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小隊長のモテ期

 多数の貴族が処刑された後、本日の最終イベントとしてベヒーモスの肉が振舞われ、家族も食べられるようにお土産にも肉や生き血が出され、長い夜会も一旦終了となり、一般客は帰って行った。


 若返った者、レベルが上がって人類の限界を超えた者、エルフぐらい長生きできるようになった者も出て、魔物だと判明?して入牢し、親族が救出に来ないうちに口封じのためにも早めに処刑された者まで出た。


 それでも娘や息子が魔物だったと認められない者は、魔物に食われたか入れ替わられたのだと主張して、最後の望みを託して勇者の復活の呪文を望んだ。


「頼む、うちの娘を生き返らせてくれっ」

「息子はそんな悪い子じゃないんです、魔物じゃありませんっ」

「娘は魔物に食べられたか入れ替わられただけなんですよっ、生き返らせてくださいっ」


 主に娘や息子を突然奪われた親の主張が激しく、椅子の上でほぼ寝ているカーチャに掴みかかるようにして懇願していた。


「皆さま、まず落ち着いてください、名簿なりお作りして、大公様に助命嘆願など致しますので」


 トリーや団長が間に入って、椅子で白目剥いて寝ている勇者を起こす算段をする。


 吸血公爵のような者と権利関係や利害関係がある者も、顔が効きそうな暗黒竜に陳情に来たが、最初からサディストでドクズとして生まれたので、生き返らせて良い物かと思っても、金の力と権力でごり押ししてくる。


「公爵閣下が魔物と入れ替わられたのは誠に残念です。しかしながら……」


 どうにかして生き返らせるのに成功すれば、恩を売って後々利害関係も強化できる。


 誰もが王や大公の言い分を信じている訳ではなく、政敵を陥れる手段を手に入れたので、衆目の前で魔物だと言い張れば家ごと潰せると画策したのだと気付いていても、怪我も病気も癒す聖女の治療呪文で魔物にされたので反証する内容も何も無い。


「どうかダリーシュ卿のお力で、辺境伯様を復活させてやって下さい」


 今の所、右大臣が生き返ったのと同じ手順を踏み、「残念ながら本人は魔物に食われて入れ替わられてしまったが、勇者の呪文で復活した」と言う手順を踏まないと、貴族家その物が無くなったり、計画していた事業ごと無くなるので、権利関係を共にする貴族家からの申し込みが続いた。


 暗黒竜も魔女の所業には気付いていたので、その元凶に話し掛けて許可を取ってみた。


「おい、何人か生き返らせっぞ、まだ頭悪いだけのクソガキまで殺しやがったな?(社会的に)お前がどうにかしろ」

「ええ、兄さん(////)」


 耳元に愛しい兄竜の口を近づけられ、低音で囁かれたので魔女は即落ちした。


 まずはトリーが大公に願い出て、馬鹿娘達と放蕩息子の性根を叩き直すのを前提にして、地下牢への出入り許可を得てみる。


「大公閣下、子弟を失った家族からの陳情も多いので、魔物指定された者を生き返らせる御許可を頂きたく存じます。「生前の心清き者」を家族に戻してやって下さいませ」


「うむ、政治犯以外は自由にすると良い」

「ははー、有難き幸せ」


 復活作業なので勇者を起こそうとしたが電池切れのようで、椅子に腰掛けて白目を剥いていてどうしても起きない。


「ふがふが、もう食べられないよ…… グーー、グーー」


 まず食料品の匂いで起こすのには失敗。竜の酪農家の夜は早いので小隊長も諦めかけたが、先程覚えさせた「金貨の匂い」で誘引してみる。


「ふぅ、クンカクンカ、スーハースーハー」


 銅貨や黄銅なら銅に着く錆び、緑青ろくしょう独特の匂いがして、鉄貨なら鉄の錆びか黒錆びの匂い、銀貨にも黒い錆が付くのでその匂いがして、腐食しない金貨には匂いが付かないはずだが、他の貨幣の匂いが付いている金貨特有の錆がない匂いで、左脳の嗅覚を司る部分と右目だけが覚醒した。


「フガ?」

「ほ~ら、貴族様が「誠意」をくれるぞ、寄付金とか謝礼金とか支援金とか解決金が出るぞ~」


 平民の特性を知り尽くしている平民の小隊長は、ドクズの勇者のコントロール法を覚えたようで、遊園地の乗り物のように金で起動させた。


「がんばりましゅっ」


 右脳は寝たままで左半身が動かないはずだが、イルカみたいに脳を半分以上眠らせたまま活動開始した勇者。


 敬礼もして立ち上がったが、猫がゴロゴロ言うように喉か鼻の奥をグーグー鳴らしながら、金貨で誘引される方向に歩いて行く。



 地下牢


 別邸にある地下牢のような穢れた場所なので、体面としても団長とトリーは降りて来ず、勇者と反目している魔女も来ず、小隊長と魔女の契約竜デイジーだけが同行した。


 まだ魔物化していない娘や息子は、魔法を覚えた契約竜が綺麗なジャイアンに変更して行き、牢屋のカギも魔法で開錠してやる。


 階級差別とか誰でも罵り蔑むような行動を無くし、まるで造り物のような清潔な人物に入れ替えてやった。


「ありがとう御座います、本当に助かりました」

「このお礼は必ず後日」


 自分を魔物認定した張本人ではなく、その契約竜だったのでマッチポンプのやらせだと思わず、心から感謝してしまう令嬢達。


 竜騎士団の意向だとか、先代侯爵当主から大公への進言による赦免で恩赦と聞いたので、竜騎士団への感謝や進物の数がググーンと伸びた。


 見せしめや魔女からの懲罰で既に魔物に変えられている貴族子弟は、勇者の復活呪文で根本から作り直さないと元には戻らないので、小隊長が半分以上寝ているカーチャを檻の前に連れて行き復活を指示した。


「カーチャ、魔物になった貴族令嬢だ、復活はできるか?」

「へぃ…… グーグー」


 立ったまま寝ているが呪文は唱えられたようで、大天使が降臨して貴族令嬢の新しい身体を檻の外にプリントアウトした。


「あっ、わたくし、人間に戻れましたの?」


 いつも通り全裸だったので、中高生ぐらいの年頃の令嬢の裸を見て小隊長は役得だったが、紳士として上着を差し出した。


「レディ、まずはこれを羽織って下さい」

「ありがとうっ、ありがとうっ、貴方様のお陰でっ」


 小隊長の上着を受け取り、この人物が檻の中から救い出してくれて、魔物にされた自分を生き返らせてくれたと信じた令嬢は、まず小隊長に全裸で抱き着いてとてもとても感謝した。


 横でフラフラしながら、白目剥いて立ったまま寝ている物体が何かしたとは思わず、「この殿方に裸を見られてしまったからにはセキニンを取って頂かないと(////)」と思いながらKOIしちゃったり泣いたり忙しい貴族令嬢。


 密室では無くても全くの他人に全裸を見られると、もうその人物以外婚姻不可。


 一旦魔物認定もされたので、当然のように婚約破棄されたり、縁談を纏めている途中でも破棄。


 婚約者に断罪されて夜会やダンスパーティーで公衆の面前で婚約破棄、別の令嬢とか聖女が出て来てヘラヘラ笑われて、罠だと気付いてからでは手遅れで、国外追放とか処刑とか貴族社会で生きて行けないよう恥をかかされる。


 二度と縁談が来るようなことも無く、一度魔物に食われたり入れ替わられた令嬢は、まだ疑わしいので親族からの名誉殺人で殺されるぐらいの立ち位置。


 金目当ての結婚か、若い娘の体目当てのジジイからの縁談ぐらいしか無いが、娘たっての願いで竜騎士団の団員でハンサム?で親切で紳士の男性で、後日高レベルの超越者で超人として叙爵される、小隊長を是非婿入りさせて欲しいと懇願された親達。


 更に「だってわたくし、復活させて頂いた時、全裸だったんですのよ」と言ったのが決定打になり、一旦廃嫡されたキズモノのスクラップドプリンセスを新興貴族家の嫁に出すような手続きが行われる。


 そんな令嬢が何人も出たので、小隊長だけがモテモテのモテ期になり、竜騎士団からも多数の嫉妬マスクが出現した。


『このモノを清潔な人格に書き換えよ』


 元の悪役令嬢の人格だと「平民如きが」となるはずだが、魔女の契約竜が清潔な人格に書き換えたので、貴族家の後ろ盾も得られ、とても清廉な人格者の嫁も得られて、浮気などしない、他の貴族との身体だけの関係など結ばず、命を救われた夫に生涯尽くす、通常得られないような良縁に恵まれた小隊長。


 でも子供が生まれると、整形前?の母親の性格が出てしまうサディストになる。


 次の檻にも行って、まず外から声を掛けてみる。


「御令嬢、言葉が通じていると良いのだが、これから貴方を人間に戻します。勇者の復活呪文を使うので貴方は何も身に着けていない状況で外に出ることになるでしょう、可能ならば今身に着けておられる衣装を脱いで、牢の外から取り出せるようにして下さい」


 魔物はジージー鳴きながら首を縦に振り、先程復活した隣の牢の住人のように全裸で出るのを理解して、衣服を脱いで外から取り出せるようにした。


 その時でも魔物の全裸を見ないように、視界から外れてくれた竜騎士団員に好感を持った。


 魔女をいびり倒して追い出すよう命じた男爵令嬢だったが、勇者の呪文で人間に戻れた。


「ああっ、あああああっ」


 衣服は檻の外から取り出せるように置いたが、とりあえず全裸のまま、上着を貸し出している小隊長に抱き着いて感謝し、先に救われた令嬢と少々揉めた。


「何をしてるんですの、この方はわたくしの(////)」


 王子様と言いたかったが、まだ広言するのは憚られたので口ごもる。


「離してっ、この方に感謝しないとっ(////)」


 全裸と、ほぼ全裸の令嬢が色々な場所をブルンブルンさせて、アンダーヘアーとかも丸見せで動いたので、流石の小隊長も真っ赤になって後ろを向いた。


「「あの、竜騎士団のお方、お名前をお伺いしても宜しいでしょうか?」」


 なぜかこの問いかけだけはユニゾンして、全裸を見せびらかしてしまったので顔を赤らめて、小隊長に「君の名は。」した。


「あ、私は竜騎士団、第十二小隊隊長、エリクソンと申します」

「「ああ……」」


 二人とも「この方こそわたくしの王子様」とか思っていたが、今生き返ったクソ女の方は、魔女の契約竜が漏れなく清潔な人格に書き替えてやった。


 一昨年ぐらいのレース用語で「エリクソンが悪い」というのが流行り、「一周目の狂人」グロージャンが何も当たっていないのに勝手にウォールに突っ込んでクラッシュしたのに、ペイドライバーのエリクソンがぶつかって来たと言い、F1以外のフォーミュラEでも転籍したインディーカーでも「エリクソンが悪い」と言うのがあったが、こっちの小隊長は悪い人物ではない。


 その後も魔女に魔物や魔族に変化させられた娘たちが救われ、漏れなく小隊長に「全裸で」抱き着いて感謝し、魔女の契約竜に人格を書き換えられて清潔な人物になった。


 元側仕えも多くいたので親切で清潔な人柄になった者は、魔物の死骸から衣服を剥がしてやり、全裸の令嬢に元の服を着せてやり、死骸は放置して一刻も早く大公家を抜け出す算段をした。


「何とかここを脱出して、実家に辿り着けば或いは?」

「もし許されないなら国外に」


 農業とか料理とか喫茶店とか魔道具店とか、他の悪役令嬢のように手に職を付けていない者も、国外追放でもどうにか生きて行ける道筋を模索する。


「ぐぇ、くっさ~、この腐った奴まで生き返らせるんですかい?」


 皮膚が青くなり角まで生えた本物の魔族に変えられた、人格も何もかも遺伝的に腐っているのは復活させるのは憚られ、腐臭がしたので勇者も目を覚まして小隊長に問いかけた。


「さて? こちらの聖女様が処置してくださるだろう」


 勇者も隣にいた魔女の契約竜に気付き、声を掛けて問うてみた。


「お、デイジーちゃんでねえか、デカかったのにえらくちんまくなっちまって、この腐ったのどうにか出来るのけ?」

『やってみる』


 魔物のまま、青い皮膚の化け物を清潔な人格に書き替えてみる。


 心の底や魂まで腐り果てた人物だったが、魔女に教えられたとおりに書き換えてやると、腐臭が収まって清潔な人物に書き変わった。


『できた』


 吸血公爵と一緒に来ていた娘や、大公家の側仕えの親玉だったクズまで綺麗な魂を持つ人物に書き換えられて、勇者も魔女の言い分が正しいのではないかと思い始めた。


 魔女本人の行為だと受け入れられないが、妹竜のデイジーの主張なら問題なく受け入れられた。


「ああっ、竜騎士様っ、感謝致しますっ」


 こちらも復活の呪文を唱えた勇者ではなく、竜騎士の小隊長に全裸で抱き着いて、セキニンを取るよう求めた。


 公爵家は取り潰されるのが決まっているが、領地に残っている人物が挙兵するかも知れない。


 それでも領主には全く人望が無いので領民は挙兵せず、逆に今までの仕返しに蜂起して領主家をSATSUGAIする。


 血筋も成分も悪いので今後貴族社会で生きて行けるか不明だが、聖女が認定して勇者に「誠意」を示すと許可され、没収されなかった財産や、親族の援助があれば生きて行ける。


「是非、わたくしを貴方様の妻に……」


 小隊長に生乳を押し付け、ケツとかフトモモに手を持って行って触らせたり、今後生きて行くには牢破りも赦免を許可された人物の、最上位にいる人物に媚びてへつらって行くしかないのだと嗅ぎ分けた公爵令嬢もド直球で求婚した。


「いけません、そのような破廉恥なことは」

「お放しなさいっ、この方はっ」


 ハレンチでわざとらしい行為は、他の求婚者で令嬢から引き離されるまで続いた。


 もし暗黒竜が降りてきていれば、全員怪盗で盗賊で野蛮な貴族に持って行かれた所だが、その場合は女の地位を全くキニシナイ竜のクランで平民堕ちして、小間使い程度に落ちぶれ果ててしまうので、貴族の地位を維持できそうな小隊長を選んだ。


 恋人もおらず良い縁談も無かった小隊長だけにモテ期が来てしまい、他の隊員とも「彼女欲し~~」とか言っていたのが一人抜けしてしまい、ウリセンだった隊員もホモに転向したりせず、男の娘に転進して幻想入りもせず、誠実に生きていた隊員たちに後日詰め寄られた勇者が壁ドンされ、「俺達もレベルアップさせろ、貴族令嬢の彼女紹介しろ」とガチでマジで目が逝ってる同僚でパイセンに恐喝され、また若竜か海魔が被害に遭い「コロシテ…… コロシテ……」と歌う羽目になる。


 小隊長のタイプじゃないアンコ型の令嬢とか、ガッツィーなガタイのMEGUMIとか篠崎愛みたいなのは、他の隊員の所に嫁入りする。


 既にSATSUGAIされている吸血公爵とか辺境伯は、遺体が下げ渡された後に復活禁止でも、暗黒竜が復活させてもヨシッ、となると魔女が人格書き換えてから復活させることになる。


 戸籍も教会への登録も無いので庶民として生きて行くか、ヒーヒー言わされたりするかもしれないが、その辺りは阿吽の呼吸で調整される。


 小隊長が令嬢達を裏の出口まで案内して、カーチャをトリーや団長の所まで伝言に行かせ「御令嬢やご子息は裏口で待っております」と伝えると、全員竜騎士団や先代侯爵にとても感謝してから退場した。


 令嬢が家に帰れるように許可され、特に取り調べも何も行われず無罪放免されると、熱烈なラブコールを受けて、帰りの馬車に小隊長を乗せて連れ帰ろうとする令嬢が続出した。


「ああっ、愛しいお方、どうか我が家へ御一緒下さいっ」


 小隊長も年頃の男性なので、あれだけ若い令嬢の全裸を見続けたら、トイレかどこかで発射?しないと爆発する。


「一番好みの令嬢の家の招待を受けよ、今宵結ばれても構わぬ、儂が間を取り持ってやろうではないか。本日の業務はこれまで、自由にして善し」

「え? ハイ……」


 トリーで先代侯爵に背中を押され、小隊長は全裸の時の体形が一番好みで、体のラインとか髪の匂いとか顔とか脚の細さとか、中学生か高1ぐらいの年齢で多分処女の、全部直球ど真ん中の令嬢の招待を受けた。


 馬車の中で親との面談も済ませ、叙爵確実な竜騎士と追放廃嫡確実だった元魔物娘との仲を認められ、その日のうちに令嬢と結ばれてしまい、全裸を見た上で実印突いたので結婚させられる羽目になった。


 下手をすると魔物を出した家として大公に睨まれたので、下級貴族などお家お取り潰しで全員処刑か、庶民として国外追放も有り得たのが、竜騎士団のトリーから友人の大公に口利きして貰ってお家安泰となったので、今後は竜騎士団を支援する一族になり、徹底抗戦派として活動する。


 後で公爵令嬢とか侯爵令嬢に乗り込まれて娘の婿として迎えられなくても、第一夫人の座も奪われるかも知れないが、家が安泰で上位貴族とも縁が出来て上手くやって行けるなら、それはそれで構わないので、魔物判定を受けてキズモノ?になった娘でも利用できるなら利用する。

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