手柄の争奪戦(けもフレ的に)
これからカーチャに付いて行けば、比較的安全に竜の巣に行って滞在する体験が出来るのだが、今頃宮廷では手柄の争奪戦になっている。
誰の主導で討伐を選ぶことになったのか、炎竜に対して有効な戦略を考えたのかなど、噂だけでも捏造して現団長や現侯爵を失脚させてでも、あらゆる事で自分の手柄にして成績を上げようと画策する馬鹿が大量に沸いている。
可能なら今の団長を首にして、どの家が竜騎士団を支配して新団長になるか取り合いになっていて、新職を作って「会長」だの「師団長」だの、新しい上長を作成して乗っ取りに来るのが目に見える様だったので、のんびりと竜の巣滞在するのは早々に断念した。
現在の侯爵である息子も、孫の団長も、宮廷で生きて行くには独特の感覚には鈍い所があるので、誰かが打って出て手柄を掴み取って、敵を叩き潰してこなければならない。
そのための武器や手数を得るために、トリーは勇者で竜の娘に聞いて見た。
「カーチャ、炎竜を倒してしまった事で、竜達やエイシェントドラゴンはどう考えると思う?」
「へえ、旦那の炎竜はおらたちが竜の試練に行った時、娘のベルが殺されないよう、後ろから旦那ぶん殴って倒しやしたんで、番の解消はできないんで別居してやすし、長老派で不戦派なんで本人が乗り込んできて竜騎士団潰そうとは思ってないはずでやす」
「そうか、助かった」
炎竜直接侵攻は無いようなので一安心。
「次の炎竜、息子とかは巣立って親離れする年になると、幼竜とか若竜の集まりで学校みたいに集まって、狩りの仕方とか戦い方の練習して、魔法も習ってるとこでやす」
「ふむ」
群れを作る鳥のような集団で、若鳥だけでチユ(スズメの幼鳥の泣き声)幼稚園を形成して、狩りを覚えて群れとして生活する手段を学習する。
全身黄土色と白の保護色から、焦げ茶色と黒に換羽して、首の下にネクタイが生えると一人前の雀。
「その群れで母親やら仲間を殺されても何もできない竜は、幼竜でも舐められるので生きて行けやせん、最低限その友達だけでも、裏切者で人間に飼われてる負け犬共を殺しに来やす」
「なん、だと……」
ベルと同い年の14歳中学生ぐらいの炎竜、その友人だけでも竜騎士団を攻撃に来る。
「同じ群れのリーダーも、子飼いの仲間の親が殺されて、黙って送り出して全滅なんかさせた日にゃあ、群れも追放されて下手すりゃ新しい頭に殺されやす」
動物の本能と言うか、ヤンキー思想でケツモチの子飼いで舎弟に何かあれば、一緒にカチ込んでタマ取ってやるぐらいでないと面目を失う。
よっぽど嫌っているゴミパシリならともかく、五番隊隊長ぐらいの実力者の炎竜の母チャンがヤられちまっても仇を取ってやらないなら、目付きがイカレタ若竜が?
「会頭クンおかしいよ、炎竜クンに仇取らせてやらないなんて?」
で、分裂するか若頭で次期会頭候補にボコられて追放される。
何でここまで詳しいかというと、カーチャもあんちゃんも長男もベルも、全員加入して特攻服着込んでヤンキー座りしていたからである。
そのグループ内でタイマン張って、強い者は相手の力を奪い、トップまで登り詰めたのが「神龍」「暗黒竜」と言う称号を得てポケモン進化する。
四天王が炎竜に氷竜に地竜に風竜、黒竜とか土竜とか二十八部衆とか四聖獣の巫女を守る黄道二十八宿みたいなのがあって、煌めく星座の88宿とか海闘士とか冥闘士とか暗黒聖闘士がいて、スチール聖闘士とかゴースト聖闘士はいない。
産んだ卵は親の特性や遺伝的強度を得るが、負けると地位が落ちていく。
「全部で五十匹ぐらいの集団なんでやすが、一声掛けたら他の連中も集まって、まあ中坊ばっかり二百匹ぐらいは来るんでねえかと?」
「若竜が二百匹?」
現在のステータスは、東京卍会みたいなのが愛美愛主引き連れて、ヤンキーホーン鳴らして近日中参上で喧嘩上等夜露死苦。
竜騎士の駐屯地で集団での乱闘するか、代表者同士でタイマン張って行って、また十番勝負の相撲取り組みになる。
「え~と、一番上の暗黒竜の兄ちゃんは卒業生で、おらも入ってたチーム仲間なんで、上位組織までは来ないでも、マブダチ裏切る訳にも行かねえんで、どっちに付いたもんかと?」
「は?」
レディースで殿から特攻隊長、一番隊隊長から会頭や頭にまで腕力だけで上り詰めて、人間なのに竜と同一存在でブイブイ言わしていたカーチャも、その妹分で舎弟のベルトーチカさんも、向こうにOBのマブダチがいるので、参入数日の竜騎士団に付くより、当然アチラに付く。
歴史に残る平面世界初のツッパリ極道征徒会で全国制覇、半グレどころかグレグレのワンチーム統合を成し遂げた、最強伝説持ちで元総長の暗黒竜も、人間側ではなく向こうに付く。
トリーの頭の中でも「ナ、ナンダッテー(AA略)」で「話は聞いた、人類は滅亡する」になった。
「まあ長老は不戦派なんでやすが、卒業生も若いもんも今頃長老に詰め寄って、大事に取っといた特服出して来て背負って、背中の大看板に恥かかせないよう集まってるとこでしょうや」
「そんな……」
大体、炎竜の息子のマブダチで同中の五番隊副長が?
「今日、五番隊隊長、炎竜クンの母ちゃんが人間どもにヤられたッ! それも娘が足元にいて逆らえないのをいいことに集団で寄って集って……」
とか、壇上でガチ泣きしてアジっている真っ最中。
そこで遺影持って泣いている炎竜の息子も壇上に立たされ「お前らっ! 俺に命預けてくれるかっ?」で全員感動の涙で「ウオオオオオオオオッ!」になって、「卍会、愛美愛主、芭流覇羅出立っ!」ぐらいのステータス。
さらに黙っていられないのが、昔レディースやってた母竜のマブダチでズッ友の連中。
「アタイらのダチ、ベル子(仮名)が旅立っちまった~、人間共に汚え手で後ろから刺されたからだ~っ!」
みたいな感じで、脱色したりパーマ掛け過ぎの金色に染めすぎてボロボロの髪の、経産婦で卒業生に総呼集が掛かって、仕舞っていた特攻服着て気合と根性が入った死化粧済ませて集結。
どっかの「彼は学生ではない、戦士だ」の人みたいに覚悟完了して「首級を上げられた時に土気色の死に顔を晒すなど相手にも失礼」の無いように頬紅大目で、手鏡など見て女子の如き行為をして二千の英霊に叱られる。
ベル子(仮名)の通夜会場が竜騎士団駐屯地に設定され、二次会?が王都に決定。
朝まで追悼の集会で暴走でローリングが行われ、三段シートでツッパリテールの後部座席に乗った奴が踊り狂い、車で来た奴は箱乗りして踊り、「炎竜の姐さん、アリガトウゴザイマシタ~~っ!」とか有らぬことを叫びながら大暴走する。
炎竜一匹だけの脅威ではなく、参加者が「どんだけ~?」になって、一体どれだけ集結するのか? 主催者の火竜山卍会?もレディースのチームも把握できない数の竜が香典持って焼香(人間の死体で)しに集結する。
竜的にはベルの思考が普通で、改心したように見えてもマブダチが結集していて「辛かったねっ、これからアンタの母ちゃんの仇討ちに行くよっ」と号泣されると一瞬で向こうの常識に染め変えられる。
そこで「もう戦争なんかやめよう」な~んて言うはずがなく「ウン、鏖にしてやろう」と言って、スッと綺麗な涙を流して目からウロコが落ちて復讐に燃える目になり、母親の仇と番の長男を一回殺された恨みを果たしに行く。
竜騎士団と王都の明日はどっちだ?
カーチャと契約竜の兄、長男とベルが竜の巣に旅立つので、トリーは暗黒竜に乗せて貰って竜騎士団へ。
三女が「おうちかえる」と言い出したので、契約竜の子竜と四女とズッ友、幼竜のピーちゃんポーちゃんもおうちかえる。
飛べない姉竜は土竜に乗せて貰って帰宅する段取りになった。
「ママ帰らないの?」
「ママも帰ろう」
ピーちゃんポーちゃんに縋られたが、ベルを長老に引き渡さなければならない。
『お前らに餌出したり遊んだり一緒に寝るのがママな、お前らの卵産んでくれたのがあっちの土竜。これからはおっ母とか母ちゃんと呼んで、たっぷり甘えてやるだよ』
土竜からは名乗り出られないが、今育てている親が教えるのは問題ない。
『おっ母?』
『母ちゃん?』
もうその意味は分かる年頃なので、生みの親が土竜、育ての親が姉竜やカーチャ達だと理解した。
『あ、あんた達……』
土竜は今までの経緯とかガン無視して、間引いてしまった子供達から母と呼ばれてまた号泣。
目が腫れて真っ赤になり過ぎ、水分補給しないと脱水症状になるぐらい泣いたが、飛び疲れた幼竜二匹を乗せ、姉竜も乗せてストナ家まで飛んだ。
もうストナ家は爆風とか衝撃波で屋根が飛んで、建屋もほぼ崩壊している。
『え?』
上空から我が家を見た姉竜は我が目を疑い、着陸した時には発狂寸前。
『私らの家が、家~があああああああっ!』
進撃のオープニングぐらい「イエーガー!」と叫んでから、変わり果てた姿になった我が家を見て、号泣してから膝から崩れ落ちて失神した。
『あ、家壊れた』
『もう住めない』
『壊れてる』
「やだ~~、おうち帰れない」
「う~~~~」
この状態では「おうちかえれない」ので、侯爵家に行くかギルドに住むしかない。
ご近所と言うか村ごと崩壊していて、千の風の秋山さんボーカロイドか声もソックリな歌い手がゆるゆり歌うぐらいの大事件。
『ああ、母ちゃんがすぐに家作ってあげるよ』
幼竜の母親は土竜なので土魔法を無限に使って、「平面世界設計のお屋敷四号」を敷地内に構築し始めた。
三階建ての珪素系建材と石材と鉄筋とローマンコンクリート製で竜舎もあり、ドアも金具も透明強化アクリル窓も物入れまであって、作り付けのベッドやキッチンまで出現させ、どこかのクマ装備か日課オ〇ニーがダイスキな魔女みたいに、上下水道完備で各種魔法具も照明器具も、風呂や噴水まである高級住宅を完成させた。
足りないのは柔らかい布団とかクッションにカーテン。
『わ~すごい家~』
『母ちゃんすごい』
娘と息子に褒められて視界が歪み、それでも屋敷と庭園まで構築し終わった。
『さあ、これもお使い』
人化したときに使うクッションとか柔らかい毛皮とかソファーもアイテムボックスからガンガン出し、シルバニアファミリーかリカちゃんハウスでも作るように外から搬入。
古い家からの引っ越しも重量物は土竜が外から搬入してやり、床下の金貨入れの樽も掘り出して宝物庫に搬入、魔獣の討伐証明とかも倉庫に入れて行った。
『母ちゃんやった』
『家ができた、いっしょに住む』
『あ、あんた達……』
近くにある竜騎士団駐屯地がベル子(仮名)の通夜会場に設定されているはずなので、頑丈な家で平面世界設計の強度があっても、今夜中に崩壊させられるかもしれない。
その頃には家も何もかも失った近所の住人が集まり、サリーちゃんのオープニングぐらい一瞬で家が建って、倉庫まで再建されたストナ家を見て、羨望の眼差しで見守った。
「あんた達、一晩でいいから泊めておくれ」
近所のおばさんが三女四女に申し出て、日暮れ前で何の作業も進まないまま、ブラックレインが降り始めた中、炊き出しすらできずに今夜の雨風も防げない一家が縋るような眼差しで頼み込んで来た。
「うん、ええよ」
「いいよ」
一言で決まってしまい、暗黒竜のファンでいつも食べ物をくれて、幼竜も好きな一家は空き部屋に案内された。
「おまえんとこだめ」
「だめ」
意地悪一家ほどではないが「まあ、竜臭いこと、早く出て行ってくれないかしら」とか「糞は片付けて下さい、外でさせないで決まった場所で、すぐ埋めるかどうにかして下さい」と言う、一歩上の生活をしている奥様方は全員拒否されて追い出された。
『母ちゃん、まだ家できる?』
『なおしたげて』
『ええ、できるよ』
ウルウルした目で上目遣いのお願いポーズダブルでオネダリされた土竜は、もう脳内でピキーンと音がしてガッツリスイッチがON側に入っちゃって、瞳の奥に炎が点火して爆炎背負って「今宵の斬鉄剣は一味違うぞ」ぐらいのステータスにハッテン。
無限に使える竜魔術を行使して、今まで幼竜達にも親切だった家に案内されると「平面世界が設計した頑丈な住宅二号、三号」を土魔法で量産して、引っ越すのに瓦礫を撤去したり重量物は外から搬入してやった。
幼竜ピーちゃんポーちゃん救世主伝説も始まったが、一歩上の奥様方の一家は、家も再建できずに真っ黒な雨の中で雨具だけ引きずり出し、竜騎士団で正教会が炊き出ししているテント村とか王都周辺のスラムまで落ちて行った。
厚かましくも再建された近所の家に転がり込もうとすると『「だめ、こいつら入れたら家壊す」』と宣告されて無事追い出された。
「同じ村の住人同士助け合うべきだ」
「でていけっ」
「はいってこようとすんなっ」
村長と言うストナ家をほぼ村八分にした敵が来て何かホザいたりしたが、小さくて片翼の姉竜を嘲笑ったり、代々の幼竜子竜を汚い物として扱う奴だったので、土竜と子竜に攻撃魔法食らいそうになって逃げた。
家から離れた暗黒竜の愛人とか舎弟とかオトモダチにも家を作ってやり「知らない人」は公民館でも作ってやって、姉竜がアイテムボックスから魔獣の肉とか魔物の肉とか雑魚の肉とか小麦粉を出してやってセルフで炊き出し。
新ストナ家の風呂に押し寄せて来られて困ったので、コイン洗濯場併設の公衆浴場も作られて、ブラックレインを流したりドロドロの服を洗ったり、どうにか再建した竜騎士村。
アルムおんじ?が家を再建中に「ブリギッテ、この世の終わりだよ」と言うお婆さんとか、三女四女がギルドで詰め込んで来た食料を出すと「ああ、これでしばらく柔らかいパンが食べられる」とか「デーテ、ハイジを連れて行かないでおくれ」とか、フランクフルトからクラッセン医師を呼ばないでも、三女がお婆さんの白内障を治して若返らせてしまい「見える、ハイジの顔が見えるよ」になったので、歩けるようになったクララ(誰?)が春になって遊びに来るのを待ってハッピーエンド?
三女の名前は、ドイツ語圏の命名だがハイジとかアーデルハイドになった。
竜騎士団
暗黒竜とトリーが到着すると、一旦帰着して休憩していた団長に面会した。
どうせ全隊員にバレるので包み隠さず竜騎士詰所で話す。
「カーチャからの情報によると、今夜にも炎竜の息子と友人、若竜が数百匹、ここ竜騎士団駐屯地で葬儀のような集会を決行するようだ」
「何ですと?」
「お爺様、それは起こり得る事なのですか?」
いつも通り、竜騎士団を監視していたリプティリアンみたいな縦目の飛竜騎士が、外で待機させていたコウモリを飛ばして魔国に報告していたが、この話には全く関係が無いので割愛する。
「ああ、幼いころから竜の里で過ごし、幼竜子竜の集団で生活した勇者だ、奴らの行動は知り尽くしている。もちろん生贄は我ら竜騎士と、竜の裏切者で落伍者の火竜と飛竜」
「すぐに襲来に備えよっ、休息を終えた者から発進、集合地は射爆場、対空監視を厳にせよ」
「「「「「ヤーー!」」」」」
慌ただしく隊士が出撃準備をして、火竜山卍会?とレディースBBAの来訪を待つ。
「問題はダリーシュ卿と勇者も、立場上向こうに付かなければならないはずだ、我らの味方はしてくれそうにない」
「そんな……」
「スンマセン、俺ってあいつらのアニキ(性的な意味でも)で全員舎弟なんで、母親の仇の側に付くのはちょっと」
集結したグループの前に歩み出て、「解散しろ」よ言う事は出来たが「暗黒竜さん、おかしいっすよ、炎竜クンの母ちゃんヤられちまったんすよ? 一緒にリベンジしましょうよ」とか、完全に目付きがイカレテいる舎弟が、マジでキスする五ミリ前まで突っかかって来る。
止めるには全員キスしてやって、まだ中坊のオスとレディース全部、ヒーヒー言わせて朝チュンしてやらないとイケない。
「儂はダリーシュ卿と王城まで行って、王や側近に話さなければならん、こちらは任せたぞ」
「はい、承りました」
伏魔殿で魔窟で阿片窟の王城で生き残るには、トリーぐらいの海千山千の伏魔殿モンスターで無いと血を見せた瞬間に殺されるので、そちらの高等テクニックは祖父に任せた団長。
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