表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

85/142

目覚めた者、光遮りし聖騎士の反乱

 とある侯爵領


「行けっ、侯爵の首を取れっ」

「腐った領主を殺せっ」


 よくある反乱が起こっていた。


 領主が突然税を倍額にして、堤防建設や道路の建設などの労役も大幅増加、払えない者は農奴として死ぬまで労役と公示された。


 一家全員死ぬか、家も畑も捨ててスラムの住人になるか、流民で戸籍も無い者として捕まると、やっぱり強制労働させられるか農奴として餓死コース。


 マミさん的に「みんな死ぬしかないじゃない」と言う訳で、住民全員で武装蜂起。


 小規模集団は領主の兵士に撃退されたが、偶然この地を訪れていた大聖女と聖騎士二人、その従者も参戦してくれることになったので、領主の兵士が来ても一騎打ちや十番勝負を挑み全員撃破。


 それでも力技で挑んでこられたら、エリアサンダーブラストとホワイトブラストの刑でほぼ全滅。


 隊長や腕に覚えがある者も倒し、治療呪文で救うと領主の私兵まで仲間に加わってくれたので連戦連勝。


 ついに領主の館まで来て包囲中。


「聞けっ、我こそは先王(今は先先王)の孫、イリミキア・ザイゼバウであるっ、侯爵に対し貴族同士の決闘を申し込むっ! 税の倍増など人として貴族として有り得べからざる愚行っ、王族として見過ごすわけには行かぬっ、立ち会えっ」


 周囲の者達も「王城の地下牢で幽閉されていた」と聞いていたので、大体お里が知れていたが、ガチの王族で先王の孫だとは思い至らず、自分達の旗頭が王族だと知らなかった民衆も腰が抜けた。


 大聖女と言うのがストレングス不足の婆やで、聖騎士二人は「目覚めた人」でガリガリに痩せていて、まるで暗黒騎士にも見える「光を遮りし者」と「最後尾はこちら」ちゃん。


「王族を騙る馬鹿はお前か? この俺様が叩き潰してやる」


 侯爵お抱えの力士で勇士が出て来て、一騎打ちを開始する。


「侯爵の代理人とお見受けする、尋常に勝負」


「ぐはあっ!」


 レベルが違い過ぎるので、刀の横面の平打ちでも大ホームラン。


 鉄鎧と肋骨全損の被害で、放物線を描いてから着地。気絶もしてほぼ死んでいるのだが、レベル80程度の高レベルだったのが災いか幸いして、致命傷で済んだ。


「エクスヒール」


 とりあえず治療してやると「仲間になりたそうにしている」だったので従者にしてやる。


「あ、姐さんっ、一生ついて行きます」


 勇士の方もやっぱり天上天下的に「木刀でぶっ飛ばされてからはヒトメボレよおっ」な感じで、魔王様リトライのヤンキー聖女に踏まれて喜ぶ従者みたいにされた。


「領主の所まで案内して欲しい」


「へい、分かりました」


 屋敷に上がると、待ち受けていた暗殺者か使用人が壁や柱に潜んでいて、命の燈明で見るとモロバレ、斬ると死んでしまうので白魔法攻撃。


「エリアサンダーブラスト」


 とりあえず全員、ジュール熱で神経を焼き切って動けないようにしておく。


「む?」


 それでも吹き矢などで攻撃してきたが、魔女に掛けて貰っていた防御呪文が弾いてくれた。


「ああ、新聖女様、護りに感謝いたします」


「野郎っ、何しやがる」


 従者となった勇士が暗殺者の腕を潰してくれた。


「後ほど治療します」


「はい」


 数回の襲撃を撃退し終わり、領主の私室に入室。命の燈明では悪しき者一人、普通の者が三人。


「近寄るなっ、こいつの命がどうなっても良いのか?」


 使用人なのか、誰が人質になっているのか分からないが、取り合えず魔法攻撃。


「ホワイトサンダー」


「ぐあああっ」


 人質が死んだり首を斬られたら治療する予定だったが、魔法の方が先に効いたようで無傷。


「お前が領主だな、税を倍額にして労役なども増やした無能は? それで民衆が生きて行けると思ったか?」


「殺してやるっ、この儂に歯向かうとはっ、中央にどれだけ多くの友人がいると思っている? 王太子様も我が朋友なのだぞっ?」


「ああ、魔王の亡骸を食っていた化け物か、それなら新聖女様が浄化済みだ」


「な?」


「沢山あった虫で作った副体も全て壊れ、石棺の間にいた頭脳体も破壊。魔王の体を使った天使体とやらも下級天使が潰した。新聖女様が利用するために情けを掛けて生かしてやり、真人間に書き換えて使役しているそうだ、残念だったな」


 魔女が新王を使役していると思っているのは聖騎士の私見だが、大体あってる。



 王太子の頭脳体が本体なのも知っていて、修道士会で用意していた究極天使体のことまでバレている。


 侯爵ですら知らない、王太子の人が変わったように善人になった理由まで知っている人物を見て恐ろしくなる。


「それで王都からの連絡が途絶えたか、一体何者だ?」


「だから門前で言った通り、その王太子に政争で敗れたイリミキア・ザイゼバウだ。新聖女様に救われ、今はこうやって悪を正し、魔獣を討ち、病に侵された村々を救い歩いている巡礼者だ」


「あ、ああ……」


 鑑定眼ではないが、霊感のような物で命の燈明を見ると、侯爵の悪行が見えた。


「王太子が天に昇って大魔法を行使して以降、その利権のお零れを貰うために金を作ろうとしたか、もう奴の野望は潰えた、諦めよ」


「どうしてえぇっ」


 どこかの容疑者Xの献身みたいな絶叫をする侯爵。もしかすると毒婦や王太子の願望に縋った、哀れな夢追い人の一人だったのかも知れないが、それでも税が倍額など有り得ない。


「其方を無礼討ちとする、家族や使用人の命は保証する、安心して死ね」


 苦しめてから死なせるよう、首は落とさず心臓を刺し、暫く死のダンスを踊らせてやった。


「キー、キー」


 すると宿主が死んだのを察知して、耳から虫が数匹逃げ出したので魔法で始末する。


「王太子の虫に使役させられていたのだな、エリアサンダーブラスト」


 追尾型範囲攻撃なので虫は全部処理できたはずだが、念のために侯爵の体も稲妻で焼いておく。


「ホワイトサンダー」


 人質になっていた使用人の女と、家族らしき者が目撃していたので伝言して置く。


「見ていた通り、侯爵は王太子が放った虫に脳を侵され、集金の為に使役されていたようだ。どうやら虫の主人が死んだので「金を集めよ」と言う命令だけが暴走して増税したらしい。哀れな被害者ではあるが、私如きの法力では救えなかった」


「は、はい……」


「恨むなら王太子を恨めばよい、脳を食われて虫に居座られ、外部から自由に使役させられていたのだ。もう救う手段など無かった」


 もし救う手立てがあるとすれば、治療や復活呪文ではなく、侯爵を死者蘇生呪文で一から作り直す方法だけ。


「さて、どうするか? まずはこの亡骸は民衆に引き渡し、八つ裂きにでもさせるか」


「ひいいっ」


 こんな家族達がまともな証言などするはずが無く、立場認識すらできない発達障害も持っていそうなので、「侯爵を殺した者が虫を使って狂わせたのです」とか、完全にアタマオカシイ証言まで可能。


 尋問官の書いた絵図通りの証言を誘導され、暗黒騎士と思われる者がどれだけ悪辣だったか、自由に操られてその通り答える。


「ご家族の安全は保障しよう、残った私兵に警護させ、馬車で王都の上屋敷に逃れるも良し。丁度良い、兵を集めてご家族を王都までご案内しろ」


「はっ」


「さて、私は侯爵が王太子の虫に操られる前の人となりを知らぬ、どこかの時点で人が変わったようになったはずだが? その時の事を教えて欲しい」


「は、はい、何年か前、王都に行って以降、帰って来ると別人になってしまい、祖父を殺して代替わりし、何度も増税を」


「間違いないな、王都で王大使の虫に乗っ取られ脳を食われたのだ。侯爵の死が民衆に確認されたなら、私の死者蘇生によって甦らせてみる。成功すれば元の侯爵が戻って来るはずだ」


「そんな、エトワール様にしか使えない死者蘇生を?」


「うむ、新聖女様によりこの力を授かった。民衆にも何らかの成果が必要だ、侯爵が生きていることは誰にも知られてはならぬ」



 まず周囲を包囲していた民衆に、侯爵の死体が引き渡される。


「蜂起した諸君、事件は解決したっ、まず侯爵の死体を引き渡すっ、屋敷に残されていた金銭も後日分配するっ、どうかここで解散して欲しい。屋敷への略奪放火、使用人や家族への暴行を禁止としたいっ、これが交換条件だっ」


「侯爵が死んだか、聖騎士様が二人おらなんだら、おらたち負けとったでなあ?」


「ここらが引き際だ、次の領主が来るか、軍隊が来るなら聖騎士様がおってくれんと絶対負ける」


「ここで金取り返さなんだらどうする? 奴の家族も皆殺しだっ」


「聖騎士様は正義の人じゃ、奴の家族を守るためにでも戦われる」


「金はあとで分配だそうだ、ここで諦めるか」


 侯爵の死体が八つ裂きにされた後で、内密に復活の儀式が行われた。


 屋敷への略奪や放火は許されず、家族が馬車で逃れて行くのも見逃された。使用人などは新領主が来れば引き継がれる。


「ああ、新聖女様、此度の艱難辛苦も快癒いたしました。どうかお褒め下さい」


 もうしばらく待つと「とらのあな」で暗殺者で子供兵が量産されるので、イカレタ領主は内密に暗殺されていたのだが、真っ暗な場所で喉笛かっ切られるので、耳から虫が出てくるのは見逃されていたかもしれない。



 小隊長エリクソン・カテリコス(地名)子爵領


 勝手知ったる故郷が領地になり、今後夫人となる男爵令嬢を伴って来る前に、相棒の火竜と共に帰って来た小隊長。


『ふん、お前を一人にしたら、何されるもんか分からないからな、あたしが護衛してやるよ』


 火竜が何か言ったが、小隊長は竜語は方向とか挨拶ぐらいしか話せないので、意思疎通できなかった。


 実家に手紙は送ってあるが、王都に呼び寄せた母とか、王都に働きに来て独立した弟などはあちらにいる。


 親父の方は何があっても、先祖からの畑の世話を辞めなかった。


 やがて実家の父親の家に到着、15メートル近い火竜が直接降下すると怖がられるが、子供達は大喜びで迎えた。


 歓迎準備なのか半鐘が鳴っていて、七人の侍的に村人は屋内に入った。


「どうどう、ちょっとここで待っててくれ『ヘリクト、カレス』」


 単語を二つ重ねて「ここで、待つ」と伝え、水でも飲ませてやり、余り意味は無いが馬寄せに手綱を繋いでおいた。


 子供が近づいて来ると噛まれたり、石でも投げ始めると火を吹かれるが、大人しい竜なので信用して、近所の子や隣人などにも挨拶しておく。


「火竜だから危ないぞ、あんまり近寄らないでくれ、石投げると火吹かれるからな」


 こんな時の為に甘いお菓子や飴玉を買っておいたので、少し配って離れた所で遊ぶように言っておく。


 でも馬鹿は「近寄らないでと言うのは近寄れと言う事だ」「石を投げるなと言うのは投げろと言う事だ」と思って、人が嫌がることなら何でもする。


「いやあ、ご無沙汰してます、隣の次男のエリクソンです」


「おんやぁ、立派な竜騎士様になって、さぞ親御さんも喜ぶだろうて」


「はあ、それで今度、魔国軍を撃退したので出世して、この土地を領地として貰ったんです」


「領地? 領主様か」


「ええ、そうなります」


 隣人は途端に顔色を変え、魯迅の小説コースかと思ったが、反応が違った。


「ふんっ、下らない奴になったもんだ、さっさと出て行ってくれ」


「は?」


 土産物を渡す前に家に入られ、荒々しくドアを閉められた。


 これはもしかしないでも、リン・ジント君(誰?)みたいに、育ての親からも「君の親はな、国を売って自分だけアーブの貴族になったんだ」と罵られて蔑まれるコースかと思った。


 その場合父親は、革命政府に吊るされているか、処刑されているはずなので、実家に入ってみた。


「親父、いるか? 俺だ、帰って来たぞ」


 留守なのか誰もおらず、家を回っていると、誰か隠れているようで納戸から音が聞こえた。


「誰かいるのか?」


「ひいいっ、殺さないでっ」


 隠れていたのは一番下の弟、十年ぐらい前に出て行ったので、一緒に暮らした期間が少なく余り面識はないが、年末年始ぐらいは帰って小遣いをやったりしたので、顔ぐらいは覚えているはず。


「いや、俺だよ、上から二番目の兄」


「領主が殺されたから復讐に来たんだろっ?」


「え? 前の領主って殺されたのか?」


 領地を拝領する時もそんな話は聞いておらず、侯爵家の直轄地を分けて貰う形になったと聞いた。


「聖騎士様が悪い領主を殺したんだ、だから竜と一緒に村を滅ぼしに来たんだろ?」


「はあ?」


 小隊長もイミワカンナイので、土産の甘い菓子とかハッピーのボトルとか出して話を聞こうとした。


「うま~~~いっ!」


 最初に飲むとこうなるのを忘れていたので、弟は村を半周ぐらいして、ついでに親父を呼びに行った。



 表で待ってアイテムボックスから竜のエサを出して食べさせていると、村の連中が竜見物にでも来たのか集まって来て、何か厳めしい顔で睨んで来た。


「アイテムボックスと言うのは便利な物だな、こんな大きな猪でも入る」


 村人は藁を掬うフォークとか農具を持って、武装しているような気もする。


「ああ、どうも、ここの次男のエリクソンです。炎竜倒したり魔国軍撃退して出世したんで、ここの領主とやら仰せつかって来ました」


けえれっ! クソ貴族めっ」


 子供に石を投げられるのは覚悟していたが、大人たちに石を投げられた。


 カーチャに掛けて貰った防御呪文で無傷だが、気分が良いものでは無い。


「どうしたんですかっ? 弟も前の領主が殺されたとか言ってましたが?」


 話が通じないので防戦一方でいると、村人の中から聖女の法衣や帽子をかぶっている人物が出て来た。


「石を投げないで、まず話し合ってみましょう」


 帽子の高さからすると、聖女第一等級、大聖女クラス。


「始めまして、今度ここの領主を仰せつかった、この家の次男です。ついにこの村にも聖女様においで頂けたとは、有難い事でございます」


 小隊長は膝を屈して挨拶し、抜刀の準備までしていた聖女の手を取って額に当てた。


「おい、どうなってんだ? 聖騎士様に跪いて感謝してるぞ?」


「竜まで連れて、この村滅ぼしに来たんじゃないのかよ?」


 この聖女は「最後尾はこちら」ちゃんで元下っ端修道女、デイジーのレベル上げで聖女になって、聖騎士にもなっている。


「貴方は、火竜まで連れて、領主を殺したこの村を滅ぼしに来たのでは?」


「はあ? 前の領主って殺されたんですか? ここ全体だと確か侯爵領かと?」


 話の前提が違うようで、擦り合わせが必要。


 話を聞いていると、代替わりして圧政ばかり繰り返し、重税を課して来たのでついに住民が蜂起。


 目の前にいる聖女も民衆の抑えが利かず、「光遮りし聖騎士」も出陣。


 いつも目を閉じるか、開いていても何も見えていない元王族が、領主の館の前で衛兵の隊長に一騎打ちを挑み、討ち倒してから治療もしたので、怖すぎて誰も逆らえず降伏。


 領主で侯爵は改心しないようなので、今回は家族全員と使用人全員が吊るされないよう、屋敷が略奪されて火を放たれないように、一人で侯爵に面会して自分の立場を明かし、王族からの無礼討ちによって侯爵一人の命を奪うが、民衆にはこれ以上の手出しはさせない約束で決着。


 領主の首級を上げて、民衆にはその場で解散させ、家族と一部の上位の使用人は馬車で逃がして王都の上屋敷に退避。


 王都には一連の状況を説明する手紙を何通も書いた物の、現在の王やそれなりの地位がある人物に届いているのかすら不明。


 そこに新領主が火竜に乗って来たので、すわ大戦争開始、親父とか弟でも人質に取って籠城か? という状況らしい。


「はあ、着任早々に大騒動ですな、中央にはどう報告すればいいやら? ご存じの通り先日まで平民でして、こんな時の処置とか貴族社会の事は何も知らんのです」


「まず、聖騎士様にお会いください、ご案内します」


「はい」


「ギャーーー、ギャーーーー」


 竜を置いて行こうとしたので叫ばれ、馬寄せの棒を壊して縄を勝手に解いて徒歩で着いて来た。


「あ~、すみません、こうなったら聞かない奴なんで、連れて行っても宜しいですか?」


「はい、わたくし共でも竜を止める力はないと思います」


 現在のパワーバランスでは、敵側?にはレベル300ぐらいの元王族の聖騎士と、レベル200ぐらいの聖騎士、ついでに大聖女の若返った婆やがいる。


 小隊長もレベル370ぐらいの竜騎士で、火竜の方はレベル200ほどあり、人間換算だと10倍ぐらいなのでこちら側の圧勝。


 他はザコばかりなので、兵数に数える必要はない。



 暫く行くとボロい教会があり、そこに身を寄せている聖騎士がいる。


 先触れ的に従者の少女がすっ飛んで行って、元王族の騎士に事情を伝えに行った。


 小さな会議室に案内されると、目を閉じてガリガリに痩せた人物が待っていた。


 ここまで案内して来た聖女と、多少年配の聖女が同席。他の者は室外に出された。


「初めまして、戦功により叙爵され、故郷の村と近隣少々を領地として貰った竜騎士です。寄り親となるはずの侯爵様が重税を課し過ぎて、民衆の武装蜂起で殺されたとお伺いしました」


「はい、それらは全てわたくしの罪、裁きを受けるなら、全てこの身が請け負います」


 そこで外で聞いている連中に聞こえないよう、メモを渡された。


(侯爵は死者蘇生呪文で復活させてある)


(侯爵は王太子が放った虫に脳を食われ、虫によって操られ、集金のための操り人形として使役させられていた)


(今までに倒してきた高利貸しや奴隷商人、阿片販売者、マフィアの頭領、全て王太子が放った虫により使役されていた)


「はあ……」


 一枚目でこの事件はほぼ解決するが、二枚目三枚目は国家的な犯罪で、安全保障上の大問題。


 それも新王が仕出かした犯罪なので、一竜騎士で新人子爵、村と少々の領地しか持たない者には解決のしようがない。


「これは一旦持ち帰って、上司や勇者にでも相談しなければなりません」


 もう魔女が解決してしまい、頭脳体であった王太子も浄化しているが、解決能力がある人物か見るためにあえて教えない。


 王太子の新しい体の方は聖女達が治したが、真人間にしたので過去の犯罪に関しては本人はあまり覚えていない。


「勇者様をご存じなのですか?」


「はい、父親の伝手で竜騎士団で飼育員になるはずでしたが、竜騎士見習いとして入隊しています」


「ああ、新聖女様のお姉さま、どんな方なのでしょうか?」


 魔女も姉の伝手で幼竜舎の飼育員になり、そこから聖女の能力を得て、姉から貰ったデスノート一冊?だけで成り上がった。


 元からレベル400の竜戦士で、人間の中の勇者候補だったが、竜との融合度は低いまま。


「はあ、中々面白い奴で、新聖女様のように言葉遣いもマナーもちゃんとしてなくて、訛りもすごいんですけど、気のいい奴なので竜騎士団の連中や飼育員とも、火竜や飛竜とも仲良くやれて、今度魔国の先遣隊に勝てたのも、炎竜に勝てたのも全部あいつのお陰なんです」


「そうでしたか、私共も新聖女様からこの力を授かり、人々を救う旅をしているのです」


 こちらも抜刀して戦う準備までしていた聖騎士だが、心の燈明は正しく、ブレもない人物のようで安心する。


「新聖女様と言えば、夜会でも炎竜事件でも、王太子様も伏魔殿の悪魔…… いえ、国母様まで魔王や魔族、魔物に食われて操られていたのだと言われ、現在公式見解でもそうなっております。王太子殿下に罪はないとなって、新王陛下として戴冠しておられます」


「ほう……」


 あの王太子が戴冠し国王になったなど噴飯ものだったが、新聖女で魔女の支配下にあるなら問題ない。


「今回の事件も、侯爵様は魔物に食われて操られていたとされれば、復活した侯爵様が現れて善政を行うのならば、今回の蜂起は魔物を討っただけで、無かった事に出来るのでは?」


「それは願ってもないお言葉、是非参考にさせて頂きます」


「その内容で新聖女様に手紙を書かれて、侯爵様も魔物に食われていたのだと言う言質を頂いてみては?」


 事態の解決能力もあり、自分達が知らない王都の内情も知っているようで、少ない時間で全ての正解を出せた人物として新領主を信用する。


「王太子殿下も、救い出された時にも、戴冠後も公式の場で新聖女様に何度も求婚し、そのたびに断られているそうですから、修道女会からの見解には逆らえないのでは?」


「おほほほほほ」


 あの悪辣な王太子が、新聖女には頭が上がらないで、ほぼ使役されている状況なので嘲笑う。


 その上、公式の場ですら肘鉄を食らい、何度も求愛を断られているのが滑稽で笑いが収まらない。


 王家や裁判所に出した手紙などは全部却下されたか無視され、農民反乱鎮圧の部隊が向かうことになっていたが、修道女会から新聖女の署名で出された請願が新王に提出されると、即座に今回の事件は解決し、侯爵は魔物に食われて圧政を行い市民によって討たれ、本物の侯爵が聖女によって復活し、善政を行うようになったと公式記録に残された。


 王太子時代に各都市の支配者や、下部組織のやくざ者にも虫を放ち、脳を食って支配していた状況も改善されて行った。


「面白い」「続きが気になる」と思われましたら、是非ブックマーク登録をお願いします。


画面下に評価がありますので、評価して頂けるとポイントが入ります。


ランキングが上がる、感想を頂けるなど、とても励みになりますので、よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ