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大公の受難、聖女たちの茶会

 午前中に修道士会で大事件があり、魔法師団の養子と騎士団の養子が、修道院長や幹部たちの悪行を突き止め、最後には天使までが降臨し、太陽の光までおかしくなる事変が起こって、下手をすれば王都全てが神罰に触れて滅ぼされていた。


 飛行機械や蒸気機関、火薬や大砲などが作られていなかったのが唯一の救いだったが、王城を出られない王に代わり、各所を奔走させられていた大公がいた。


「全く、これだけの悪行を、調査部や内部監査で見付けられなかったとは、どう報告すれば良いのか?」


 虎の子の精鋭師団は、対魔国との平原戦を予測し、北の国境の砦に進発させてしまい、残った老兵と城の衛兵を連れ、陣頭指揮を執って解決に当たった。


 天使の軍団に解放された後は、いつも通り証拠物件など残っていないのが予想された。


 天使が見逃したと言う事は、大した罪も犯していない下っ端で端切れ、拷問しようと事件の全容は掴めないが、偶然次男三男に事情聴取できたので、ようやく修道士会全体の悪行が掴めた。


「周辺国の偽造金貨に、錬金術や魔法スクロールの印刷。人造勇者に牛魔王蘇生、こんな大失態の責任を取れるものなどおらぬ、一体どうすれば?」


 さらに夕刻頃には自分が留守の歩兵師団駐屯地に炎竜出現。


 子飼いの竜騎士団が炎竜を仕留めると言う奇跡を起こしたので、自分の死刑は免れたが、降格だの領地没収や王族追放で王位継承権剥奪など、考えられる叱責は全て受ける羽目になる。


「はて? この現状を解決するには? あやつの意見でも聞いて見るか」


 メテオストライクの爆風や、以後の治療が終わり、乙女騎士団の女性化作業で儀式が終わって以降、日が暮れる頃に修道女会の魔女の所を尋ねた大公。



 エトワールとも面会しておきたかったが、事後処理や連絡で三役と共に奔走していて、義父として魔女を呼び出すのが限度だった。


「義父上様、本日は大変な中よくお出で下さいました、まずご報告させて頂くことが沢山御座います」

「うむ、聞こう」


 聖女と男性が密会するなど、養父でも大公でもあり得ないので、ベテラン聖女や修道女が多数同室にいて、聖女騎士などもいる。


 大公側の護衛も多数で、この場での話は簡単に漏洩する。


「まず、弟たちが解決した正教会の悪事ですが、やはり魔物が多数関係していて、潜入していた調査員も全て魔物に食われたか入れ替わられ、トップの修道院長など、レベル350を超える竜騎士の次男が倒すのに難儀した所からも、かなり高位の魔族が成り代わっていたと思われます」

「ほほう」


 大公は、今自分が一番欲しい誤情報を、嘘であろうが何であろうが騙ってくれる養女に感心した。


「正教会如きに神竜に匹敵する魔法生物を新しく作り出す技術など無く、塩の柱にされた天使形状の生物も、王城から盗み出された前魔王の遺骸の一部と再生の実験、全て魔国の技術で作成されたと考えられます」

「やはりそうであったか」


 全くの事実無根だが、目の前で騙りに語る魔女で悪魔の言葉は、内通者から鳩か飛竜でも使って王城に届き、自分が直接王に報告するよりも遥かに速く、伝声管を伝って兄に伝えられる。


「昨夜、右大臣や吸血公爵に辺境伯が魔物だと判明して、次は王宮か正教会が踏み込まれて調査されるので、急遽決行したようです」

「ふむ」


 まるで弟達と面会でもして、経緯を報告されたかのような口調で騙り続ける化け物を見て、更に惚れ込んだ大公。


 首切り寸前で首の皮一枚しか残っていなかった自分の命が、どんどん増強されて行く。


 魔国の間者や高位魔族の仕業で、小さな王家の調査部や潜入調査員如きでは、たちまち発覚して殺されたか脳も食われて入れ替わられ、知りようが無く止める手段もなかったと報告できる。


「厳重に隔離された前魔王の遺骸を持ち出せる人物、それらも既に魔物に入れ替わられていて、かなり高位の魔族が指揮命令していると思われます。可能ならば決死の革命を決行されるまでに本日中にも王城を調査し、魔族と魔物の早急な排除を提案します」

「よくぞ言った、警戒を厳重にして王城に来るが良い、儂が案内する」


 後は大公の責任を追及してくる文官に「お前は魔物だ」と言って、魔物に変えて騙らせてすぐに処刑すれば済む。


「ありがとうございます、しかし、こちらでも修道士会に派遣した乙女騎士団、15名全員が吹き矢の毒か病原菌によって討ち死に致しております」

「何だとっ?」


 すぐに魔女からメモを渡され、護衛達に見えないよう「デイジーにより乙女騎士団全員に女の体が与えられ、古い体は遺体として安置、利用法があれば提出可」とまで書かれていた。


「エトワール様が旅立たれる前に、天での居城を正すための早めの出立だと公開しておりますが、もちろん魔族による暗殺。このままでは修道女会三役まで命を狙われます、わたくしかデイジーしか修道女会を出られません」

「左様か、困ったのう」


 すぐに「エトワール以下三役、聖女騎士団、乙女騎士団、暗部の暗殺者、レベル300程度の聖騎士やニンジャに成長、殺害は不可能」のメモも来てしまい、全く困っておらず、養女の手際の良さに笑いが止まらないが、困った顔だけしてみた。


「全員同じ場所にいて襲撃されたり爆破されるより、分散して配置したいと思います」

「うむ、散り散りになるが、守る方策はあるか?」

「弟達か兄、ダリーシュ卿と合流したいと思いますが、今の所各人居所が判明しません」

「我らでも追ってみる、すぐに情報は共有しよう」


 内心は「お兄ちゃんに会ってギュっとして欲しいのおおっ」で、「クソ姉の勇者とだけは顔合わせたくない」ので、姉とも言わず勇者ともいわず、名前も出さなかった。



「次に炎竜出現に関してですが、当然魔族の工作によるもの。兄や姉に無理な命令をした人物の遺体が見つかれば、すぐに魔物の正体を暴いて見せます」

「うむ、よく言った」


 本当によく言ってくれて、無能でバカ共の大失敗と調査証言されているが、修道女会の正式見解として全部魔族の工作に書き換えて貰えたので、首に鋼鉄の鎧でも着せてもらった気分になれた。


「姉の勇者でしたら無理に復活させ、その後は化けの皮を剥がすこともできますが、炎竜の足元で着火され苦しんでから死ぬ覚悟までした工作員達です。数百名全て魔物では無いでしょうが、他の者を誘い、決死の覚悟で炎竜の娘を襲い、母竜を呼ばせて歩兵師団と王都を破壊させようとした死兵ですので、家族を人質に取られているのか、大金で雇われて家族に金銭を残したのか、魔国も死兵も尋常な相手ではありませんので、わたくし個人からの進言としては、無血開城をお勧めします」

「そこまで恐ろしい相手であったか」


 長男とベルなら、もし本物の魔物なら簡単に見分けが付き、天使が降りて来ない連中に囲まれても、魔物に書き換えてやって「あ、こいつもこいつも魔物だ」とやってやれば、同士討ちになって解決もできたが、炎竜の娘がゲラゲラ笑ってベルを鳴らして母親を呼んで、クズの新兵で教育隊の連中を殺したのは証言が取れている。


 そいつは口封じに殺してあるので、万が一勇者とかエトワールが見付けて生き返らせても、家族まで殺されるのが分かっていても証言する馬鹿はいない。


「炎竜事件は歩兵師団で起こったこともあり、大公様に責任を取らせて殺害して、歩兵師団を機能させず、偽情報で国境から歩兵を撤収させるまでが魔国の計画。まんまと乗ってはいけません、これから王城で大公様の責任を問う者は全て魔物に入れ替わられた死兵です。生き残って王城を出ることなど考えておりません、お気を付けて」

「儂の首を取って歩兵を引かせるまでが魔国の書いた絵図か、まさか兄上も宮廷の者も、そこまで愚かだとは思わぬが、用心しておこう」


 全ての質問と答えに満点以上の回答を得て、魔女が本当に孫と結婚して子供を残してくれないか、本気で考えた大公。


 レベル40程度の兵士や騎士と違い、レベル400を超える竜戦士なので知能の数値も桁違い、どのような謀略にでも対抗できる。


 短い時間で魔女に情報を提供した、修道女会の暗部の優秀さにも感心したが、エトワールが消えれば全てが自分の手元に転がり込んで来る。


 笑いが止まらない大公だったが、数少ない情報を自分からも提供しておく。


「今、王宮やギルドでは良からぬ噂が蔓延っていてな、お主を追い出そうとした貴族令嬢が地下の拷問部屋送りになって処刑も決定、治療されたものの還俗させられ、実家に帰されると言われておる」

「はい、聞き及んでおります」


 虚偽でも何でもなく、その通りの事実だったので否定はしない。


「そして王宮でもギルドでも下品でけしからん賭けが行われていてな、歯向かった聖女や乙女騎士団を始末したのもお主で、エトワールは既にお主と聖女騎士団によって毒殺され、偽物に入れ替わられているというのが一番人気だ」

「そうでしたか、今度はお姉さま方を毒殺しておいて、わたくしのせいにして実力では殺せない新聖女も消そうという魂胆でしょう。まだ全員と面会した訳ではないので、修道女会にも多数魔物が侵入しているかと思います、養父様がわたくしを捕らえに来る日が来ないよう祈るばかりです」


「二番人気は一月ほど挨拶周りを済ませたら、エトワールは眠ったように死んでいて、目を覚まさない」という筋書きだ」

「まあ、酷い噂です事」


 大公は席を立って、護衛にも退出するよう伝え、最後に魔女に言った。


「さて、話は尽きぬが儂もこれまでの経緯を兄上に報告せねばならぬ、お互い魔国の間者に首級を上げられぬよう注意しよう」

「はい」

「王宮で待っておる、くれぐれも気を付けてな」

「それでは後ほど王宮で」



 奥の院の庭園の東屋での茶会。


 魔女が大公と面会した後、若返ったエトワールや修道女会三役が着席済み。デイジーもいて高位の聖女も着席、聖女騎士団の薔薇様方が警護しての茶会。


「遅れまして申し訳ありません、大公閣下とのお話が長引きましたのでご容赦くださいませ」

「いいのよ、あの人たち長話が好きだから、それにこんな若い子と話せるなんてそうそう無いから、帰らせてくれなかったんでしょう?」


 教義的に推奨されない、ハッピーとか飲んで茶菓子とケーキ食ってゴキゲンの一同。


「ええ、それで大公閣下から、とても下品でけしからんお話を伺いましたの。是非皆様にもお知らせしなくてはと、急いで参上しました」

「あら、どんな下品なお話なのかしら?」


 実は下ネタ好きの修道院長なども興味津々で話を待つ。


「最初は次世代の聖女が下生すると、先代様方は天に召されると話されていたそうですけど、わたくしを邪魔者扱いした貴族家の令嬢様や、上位の聖女様方が王女殿下に連れて行かれ、地下の拷問部屋送りになったと言う勇名が王宮に轟いてしまいまして、わたくしとデイジーがあと何日で先代様方をしいしたり、毒殺して天国に送ってしまうかと言う、それはそれは恐れ多い噂と、穢れた賭けが行われているのです」

「おほほほほほほほっ!」


 皆が顔色を変えるぐらい驚いたのに比べ、天然のエトワールが爆笑したので、以後は笑い話になった。


 第五王女は、拷問部屋送りにした令嬢達のうち、誰が外部に漏らしたのか考え、実家に返品したのを再度召喚し、拷問部屋に招待する人物を選び始めた。


「現在の一番人気は、「エトワール様も三役様も、既に新聖女達によって毒殺され、顔を隠している一団は、若い聖女か別人だ」と言う物です」

「アハハッ、エトワール様、あんなに矍鑠かくしゃくとして歩かれて、背筋を伸ばされたまま杖を振り回しておられたので、あれが原因だと思いますわっ」

「ウフフフフフッ」


 式典の途中でも、ルンタッタしながらスキップ気味に歩いてしまったのを大勢に見られたので、見た全員が中身は影武者で、もうエトワールは殺されていると信じている。


「お姉さま、もっと背を曲げて、杖に頼り切って歩かなくては、わたくしが先代様方を皆殺しにした大罪人だと、王宮の皆様から言われてしまうのですよ」

「ごめんなさい、歩きやすくなって楽しかったからつい」

「おほほほほほっ」


「二番人気は「一月ほど挨拶回りや引継ぎを済ませたら、エトワール様は眠るようにして亡くなっていて、聖女騎士団か暗部に毒殺されていて目を覚まさなかった」と言う筋書です」

「「「「「オホホホホホホホッ!」」」」」


 一番ありそうで、想像力豊かな連中が妄想を逞しくして楽しんでいるのだと知った。


 そこでエトワールが、乙女騎士団の話を参考にして、悪だくみを思いついた子供みたいな顔で提案した。

 

「ねえ? その筋書きに乗ってみない? 王様とか実家には知らせておいて、みんな死んだことにするの」

「は?」


 魔女もその絵図が分かったので、まだ分かっていない者にも解説する。


「皆さん若返ったことですので、還俗して王都で遊び回る生活をするのです」

「ああ、その手があったのね」

「そうよ、一度奥の院を出て、お忍びじゃなくて、菓子店とかレストランとか服屋さんとか、自由に回ってみたかったのよっ」

「ああ、そうですわね」


「夜遅くまでお酒でも飲んで遊んで昼まで寝て、二日酔いに迎え酒、昼間から菓子店に入り浸って、一人でケーキ1ホール食べて、苦いコーヒーでも飲みながら甘い物を食べても、若い体でしたら胸やけも太りもしませんよ」

「凄いわ、私、一度でいいからバケツプリン食べてみたかったのっ」

「カップルとかグループで食べる超ジャンボパフェ、一人で食べるの」

「焼肉食べ放題にキンキンに冷えたビールッ」


 乙女の夢が広がリングの三役とエトワール。


 聖女騎士団や乙女騎士団の者は、我慢できなくなった時に街中に出かけ、私服ならお忍びで焼肉食べ放題でも行けて、スイーツ食べ放題にケーキバイキング。


 訓練が厳しすぎた時のご褒美とか、若いので身体さえ動かしていれば太らない状態を利用して、ビヤホールでも豪遊できたが、奥の院にいるメンバーには不可能。


 三役も幼い頃から才能を見出されて入信、遅くても12歳から修道女か聖女見習い、エトワールも15歳から奥の院に入って外出不可。


 王宮訪問とか貴族家訪問、他の街への巡業とか表敬訪問、治療の出張でも無ければ出られなかった大聖女と、羽目を外した生活など決して許されなかった修道女会三役は、還俗して遊んで食べ歩きする、若い女性の楽しみを求めた。


「貴族家の方でしたら、遠縁の家の養子になられてから社交会デビューしたり、茶会や夜会に出席して男性とダンスを踊ったり愛を語らったり、どんなことでもできますわよ」

「ほぅ」

「ああ……」

「みんな出来なかったのよね」


 まだ見ぬ男性を想像し、ダンスパーティーに出席して、逞しい腕に抱かれてダンスを踊る。


 恋をして意中の男性と語りあったり、婚姻前に密通してしまう。


 それらは全て聖女には決して許されないことで、若い頃は穢れだと思っていて、選ばなかった未来。


「それと、男性と結ばれると聖なる力を失うと思われていますが、それはレベル30程度の聖女のお話。レベル300超えの聖騎士とか、聖女を極めてサムライにまでなった女性は魔法力を失いませんよ」

「え……?」


 修道女会に入る時から諦めていた男性との恋愛とか結婚。


 不浄の行為なので最初から求めてはいなかったが、恋愛やデートできなかったのは心残りでもある。


「じゃあ、挨拶回りや引継ぎなんか、早く済ませてしまいましょう。幻術でもかけて、若い子を引き取らせるように実家か親戚に言って、別の名前を手に入れるの」


 偽名を名乗ることはできても、新しい身分証として冒険者ギルドに行って、カード登録の為に鑑定機に手を乗せると、エトワールで職業が大聖女と出て修道女会三役だとモロバレ。


 第五王女の母親まで呼ぶと、職業が「王妃」と出てしまうので、大騒動になって全員生きてるのがバレてしまう。


「そうですわね、仕事なんかすぐ片付けてしまいましょう」

「ええ、還俗するのが楽しみ」

「偽名は難しそうですので、わたくしからギルドマスターに書簡を出しておきます」

「最近は若返ってレベルも上がった貴族の方が、ギルドに再登録に行くのが流行りのようですから、私達もそれに紛れましょう」


 事務能力と権力とコネは嫌というほどあるので、関係各所に通達して姿を消す準備を始める一同。


 乙女?達は、スイーツしてタピって焼肉食べ放題して、ケーキバイキングで一生分の甘味類を補給し、夜会で殿方とダンスする程度で満たされるらしく、子供の欲求を満たそうとしていた。


「私、お給金って一度も使ったことがないわ、雑品で消耗品の購入も、購買で何が入用か記入するだけで支給されたし」

「ああ、私もよ、若い頃にお使いに出されて、外で何か食べたり、下着でも買い替えたぐらい」


 両替屋の口座に、一体いくら入っているのかすら知らない修道女会三役。


 少なくとも平民家族が一生暮らしていける金額がある。


「お姉さま方、偽装を急がないでも「今から」菓子店や焼き肉店に行く方法がありますよ」

「え? どうやって」


 もっと簡単な方法があるのだが、奥の院での生活が長すぎて、普通の手段を思いつかない。


「皆様今のお姿を忘れていませんか? 下級の修道女の服か、下働きの古着に着替えると、後は奥の院さえ抜け出してしまえば、街中でもどこでも自由に行けますのよ」

「ええ、でも私達だけで外に出るなんて、何十年ぶりかで道も分からないわ」


 心配はそちらの方だったようなので、案内の護衛騎士も紹介する。


 聖女職を極めた後は、高レベルの聖騎士になった者もいれば、攻撃魔法も使えるサムライにジョブチェンジした者もいたので、ナイフ一本とかペーパーナイフでも持たせておけば護衛とか一切不要。


 エトワールに至っては、白魔法を極めた後に聖騎士にもならず、何故かネタキャラ的にニンジャに転職という変則構成になっていた。


 三役にも騎士団員にも大反対されて、聖騎士から更に上級職、ペガサスに乗った神聖騎士を目指すよう何度も勧められたが「ニンジャってカッコいいじゃない」という天然キャラで押し通した。


 まあエトワールは神など信用しておらず、信仰心が低すぎて聖騎士にもなれず、神聖騎士になる絶対条件、信仰心ほぼ100%、敬虔度も100%、神への忠誠度1000%というとんでもない条件があるので絶対に無理だったりする。



「それでしたら、お姉さま方の護衛に適任の者がおりますわ、皆さん、こちらにどうぞ」


 デイジーが騎士を呼ぶと、法服を着た女性騎士が15名ほど出て来た。


「あら? 新人の聖女の子かしら?」


 エトワール達の前に膝を付いて、乙女騎士団の所作で挨拶をする女性騎士達。


「乙女騎士団長デビッドに御座います」

「同じくカリオンに御座います」


 順番に自己紹介していくが、見慣れた三十路超え四十路超えの中年男性の姿ではなく、皆若い女性になっている。


「どうしたのですか、その姿は? 皆、女の子に……」

「ああ、声も姿も違うけど、貴方達は確かに乙女騎士団」


 乙女騎士団全員戦死の一報から、乙女の体になれたとまで聞いていなかった者たちが驚いた。


「デイジー様に女の体にして頂けました、長年の夢が叶ったのです」

「心は乙女で身体だけ男、その神の試練で間違いを正して貰えたのでございます」


 また込み上げる物があったのか、涙ぐんで話す一同。


「そう、そうだったの、良かったわねえ」

「では、皆さんに私達の案内を命じます。まず最初は貴方達が着る、街娘の服ね」

「まあ、みんなで街を歩く服を買いに行きましょうっ」

「ええ」


 三役もエトワールも、乙女騎士たちの願いが叶ったのを喜び、まずは貴族家仕様のゴツイ男の服でも売り払い、それを全部可愛らしい服に変えてしまう。


 儀仗兵ではない本当の護衛騎士で、エトワールが死ぬと殉死させられたはずの乙女騎士も、還俗して遊ぶ方に参加する。


 むくつけきオッサン騎士はいなくなり死んでいるので、後は葬式でも出して、棺桶をネギまのヒロインみたいに火葬するか埋めてしまえばいい。


 尚、イケメン村人Aは女性化しておらず、出動しなかったので生き残ったことにされ、代わりにタマタマが復活していて、パイプカット状態でお姉さま方の相手をさせられて処女開通の儀が行われたりもする。


 第五王女とかに知られると、イケメンの方がぶっ殺されるので、殿下の前では言わない。



 これからは服を売って着替える程度の、可愛らしく軽い悪だくみも簡単になる。


 もし中年男性が、貴族仕様の高価な服であっても、可愛らしい恰好やフリルが付いた女物の服を着て、オシャレなカフェや菓子店で、野太く黄色い声を出して最新ファッションや憧れの騎士様の話などしていると、一瞬で通報されて衛兵にタイホされる。


 ファッション警察にもスイーツ警察にも、タピオカミルクティー警察にも魔道具家電芸人警察にもタイホされるが、15,6歳の少女の体になったので、これからは女の子らしい生活が余裕でできる。


 レベル300超えの聖騎士サムライ揃いなので、実力のオーラ発射すると、怖すぎて絡まれたりナンパされることは無い。


 悪しき心を持った普通のメスガキ程度が見ると震えが止まらないで、冷や汗とか涙や涎や鼻水を垂れ流させる恐怖の存在になり、新しいオトモダチの作成は不可能。


 ごく少数の例外として「おかあさんがっ、お母さんがああああっ!」と泣く、心が清いょぅじょに依頼された母親治療クエストを、最上級治療呪文で簡単に解決すると、ょぅじょから信仰の対象になり、表紙で目を逸らさないで女の子と見つめ合う、ガチレス展開が開催される。

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