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王太子野望の終焉、牛魔王の浄化

 魔王の封印部屋前


「ベーコンのフライだっ!」


 クモ型の魔物だけでなく、地面を掘削して移動できる各種虫の魔物も出現し、ムカデに蝉の幼虫にカブトムシの幼虫、カナブンかフンコロガシみたいな甲虫、穴掘り名人で掘削の王者、巨大ネズミまで出現した。


「イヤーーーーッ!」

「ヒイイイイッ」


 虫嫌いの人間からすると、ある意味地獄絵図。


「火炎系と爆裂魔法禁止っ」


 系統別の沈黙の呪文かマジックアイテムがあるようで、誰かが使ってNGワードが設定された。


「ホーリーアイスピラーッ」

「ホワイトブラストッ」


 こんな地下の閉鎖空間で火炎系や爆裂系の魔法は使えないので、パニックになってエクスプロージョンとか使う馬鹿もおらずに助かった。


 まずこれだけの人数と魔物が増えると酸素が足りない。


 地上で守護する部隊と、階段の途中に何人か置き、換気の為に強風を移動させているが、階段部分を壊されると生き埋めになる。


 魔女も呪文よりは素手での格闘の方が得意なので、見えない手で虫を潰し、甲殻が固いのが出れば槍や剣も使って頭を切り取る。


 それでも大きくなった程度で所詮は虫の魔物なので、高位の攻撃魔法一発で死に、聖なる魔法の壁は通過できず、氷の壁も設置されて虫の攻撃が一段落した。


「ああ、虫嫌いなのに」

「人生で一番怖かった」


 各々戦果を報告し合ったり状況を確かめて、周囲にまだいる虫を排除するため、範囲攻撃を行う。


 50年前、エトワールが王都の大半の病害虫を消滅させたと言われる白魔法。ニンジャ職になる前に聖女職を極めているので大半の物が使える。


「地の底に潜む哀れな生き物達よ、穏やかな浄土へと旅立たん、ホワイトブレス」


 エトワールの魔法よりは範囲は狭いが、門の前の空間、周囲の地面の中、そして魔王の石棺が置かれている封印の部屋の中にまで効力が及んだ。


「ギイギイギイギイ」

「キャアアアア」

「オオオオオオッ」


 周囲の土の中からも、特に封印の部屋の中からの虫の悲鳴が悍ましく、もし何の対策もしないで開いてしまっていれば大変なことになる所だった。


「うわあ、扉開かないで良かった」


 その封印の扉の方は、魔法だの錬金術だの複雑怪奇に絡み過ぎて、まず開けるのは不可能だったので、虫が通って来た綻びの方を使い、見えない手で穴を拡大しながら掘り進めて行った。


「聖女様、凄い」


 鉄腕アトム的に自分の手で掘りながら前進、死んでいる虫の魔物やネズミの魔物も、大量の土砂も可能な限りアイテムボックスに収納して、落盤しないように突き固めて空間を開ける。


 うず高く積もっている虫の死骸を収納していくと、既に封印の間に入っていたようで、一番下にまだ生きている魔物がいた。


「我が居城に踏み込むのは許さぬ……」


 念話が響くと、人間の首から上だけが巨大化して、口の中に食い物を運び入れる腕状の物が生えている化け物がいた。


 腕に掴んで食べているのは、無限に再生する牛魔王の肉らしい。


 どうやったのか、魔王の封印の石棺は既に開いていて、そこから部品?を取り出しては喰らっていたらしい。


「死になさい、汚らしくて下等な化け物」

「待て、我こそが王太子である、武器を向けるな」


 多数の虫をテイムして使役していたのは、自称王太子だったようだが、首から上しかない。


 先程のホワイトブレスの魔法で大ダメージを受けているようで、目の部分からも鼻からも耳からも血を流している。


「首から下はどうしたんですか? 王太子殿下」


 こんな化け物と会話するだけでも悍ましいのに、それを王太子だと認めて話す聖女にある意味感心する一同。


「体の方は複製を作って何体も活動させていた。我が手足たる虫達や大ネズミを殺したのはお前達か?」

「ええ、襲い掛かって来たので仕方なく」


 もう死にそうなのか、念力とか虫での攻撃も使って来ない。ここに有るのは頭脳体だけで、体は複数体あって外で活動させている模様。


「修道士達を操って、我の新たなる体を作らせていたのだが、それを壊したのもお前達か?」

「そちらは新しく任命された聖人が修道院長たちを倒し、天使体とやらは本物の天使がやって来て太陽の光で焼いて塩の柱にしたようですよ」


 そちらの黒幕も王太子だったようで、こいつを始末すると色々と解決する。


 魔法具で記録はさせているが、法的に証拠物件となるかどうかは不明で、魔王復活とか究極天使体とか作ったので、天使に突き出すと多分死刑で塩の柱。


 ここで口封じに殺してしまった方が後腐れがない。


「さて、もう宜しいですか? 私達が何かしなくても、地上に出れば天使が来て処刑でしょう。もう言い残すことなどありませんか?」

「待て、我を救い出してくれ、治療もしてくれぬか? 褒美は思いのままだ」


 助け出しても後から始末されるのはこちらなので、余り旨味がない。


「皆さん、どうしますか? 王太子を救って見ますか? でも大罪人なので地上に帰り次第、天使が降りて来て塩の柱か、エトワール様の魔法で塩の柱、どうしましょう?」

「王族弑逆とはなりますが、ここまでの悍ましい化け物、生かして置く理由にはなりません」

「もし人間に戻せるなら、法による裁きを受けさせるべきかと」


 ここまでの状況でも、綺麗事を言う暗部の者がいたので少し笑ったが、魔女もそちらの方に賭けてみたい気もしたので治療してみる。


「いいでしょう、皆さまが治しますか? それともわたくしが」

「聖女様にお任せします」

「そうですか、では天使を呼びましょう」


 ここまでの背教者で外法の使い手で現在既に魔物でアンデッドなら、さぞや悪辣で高位の魔族が降りてきそうだが、お兄ちゃんからの命令が優先されるので、性根を叩き直して真人間として修復する。


「ああ、天使が……」


 王太子が求めてやまなかった天への道、今それが目の前にあり、手を伸ばせば届きそうな位置にあった。


「天使よ、我をいざなえ」


 その願いは叶わず、穢れ尽くした体は修復できなかったので、元通りの新しい体、それも少年の頃の青雲の志を持つ若い体がプリントアウトされた。


「聖女よ、感謝する、この謝礼は必ず」


 またローブを手渡して、粗末なものを隠して貰う。天使の強制召喚なので真人間になったらしい。


「其方、我が妻とならぬか?(////) その聖なる力で是非我が国を導いて欲しい」


 天使を呼ぶ竜魔術で治療されたので、プリンセスメーカーのトゥルーエンディングみたいなことを言う王太子。


 育成終了しても王子主催の舞踏会が始まらず、魔王軍襲来の報告が入り、今までの武闘会のライバルたちと協力して魔王軍を退かせ、更に本陣に斬り込んで魔王の首級を上げて来ると現われるエンディング。


 全ステータス999でカンストしていると始まる、プリンセスではなく女王エンドだが、魔女はそこまでカンストしていない。


「いえ、わたくしなど非才の身では、到底国を治めることなどできません、王族の皆様にお任せします」


 多少美形だが、この程度では暗黒竜の男ぶりには叶わないので断る。


 以後修道女会の中で、「王太子を振って女王の地位を蹴った聖女」と言う、ありがたくない名を頂戴することになる。


「左様か、だが諦めぬぞ、いつか我が伴侶として、国と民を清浄な浄土へと導いて欲しい」


 こちらが本当の王太子の夢だったのか、天の運航にすら歯向かって、民草を浄土へと導き、神の国へと至るのが目的だった様々な行い。


 それすら下々の愚かに過ぎる行いで捻じ曲げられて行き、金や地位や権力を求める者の食い物にされた。


 暗黒竜とその弟達に計画が発覚して破壊、更には下級天使の軍団によって計画の全てが崩壊するまで処理されてしまった。


 これがナディア(誰?)なら、色々な残骸とかネロの亡骸とか、ガーゴイルが塩の柱になった跡とか映されて、ネモが「生きろっ」と叫んで流星が落ちてエンディングに入り、エピローグもする所だが、まだもう一つやる事が残っている。


 牛魔王の亡骸の処理である。



 光る翼で飛行して石棺の上に乗ると、外部からの虫の飽和攻撃か、石棺が破裂するまで虫を入れたのか、破れないはずの蓋が開いていて中が見えた。


 蓋を本格的に撤去すると、前魔王は魔眼の持ち主にでも16分割ぐらいに切り離されていて、首だけの王太子に食われ続けても再生して、何かを小声で呟いていた。


 魔女は口元に耳を寄せて聞いて見た。


「クロネカリ、クロネカリ」

「は? わたくしなどを後継者にと?」


 思わずデギン・ザビごっこをしてしまうお茶目な新聖女だったが、魔国語なので何を言っているのか不明でも、戦場に行ったジョニー君やエレファントマンさんみたいに「コロシテ…… コロシテ……」的な事を言っているのが分かった。


「はい、すぐに済ませましょう」


 石棺の周囲にも暗部の者が登っていたので、魔王昇天の儀式でもやってみる。


「皆さんっ、聖歌をっ」

「はいっ」


 聖女たちの合唱により神聖な空間が広がり、王太子の巨大な首の残骸や虫の死骸など一瞬で浄化されて崩壊して行く。


 魔王の玉体も神聖な光で蝕まれたが、この程度の儀式では消滅しない。


 魔女はいつもの感度3000倍で、攻撃力も3000倍の剣を抜き出し、刃を下に向けて十字架のように翳し、祈りを捧げた。


「聖なる神よ、前魔王の魂をお返しします、天に迎え給えっ」


 格好つけて儀式をしているようだが、周囲の人物は聖女を極めた聖魔法持ちでも、こいつは魔力ゼロの平民。


「天へと還れっ」


 レベル400の竜戦士の攻撃力が3000倍なので、防御魔法も身体強化も何も展開していない哀れな生物は、細胞まで砕け散って爆散した。


 16分割されている分体も、全て消え去った。


「ああっ、魔王の穢れた体が全てっ」

「神よっ」

「聖女様っ」


 何か周囲で感動して泣いている連中がいたが、魔女はアヘ顔を記録されないように下を向き、まるで泣いているかのように見えたとも言われる。


 アヘ顔硬直している間に、魔王の魂らしきものが瞑目して合掌してフワフワしながら天に昇って行きそうだったが、小さい天使のお迎えも無く、パトラッシュが引いている荷車も無く、地獄からのお迎えも無かったので行き先が無かった。


 引き取り手も無いようで、結構モフモフで可愛かったので、つい見えない手で掴んでしまった魔女。


 牛魔王も「え? 何で? 昇天させてくれるんじゃなかったの? あれ?」みたいに驚いていたが、硬直期間が終わった魔女はこう言った。


「わたくし如きの法力では、魔王を昇天させることはできないようです、こうなっては仕方がありません」


 ポケットにでも入れるか、アイテムボックスに収納して持って帰っても良かったが、途中で成仏されて消えるといけないので、無断で復活の呪文を使った。


「聖女様、何をっ」

「お止め下さいっ、魔王の復活などっ」


 これが竜魔術の復活だと知っている者が止めたが、魔王は復活してしまった。


 全長50センチぐらいの、産まれたての乳牛か肉牛がプリントアウトされ、石棺の中に転がっていた。


「は?」

「え?」

「モーーーッ」


 まだらのモフモフ牛は魔女に懐いて、今までの永劫に続くかのような苦痛を取り除いてくれた人物に感謝した。


 魔女の足にスリスリして、靴とか足も舐めて「足の裏でも舐めまっせ~」ぐらい懐いていた。


「モーーー、モーーーー」

「こ、これは?」


 鑑定眼持ちが鑑定するとレベル1で職業が「牛」、特記事項の所に「竜騎士村、ターニャママの牛の従魔」と書かれていた。


 括弧内に元のステータスやレベルが書かれているタイプの従魔で、多分愛の女神イーノマータ的にチューでもしてやると封印が解除されて、ヨーコさん(誰?)を救う時だけ強大な力を発揮するらしい。


「モーモー言うので貴方は今日からモーちゃんです」

「は?」

「ひ?」

「ふ?」

「へ?」

「ほ?」


 魔王を従魔にして牛として飼う人物などこの世に存在しないので、さしもの暗部のニンジャたちも口をあんぐりと開けて驚いていた。


 魔法少女と言えば、マジカルロッド的な物を持って来て、変身コンパクトとかアイテムを渡して変身させ、一緒にお風呂に入りたがる淫獣が必要である。


 本体は10歳ぐらいの少年なのに、なのはさんに拾われた時は弱り切っているフェレット形態で、その後も入浴シーンには必ず同行する淫獣。


 大魔法峠の田中ぷにえさんが、わくわく動物ランドに行って「うぬがパヤタンか?」と言って、抜き身のナイフみたいなギラギラした目で決闘を要求して、関節技無効のパヤタンに、ヘッドロックを掛けて頭蓋骨に関節技を極め、脳を締め上げてギブアップさせたような手段でお供の妖精とか淫獣を入手した模様。


「さあ、行きましょうか?」

「モーーーーーーッ」


 先程まで悪逆非道だった王太子まで目が点になったが、ミッションコンプリーツしたので地上に帰る。



 王の私室


 また伝声管から鈴の音が鳴り、傾聴すると次の死人の話を切り出した。


「王太子殿下、各地で活動停止、魔王封印の間にいらした頭脳体が弑し奉られた模様」

「おのれっ、王太子までも殺しおったかっ? 我が孫を二人もっ、ゲフッ、ごはあっ」


 毒婦で国母も憤り、本命と思われた王太子まで魔女に破壊されたのだと思い、怒り狂って喀血した。


「母上っ」

「大丈夫?」


 この化け物はアンデッドに近い状態なので、エトワールの治療呪文など掛けると、治療にならずダメージを受けてしまう。


「錬金術師っ、国母様のお体を維持せよっ」

「はっ」


 王や大公ですら知り得ない計画で、毒婦と王太子だけが知っていた天上へと至る道。


 王太子が新たな体を得て、究極天使体となって魔法力を持って天への道を開き、民草を浄土へと導き、この地を王道楽土に変えようとしていた案件。


 それすら天の運航に逆らう行いとして、暗黒竜や聖人に発覚して、天使達の妨害にも会い、この瞬間に全てが潰えたのだとメスガキに分からされた。


「ああ、知ってたよ、知っていたさ、何もかも間違ってるってねえ」


 人造勇者に牛魔王蘇生、人造天使に近隣国の通貨偽造による不安定化工作。


 虫へのテイム程度しかスキルがない負け組筆頭の第一王子が、地下牢送りになってから虫使いを極めて暗殺を繰り返し、敵の脳に直接虫を送り込んで操作し、父王の周辺まで浸食して従者や文官まで使役した。


 毒婦の悪友でズットモで、暗殺に協力して国盗りにも力を貸してくれた修道女会はそのままで、対立する修道士会を利用して、修道院長以下三役や上位の者達の心の闇や願望に付け込んで、虫を使って脳を支配し、王位どころか天への道を駆け上ろうとした王太子。


 まるでイカロスの如く、天に近付きすぎて蝋を塗った羽が溶けてしまい、いつか堕ちて地上に叩きつけられて死ぬのは毒婦とて知っていた。


 それでも哀れな孫の願いを聞き、自分と同じ不遇系の極致を歩んで来た第一王子が、視力も両手足を奪われてからでも、あの地下牢から虫を使って這い出して、虫で作った複製体を用いて挨拶に来たあの日。


 地下牢から同じ地下にある魔王の封印の部屋に至り、封印の石棺まで開いてしまい、その力を全て復讐に使っても誰も攻められないにもかかわらず、民草を救って哀れな子羊たちを導く羊飼いとなると言った可愛い孫。


 まるで雲を掴むような有り得ない計画で、哀れに過ぎる妄想。


 絶対に成就はしないが、その夢を一緒に見ていたかった国母。ほんの一時だけ苦痛から逃れることが出来る阿片の様な救いと赦し。


 それだけが心のよすがであったのに、その儚い夢も潰えてしまった。


「ううっ、ああああっ」


 長男の亡骸が冷たくなって行くのを見守ってから、涙など枯れ果てたと思っていたが、毒婦の目に悲しみの涙が戻って来た。



 苦渋の塔、地上


「養父様、陣頭指揮ありがとうございました、地下牢の皆様は退避できましたか?」


 地下牢の住人は、衛兵や馬車を使って修道女会へと搬送、塔の住人も運び始めていて、衣服などを整えるのは後回し。


「おお、それよりもその恰好、どうしたのだ?」


 魔女は頭から虫ジュースとか土とか泥とか大量に被り、他の者も聖女の法服が泥だらけで、虫の体液とか色々な物で汚れていた。


 地下から駆け上がって来た者の第一報を聞き、王太子の頭脳体が封印の間にいて、外に指令を出して自分の複製体や修道士会を操っていたことも聞いた。


 魔王の封印の間は虫によって開いていて、石棺まで解放され魔王の亡骸は王太子の養分にされたり、修道士会で作成されていた牛魔王の複製も全て王太子の仕業。


 天使に似せて作られた魔法生物も魔王が素材であり、それが王太子の新しい肉体となり、天への道を開く大魔法を行使する寸前だったことも教えられた。


「聖女様、生活魔法で清潔にさせて頂きます」

「ええ、ありがとう」


 ここまでの事件を全て解決し、魔王の亡骸を浄化して消し去ったので、国家的大英雄で、スターウォーズのエンディングとかネギまなら、王宮で表彰を受けて当たり前の状況だが、第一報では「な、何を言っているのか分からないと思うが、牛魔王は牛の従魔として聖女様がテイムした」とか、意味不明の事を言っていたので、若返った大公でもイミワカンナイ。


「モーーー、モーーーー」

「この子が生まれ変わった牛魔王、名前はモーちゃんです」

「は?」


 色々と情報量が多すぎて、思考や認識が追い付かない。


「体を浄化して消すことはできましたが、魂を天に帰すことはできませんでした。誰かに召喚されて悪用されるよりも、手元に置いて弱いまま従魔として飼う事と致しました」

「ひ?」


 大公も魔王を従魔として飼う人類など見たことも無いが、目の前に出現してしまったので認めるしかない。


「叔父上、ご無沙汰しております、地下牢や魔王封印の間より帰還致しました。王太子ザレクトスに御座います」

「ふ?」


 大公の記憶では第一王子は幼い頃に早々に地下牢に放り込まれ、死んではいないがまともな扱いを受けていなかったはず。


 十年ほどしてどうやって戻ったのか王宮に復帰し、何故か国母に気に入られて政敵も排除、後継者レースを駆け上がって王太子になって、伏魔殿の魔王で国母に次ぐナンバー2になった所までしか知らない。


 影武者が沢山いて、意のままに動かせる従者も多いと聞いていて、国母とエトワールが修道女会を支配し、王太子は修道士会などを手足としているとも聞く。


「王太子殿下、エトワール様の白魔法の中でも平気ですか?」

「ああ、この身は其方が清めてくれた、この光の中でも塩の柱にもならず、大罪人として天使に処刑もされぬようだ、本当に感謝する」


 大公の目の前で、王太子は魔女に跪いて、手の甲にキスをした。


「我は聖女ターニャに永遠の忠誠を誓う、この身果てるまで、我は其方の剣であり盾であり鎧とならん」

「へ?」


 第五王女に続いて、王太子までが魔女に永遠の忠誠を誓った。


「叔父上、私は今後、聖女ターニャを妻に迎えたいと思っております、宜しければ彼女の養父としてご助力ください(////)」

「ほ?」


 LOVEって脳がとろけているのか、身分差とか一切考えていないようで、これだけ実績があって身分ロンダリングも二段階なので不可能ではないが、調べられると一瞬で平民だとバレる。


「我らの愚かな計画は潰えましたが、彼女の聖なる力ならこの世界全てを王道楽土として平定し、いつか天への道を開き、王国民を56億8千万年の彼岸の地で清浄な大地へと導き至るのも不可能ではありません」


 王太子の目も瞳孔開いちゃってる系統の、狂信者の目になっているのに大公も気付いた。


 神仏習合しているのか、結構デタラメな宗教観で、ゆかりんを崇めている王国民でも導こうとしているのかも知れない。


 改心しても若返っても、思考形態は変わっていないようで、青雲の志が乗っかっている分さらに悪化した。


(ダメダコリャ)


「さあ、御婆様、国母様にもご紹介します、お出で下さい(////)」

「ええ」


 もうkoiしちゃってるのか、頭イカれている王太子は、毒婦で祖母の前に魔女を連れて行こうとした。


 頂上決戦で月光蝶であるッ。

カクヨムさんにも投稿してみました、昔はマルチ投稿と嫌われて禁止されていましたが、他の作家さんではよく見るので掲載させて頂きました。


色々とやらかしてしまったようで、ブックマークが増えるどころか減って行きます。


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