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宮殿贈呈

 迎賓館


 遅ればせながら勇者も呼ばれて表彰叙爵されるが、偉い人とは受け答えができないのでトリーも通訳?として参加。


 魔王警護と言うか見張りも続いていたので、もし何かあれば悪即斬。


 他にも夜会で復活の呪文を依頼されていたので、その消化にも忙しく、墓場や屋敷の墓所ならまだしも、辺境伯の息子などは同盟国の防衛に出動して死んだので、戦場まで行って生き返らせていた。


「お主が何か受け取る時は、膝を着いて黙っておればよい、受け答えは殆ど儂がやるから心配するな」


「へ、へい……」


 緊張してガクガクブルブル震えているカーチャ。


 新王は忙しいのか、魔女の尻でも追い掛けているのか不在なので、先王が来て表彰する。


 先王とは何度か会ったが、他国の来賓の前で壇上で表彰されたり、お言葉を賜ったりすると耐えきれない。


 辞退しても勇者からの献上物で国宝の数が異常すぎるので、王族が相手してやらなければ非礼に当たる。


「御来賓の皆様、今代の勇者とつがいである、人化しておられる竜をご紹介します、我が国に誕生した新勇者に御座います、どうか拍手を」


 壇上に呼ばれて、いつもの竜騎士団の制服を着て、ロボットのようにギクシャクしながら登場した田舎者。


 番の白竜も入場してきて、観客も有り得ないほどの美形の少年を見て、貴族的な立ち居振る舞いも完璧、今回も全員が竜の方が勇者で、顔の出来が悪いブサイクなのが人化した竜だと思った。


(ああ、また白竜を勇者だと思っておるな)


 お約束でいつもの事なのでトリーも納得。


 肩に房が付いた竜騎士団貴族隊員で、役職持ちの制服を着たトリーが、まるで従者のように後から入場。


「勇者としての力だけではなく、聖女としてのお力も持ち合わせ、死者復活の呪文までもご存じであります。竜の魔法を十二階梯まで唱えられ、魔王が持つ絶対防御呪文をも突き通す魔法と聖剣をお持ちです」


「聖剣でも見せてやれ」


「へえ」


 今日は帯剣して来たので、抜刀して来賓の使節団にも見せてやる。


「聖なる、刀、光、違う」


 帰っていなかった数人のエルフさんや、他の使節団も鑑定眼で聖剣だと確認した。


 そこで、腐った平民のチビッコ竜騎士の方が勇者で、美形の少年は竜だと鑑定結果が出た。


「あの、小さい少女の方が勇者です」


「なん、だと?」


 会場が少々ざわついたが、勇者以外は聖剣を他人が持てないのを証明するように、広報官が持てないで空に浮いていたり、客へのサービスで空中で飛ぶ聖剣でジャグリングか手品のように遊んでいた。


「もう良い、しまって良いぞ」


「へえ」


「ここで勇者様よりたくさんの献上品を頂いております、まず脅威度Zの魔物から……」


 ベヒーモスにリヴァイアサン、ジズにフェンリルにケルベルス。ちょっと有り得ない名前を聞いて来賓もざわめき、おつまみ的にリヴァイアサンの切り身が出された。


「これは本当にリヴァイアサンの刺身です、あらゆる状態異常を解除し、不老不死にもなれると言われる霊薬。陛下に献上せずこの場で食べるのは犯罪となります」


 鑑定眼持ちが泣きだし、見たら即死ぬ系統の魔獣の肉を両手で拝領し、献上品として持ち帰ろうとした。


「アイテムボックスをお持ちの方は、お土産の方をお持ち帰りください。そちらはそのままお召し上がりを」


 給仕からも有り得ない話をされ、冷凍パックで氷魔法的な物で封されている土産を渡された。


「他にも脅威度YからNまでの、全種類の魔獣の遺骸を献上して頂いております」


 ベヒーモスの干からびて腐り果てた死骸でも、遺族が男爵に叙爵されるので子爵は確実。


「次に国宝となる武具の献上品の数々をご紹介します。雷竜の鱗の槍、炎竜の鱗の方天戟、神竜の鱗の斧、暗黒竜の鱗の斧、金竜の鱗の剣、雷竜の鱗の剣、神聖騎士の聖鎧、リヴァイアサンの鱗の聖鎧、神竜の鱗の聖鎧、暗黒竜の鱗の邪鎧、征夷大将軍の鎧……」


 最低でも回復機能付きでエンチャントあり、防御呪文も掛かっていて非破壊属性、属性はあるが魔法防御もアリアリ。


 今までの王家のミスリル製の国宝や魔道具、宝物庫の中を全部売り払い、中身総入れ替えしなければならない程の献上品。


 一旦壇上でお披露目して、陳列して手にとって見れるようにもする。


「今代の勇者、このような小国には勿体ない、御使い様は連れ帰れずとも、勇者だけでも連れ帰るべきだ」


「魔国軍に侵略されている我が国をお救い下され」


 各国使節も国に帰ってもまずお目に掛かれない品々で、国家レベルで「ころしてでもうばいとる」宝物の数々。


「我が国なら公爵、いや王族として迎えても構わぬ」


「これだけの勇者、封地もかなりの土地を与えなければ礼に反するであろう。我が国に迎えよう」


 勇者誘拐は無理でも別の国に誘致とか、貴族階級や領地で釣ろうと企む者も多く出た。


 もし子爵程度で済まそうとしたなら、他国なら侯爵でも公爵でも王族の嫁としてでも迎え入れる。


 レベルや強さの鑑定でも、現在レベル1240とか完全に人外で、それが竜レベルだと知られると更に10倍ドン。


 亡命してきた魔王でもモーちゃんでも、片手でぶっ殺せる化け物なので、小国ならプリンセスメーカー的に「そのお力で我が国と民を治めてください」と王に地位を譲られるレベル。


 勇者なので他国に領地を持っていても、公的な地位を持っていても、例え相手からの押し付けでもおかしくはない。



 そこで表彰する為に先王も壇上に来た。


「献上品の数々だけでなく儂らを若返らせて強化した恩義。弟妹達も聖人聖女として、更に竜騎士団も強化。炎竜を倒せたのも魔国の先遣隊を倒せたのも、全て其方の功績と聞いておる。よくやってくれた」


 もし魔女が一般人のままなら、教会の治療院の列は今も無くならず、自分と元大公の母親が専制政治で恐怖政治を続行。


 神聖騎士も出現せず、魔国に竜国に近隣国からの脅威もそのまま、エトワール死去と共に、恨み骨髄の隣国達から必ずブッ殺されるのも確定していた。


 炎竜事件などで下手を打った弟は地下牢の住人になっていて、何なら利用価値が無くなれば自分も地下牢直送。


 王太子の操り人形が大半を占める伏魔殿で、情報部や侍従のオトモダチがガンガン虫に食われて減らされて行く地獄で、針の筵と言うか針の山地獄で生活させられていた。


 寝る時にも顔を覆う金網と、ケツのあなからも虫に侵入されないアナルプラグとかも欠かせなかった。


 呪われたアンデッドの母親と、王太子の頭脳体をぶっ殺してくれたのも魔女で、ソッチ系は公式には表彰できないが、真人間になった王太子に王座を譲って、エトワール達と一緒にトンズラするのを可能にしてくれたのも、大本はこの勇者のお陰。



 隣にいるエイシェントドラゴンの曾曾曾曾孫の白竜が番で、長老とも仲良く家族扱いで、竜国侵攻とか炎竜の縁者が侵攻して来るのを止めたとも聞かされている。


 勇者の地位を得ているだけでも王族に迎えて婚姻関係を結ぶはずだが、竜同士の婚姻で番とは神聖なもので、解消や清算は有り得ず、せいぜい別居までが限度と聞く。


 白竜へ孫娘か新王の娘でも降嫁させるべきだが、内示したが断られ、人語は喋れず竜語のみを話すとされている。


「クローリア公爵家とも話し合った結果、其方達を我が家の養子として迎えたい。新たな王族で公家として叙したい」


「フェェッッ?」


「おお、そこまでなさるか」


 周囲の貴族家や文官や大臣の大反対に従い、子爵伯爵程度で治めようとした瞬間、他国から王族に迎えられたり、公爵として領地を与えられるのは確実で、待遇が良い所にトンズラされてしまう。


 勇者は戦闘時以外神経が太くないので、お嬢様とか奥様扱いは無理で、屋敷があっても竜舎の隣にある使用人小屋に住む。


「謹んでお受けしますと言え」


「へえ、つ、謹んでお受けします」


 来客からも拍手が送られ、何カ国からも実際に地位と領地が贈られた。


 平民から侯爵家の養子を経た物の、七階級ぐらい特進して(名ばかり一人親方)公爵になった勇者。


 普通は魔王を討伐した瞬間から命を狙われ、失脚させられて讒言で全ての地位を失い、領地も家族も使用人も人民も、周囲の全てが何もかもが敵になって、必ず殺されるのが勇者と言う存在。


 それでも今回は、妹の魔女が国を清潔にするために、腐った貴族とか国母とか魔王が使役?していた王太子とかモーちゃんとか、全部ぶっ殺すか真人間か真魔王?に書き換えたので、何故か敵対者である妹に救われる異常事態が起こっていた。



 現在王国として喪失すると困る人物の三人、神聖騎士、魔女、勇者。


 勇者だけは失っても一番ダメージが少ないが、竜国との条約で表面上竜騎士団も解散するので、トリニクレスも失うと国防の要の竜と竜騎士を呼び戻す手段も失う。


 何より、武力では魔王を含めて最強なので、怒らせると王国ごと月まで吹き飛ばされる。


 王国は判断を間違えずに済んだ。勇者に敵対して魔王を自由に行動させて新魔王国を作成されて兵士にされたり、魔女から権力を奪おうとして牛魔王が暴れて王都が消滅せずに済んだ。



「それとトリニクレスよ、献上物一覧にある「宮殿」とは一体なんじゃ?」


「はい、勇者の弟妹、土竜の子達がこやつのアイテムボックスを荒らしたようで、親の土竜から詫びの品として宮殿を受け取っております」


「は?」


 流石の先王でもイミワカンナイ。


 Z級の魔物や国宝を超えるような品を、巨大な虫と対決する時に陳列棚ごとぶち壊してしまい、中身も複数破損させてしまったので、ピーちゃんポーちゃんが勇者ママにぶん殴られないように出された詫び石で献上品。


 土竜から出せる最高級の品として、魔獣用の頑丈すぎる棚の数々や、平面世界設計のコピー型城砦で宮殿のサイズ6号と、外周の城壁や屋敷を設置させる時の整地魔法を、アイテムボックス内に建築。


 手狭になっている迎賓館と、老朽化した臭い匂いがする呪われた王宮ではなく、神聖騎士用の宮殿に献上すれば良かろうと、トリーから王家に押し付けた品。


「現在の王都の北、川の上流に設置して神聖騎士様とご来客の居城とするか、川の対岸辺りに置いて、魔の森への進出点としては如何でしょうか?」


 国内の王都市街地設計局に相談しても、先代侯爵のトリーが言っても子供の冗談で悪ふざけと正気を疑われたが、カーチャのウォークインアイテムボックスに入れて、宮殿の現物を見せると青ざめられ、結構な数の担当官が腰を抜かし、やっぱりキトラ古墳を見学した学者で小説家みたいに、陶然とし過ぎて卒倒して担ぎ出された。


「宮殿など、すぐに設置できるものなのか?」


「はい、土竜が地面の整地魔法付きで置いております。市街地設計局からも、上流が最適地として指定されました」


 利便性からすぐ隣の上流に設置するか、川の対岸に置いて防衛を優先し、いつでも橋を落として守りに入り、ブダの街とペストの街のように姉妹都市にするか、設計局内でも殴り合い掴み合いの抗争にハッテンした。


 それでも神聖騎士と天使がいれば紛争は無いと判断され、利便性優先で上流の畑や森や各師団の駐屯地や関所を潰して設置される事になった。


「それでは一旦退出しさせて頂きます。設計局の者を待たせておりますので、勇者と共に設置してまいります。こちらからご覧ください」


「お、おぅ……」


 勇者とトリーと白竜が後ろ姿を見せずに退出して、竜変化して飛び立って行った。



 半信半疑の先王や各国からの使節は屋上に上がって、指定された竜騎士団の駐屯地の方向を見た。


 まず十キロほど離れている、炎竜がメテオストライクを食らって、爆風で魔の森が消えた辺りの荒野に尖塔が生えた。


「おおっ、あれが中央尖塔っ、遠いがかなりの大きさだぞっ」


 黄銅で金属架橋されている、石や土砂やローマンコンクリート製で、黄金色こがねいろに輝く尖塔。


 平面世界なので地球直径の曲率が無く、地平線の向こうまで見える。


 続いて各政庁、防衛拠点、内城の内部が作られ、壮麗な尖塔の数々、大型の堀と川からの水路も予め引かれて行き、巨大な水門が建設されて町中に運河も引かれた。


 広大すぎる外城も積み上がって行き、王城直通の飛行場に管制塔、各国が使う大使館や屋敷にダンスホールが付いた大宴会場、貴族街ができて上級貴族から下級貴族までの屋敷も揃った。


 その外側に城壁が出来てウォールシーナ? 商行区域が積み上がって大小店から小規模店舗、正教会の修道士会と修道女会と思われる尖塔が東西に建って、貴族街と平民街の両側に門が作られ、両側から出入りが可能に。


「ああ、神の奇跡だ……」


 聖国の聖都や魔法帝国の王都どころじゃない、白色彗星帝国の上側みたいな都市が地面から生えて来て、流石の使節団も腰を抜かした。


 悪の心を持っていたり、この国を害そうとしていた者は新聖女の結界で弾かれて帰国したので、聖国からも魔法帝国からも友好的で信心深い者が揃っている。


「この素晴らしい瞬間に立ち会えたことを神に感謝します」


 使節団も先王も、いつも通り自分の立場を忘れている神聖騎士も、聖女頭として神の奇跡に祈りを捧げていた。


「我が心は天と共にありっ、神を恐れ敬う者なりっ、この身は神の遣いに従いっ、精霊を敬い御心に従順なる僕しもべたらんっ(ループ)」


 その周囲にも平民街の家が建って行き、周囲には畑が作られ、膨大な人数が住める場所が出来た。


 魔女とデイジーが後日結界を張るので、歩兵師団村にいるようなゴミクズとか、スラムにいた泥棒で強盗で詐欺師でスリは住めない。


 旧竜騎士団も飛行場になり、騎士団村と魔法師団村まで魔獣除けの城壁に囲まれ、平民街の流通拠点として利用される。


 ストナの領地だが、何も生み出さない竜騎士団駐屯地と貧しい竜騎士村から、空港周辺のカンカンに景気が良く、テナントが入って金が稼げる場所になった。


 もちろん争奪戦になって他の場所と領地が入れ替えられるが、勇者の親父で魔女の親父で暗黒竜の親父に何かすると、何処かの正義の味方に「後楽園球場で僕と握手だ」的に正義執行されて全員破滅する。


 多分暗黒竜クランの経理部が何もかも手に入れて、親父にテナント料を入金(入菌)して支配する。



 ここからは遠すぎて観測できないが、メテオストライクの爆心地でグラウンドゼロの湖とか、綺麗に魔の森の森林が吹き飛ばされている所まで城壁が達して、王都側では王都の城壁と接続して、広大な地域が守られるようになった。


「ああ、黄金に輝く都市。これぞ伝説の、海の底に沈んだと言われる聖王都サレンディールと同じ聖なる都」


 サレンディールも平面世界設計の城砦都市6号なので、同じサイズで同じ配置の姉妹都市?


 シムアースされて氷河期が終わり、大洪水で海の底になり、五千年前にボスポラス海峡が決壊して淡水湖だった黒海の周辺都市が滅んだように、一万四千年前に南極の氷河ダムが決壊した時のように、南米を千メートル級の津波が襲い、マレー半島沖のスンダランドやフィリピンインドネシアの島嶼部と同じく、神罰で海の底行きの刑。


「この地こそ浄土で王道楽土ユートピア


「神聖騎士様、どうかこの土地にも祝福をっ」


 使節団もエルフさんも泣いていたが、また魔法行使バンクでピンクの魔法バトン振るって、胸の前で指でハート型作ってから、きゃる~んと回転すると、フレッシュピーチシャワー的にユートピアで聖地が誕生するが、天使に聞いてみないと王都全員塩の柱とか怖すぎるのでできない。


「あの? 新しい都市で宮殿を祝福してもいいですか?」


「はい、今あの都市におりますのは、勇者一行と都市設計局の者や、森で狩りをしていた者だけ、ご自由に神力をご行使ください。王都は含めないようにお勧めします」


 相変わらずパッカパッカ言わせて、人語を話すペガサスが近寄って助言し、王都まで入れると塩の柱だとでも言うようにオヌヌメした。


「わたくしが神聖都上空までお連れします、どうぞお乗りください」


 今度は神聖騎士で聖女頭を騎乗させ、近距離なので転移しないで聖都まで飛んで行く。


 勇者もトリーも下種い所や悪どい所を改心させられる程度で済み、魔女ほど腐っていないのでバイファム的に脳みそく~るく~るされたりはしない。


 端っこの方にストナの親父とか、まだ魔の森の砦に行ってない飛竜陸戦隊、ジジイの竜騎士や新入社員の馬鹿がいるが、多少改心して下種で生き汚い助平親父から、綺麗なストナになったりするかもしれない。


 一回死にかけたカイルのオッサンとか、霊安室からの卒業生と、何回か殺されて素材と経験値にされた若竜は、改心させられているのでそのまま。


 小隊長に地下牢から救い出されたクソ女とか、他の男爵や騎士爵に出世した隊員やおっさんに、キャーキャー鳴いて言い寄って来るクソ女は、更に改心させられる。



 中央尖塔上空


「さあ、ここを中心として神力をお使いください、天への道が開き、この場所は浄土で王道楽土となります」


 制限区域の最外周に天使の武官50柱が飛び、何やら聖句を唱えたり聖歌を合唱したりして、爆心地から外に神力を出さないようにしてくれている。


「王都の住民は大丈夫なんですね?」


「はい、天使達が周囲を囲っておりますので問題ございません」


 駄目な時はその時のことで「ええい、ままよっ」な感じで、鋼鉄の心で実行する。


 ちなみに関西には「ええい、ままよ」を適切に翻訳した言語が存在しない。「もう、どないにでもなれやっ」ぐらいが近接語?として使用される。


「この地に祝福を、開け天への道、此処に現出せよ、王道楽土」


 やっぱりフレッシュピーチシャワー的な魔法が行使されて、上方向から巨大な桜の花のような光線が地上に着地すると、荒れ地に花が咲き乱れ、倒木は消えて材木にされ、住処を失っていた森の仲間達は新たな場所に送られて行った。


 今回も空に虹が掛かり、天使が舞い降りて乱舞し、CGなのか羽飛びまくりの落ちてきまくり。


 どこかでガランガラン鐘の音が鳴って、天使が歌う聖歌が聞こえ、また上級天使が出現して訓示を残して行った。



 修道女会展望室


 それらの一部始終を修道女会で見ていた新王は、涙と涎と鼻水を垂れ流して、ガッタガッタ震えて腰を抜かし、ガッツリ沼に嵌められて膝から崩れ落ち、泣いて祈りを捧げていたと言われる。


「ああ、我が国の王都にも念願の王道楽土ユートピアが…… ついに天への道が開いた、我が悲願ここに叶えり。お婆様、ご覧頂けましたでしょうか?」


「ああ、殿下…… いえ、陛下、ついにこの日が訪れましたなあ」


 従者で家令で老臣も、長年苦労を共にしてきた若が泣いて喜んでいるのを見て、肩を抱いて共に泣いていた。


「ぐううううっ」


 新王の顧問として、また面倒ごとの相談に来られて求婚もされて辟易していた魔女は、どこかの侯爵領で武装蜂起した市民が魔物に食われていた領主を殺したとか、新王で王太子の夢がついに叶ったとか、天への道とか浄土で王道楽土ができたのを地獄の毒婦に報告とか、そんなもんど~~~~~でも良かったが、人が良すぎる忠臣で老臣がさめざめと泣く姿を見せられ、また感動しすぎて泣いてしまい、声を出さないよう手で口を押えてRECしながら泣いた。


 デイジーから渡された新王戴冠時の映像も、王太子と神聖騎士なんぞ画格の端っこに確認用にしか入ってなかったが、老臣が泣き崩れて壁にもたれかかって、口を押えて肩を震わせて嗚咽したり号泣しているのを見て貰い泣き。


 新王が爺の方向を見て手を振ってくれたのを見て、堪えきれずに声を出して泣いているシーンを見て一緒に号泣。


 クソでカスの王太子を始末しないで本当に良かったと思い、「私グッジョブ、お兄ちゃん「殺すな」と言ってくれてありがと~」と思いながら無限ループ視聴。


 このジジイのためになら、アホウが王太子時代に放った虫の数々の後始末をさせられても、デイジーの研修所でアホ王をレベル上げさせられても、聖騎士で王族の一人から手紙が来て領主一人市民に殺されたのを揉み消すのにアホに借りを作っても、クソ姉の隊の小隊長から意味不明の手紙が来ても、この動画さえ再生していれば笑顔と言うか感動で泣きながら処理できるので困らなかった。


 新王が生かされているのは一重にこの老臣のお陰で、そうでなければ修道女会全体で国中にいる虫の始末などさせられているので、本来なら即公開処刑で広場で吊るしたまま腐り落ちるまで放置。


 老臣が寿命で死んだら、すぐに殉死させてあの世に送ってやるのに、ジジイの笑顔と泣き顔を見るためだけに生かしてある。


 何ならこの老臣と神聖騎士で聖女頭を結婚させ、世界の支配者にしても良いとまで思い込んでいる魔女。


 さぞや清潔で美しい世界が出来るとは思うが、こんな人が良い人物に暗殺など汚い仕事をさせたり、大災害で市民が苦しむ姿など見せたら胃に穴が開いて死んでしまうので、そこまでさせられないと断念した。

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