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今代王と王位継承権を争った者達の解放、毒婦出現

 苦渋の塔


「さて? 上から行きますか下から行きますか? 先代魔王の亡骸、多分復活作業が行われていますが、どうします?」

「そのような危険な場所っ、デイジー様やエトワール様もお呼び致してからの方が宜しいのでは?」


 流石の暗部の者も先代魔王は恐れ、亡骸ならまだしも、動き出していれば太刀打ちできないと思っている。


「皆さん、今のご自分たちのお力をお忘れなく、地下にいる弱弱しいのは十分倒せますよ」

「は、はい……」


 それでも皆、膝から下が産まれたての小鹿になっているので、まず上の階から踏破する。


「一階フロア、安全確保っ、煙無しっ」

「第一隊よりエントリー」

「現場ヨシッ」


 外壁が頑丈なので爆破エントリーはせず、トラップまみれな感じの通常のドアも、天井側や壁から現場猫的にエントリー。


 本日死番の第一隊から入るが、とりあえず落とし穴的なトラップも転移トラップも無し。


 魔女も空飛んでいるのと、ニンジャも浮遊魔法で浮いているので落とし穴は無効。


 まだ入り口付近なのでインディジョーンズ的な大石が転がって来るのも、古典的な天井が降りて来る系統のトラップもなく前進。


「第一室、開錠っ」

「第二室、開錠っ」


 要救護者がいるはずだが、死の穢れに満ち満ちた場所なので、既に魔物化して人の心など失っているのが出て来る。


「リッチだっ!」

「従者がヴァンパイアッ!」


 まだ一階の最初の部屋なのに、地下十階の転移迷宮の最奥にいるワードナ(誰?)とヴァンパイアロードみたいなのが出現して、ガクガクブルブルしている一同。


 実力的には治療魔法とか駆使すれば十分倒せる相手なのだが、先日までの一般職のアサシンで修道女なら、絶対に太刀打ちできる相手ではないので恐れ、やっぱり膝から下が産まれたての小鹿になって戦闘不能。


 魔物に驚かされた。


 ここで普通なら先制攻撃を食らって、ティルトウェイトクラスの魔法食らってヒットポイントが低い後衛が全滅したり、前衛もエナジードレインも喰らって「レベルを2も下げられた」りする所だが何故か攻撃されなかった。


 バタフライナイフとか使って全部の魔法を覚えさせたビショップをニンジャにしたような高耐性な者でも、一旦レベルを下げて貰えると次のレベルアップまでの数値が正常になる裏技も使える場所。


「皆さん落ち着いて」

「で、でも……」


 友好的な魔物だった。


 ここで立ち去ることもできたが、向こうから話し掛けて来た。


「何者か? ついに死を与えられる順番が回って来たか、それもまた善し。聖女よ、この呪われた体を浄化して天に送ってくれぬか?」


 最近の不死王リッチ話の定番、恋人を救ったり王国の姫を救った後、愛する者に先立たれても、不死の体では死ねないので、ハイプリーストとか聖女を見付けると浄化して貰いたがる人情噺。


 魔女は夜に働いている東京都の公務員さんみたいに、姉を攫われたのを探し続けていたり、南米の恐ろしい神が憑いていたり、清明の生まれ変わりだったりしないので、やっぱり若い体の部品を集めた悪魔が恋人の魂を入れて「ちが~~う~~、また自分の体じゃない~~、どうして(安らかに)眠らせてくれないの~~?」みたいな地獄絵図は見ないで済んだ。


「まずお体を元に戻します、皆さま、聖女の復活の呪文を」

「おおっ?」


 ほぼ問答無用で死者復活の呪文、リッチやヴァンパイアの体は元に戻せなかったので、下級天使も新しい体よ~でプリントアウトして、また全裸の二人が出現し、首枷でもある魔封じのマジックアイテムも外れていた。


「ああっ、若様っ、お若い時のお姿にっ」

「爺、お主も元の人の体にっ」


 全裸の男同士が抱き合う所を見せられ、腐っている修道女は大喜びしたが、光の斜線が飛んで来たり、大昔のロマンポルノ的に置物が隠して大活躍した。


 男物の着替えを持っていなかった一同は、魔女がアイテムボックスから出した魔法士用のローブを着せてどうにかした。


(お兄ちゃんとはぶら下がり方がちょっと違う)


 興味本位からも目を逸らさず、敵だった場合の攻撃に気を付けたが、ついソッチもガン見してしまった。



 敵意も害意も無いようなので、亡骸から魔封じの首輪や足枷を引き千切ってやり、各種呪いと封印も解除。葬っている時間は無いのでアイテムボックスへ投入。


「神の使徒よ感謝します。我は王位継承の争いに破れ、数十年間この塔に閉じ込められていた、哀れな王族に御座います」

「わたくしはその従者に御座います、直言をお許し下さいませ、天使様」


 天使だと誤認させておいた方が便利だが、まず何があってここにい幽閉されていたのか話を聞く。


「いえ、わたくしは天使ではないのですよ、今代の大聖女に任命された一人。どうぞ、何があったかお話しください」

「はい、先王の第三夫人、悪魔のような毒婦に、第一夫人である母上様も、殿下の御兄弟も、第二夫人やその子らで王位継承権を持つ者、ことごとく討ち果たされ、生き残った者も亡骸も、弔われないままこの塔に閉じ込められ、魔王の影響が大きい地上階から先に魔物に成り果てた次第にございます」


 水も食い物も出なかったので、死んでからゾンビ→グール→ヴァンパイア→リッチ→不死王ノーライフキングと言った進化をして、喋れるようになって知能も回復し、どこかの望まぬ不死の冒険者みたいな進化ツリーを歩んだ模様。


 呪いの力は強くても、レベルが低かったので塔の壁や扉をぶち破って、第三夫人とかその子を殺しに行く力は無かった一同。


 先王の死後に王になったのは、もちろん第三夫人の息子で、軍事などを掌握した弟の大公もいる。


 母親が恐ろしすぎて、兄弟喧嘩して殺し合う暇など無かったのと、毒婦の第三夫人は未だ存命だったりもする。


 若い女をぶっ殺して血の風呂に入ったり、ケツ液も吸ったり飲んだり、錬金術で血も移植したり内臓移植したり、首から下を挿げ替えて若い体を乗っ取ったりして、80歳超えでも生きている化け物。


 不遇系の幼少時代から、猟奇的でロリコンの王に不用品として差し出され、愛人で玩具にされて数週間以内で虐待死すると思われていたのが、千夜一夜物語でも諳んじたか、余りの不遇過ぎる生い立ちを聞いた王も泣いてしまって、以後王妃として幸せにすると誓われた気の毒すぎるょぅじょ。


 最愛の長男である、王の男児第一子のボクチャンを産んだにもかかわらず、悪役令嬢の政敵に息子を毒殺されて発狂、仕返しに殺して殺して殺しまくって、最終的に無理矢理次男を王にした悪鬼羅刹で伏魔殿の魔物。


 どこかのジル・ド・レイさんと同じで、ジャンヌさん殺されたので神など信じず、男の子をバラして悪魔的な儀式も繰り返していた模様。


 本来こいつがラスボスで、始末してしまえばミッションコンプリーツなのだが、「悲しい過去」があるので、サウザー様みたいに有情拳で倒さなければ読者が納得しない系の悲劇のヒロイン?



「お辛い過去が…… これから魔王の亡骸を処分すれば、王宮に向かいますので復讐を果たされますか?」

「いえ、私などが手を下しても悪魔の如き奴の血で穢れるだけ、あ奴が地獄に落ちるのならば、我らは死んでも悔いはありません」


 こちらも完全に心をへし折られているので、毒婦の前に連れて行かれ、例え鎖で縛り付けてあってもガクガク震えて何もできない、近寄って刃物を突き刺す根性すら奪われてしまっている負け犬。


 色々と言い訳言い逃れして、綺麗事だけ並べて「復讐などしません、一体何になるのですか?」とか、「そんな昔の事はもう忘れました」と言って、自分まで徹底的に騙す手段を覚えてしまったので、今後も一歩も前に踏み出せず、バックしまくるだけの生き物に加工済み。


「そうですか、それではこのような穢れた場所から一刻も早くお逃げ下さい。一旦修道女会にお越し下されば、どこかに落ち延びて穏やかな老後をお送りできるよう手配致しましょう」

「有難きお言葉」

「かたじけのう御座います」


 それからも一階の方が強烈なアンデッドが出てノーライフキングだらけで、二階の方が弱くなり、三階四階と登るたびに弱体化、最上階ではグールがレッサーヴァンパイア程度だったが、全員暗部所属の聖女の最上級呪文で復活させて人間に戻した。


 最上階にもトキ(誰?)は収監されておらず、塔を登って行っても黄色いジャージ着てヌンチャク持った格闘家とは対戦しなかったが、鬼哭城とか監獄結界から怨嗟の声や慟哭する声が消えた。



 腐ったバイオハザードになり果てた、DOOM3とかZ指定の新シリーズ的な、とにかく前後四方から同時に敵出して後ろから攻撃すりゃあ喜ぶだろうと、簡単に弾が尽きて拳銃しかないのに敵だけ飛び回って一切当たらず、無様に死ぬだけの死にゲーでゲーム性皆無のゴミみたいな場面も無し。


 まるで芸術品のようだった旧DOOMシリーズやFINALDOOM好きのオールドファンを馬鹿にする、ワゴンで500円以下で売られるのが居場所として相応しいステージも無かった。



 王の私室


 伝声管から各種戦闘状態や、天使出現の報告を受けていた王。


 第二王子や衛兵隊長が魔物であったこと、エトワールが放った神聖魔法により、月の光が収束し、かつて敵国の兵が塩の柱にされたのが再現され、城内で悪しき心を持つ者は全て塩の柱に替えられたと、別の担当者が伝声管で喋った。


 新聖女が使う竜魔術、悪人を治療しようとすると魔物が降りて来るのと同じ効果で、ある意味エトワールの神聖魔法を継承している。


 その化け物二人と聖女騎士団、聖女の法服を着たサムライなどが、もうすぐここを訪れてしまう。


 第五王女で実の娘が父親の首をはねるとは思わないが、あのコチコチの狂信者なら神の教えを外れた人物になら神の代行者として平然と刑を執行する。


「何を恐れることがある? お主が王じゃ、下々の者に命ずれば全て叶う」

「しかし母上、奴らは天使を擁して登って来るのです。薬まで与えてある全ての兵が、土下座して下を向き、目を合わせたり聖なる光を見れば失明し塩の柱になると恐れ、何人たりとも歯向かえませぬ」


 けつのあながデカいはずの王まで、膝から下が生まれたての小鹿になって震えていた。


 体の死や苦痛程度を恐れることは無いが、死んでから永劫の地獄に送られたり、エトワールの実家にいる両親や家族や使用人たちのように、50年経過しても未だに聖なる炎で焼き尽くされ、死ぬこともできずに神罰を受け続ける、永続系の苦痛だけは避けたい王。


「奴らは義父である大公を救いに来たのじゃ、お主も救うに決まっておるであろう」

「あ……?」


 怖すぎてその考えには至らなかったが、毒婦である母から教えられ、生きる希望が出て来た。


「部屋に来れば「大儀であった、弟まで救ったのも褒めて遣わす」と労ってやれば、皆平伏して膝を着く」

「しかし……」


 全部魔国の工作だと言い切った弟だが、各種証拠が漏洩していて、修道士会の事案も歩兵師団に炎竜が現れたのも責任問題で、自分も魔国の仕業だと主張はしたが、庇う手段も無いので入牢。


 王族なので処刑まではしないが、王位継承権も領地も剥奪、大公家お取り潰しで、歩兵師団も別の者が指揮、これが全て魔国の計略なら思い通りの結果なのだろうが、法的にも前例的にもこれ以外の結果は出せない。


 地下牢に行った時点で毒杯で自裁させられるか、余りの屈辱に憤死するか自決。


 母の圧力で待遇も良い座敷牢に入り、どこかに亡命でもさせるか小さい領地で謹慎する生活になろうが、表の政界や宮廷からは失脚する。


「エトワール様、新聖女デイジー様、御入来に御座います」


 まるで他人事の侍従が、普通の客が来たかの如く先触れを出して、何の抵抗もせずに入室させた。


「た、た、大儀であった、お、弟まで救っらのも、ほ、褒めて遣わる」


 威厳を持って言ったつもりが、恐怖から噛んだ。英国王のスピーチぐらい吃音症を発症して噛んだ。


「いいのですよ、驚かないで。おや、国母様までお出でとは珍しい」


 予想に反してと言うか、母の予想通りエトワールは自分を救いに来ただけなのか、穏やかな語り口調で入室した。



 天然のエトワールと、鬼で悪魔で伏魔殿の主である第三夫人なので、さぞ相性が悪く反りが合わないかと思えば、少女時代の不遇状況がソックリ過ぎるのでズッ友で悪友。


 腐った伏魔殿の中では唯一気が合う仲間でオトモダチだったので、当時の第一王子が暗殺されて以降、政敵の暗殺とか悪役令嬢の身内の殺害には率先して参加し、修道女会の暗部も暗躍しまくったので、国を乗っ取って支配した大悪人で首魁もこの二人。


「ごめんなさいね、ここに来る途中、衛士の隊長さん? 魔物になって何しても再生するから、月の光集める魔法使っちゃったのよ。そしたら貴方の孫の第二王子さんも魔物になってたから、塩の柱になっちゃったのよ」


 その意味は勇者でもエトワールでも復活不可能、ロストしているので魂まで消失。それをカップか花瓶でも割った程度の謝罪をする天然。


 公式設定では既に魔物に食われて入れ替わられているので、エトワールが殺したことにはならないのだが、召喚陣を開いて直接手を下したのはデイジー。


「其方のせいではない、孫を殺したのはこ奴じゃ、アイスブラストッ!」


 毒婦はデイジーに氷魔法を放ったが、その程度の低級呪文、手で軽く払うか、防御呪文で無効。


 デイジーも何事も無かったの如く、テーブルまで進んで首桶のホルマリン入りの瓶を提出した。


「青い肌の魔族、巻き角まである高位魔族です。脳まで食べられて記憶を奪われたのでしょう」

「たわけがっ、孫は今朝まで無事じゃったわっ、お主が魔物に書き換えるまではなっ」


 孫を殺されたので、もっと怒り狂って掴みかかって来るかと思えたが、着席したままで襲い掛かっては来ない。


 調査させたのか次男三男で王と大公に絡繰りを吐かせたのか、魔女二人が使う竜魔術は、悪人を治療しようとすると相応しい魔物が降りて来て、体を書き換えるのだと知っている。


「そうねえ、でも貴方の教育方針では「強ければ生き、弱ければ死ぬ」だったかしら? 第二王子は運が無かったのよ」

「そうだね、奴は運が無かった、王の座まで駆け上るほどの強さも無い、どこかで刺されて死ぬのは目に見えていた」


 やたら達観していて、孫の死にすら動じない化け物。


 志々雄さんが不遇系のショタ宗次郎きゅんに言ったようなセリフで、王権神授説でもないが、勝ち残る強さと運が無ければ必ず殺されるので、まるで蟲毒の壺の中に入れた虫のように、孫同士で殺し合わせて生き残った者が王になるように設定し、敗残者は座敷牢で余生を送るようにして、命までは奪わせないでゲームを続けていた。


 そこで伝声管から予告の鈴の音がなり、傾聴すると新しい動きを伝えた。


「聖女ターニャにより、地下の座敷牢の住人全てが解放。続いて苦渋の塔に赴き、幽閉されていたアンデッド全ての治療を終えて人間に戻して解放。さらに地下に入り、王太子殿下と牛魔王の間に入室」

「何だって?」


 流石の毒婦も驚き、虎の子の王太子と、運や力の材料である先代魔王の亡骸まで解放しようとしている馬鹿の名前を聞いた。


「あら? 座敷牢どころか、塔の住人まで解放されるなんて、私達の命脈も天命も尽きたのかもねえ」

「馬鹿言うんじゃないよ、エトワール」


 ある意味的を射た発言で、魔女にはここにいる全員を始末する力があり、天罰を執行した後でも天使の姿で契約竜と共に平然と出て行くことも可能。


 王宮のど真ん中のホールで、毒婦とエトワールと現在の王のあらゆる悪行を公表して、王の退位や幽閉を命ずることすらできる。


 後は地下牢の住人でも、塔の住人から第一夫人の長男でも連れ出して傀儡の王を置けば、後はどんなことでも自由にできる。


 修道女会に政庁や城壁を置くほどの広さは無いが、あちらを王の間に指定することもできる。


 邪魔になったエトワールでも、修道女会三役でも始末して、デイジーと第五王女を修道女会においておけば、自ら新たな神聖帝国の皇帝とでも、天より遣わされた天使長であると名乗れば、近隣国すら神には歯向かえず屈従せざるを得ない。


「恐ろしい化け物だよ、そのターニャって子は……」

「ええ、あの子とこの子、私のお気に入りなので妹にしましたのよ」

「何だって?」


 今後の絵図を読まれ、王国最強の毒婦に化け物とまで言わせた魔女。


「それでね、今王宮の噂とか、変な賭けがあるでしょう? 私達もあの筋書きに乗って死んだことにして、還俗して王都へ遊びに行く準備をしているのよ」


 まるで楽しいことが始まるように、自分の命運が尽きて処刑されるのを喜ぶように話す天然。



 苦渋の塔、地下最深部


 地下に向かって細い階段部分の穴だけ掘り進め、シールドマシンも無いのに一体どうやって入れたのか? 牛魔王の巨大な亡骸を搬入して封印した場所。


 東京の地下鉄を地下15階よりも下で走らせるのに、どうやって搬入したのか分からないので、夜も眠れない漫才師みたいなミッションインポッシブルな仕事。


 正解は横から掘り進めて、再利用を考えないシールドマシン的な機材や、操作する魔法士ごと爆破して埋めてしまい、魔王にも利用されないように処理した穴倉。


 勇者の聖剣で切り分けて、AKIRA君ほどではないが分解されて保存。


 定番なら別の場所や国ごとに預けて封印するが、敵国が復活させそうなので勇者の出身国だけで保管。


 魔王の石棺の広間には、魔封じのために一緒に埋められ、命が尽きるまで結界を強化して、複雑怪奇過ぎる白魔法に魔法に錬金術にスクロールも用意して、リバースエンジニアリングでも絶対に解除できない、掛けた本人でも解除不可能な呪いで締め上げ、情報が漏洩しないよう、最後に自らの命を使って封じてある場所に大量の死体が転がり、扉の外にも死体が転がっていた。


 魔王の呪いと力で、自らがアンデッドにならないようロストする処理もしてあったが、耐性が低い錬金術師がアンデッドになっていて、リッチの更に上位存在ノーライフキングとして階段を徘徊していた。


「この下に行くことは決して許さぬ、我らが命を賭して封印した魔王。どのような事があろうとも封印は解かせぬ」

「ええ、でも魔王の亡骸の一部が外に漏洩して、修道士会で復活作業が行われていましたので、弟と天使が阻止しました」

「なん、だと?」


 妄執に取り付かれた魔物ではなく、話しが通じるアンデッドだったので、聖女の死者復活呪文で新しい体をプリントアウト。


 魔女の外見が天使だったので、ポイント十倍だったかもしれない。


「今代のエトワールは、月や太陽の光を収束させ、悪しき者を塩の柱に変える、天使と同等の魔法が使え、今も地上ではその光が集まっています」

「おお、心強い」

「これよりわたくしが赴いて、魔王の亡骸を浄化し、消滅させたいと思いますが如何?」

「分かりました、これほどのお力を持つ聖女様、何をしても消せなかった、あ奴の処理をお任せします」


 最悪の場合、無理矢理天使を召喚して人間に書き換える手段もある。


 どんな悪人でも、善人に書き換えてしまう手段も有り、下級天使の行為なので地上の生物が抗う術はない。



 錬金術師の新しい体にローブでも着せ、道すがら話して修道士会の悪事を語る。


「よもやそのような実験が行われていたとは、恐ろしい。しかし今の時代では暗黒竜が人に育てられ、我らの味方までしてくれていたのか」


 大量の亡骸の中には、自ら志願して死んだ修道士や修道女までいるのに、先達の決死の行為を汚す後輩がいた。


 地下最下層まで一本道の階段だったが、元錬金術師でノーライフキングに、魔王の玉体が安置してある広間へ案内させ、扉の前に立った。


「哀れな屍を晒し、弔う者すらなかった先達に、新たな命を与え給え、死者再生」


 聖女を極めた暗部の者が、扉の前で死んでいた者の中で、天命が尽きていない者を復活させた。


 皮肉な事に「どんなことがあろうとも魔王を復活させない」という固い決意が、全員の天命を失わせなかった。


 結局五人ほどの門番?が復活し、ローブを着せて魔王にでも対抗できそうな装備も与え、水や食料も与えて休憩させていると、全周から何かが土を掘り進めて来る騒音が響きだした。


「ベーコンのフライだっ!」(C)宇宙の戦士スターシップトルーパー課題図書


 クモ型の魔物が土を掘る音が集まって来る、独特の襲撃音を知っている修道女が叫んだ。


 地下掘削能力を持つ虫達が、魔王の魔力で究極進化していて、蜘蛛子さんが部屋全体に施されていた魔法の封印など、とっくの昔に破っていた。

「ベーコンのフライ」音はハインライン作品、宇宙の戦士スターシップトルーパーからの引用になります。


 確かアレクニドの本星で、一般住民の蜘蛛を動員して穴を掘り、リコが転落して気を失い、ズイム軍曹がアレクニドの頭脳体を連行したと記憶しています。


 後で知ったことですが、軍人の家庭で育って士官になっておきながら、従軍できなかったハインライン先生の無念を現す超右翼作品ですが、青空文庫化されていたり、アマゾンの中古でも結構ですのでご一読ください。



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