬな。こうして会うのは初めてか? せいぜい夢枕で話した程度か?」
モー、今代の魔王が死出の旅立ちをしようとしているのまで知って、それでも会いに来た先代の牛魔王。
「左様ですな、先代と今代の魔王が対面して遭うなど、歴史上でも初めてではないかと?」
どちらも晴れ晴れとした表情で、勇者の妹で聖女に使役される従魔となっている事情も、これから叶わぬまでも勇者と一戦し、魔王としての役目を終えてあの世に旅立つ前に、ほんの少し言葉を交わす男同士。
「此度の命は如何であったか? 血湧き肉躍るものであったか、はたまた野望や謀略の限りを尽くして領土を切り取って楽しめたかな?」
「はは、敵いませんな、戦の全ての面を楽しませて貰いましたとも。先王様は同等の力を持つ勇者との対決に恵まれ、数度の侵攻や決戦を行い、四度目についに決着を付けられたとか」
「うむ、幼い頃よりの盟友を何度も失い、奴の朋友も何度も討ち取ってやった。血みどろの戦いの果て、賢者や聖騎士、暗黒騎士と言った主要メンバーを順に斬り倒してやったが、後衛の聖人や聖女を生き残らせてしまい、後継者も現れついに討ち取られた」
「宜しゅうございましたな。わたくしは勇者に恵まれず、互角に戦う相手がおらず、策謀や戦略で領土を増やすのみの虚しき日々。ある意味手足を使っての戦は十分堪能致しましたが、終わりの日に我が運命の相手と相対する血戦の場が得られるとは、望外な贅沢でしょう」
「良き戦を。我は生きていた日より封印されていた期間が長かったが、先日より小さな娘に従って生きる事とした。娘に尻でも殴られて暮らすのも良い物だ、其方も小さな羊として、勇者に傅くのも楽しいかも知れんぞ?」
「ははははっ、それは大いに結構っ、首輪も付けられて紐で引き回される。それもまた望外な贅沢でしょうなっ」
特殊性癖に目覚め始めている牛魔王と、新たな生活を勧められて涙目で笑う魔王。
「今日の善き日に」
「善き日に」
盃ならぬ紙のカップを持ち上げ茶を飲み、別れの挨拶をした二人。
席を立った牛魔王は振り返りもせず、子牛に戻って飼い主の元に走って行った。
その飼い主の魔女は、もちろん魔王を応援している。クソ姉など一ミリも援助しない。
魔王親衛隊一同も魔国竜騎士団も整列し、出立する魔王を見送る。
「もうお止めしません、どうか満足の行く戦いをご堪能ください」
「うむ、世話になったな、これにて別れじゃ、息災に過ごせ」
「はっ」
勇者陣営
勇者は何かモリモリ食って、ハッピーでもゴックゴック飲んで、体力補充してお楽しみ。
「おい、相手はあの魔王なのだぞ? 勝てるのか」
じっくり戦えるよう、相撲対戦から素手での戦いに、剣や槍での一騎討ち、騎馬騎獣竜騎士戦、魔法戦、全部楽しめるように申し込んだのに余裕の態度。
「へえ、あの大将、とにかく頭良くする方にスキル振ってやすんで、戦争の仕方とか魔法は凄いんですが、腕っぷしは大したことないんで」
逆に勇者の方は、知能とか知力に一切ステータスとかスキルポイントとか割り振ってないので、何もかも全部力技。
魔道具や魔窟内の場所によって、魔法など一瞬で無効化される事も多いので、何一つとして信用しておらず、魔法は全種類一通り使えるようにしてあるが、威力は低いまま放置。
刀や槍などの切断や切削貫通攻撃も、魔法や鎧、魔道具や呪いでいつもいつも無効化されるのが普通なので、剣技と槍術も全く上げていない。
とにかく相手を急加速させたり急減速させる系統のダメージ、中身に衝撃波を通して脳と内臓を傷めつける、装甲と魔法障壁ごと殴る蹴る投げる衝突する叩き付ける、それだけに特化した殴り投げ勇者、それが現在のカーチャ。
そして、魔道具とか呪いでは絶対に回避できない攻撃、上空150メートル以上に放り投げてしまい、平面世界からの攻撃を利用する、ある意味卑怯過ぎる攻撃をするのも特徴。
どれだけ凄まじい槍での突撃であろうとも無効化する相手でも、上に投げて平面世界からのレーザー攻撃に晒すと一瞬で貫通して死ぬ。
聖剣でも絶対に切れないように、物理も魔法も重ねに重ねた硬い固い装甲でも、フェーザーを当てると溶けて消えて、物質が同じ場所に重なってしまい量子論的大爆発をする。
どんな爆裂魔法でも、メテオストライクですら耐える障壁を張れるように特化した相手でも、光子魚雷が当たって数億度の熱に晒されるか、マイクロブラックホールを撃ち込まれると、原子すら分解されて降着円盤状で蒸散させられるか、事象の水平線の向こうに放り込まれて消滅する。
そちらも全部場数を踏んで経験則で戦って、とにかく相手を潰して来たので、上空に放り投げられない魔窟の中であろうとも、何年も超レアポケモン?でモンハンの素材をゲットし続けて来た職人。
戦争の仕方や都市攻撃や大量殺戮の方法は一切知らないが、どんな魔物であろうとも生命活動を停止させて、抵抗する力を失わせて、殺す暗殺する方法だけは知っている。
やっと今代の勇者と魔王が対決をする。
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