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暗殺相撲

 竜の巣~竜騎士団


 口論の末、次男にどうしても付いて行くと言った契約竜で番のグリーンは、次男を乗せて飛行していた。


 前方でヤンキーホーンをパラリラパラリラ鳴らして、チンドン屋みたいに鳴り物ガンガン鳴らして蛇行している一団にはすぐ追い付き、ゆっくり追走していた。


「テメエ、何もんだ? お前どこ中よ?」

「ああ、俺、炎竜の娘の弟、人間だけど炎竜のオバチャンとも顔見知りだから、ちょっと仇討ちにね」


 ヤンキー風の誰何を受けたが、ブチ切れてる所から多少頭が冷え、即誰でもぶっ殺すような状態から、比較的紳士的?に返答した。


「やめとけ、グリーンドラゴンに乗ってるってことは、こいつが次元竜殺しだ」

「はあ?」


 ここにも出現した「やめとけ親父」が来て、イミワカンナイヤンキー竜。


 人間の顔など見分けが付かない一同だが、グリーンに乗っている人間は危なすぎる基地の外にいる奴と決まっている。


「竜の試練で妹怪我させられたら、次元刀飛んでくるの、わざとゆっくり歩きながら交わしてよ、目の前まで来られた次元竜のオッサンの方がビビッて泣き入れたのに、タコ殴りにして翼引き千切って、どっちが頭か尻尾か分からなくなるぐらいのミンチにした奴だ、逆らうなよ」

「うへぇ」


 竜の試練は殺し合いでは無いので、ある程度実力があれば通してくれる。


 次元竜が飛ばしてくる次元刀は、防御呪文すり抜けて来るので、ダインとか三女がやられてしまい、カーチャも長男も後衛逃がすのに一旦撤退しようとしたのに、一人でぶち切れて歩いて行き、次元竜と鼻付き合わせてチューするぐらいの距離まで行ってガン付けして、次元刀飛ばす以外に特にスキルも無いヘタレがガクガク震えて降参しても許さず、全殺しぐらいヤった基地の外に住んでる住人。


 長老直々に処罰されて、所属していたチーム破門、五か月ほど牢屋入り、それ以降竜の仲間と会えず、顔も性格も知られていないが、一回少年院に懲役行ってるぐらいの外道。


「パラリラパラリラ」


 鳴り物が無いので自分で言ってみた次男。グリーンの方がガクガクブルブルしていた。



 竜騎士団


 二匹目の対戦相手が出て、人間側はカーチャの従者になった力士が出場。


 対戦している間に、次男は鑑定眼持ちのパシリに話し掛けてみた。


『なあ、兄さん、敵方の中で、炎竜のオバチャンぶっ殺した奴、誰か分かるかい?』

『あ、えっと、ちょっと見てみるでやんす』


 年長らしいので一応敬語、既に人間側では無いのか「敵方」扱い。


 鑑定眼持ちはコミュ障なのか、知らない怖すぎる奴に何か言う前に、あ、とか、え、そのが必ず入る吃音気味。


 相変わらずオーラか闘気によるものか、身長5~10メートル有るように見える力士。


「ハッケヨイッ、ノコッタッ」

「秘奥義、千手観音張り手っ」

『ぐあああああっ』


 力士は四分身でもしたように、象より大きい竜の周囲を移動し、掌底で殴り倒すベアナックル並みの攻撃で、倒れることも許さないタコ殴りで小僧の竜を葬った。


「人間方の勝ち~」


 軍配を竜騎士団側に向け、懸賞金を渡している暗黒竜。


 力士も三方を切ってから受け取り、花道を退場して行った。


『あ、その、左から四番目、細くて背が高めの奴でやんす、竜の討伐数があいつだけ二回になってやす。偉そうで金色の房が肩に付いてる二人、あいつらは一回でやんす』

『へえ、ありがとう、兄さん』



 次は人間方から片手片目だった教官が出て来て、救ってくれてレベルアップまでしてくれたカーチャに、義理を返そうと踏み出した。


「次は俺だ、どいつが俺の相手だ?」


『あいつもレベル310、こっちも竜レベルで30以上ないと負けるでやんす』

『よし、お前行け』

『押忍』


 鑑定眼持ちの竜が、教官もレベル300ぐらいあると鑑定したので、竜側も勝てそうな奴を出す。


 最初に勇者が出て来たので、殴り合いも相撲もしないで愛の告白するような炎竜の息子を出したが、鼎戦の逆で最強の相手に最弱で答えた。


「ハッケヨイ、ノコッタッ(ヘブライ語)」


 行司軍配が上げられて対戦開始、体重では負けない竜も、ストレングスとかは同等、教官に身体強化を使われて押し負ける。


「ノコッタ、ノコッタ」

『うおおおおおっ!』


 二連敗してこれ以上負けられない竜の中坊も気合入れて押すと、大きさの違いがあって投げを打てない教官は、ついに押し負けて後ろに倒れ、わざと踏み潰してやると胃袋の中身を吐き出した。


 夕方頃のレベル40程度の、一般人よりちょっと強い状態だと、踏み殺された女中みたいに内臓破裂で肋骨全損するが、身体強化により路上にお好み焼きを焼いた以上のダメージは負わなかった。


「いやあ、参った、負けて申し訳ない」

「うむ、良い勝負であった、良ければ貴殿も我が家で雇おう」

「宜しいんで?」


 力戦を認められ、教官もカーチャの従者で侯爵家の家臣となった。


「また何か与えてやれ」

「へい」


 力士に渡したほどの大剣ではないが、竜の巣に置いて来たアイテムボックスの搬入口に、まだ売れていない竜の鱗の剣が入っていたので手渡す勇者。


「おお、これが……」

「氷竜の鱗の剣でやす、氷魔法も出せるスグレモノでさあ」

「ありがたい」


 教官は十両力士と違い、日銭や金に困っているが、侯爵家から契約金とか支度金が出るのでオッケー。


 これがモロにアイスソードなので「ころしてでもうばいとる」対象品。


 氷竜の鱗なので、異世界おじさんに出てくるヒロインみたいに、恋愛対象のオーク顔のおじさんを見ると、氷でできた剣がビチャビチャビチャーと溶けだしたりはしない。



 余り殺伐としていない、力士同士の相撲十番勝負。そこで小隊長が名乗りを上げると、殺伐とした奴が割って入った。


『兄さん、あいつで間違いないよな?』

『あ、うん、そうだよ』

『じゃあ、悪いけど俺に行かせてくれ、頼むよ』

『ああ……』


 次男は、今日のかしらで隊長でも、断れないような表情で出て行った。


「おい、何でテメエがソッチ側にいるんだ? 人間辞めたのかよ?」


 暗黒竜の長男に釘を刺されたが、普通の表情で答えた。


「ああ、ちょっと動けない兄貴とベル姉の代理でな、オバチャン殺した奴と決着着けに来たんだ」

「その面、人殺しで竜殺しの顔だ、やめとけ」


 ここにも出現した「やめとけ親父」は、弟の目が狂っていて、瞳孔開いちゃってるようなイカれ過ぎた目を見抜き、炎竜の叔母?の仇討ちに来た馬鹿を止めようとした。


 まあここまでブチ切れると止まらない性格も知っているので、実力行使以外で止める手段を思いつかなかった。


「団長様、あいつダメですわ、あんなのと組ませたら、小隊長殺されやす、おらが代わりに出ますだ」

「君の弟ではないか? 何故あちらに」

「炎竜のオバチャン殺されたのに、長男もベルも出られないから、あいつが来たんでやしょう」


 カーチャが走って行き、次男が小隊長殺そうとしているのを止めに行った。


「小隊長っ、アレはダメだ、絶対殺しに来てる、おらが代わりに……」

「いいんだ、彼もけじめを付ける必要があるんだろう、炎竜を殺してしまったのは私だ、逃げも隠れもしない」

「いや、そんな話でねえですよ」

「彼もレベル350、私もレベル370にしてもらえた、体の大きさでは勝っているけど、胸を借りるつもりで立ち会ってみるよ」

「でも……」


 小隊長はカーチャが止めるのも聞かず、上着を脱いで次男の前に立ちはだかった。


「炎竜にメテオストライクを撃ち込んだのは私だ、君の兄と炎竜の娘が足元にいたのは知らなかったが、竜騎士団に下された命令で、こちらも消えない炎を着火されるのを知った上で命懸けで攻撃をした。言い逃れはしない、君の怒りは正当な物だ、甘んじて受けよう」


 騎士だけに綺麗ごとを言い、自分を暗殺しに来たような愚連隊にまで清廉潔白な態度を取る、ある意味マヌケすぎる小隊長。


「なあ、兄さん、こいつだけはやめとけ、レベルが上でも潜って来た修羅場の数が違う、相撲とかまともな手は使わない、あんた殺しに来たんだよ、コイツは」

「ダリーシュ卿、ご忠告感謝します、でも私は彼の姉の母親を殺し、竜騎士団は彼の兄を殺した。その怒りは誰かが受け止めなければならない、それは無辜の市民であってはならない」


 暗黒竜も勇者も、次男ぶん殴って気絶させて止めようとしたが、お綺麗な人物は一回死んでも良い感じで、生き返らせることが出来る人物も増えたので、苦しい経験で痛い授業料払ってでも、この世にはまともな人間が決して救えないようなクズとかカスがいるのを思い知ってもらう事にした。


 今この場なら救えるが、どこかで隠れて暗殺されると救いようがない。


 殺した後グリーンの腹の中にでも入れられると、勇者の呪文でも復活させるのは難しくなっていく。


「どうしたのかね? 彼は荒事が嫌いで魔法師団を選んだはずでは?」

「へえ、戦場でも普段は偉そうなヤクザ者は、怯えてしまってさっぱり役に立たないって言うでしょうや。こいつはその逆で、危なくなったらスゥっと静かになって、次元竜殺しでも何でも、神竜の目の前でも引かなかったアタマオカシイ奴なんでさあ」

「神竜でも?」

「そんなだから、普段は人殺しにならないように、喧嘩とか刃傷沙汰起こさないで逃げてやすが、いざとなったら頼りになると言うか、妹怪我させられたからって、次元竜のおっちゃん全殺しにして半年ぐらい牢屋に入れられた奴なんで」


 まあ色々と手遅れで、立ち合い寸前になっている二人。小隊長も燃える目で向かい、次男は両目見開いてガン付け。


「ハッケヨイッ、ノコッタッ」


 暗黒竜もヤバくなったら止めようとしたが、そんな隙は与えてくれなかった。


(左腕一本くれてやるっ)


 次男は光になった。


 身体強化最大で、縮地とか加速も踏み込みも足の健が切れる寸前まで最大、左手の肘を差し出して、インパクトする瞬間に合わせ、肘の先の一点に防御呪文も強化も集め、小隊長の肋骨圧し折って、その向こうにある心臓をトマトみたいにグチャグチャにすることだけ考えて突っ込んだ。


 突き当たると肘も二の腕の骨も折れたが、小隊長の肋骨も全損、残っていた腕の骨を通すのに、右手の掌を左手の掌に突き当てて、心臓の中にある心や魂まで突き通す勢いでブチ抜いてやった。


「ぐほあああっ!」

「死ねええっ!」


 小隊長も身体強化はしていたので、体が四散したり爆散する所までは行かなかったが、衝撃波が背中まで突き抜け、二人とも絡み合うようにして兵舎に突き刺さった。


「やっぱりやりやがったな、クソガキがっ」

「小隊長っ!」


 途中で抱き止めるのも考えたが、急激に止めると脳が耳から噴き出すぐらいの加速だったので止められず、兵舎が壊れてクラッシャブルストラクチャーになってくれて、バラバラになることによって急減速を避けてくれた。


 瓦礫から二人を引き出すと、グチャグチャになった次男の左腕が刺さってしまい、取り外すのも難しかったので引き千切り、異物をできるだけ減らして四分以内で復活させる呪文を唱えた。


「て、天命が尽きてる……」


 本当に天命が尽きると、勇者の復活呪文でもエトワールや聖女を極めた者の呪文でも復活はしない。


「クソッ、どうにかすんぞっ」


 暗黒竜は長男を復活させる時みたいに、竜の涙とかマウストゥーマウスでチュー入して、腹がタプンタプンになったらエリクサーもチュー入。


 あの場限りの適当な嘘ではなく、今までにも何回か試した、暗黒竜の息吹とか体液を入れてしまい、ほんの少しでも天命を分けて強化する手段だったらしい。


 これで駄目なら口から小腸に達するまでの時間も惜しいので、すぐに吸収が始まる下の口で、小腸から特濃の白い血を入れたり、口から赤い血も入れるか、ケツ液を吸ったり吸わせたりする。


「もう一回だっ、今度は勇者の呪文っ」

「へいっ」


 大天使を召喚すると、天命が尽きたはずの小隊長が息を吹き返した。


「ゲハッ、ゴフッゴフッ」

「小隊長っ!」

「ふう、どうにかなったか」


 放り出されて転がっていた次男も、自分で治療呪文を唱えて左腕を生やして起き上っていた。


「ハアッ、ハアッ、ハアッ、クソッ、殺し切れなかったか? 魂までぶっ壊す勢いで殺ったのによう」


 最初から天命が無くなるぐらい削って、復活すらできないのを目指してやった殺し。


「クソガキがっ、歯ぁ食いしばれっ」

「このアホウがっ」


 暗黒竜と勇者の、顔とボディーへのダブルインパクト、これで死なない奴がいれば世界最強決定。


「イヤアアアアアアアッ、殺さないでえええええっ!」


 グリーンが泣き叫ぶ声がして、二人共ガチ殴りするのを止め、前歯全部圧し折ってマジゲロ吐かせるぐらいに変更した。


「ぐはあっ」


 それからも転がした後の追加で、蹴り入れてストンピングで踏みつけて、結構な回数と時間ボコってやった一同。


「もうやめよ、弟であろう」


 トリーが仲裁に入ってくれたので、蹴り入れまくってボコるのは中断した。



「へへ、オバチャン、見てるか? 殺り損ねたけど結構追い込んでやったよ」


 天空に、無茶しやがって、みたいな炎竜が見えたような気がした。


 大分ピヨらされたので、長男も見えたような気がした。


「いや、兄貴死んでないから」


 元の魂がそのままで、体だけ再生されたのならそうだが、暗黒竜が何かを注入して無理矢理復活させたのなら、元通りの人物だとは限らない。


 いつもの「また自分の体じゃない~~」的な拒否反応は示していないので、完全別人ではないが、似たような何かが臨時に入っているだけなのかもしれない。


「ベル姉、帰ったらお礼にチューぐらいしてくれねえかな?」

「ガアアアアアッ」

「この状態の番を噛むかよ、お前は」


 泣き笑いで噛み、どうにかクソねえにも殺されずに済み、次男も復讐で暗殺を一旦済ませてスッキリして元に戻ったようなので、泣いてえずきながら治療呪文を掛けてやったグリーン。


 この平面世界でも魂は常時枯渇しているので、異世界からメガミシステムで無理矢理クラスごと連行してくるか、不遇系病気大怪我系寝たきりゲーマーとか、招待客的にチートでも与えて増やさなければならない。


 とにかく足りないので、知能が低い動物に魔物に魔獣は人工的に作った魂で代用、植物でも魂を持っているのは世界樹ぐらい、腐った奴隷的人生を送るNPCも生体アンドロイドも代用品で済ませてある。



 正常に戻った小隊長に水など飲ませて、天命が尽きていたので復活させられないかと驚いていたが、暗黒竜が色々とチュー入して生き返らせてくれたのだと伝えた。


「えっ?(////)」


 小隊長も「そんな大きな黒船入港しちゃったら、拙者の浦賀港壊れちゃうよ」の侍みたいな乙女の顔になって、カアアッと顔色を変えて唇を押さえた。


 折角モテ期が来ていたのに、残念ながら暗黒竜に心の在りかの大切なカギを奪われてしまったようで、ステキなルール違反をする盗賊で怪盗に、心まで盗まれてしまった模様。


「カーチャ、君の兄さん、かっこいいな(////)」

「へ、へえ……」


 竜騎士村にも沢山いる犠牲者と同じく、小隊長も誑し込まれて落ちてしまったようで、残念な気もしたり、家族の仲間入りしたようだったり、複雑な感情に満たされた勇者。



 その後もけじめをつけるためと言って、竜騎士団長に副団長まで相撲に参加し、団長は勝って意地を見せた。


 何故かストナのクソ親父まで参加し、ゴマちゃんのアシベ君みたいな博愛固めを極めた。


「ハッケヨイ、ノコッタ」

「は~い、べえべえべえべえ、よ~しいい子だ」


 竜のクソガキの扱いは心得ているようで、突いて欲しいツボとかスイッチは知り尽くしているので、痒い背中を掻いてやったり、ムツゴロウさんみたいに「この子、こうしてたら眠ります」的なスイッチ押しまくり。


『あう~~ん、きもちいい~~~ん』


 まるでカピバラの尻尾の付けのをカキカキしてやると熟睡してしまうように、竜でツッパリの中坊など、赤子をあしらうが如き手練手管で、腹を上に向けて野生も忘れて、手足を伸ばして大の字になり熟睡させられてしまった。


『グ~~、グウ~~~』

「べえべえべえべえ」


 まるでパパに抱っこされて寝てしまったように、完全調伏でテイム済み、鑑定眼がある竜が見ると「人間の従魔、主は竜騎士村のストナ」と表示されてしまった。


『アニキは、あの人間にテイムされました』

『やべえ、ある意味一番やべえ敵だっ』

『恐ろしい人間だ』


 以後、険しい表情をして喧嘩ばかりしてテッペン目指していた中坊は、憑き物が落ちたような穏やかな表情になり、度々新ストナ家を尋ねたり、竜騎士団に行って騎竜になるにはどうすればいいのかカーチャに聞きに来た。


 別の意味で誑し込まれた竜の少年が、父親の愛を覚え込まされて堕ちた。


 他のレディースの娘とかツッパリの中坊、小さい頃に両親が別居してしまい、母親だけに育てられてネグレクトされて虐待されて育ったヤンキー竜は、行ってはならない所にふらふらと歩いて行ってしまい、ストナに博愛固めを極められ、父親の愛情を浴びるように受けて完堕ちした。


「べえべえべえべえ」

『グ~~、グウウ~~~』

『あう~~~ん』


 何かが欠けていた竜生?に、必要だった物を与えられてしまい、全員満ち足りた気持ちで眠った。


 オスもメスも関係なく愛され、心のどこかで欲しかった物を見付けてしまい、生まれて初めて心安らかになって眠った。


 今までは研ぎ澄まされた刃物で抜き身のナイフのようだった心が、折れるのではなく優しい鞘に常時包まれたようになり、今までにはなかったバックボーンの様な物ができて、父親に叱られたり褒められたりするのが子供には必要なのだと思い至り、とても穏やかな気分で眠り続けた。


『な、何故殺したし……』

『て、テメエ、覚えてやがれ、また来てやるからなっ』

『怒羅魂っ、撤収っ!』


 相撲では無かったが、ストナが六人抜きしてしまい、余りの恐ろしさに竜の集団も帰ってしまった。


 この場合、一歩踏み出せなかったヤンキーも、一対一のタイマンにすれば、一瞬でテイムされてべえべえされても、仰向けで大の字になって眠っても恥ずかしくないので、日を改めてテイムされに来る、という意味である。


 本来帰る前に相撲甚句でも歌い、敵を称える歌唱をしてから帰るのが習わしだが、それは今寝ている連中が翌朝になってから行って、人間の従魔になったのに主を置いて一旦帰った。


 全員数日以内に荷物を纏めて、レディースは竜騎士団か新ストナ家に引っ越してきたり、オスの方も近くの山に拠点を移して、「やったね、たえちゃん、家族が増えるよ」になった。


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