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魔王脱出

 王城、王太子府


 神聖騎士誕生の報がギルドからあったにも関わらず、迎えに行かせるとギルドにはおらず移動済み。


 宿泊記録やギルドへの登録内容から、行き先は修道女会だと思われるので迎えに行っても不発。


 乙女騎士練兵場に天使100人を伴って帰って来た所で、ようやく発見して登城を即したが、王城には中々移動せず、出立しても行方を見失ってしまい、追跡していた者もラリマリウ家に行ったと連絡があってから報告が途絶えた。


「爺、誰が神聖騎士になったのか判明したか?」

「ヘレン・ラリマリウで登録されましたが本人ではありません、ラリマリウ家の者だと思われますが、修道女会で聖女頭を務めていたカレリ-ナではないかと思われます」


 ギルドからの連絡ではヘレン・ラリマリウ記載と報告されたが、本人は長年病床に臥せっていて、年齢も17歳ではなく40歳以上。


 明かに偽名なのだが、同時に登録した集団の特徴から、死亡が発表されたはずの乙女騎士団メンバーと、修道女会の十名ほどが関わっていると予想された。


 神聖騎士になった最有力候補は、聖女頭であったカレリ-ナ・ラリマリウ。表向きはエトワール昇天?に伴って殉死、もしくは殺害されたとされている人物。


 修道女会では死んだはずのエトワール以下、修道院長と修道女長、聖女騎士団のメンバーも確認されたので、第五王女でもなく再度出家した王妃でもなく、やはり聖女頭で間違いないと言われる。



 既に迎賓館や王宮には全権大使が到着し始め、近隣最強国家である魔法帝国から、威力偵察と思われる100羽近い飛竜と、火竜騎士と自力飛行して来た魔法士まで縮地魔法を使って半日と経たず殺到ブリッツクリーク


 正教会本部である宗教国、海の底に消えたとされる聖王国の名を取った、聖国サレンディールの法王猊下と武僧50名まで視察で拝謁に来てしまい、もし「間違いでした」などと言おう物なら即断罪で破門。


 国と国民全員正教会から破門される事態まで有り得る惨状。


 まだ戴冠の儀も終了しておらず、父王が出家して僧籍を得て、修道士となってから戴冠されて、そこでようやく王となるのに、父は不在で何と竜の巣まで交渉に行っていると連絡があった。



「殿下、今度は駐機場にエルフの集落からのお客様です。しかし意思伝達魔法が通用しません」

「翻訳の魔法すら通じないエルフと、どうやって話すのだ?」


 近隣国とは口頭の会話はできずとも、意思疎通の魔法まで使えばどうにかなるが、その範囲すら外れる者との挨拶など無理。


「空間転移魔法を使用しての到着だと思われます。十名ほどの使節団ですが世界樹からの産物多数と、古代超文明の産物を土産物として頂戴いたしました。是非お礼に伺わなければなりませぬ」


 王城に入る直近の空港で駐機場に、封印の結界を飛び越えて直接空間転移して来た敵、では無く友好的なエルフ。


 国家安全保障上大問題で責任問題だが、これも「古代エルフの超文明」なので仕方がない。


「まずは会ってみて、身振り手振りで宜しいかと」

「うむ、会おう」


 頭を下げる、握手する、腕を胸の前に当てる、女性ならスカートでもつまんで上げて頭も下げる。


 もし白旗を上げても、バッフクランでは「一人残らず殺す」戦いの誓いになったりするが、元は地球生物改造種なので何とかなる。



 駐機場、来客用休憩所


 ゴールドカード持ちでないと入れないようなラウンジで、エルフの来客を待たせてあった場所に王太子一行が到着。


 エルフは洋ゲーのように、目が吊り上がって白目部分まで真っ赤な化け物ではなく、人間を多少DNA改良して知能も上げ、テストステロン弱めで戦闘意欲が低く、基本ビーガンで長寿な種族に変更してある。


 人類のような、出アフリカから地球の裏側まで歩いて行ったり、南極でもヒマラヤの全峰登頂でも平気で行くような新規開拓傾向山盛りの冒険大好き種族ではなく、エルフの森と世界樹の近くから出ないヒキコモリ遺伝子にされた、細身長身で女性はド貧乳の妖精族。


 ガチムチでカッチカチの男は一人もおらず、最近増えてしまった残念オッパイ星人の巨乳奇乳もエルフもいない。


 ダークエルフなら許されるようなので、乳もケツもバインバイン。


 金髪で青い目のアルピノで、耳長でミスタースポックみたいなバルカン人かロミュラン人で、世界樹に偽装した軌道エレベータで言語を調整するバベルの塔周辺にしか住んでおらず、人類とは取引も無いので、王太子は火星人レベルの異種族と面会して、政治交渉までする初めての人間族になった。


「エヅーレトラモント、フレマカシレ」

(何言ってるか全然わからん……)


 頭を下げて両手を左右に斜めに出し、一周回って武装していないと示しているようだが、相手に背を向けて尻を見せるのは無礼になる国とは習慣が違った。


「ロトレンタカミドレハリ」


 ネックレスを差し出され、首に掛ける仕草をしてから渡される。


「これを付けると良いのか?」


 まさか呪いの品を渡して戦闘になるような真似はしないだろうと、言われるまま首に掛けてみる。


「私の願い、届く、無事?」

「おお、分かる、分かるぞ」


 平面世界製の翻訳こんにゃくなのか、言語の概念まで違い過ぎて、人類が使用する魔法も通じない相手と話ができた。


「神聖な、神の遣い、現われた」

「ええ、神聖騎士と呼ばれる者が出たようです」


 王太子も絵物語程度の知識しかないので、実在したのかすら分からない神話戦争のは詳しくない。


「エルフ、神の使い、信じる、臣下の礼 捧げる 来た」


 膝を着いて手を王太子の爪先に当てる挨拶をされ、臣下が土産物を差し出してきた。


「これは?」


 形状や用途が分かるものとしては、剣と盾ぐらいしか無かったので、片刃のサーベルのような物を手に持ってみる。


「軽い」


 客人の前で抜刀など失礼で無礼の極みだが、鯉口を切ってみても中身は竹光のようで、オモチャか観光地土産の木刀に見えたので、刀身を少し出して観察。


「世界樹の剣、悪魔、精霊、幽霊、倒す」

「はあ……」


 切断用ではなく、実体が無い敵に使う剣らしく、聖剣とか神剣の類のようで、有難く拝領した。


「贈答品、ありがとうございました。王宮で、お待ちください」


 単語ごとで文節を区切ると上手く翻訳できるようなので、敬語とか謙譲語まで通じるのか分からないがとにかく伝えた。


「招待、受ける、感謝、待つ」


 どうにか対話になったようなので、案内の者にネックレスを渡そうとしたが、複数あるようなので従者にも付けさせ、返却は不要らしくエルフも受け取らなかった。


「ドワーフ、ホビット、獣人、話せる」

「おお、ありがたい、それでは、お借りして、おきます」

「贈り物、使用、永久」

「では、これも、頂戴、します」


 王太子は元は40過ぎのオッサンなので、特に臆することなく失態も起こさず、エイリアンで火星人とのファーストコンタクトで第三種接近遭遇を済ませた。


 今の所、エルフの超文明産の、透明化の遮蔽をするロミュランバードにアブダクトされたり、クジラ語が分かる海洋学者が転送ビームシュートで連れ込まれたり、蛇遣い座のホットライン先も海洋生物に支配された同士のお友達でもなく、パペットマスター的に首の後ろ辺りにタピオカ植え付けられたり、テッカマンブレード的に首の後ろに虫みたいな植物が入ったり、イジェクトできないドラシルに乗っ取られたり人体支配もされず、インプラントとかキャトルミューティレーションもされずに済んだ。


 ネックレスや贈り物の方には、そんな機能があるかも知れない。



 その頃やっと神聖騎士が登城してくれたようで、天使の文武百官を引き連れて王城付近の滑走路上空に現れた。


「天使、ペガサスッ、神聖、騎士、来訪」

「おお、あれが」


 管制塔では盛んに着陸許可のオレンジフラッグを振っているが、航空管制の内容も知らないようで、着陸側の侵入ルートからではなく、滑走路のど真ん中を突っ切って王城方面の駐機場に強行着陸。


「すみません、ここで宜しいですか?」


 駐機場の飛竜溜まりとか、竜止め辺りに天使100人も降着。カリオストロのエンディングで降下兵が落下傘降下して来たり、ボトムズでもギルガメスのAT部隊が降下、膝が前に曲がる独特の降着姿勢で降りてきたぐらい、この国のあらゆる問題が解決した。


「神聖、御遣い、献身、忠誠」


 エルフ達は跪いて頭を下げて両手を前に差し出し、掌を上に向けて何も持っていない、武装していないのを示した。


 王太子も通常の挨拶をしようとしたが、祖母と父ぐらいにしか膝を屈しないので、とりあえずエルフと同じ姿勢で献身と忠誠を誓う。


「まあ、エルフの方って初めて見ました。エルフ式のご挨拶はこうなんですか?」


 神聖騎士で元聖女頭は、王太子まで同じ姿勢なので、これがエルフ式挨拶なのかと同じ姿勢をした。


「ああ、もったいなや、神の遣いである貴方様が我らに頭を下げるなどあってはなりません、どうかお立ちになって下さい」

「え?」


 また「あれ? 俺、またなんかやっちゃいました?」の表情をして、言われた通りに立つ。


 神聖騎士はバベルの塔からの言語混乱操作を受けないで逆に標準化され、どんな言語でも普通の言葉に聞こえ、エルフ語でもヒアリングできるし古代エルフry 文字でも読める。


 聞き取る側も自国語に聞こえるので、普通に会話も可能。


 ペガサスが神聖騎士専用装備で制服も持って来た時、普段使いの皮鎧や下着までキャストオフさせられ、白い光で隠されながら変身バンクを使って瞬着。


 60前のシワシワババアの体ではなく、15~17ぐらいに若返らされた体なので、シンフォギアの切歌タソみたいにブルンブルンさせながらポールダンスして、ニーソ履いてムチムチのフトモモの絶対領域にゴム部分をパッチンしてから、「アタシ再生産」の上着を着せられポジションゼロ。


 本人に気付かれないよう、コソ~リ肉体改造も行われて、皮膚の下に聖剣みたいな金属か何か分からない材質の外骨格を作られ、脳が電脳化されて固体素子でソリッドステートになって、外部記憶が無いとバトーでも話せないようなマイナー過ぎる詩の引用とか何でもオッケー。


 銃夢のゼクスとかツヴェルフとエルフみたいに、オリジナルのガリィと違って、殴られても脳震盪起こさない体に。


 内臓がないぞうにされ、脊髄とか骨も全部撤去、対消滅エンジンとかマイクロブラックホール駆動式、マッスルパッケージとかラムダドライバも設置されて絶対無敵。


 それでもゴーストは、心拍している振りをしている魂置き場に設置され、フェードインでもしたかゴッドマーズに搭乗したみたいに魂の髪の毛がふわさぁっとなって着床。


 もう水も食い物も不要になり、呼吸なども偽装して、口の中や目を湿らせるのに水を補給する程度。


 食料は対消滅エンジンで分解してしまうので、イド先生がガリィに付けた、完全消化型ストマックみたいに、モリモリ食ってブリブリ出す必要もなくなった。



「え~と? あ、王太子殿下ではありませんか、ご無沙汰しております。修道女会の聖女頭、カレリ-ナ・ラリマリウに御座います、この度は聖騎士から神聖騎士に転職すると、何やら星が光ったり何処かから鐘が鳴ったり聖歌が合唱されたり、お騒がせして申し訳ありません。使いの騎馬の方が修道女会に来られ、登城するようお命じになられたので参上しました」


 標準仕様で鑑定眼で神眼が使えるので、若返ろうとどうしようと相手の所属も名前も地位も分かる。


 修道女の所作で挨拶し、王太子相手なので膝を着いて、胸の前で手を十字にして指先を肩に当てる姿勢をした。



「やはり其方が、いや、カテリーナ様が神聖騎士様であったか、いえ、あられましたか」


 やっぱり祖母と父以外に敬語を使ったことが無い王太子なので、神の遣いでありながら聖女頭として接してくる人物と話すのに苦労する。


 相手は聖女頭と言い、名前も名乗ったので正体が確定した。


 ついでにギルドで偽名登録したのも全部無駄になり、同時登録した人物が芋蔓式に身元が割れる。


 現在修道女会本殿で遺体が公開されている、乙女騎士達15名は死んだふりを認めてくれるが、エトワールと修道女会三役は一旦死んだ設定を認めてくれない。


 自分達が殺された設定の勝ち馬投票券?を大量に買い込んだ、エトワールの野望もここに潰えた。


「殿下が修道女などに膝を屈するなど、あってはならないこと、どうぞお立ち下さい」

「いや、今は神の遣いである貴方様の方が王よりも尊きお方、どうかお立ち下さい?」


 天丼(繰り返しボケ)で先程の再現をする。


「は? エルフさん、神聖騎士ってそんな大層な物なんですか?」

「はい、今も近隣国や大国、私共エルフ国やドワーフ国などが特使を派遣して、御使い様に忠誠を誓うため参集しております」

「エルフ語が分かる?」


 エルフが喋った? ではなく、神聖騎士ユニットがいる場所では全種族が会話できる。


「ご案内します、どうか王宮内までお越しください」

「はあ……」



 魔国侵攻軍、亀形移動要塞内


 巨大な亀の魔獣を改造して、甲羅の下のスペースに居住空間や執務室を作り、魔王侵攻軍全体を指揮している移動要塞。


 魔王本人は、国政だの開発など面倒くさい物は息子に全て譲ってしまい、引退してのんびりと侵攻軍を指揮して楽しみ、魔国領土を広げて金でも女でも、先っぽ?が乾く暇がないぐらいウハウハの入れ食い人生を送っていた。


「逃げたぞっ、親衛隊が手引きしているっ」

「陛下っ、こちらへっ」


 そんな生活が突然終了し、革命起こされて牢屋に放り込まれていた魔王。


 どっかのガリアンに出て来るハイ・シャルタットとかダンバインのバーン・バニングス様みたいな、毎回ブチメカに乗って来ては、主役キャラに倒されて墜落破壊されてしまう、声が速水奨さんの美形キャラが魔王を救出して、飛行兵みたいなロボの格納庫まで魔王親衛隊一同で斬り進んでいく。


 悪の王様に忠誠を誓っている騎士で能力も高いのだが、オーラ力とか何かが不足していて、毎回対戦すると倒されてしまう負け犬キャラで、富野監督にも高橋監督にも嫌われているのか、ズワウスで負けた時など貨物船に救助されて、夕日の中で船員に貸して貰ったのかラクダのパッチでも履いて裸足のまま膝を抱えて泣くぐらい、矢立筆(サンライズ内の共同ペンネーム)に虐められてしまう、気の毒な立ち位置の若き親衛隊長。


 多分、美声とか人気で女性声優を食い過ぎたので、嫉妬から惨めなキャラを演じさせられるのだと思われるが、このキャラも美形なのでオークか何かに負けてしまう。


「ハイファよ、どこに逃れようと言うのだ? 魔国もすぐに神聖騎士に恭順しようと動くだろう、どこにも逃げ場など無い」

「人間国に参ります、このまま神聖騎士の目の前まで駆け込み、どちらが正当な王か判断させるのです」


 追手と切り結んで飛行甲板まで出る。仲間とも合流して火竜騎士なども飛行開始。


 リビングイルでミスリルゴーレムで、竜の魔石が入っているエスカフローネみたいな飛行兵に搭乗して、他の親衛隊員も複座のミスリルゴーレムに魔王を乗せて飛行する。


「どこに逃げても無駄だぞっ、魔国も我らが抑えたっ」

「背教者で異教徒めっ、邪神様に歯向かいっ、全てのスキルとレベルを失って惨めに生きるがいいっ!」


 魔王親衛隊と魔王は、何故か人間の国に亡命する。


 王太子が取引に応じて、魔国調伏で討伐の為に、ゴールデンバウム正当政府とか立ち上げられると非常に困る



 迎賓館


 未だにイミワカンナイ状態で移動する聖女頭で神聖騎士。大広間でダンスホールが会見場に設定されていた。


 まず会場奥の一段高い場所に案内され、いつも通りペガサスもパッカパッカいわせて付いて来た。


『おお、見えられた、あのお姿こそ天の御使い』

『なんと神々しい』

『伝説のペガサス』


 もちろん天使の文武百官も来るので、どこの誰が掛かって来ようとも、暗黒竜が聖女頭の心を盗み出しに来ても無理、城壁からロープ一本でダイブしてスパイダーアクションしても触れられない。


 文官天使と言っても人類には破壊不能なので、オークにも〇ンポにも負けないし、スカイトルメンタみたいに聖書や分厚い本で殴る訳でもなく徒手空拳でも最強で、目からビームでも発射できる。


 武官の方も、大統領警護官みたいに外にぶら下げてある右手は偽物で、ホルスターのプラズマガンをいつでも引き抜けるように握ってるし、スーツケースに入ってるMP5的なサブマシンガンをすぐにでもぶっ放せる。


 持っていないのは核攻撃の発射ボタンぐらいで、ここの来客全員、スナイピングポイントからロックオンされているし、神の杖とか神の雷でも狙われている。


『ああ、神聖騎士様が現れたと言う事は、神話の戦いが始まるのか?』

『邪神騎士との闘い』


 多分、勇者がどうこう言ってる場合じゃない災厄が、平面世界側から用意される。



「さあ、こちらにどうぞ」

「あの? これ王座じゃないんですか?」

「ええ、王よりも尊きお方、これでも足りないほどです」


 一段高い所に座らされ、周囲を見回すと警備の者まで帯剣している程度で、通常の物々しい槍や鎧を見せるのも客人に非礼になるのか、夜会や茶会程度の穏やかな雰囲気で歓談?


 通訳魔法など入れて、いつも通り笑顔で握手しながら机の下では蹴り合う様な、怖いオーラを発している各テーブルで、祝賀外交も行われている。


 そいつらが全員、強国とか宗教国とかの謎ルールで決められた位階順に、神の使途に挨拶に来る。



「殿下、このまま来客前の最初の式典として、神前の戴冠式を強行します、主催国なので式次第はこちらが決定可能です。エトワール様をお呼びするか、正教会猊下もお越しなので、式典を執り行っていただけないか内示しておる所です」

「このまま戴冠か、父上は何をしておられるのか?」


 先王で新修道士長が間に合わないので、モノホンの正教会の猊下に頼んで直々に戴冠式をしてもらう。


 多数の来客で外交官や王族が来ている間に、主催国で神聖騎士出身国として、新たな王を立てて他国代表と対等とし、御使みつかいにも近しい存在と勘違いするような宣伝もする。


 王不在でやると「すわ革命か?」となるが、王様は母親ぶっ殺されて毒気が抜けているし、魔女とモーちゃん見ると膝から下が生まれたての小鹿になるので引退して逃げた。


「可能ならば、神聖騎士様直々に戴冠して頂き、周囲にまるで直弟子か最初の臣下のような印象を与えたいと思っております」

「その手もあるか」


 もっと無理が効くなら、王太子と神聖騎士を結婚させるような政治ショーでも何でも行い、可能な限り自国の地位を上げる。


「殿下、御使い様への不敬とはなりますが、戴冠式の依頼をお願いします。それと女性への礼儀として多少の恋愛感情を見せる必要があります。ダンスに誘うなど口説いたりする社交辞令の話しです」

「そうか、他の奴らも必死に狙って来るだろうな」


 逆玉の輿と言うか、おぼこいババアさえ誑し込んでしまえば、世界の王になれる。


 このジジイで老臣も、色々考えられるぐらい有能なのだが、人が良すぎて破滅した。


「修道女会の聖女頭まで勤めた方なので色恋は難しいかも知れませんが、各国が狙って来ると思われますので、出来れば新聖女様に見せられたような積極的な態度をお示しくださいませ」

「うむ、やってみよう」



 聖女頭なので式典には詳しく、先程も王太子として礼を受けたので、雑多な式でも執り行って貰える可能性が高い。


 まずは挨拶の列が一段落してから前に進み出て、一段下の床面から膝を着いて懇願してみる。


「ああ、カテリーナ様、父に替わり申し上げます。わたくしはまだ若輩なれど、先王引退後は王の座を継ぐ予定に御座います。国母は亡くなったので父は喪に服して出家し、新たな修道士会を開く予定でありましたが、本日は竜の巣へ赴き交渉しておりますので不在。どうか御使い様により来客の皆様の前で戴冠の儀式を執り行っては頂けませんでしょうか?」

「はい、承りました。エトワール様もお呼びしましょう」


 案外あっさり受けて貰え、拍子抜けする王太子。通常こんなことはあり得ず、天使の文官も前例を作らないためにも拒否するはずが、御使い本人の意向なので邪魔しない。


「おおっ、神の使徒御自ら?」

「不敬ではあるが、自らが主催国の王で、これからの御使い様との関係を強調する気か?」


 周辺国はそう思ってくれているが、御使い本人は「エトワール様と修道院長様が戴冠式を執り行い、私はその補助で聖女達の取り纏めを」と本気で考えている。


 自分が世界を制覇した本人とは全く気付いていない。王太子からの依頼も、聖女頭がする当然の職務として受けた。

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