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貴族で海賊戦隊の私鯨船に心も体も攫われた右大臣

 大敗した右大臣一行は、軍を引いて包囲を解かされることになり、負け惜しみを言ってから退出することにした。


「流石今代の勇者、私共の力士を全て倒すとは感服いたしました。接戦にもならずお恥ずかしい限り、一旦包囲を解いて勉強し直して参ります」


 通常の戦争の作法のように、捕らえられもせず自然に退出しようとしたが、魔女が許さなかった。


「皆さま、この大臣は既に魔物、頭から食べられて記憶を奪われたようで、治療しようにも天使は降りてきません。魔物が降りてきます」

「何を世迷いごとをっ」


 衛兵が出入り口を抑えたので、右大臣側の護衛と揉めた。人間なら作法に則るが、魔物ならば退出は叶わない。


「待てっ、この人はっ」


 カーチャが何かに気付いた時は既に遅く、魔女はいつもの呪文を唱えた。


「ギーーーー(死ね)」


 右大臣の頭だけが白い卵型の魔物になって、首から外れて小さい手足が生え、体は元のままで首から上が無くなっても生きていて、目や口が無いのでブロッケン伯爵かデュラハンみたいにウロウロし始めた。


 実は右大臣は、王族や貴族を全員犠牲にしても、例え自分が犠牲になったとしても、民衆と国を救うために無血開城を選んだ正義の人であって、いつもの逆で天使を呼べばやって来るのを次女が術者のごり押しで魔物を呼んだ。


 魔国軍が来ると、まるでモンゴル軍が攻めて来たように、国境や各地の砦の兵士が村人が全員死んで血祭りにあげられ、ドイツポーランド重装騎士団がモンゴル軍軽騎兵の集団の前にあっけなく破れて蹂躙される。


 籠城していると天然痘患者やペスト感染した死体を投石機で放り込まれてパンデミックしたり、ハーンの孫が戦死した都市のように「一草一木まで全て命を奪われた」になって文字通りペンペン草一本生えない更地にされたり、戦争によって王都が火の海になったり、反抗すれば城砦ごと一人残らず殺されたりしないようしたかっただけの人物。


「哀れにも、魔国との交渉に向かった右大臣様は、魔物の餌食となったのです」

「なんと非道なっ、交渉の使者を殺すとはっ」


 秀吉の飢え殺しや餓え殺しのように完全包囲され、馬の死体であろうが戦死者であろうが仲間を食べ合ったり、中国の籠城戦のように自分の子を食べるのは忍びないので「子を替えて食べる」にならないようにしたかっただけ。


 あらゆる破壊を受けて略奪の嵐に苛まれ、住人の大半が逃げだして惨めな難民になるか、逃げられないので残った住人は乙女戦争みたいに若い女全員輪姦されてしまって、全然乙女じゃない前も後ろも壊し尽くされた垂れ流しの中古ヒロインだけが股間が丈夫で生き残ってみたり、男や年寄りは殺されるか吊るされて、奴隷や性奴隷として使えるものだけ魔王軍に帯同させられ連れて行かれ、今までの文明も文化も都市も完全に滅ぼされないよう降伏したかったのである。


「そんな魔国とこれからも交渉しますか? それとも……」

「徹底抗戦だっ!」

「そうだっ!」


 魔女の思い通りに踊ってくれる貴族連中。


 魔国に降伏して無血開城した国家は、驚くべきことに教会や信仰の自由まで許されていて、聖女による治療まで継続し、人間の領主による自治権まで認められ、魔国からの珍しい流通品や食料品も、今までは考えられなかったような魔法文明の極致の便利な品も手に入る。


 元に降伏した明軍みたいに、数が多すぎて反乱の可能性もあるので、船に乗せられて日本まで送られて「戦死させられた」ような事が起こったり、後ろに督戦軍がいる状態で無理矢理前進させられたりするかもしれないが、魔国内ではパックスタターリアと呼ばれたような平和が訪れていたり、マルコポーロや中東のマルコポーロと呼ばれる海路を旅する人物が魔王が発行した手形で海外を自由に旅したりしている。


 エルフやドワーフも魔族も獣人も入来して混乱するが、法も文明も警察組織による統治まであり、細かく制定された民放商法で、泥棒や詐欺師やならず者や旧貴族とか王族が今までより厳しく処刑されるが、ソビエト統治下のモンゴルみたいに三分の一の人民が粛清により処刑されたり、他の三分の一は強制労働所で獄死して、残りの三分の一の超イエスマンだけが生き残るような地獄にはならない。


 国や人民を思って降伏しようとした右大臣だったが、魔女に魔物に変えられて、ついでに操り人形に変えられた。


「へへへ、俺が大臣の頭を食ってやったよ、こいつはこの国を統治する領主にしてやるって言っただけで簡単に裏切ったバカだよ」


 魔女で次女が腹話術のように、言わせたいセリフを頭だけの魔物に伝えると、面白いほどうまく動いてくれた。


「何と破廉恥なっ、王国の碌をんで権力まで欲しいままにしおきながら、よくもそこまでの厚顔無恥を晒せたなっ」

「そうだっ、私たちは戦うっ」


 魔物の口が言っている内容は嘘ではないが、正教会に送られたような最後通牒と同じで、反抗すれば人民を皆殺しにして王都も完全に破壊して何もかも燃やすと言い渡されている。


 それでも心が折れないほどマッチョな連中がいるとすれば、ブートキャンプで死ぬまで走らされて、心をへし折られるまで鬼軍曹に口汚く罵られて馬鹿にされて、自由だとか人間の尊厳を全部破壊された後に悪質な洗脳を受けた人物。


 シーツやベッドメイキングを正確にして服装も正しく下着も清潔にして髭も剃っていれば褒められ、その後に親よりも愛してくれる上官とか、あらゆる困難を一緒に乗り越えた99人の兄弟を与えられて、国を愛して国民や家族を守ることが出来るのなら「肝胆道に散らすとも悔いなし」と平然と言えるようになった戦闘マシーンだけである。


 文系のオボッチャマでタマナシのコシヌケは、面と向かって汚い言葉や本当の暴力を受けると、一切抵抗できないまま屈服する。


「私はこんな恥をさらすより死を選ぶっ」

「そうだっ、降伏より死をっ」


 どこかのリップシュタット盟約の貴族とか、ブラウンシュバイク公の甥みたいなことを言い出す貴族たち。


 コンスタンチノープルが陥落する時みたいに、王や貴族が今までの行いを謝罪しあってから、笑顔で泣いて敵側に突撃して死んだような最後を迎えるらしい。


「フヘヘッ、オマエラは魔王様に勝てねえ、全員死ぬんだ」

「何をっ、魔物如きめが、一人十殺、一人百殺、我らの一騎の強さを思い知るがいいっ」


 ストーンゴーレム一体を出されただけで、逆に一体十殺、一体百殺。


 一騎当千のアイアンゴーレムとか魔国側の火竜でも配置された日には千人が死ぬ。


「そうだっ、徹底抗戦だっ」


 総兵力10万、輜重部隊や後方部隊、工兵なども合わせると、50万を号する魔国軍と、一万数千人を集めるのが限度の国が、戦争になるはずがないのを気付いていない連中。


 大臣とか文系は兵力の足し算引き算が一瞬で出来て、経戦能力があるか資産状況を把握できる。


 体育会系は根性だとか精神力とか兵の練度と言った言葉で、図上演習の結果も簡単に改竄して。足し算引き算を無視することが出来る知的障害を持つ連中でもある。


「衛兵っ、魔物を騙らせろっ」

「お前達は終わりだ、もうおしま、グエエエエッ」

「このような小物、一ひねりにしてやる」


 旧日本軍と同じで弾丸や銃や砲、食料や水の補給はいらないと思っていて、軍を動かす資金も必要ない、船とか軍服の大量発注とか将軍将校へのキックバックと賄賂が大きい物への一点豪華主義。


 窮すると「現地調達」という魔法の言葉で解決すると本気で思っている。


 夜間突撃斬り込み隊が一度成功すると、何度でも馬鹿の一つ覚えで繰り返し、たった一個の米のオニギリを貰うために斬り込みに志願しても、米軍はマイクを地面に仕込んで、声を上げて突撃してくる方向に重機関銃を撃ち込み続けると夜明けまでには全滅している。


 ホールでは自分が過去に従軍した兵科の歌を歌い始め、妙に盛り上がっている連中もいた。


「我ら~、魔法士隊~、幾万幾億、敵が迫りくる~とも~、決して屈さず戦うぞっ」

「騎馬での突撃は~、血沸き肉躍る体験~、多くの友と戦列を並べ~、群がる敵を踏み散らすっ」


 同じ兵科の友人と飲んでいたので、肩を組んで合掌している連中。


 勇者であるカーチャも、この国が亡ぶのを確信した。


 大半がクソ妹のせいで魔女の仕業だが、アホウのせいで国が滅亡する。


 カーチャはタキシード仮面様の来場を待って「ヘルプミー」の信号を送った。



 近代医学で幼児死亡率が減って出産時死亡率も減り、死病が死病でなくなったりしても、昭和の初めまでは親の決めた相手と結婚させられて7,8人の子供を産むのが普通。


 大陸に死体の山を土嚢のように築いても、まともに食っていけないバカとマヌケを死なせ続けても、海外に理想郷があるという宣伝を本気で信じて、国境の紛争地帯に移民する馬鹿を棄民し続けても、それでも増えていく無能共を死なせていくのが戦争政策であるが、今回その必要が無くても戦うのが軍人。


 911でもあったように、どこかの芸能人が証言したのと同じで、下層階で火災が起こって逃げ道が無くなると、窓から地面を見ると9階からでも飛び降りたら降りられるんじゃないか? と思い始めてどんどん希望的観測が強くなって、飛び降りる準備をしていると鎮火したと言う放送があって助かったという例もあり、超高層ビルでも飛び降りれば助かると思った人が全員飛んだ。


 今、このホールの全員が、頑張れば魔族に勝てると思い込んで、戦列を汲んで凱歌を上げていた。


 そこで妹のピンチに気付いた暗黒竜が、大ホールの扉をバーンと開いて入場した。


「待たせたな、カーチャ」


 一番格好良くて美味しい場面を狙ってやって来る兄竜。


 まるで杉様のような流し目でご婦人を何人か悩殺した。


「ここで暗黒竜ダリーシュ卿の御入来です」


 夜会会場がさらに温まり、オトコマエで勝利の象徴のような人物の入場に盛り上がった。


 その装束は真っ黒な暗黒竜の皮で作ったコート(自分の脱皮した抜け殻)、首周りのボアボアの替わりにフェンリル種の真っ白な毛皮の襟巻。


 一切加工できない最高級の暗黒竜の鱗(自分の皮で垢)を大量にあしらった胸当てと脊髄パッド膝当て肘当て肩パッド。


 女や男からマーキングされたミスリルとかオリハルコンの鎖とか守りと回復のアミュレットでジャラついている寂しがり屋。


 背中には金色の竜語で「喧嘩上等」「突撃一番」の系統の大カンバン背負って、コートの内側にもポケットの下あたりにも竜語で短歌のようなものが刺繍してある。


 中指の手袋を噛んで外すと全部の指に退魔の指輪とか守りの指輪身代わりの指輪を付けられていて、外すと女とか男に泣かれる呪い系統のアイテム。


「俺はポケットに好きな物しか入れない主義なんだ」みたいな題名すら忘れたアニメの主人公セリフを言うオレサマ王子。


 これが日本国内なら純白の特攻服に大看板背負って、生きるの死ぬの書いた短歌が赤文字で刺繍してある漢の盛装である。


「兄さん(////)」


 次女の魔女もメスの顔をして兄竜を迎えた。


 もしかしないでもこの国を窮地に陥らせたり、自分が危険な状態になったり誘拐されたり病気になったりすると、オトコマエな兄が救いに来てくれて、自分を何度も何度でも助けに来てくれる状況を楽しむ願望があって、メンヘラでヤンデレがリスカしてスイミンヤクとかクビツリを続けて拒食とか過食でもしているのかも知れない。


 この場に偶然来ていたファッション警察で、最新流行モードの発信や、日常の服飾から夜会のドレスまで制作を一手に引き受けているナンチャラ夫人も来ていたが、この暗黒竜の恰好を見られると「夜会での服装や色合いのTPOとは」「上下の服と襟巻のコーディナイト」「最高級品とは言え組み合わせには気を付けること」「髪型やブーツの清潔さにも気を配る事」などなど、各一時間ぐらい説教されるのが普通。


 それでもBBAは「素敵なルール違反(但しイケメンに限る)」とかホザき始め、目の光彩をハート型にしてファッション泥棒で素敵な盗賊で野蛮な海賊「レッド、バトラー船長と呼んでくれっ」な貴族を目で追い続けた。


 後で本当に話し掛けて、コーディネートとかTPOに気を付けるよう注意しに行くと、手を取られてダンスするように一回転させられ腰を手で支えられて天井を向かされると、耳元で低音で「マダム、じゃあ俺の為に一着作ってくれよ」と囁かれると、一言も説教できないまま「はい」とだけ言って腰を抜かして気絶した。


「キャーーーッ」


 視線を向けられただけで女子が黄色い悲鳴を上げ、男共もメスの顔をして頬を赤らめて、自分のジェンダーと性癖が破壊されたのを感じた。


 大公の孫娘なども夜会が終わってから「何ですのっ、何ですのっ、あの男はっ」と怒り心頭で扇子で掌をペシペシ叩きながら自室か休憩室に入り、追ってきた執事に何か無礼があったか確認されると「酷いことを……」「はっ? あの男が姫様に何かっ」「あの男はわたくしの心を盗んでいきましたっ」とか、どっかで聞いた事のあるセリフを言って、不器用な貴族で盗賊に心のトビラの鍵で女の子のイチバン大切な物を盗まれてしまい、耳まで真っ赤になった両手で顔を隠して、ベッドで転げまわってヒーヒーキャーキャー言う醜態を晒す。


 他の地味子さんも帰り道の馬車でポエムを朗読し始め「あの方はまるで風のようだった、捉えどころが無く、誰の前にも屈さず自由で、手に取って独り占めしたり、檻に入れて捕まえることすらできない」とかホザいて、段差に乗った馬車の振動で自分の舌を噛んだりする羽目になる。


 他にも、手の甲にキスされてしまい、控室で「アンナ男ダイッキライッ、キザでエラソーでチャラチャラしてて、ホントもうサイアクッ、ホントキライキライダイッキライッ!(CV;マジカルエミ)」とかホザきながら枕やクッションなど投げて暴れていると、侍従から「それを、恋と言うのですよ」と諭され、自分の気持ちにすら気付けなかった淑女に、他人から恋心を指摘されてしまい真っ赤になる大失態を起こす少女も居たりする。


 不器用な貴族で盗賊は、他の女に目もくれず、まずは妹のカーチャの前に立った。


「いよう、お前が助けて欲しそうだからやって来たぜ」


 歯をキラーンと輝かせてやると、流石の相撲令嬢で勇者もメスの顔をした。


「うん(////)」

「今の困りごとは何だ? 兄ちゃんが全部解決してやるぜ」


 この兄竜なら、他の国を全部無視して侵攻している魔王軍先遣隊五千が「竜と共にある者」がいる国の北の国境の砦直近まで接近していても、一人で平気で倒して帰って来て、徹夜で戦ってちょっとボロくなって煤けたままでコートだけ脱いで、妹の膝枕で無邪気な子供の寝顔でグーグー寝るようなことをやらかして、まだ初恋も知らない男みたいな妹の子宮とかキュンキュン言わせて排卵開始させてしまうのも可能。


「クソ妹がな、こーわ派だか、きょうじゅん派の大臣魔物にしてぶっ殺しちまってな、もう戦争まっしぐらなんだよ」


 勇者が心配事を兄に話して涙目になっていると、姉だけに話し掛けて自分を一切構わない状態なのが気に食わない魔女がツカツカやって来て、姉を一発ぶん殴ろうとしたが、兄に腕を取られて聖女の法服のまま一回転させられ、腰を手で支えられたまま天井を向かされると、耳元でこう囁かれた。


「またヤリやがったな、悪い子だ、後でおしりペンペンしてやる」


 右大臣をぶっ殺した罪も、おしりペンペンで許してくれる兄も、おしりペンペンが「我々の業界ではご褒美です」な妹は即堕ちした。


 渡瀬恒彦さん演じる警察官が、認知症だか不治の病の妻からの嘱託殺人で死なせ、自殺もしない出頭もしないで歌舞伎町まで行ったのが捜査関係者の間で問題になり、自分の骨髄を提供した青年がラーメン屋で頑張っている姿を見て、骨髄提供が定年を迎える年齢まで刑務所でも良いので生きていないと、もう一度青年が白血病を発症した時に助けられないので半落ちになっているのと違い、一瞬で完堕ちした。


「どうしたら良いか、お前が考えろ」

「えっ?」


 姉を助けるのは嫌で嫌で仕方が無かったが、兄竜に抱きかかえられて命令までされて、子宮がキュンキュンして排卵開始してしまいそうな魔女は、どうすれば解決するかを考えさせられ、兄の為に一秒以内で答えを出した。


「姉さんの復活呪文で、魔物に食われた右大臣をこの場で復活させるの」


 自分が考えた設定の「魔物と混血している人類が、魂まで穢れると魔物と同じ」「大臣は国を売って自分だけ助かるように、領主の地位まで求めた売国奴」設定を覆せるよう考えた。


 それには「一回食われて死んでるけど勇者の呪文で生き返ったのでセーフ」「王家と貴族と大臣自身を犠牲にするけど、民衆や王都は無傷で生き残れる」「右大臣は民衆と王都のために一人で内密に交渉に行って自分が犠牲になった愛国者」という新設定を入れると全部解決するので、姉の為になるのは嫌だったが、兄竜が魔王軍を一人で倒して帰った後には、自分の膝枕で眠ってくれそうな気がしたので提案した。


「ヨシッ、カーチャ、よく分からんけど、勇者の復活呪文で右大臣を復活させてやれ、それで万事オッケーだ」


 内情も事情も知らないで国際情勢も知らないでイキっている兄を見て「だらしない人」と思うのと同時に「この人には私が付いていてあげなくっちゃあだめ」みたいな、母親ソックリな思考回路で兄にベタ惚れの魔女。


 解決策まで全部妹に丸投げして、姉の敵である自分まで利用して使われてしまい、「く、悔しい、でも幹事長?」な魔女は、姉を陥れたり国を亡ぼすのは次回にしようと思った。


「ああ、そうか、その手があった」


 カーチャもビコーンと擬音を出して頭の上でLED電球が点灯し、魔物認定された大臣でも、元は人間で一回食われていた事にして、腹の中から勇者の復活呪文で生き返らせたことにすればセーフだと気付いた。


「なんか言ってやれ」

「ええ」


 魔女は大公の近くにあるマイクパフォーマンス用の魔石付きマジカルロッドを借り、観客に説明した。


「先程の発言を訂正します。右大臣閣下は、王族や貴族、ご自分を犠牲にしてでも民衆と王都を守ろうとした愛国者でした。確かに王族に従わないのは罪で不敬ですが、魔国に歯向かった国は必ず滅ぼされ、使えるものだけを連れ去って、街や村は全て燃やされて来たのです、大臣は唯一民衆が生き残れる道を模索しているうち、魔国の間者に騙されて命を奪われたのです。しかし、魔物に食われてしまった大臣でも、姉の復活の呪文なら蘇らせる事もできます、一度大臣の言い分も聞いて見ましょう」


 事実とは違ったが、嘘は言っていないのでマヌケな観客には通った。


「おお、奴はそこまで民衆を思う忠臣であったか、王に仕えるだけではなく、まさしく民に仕える公僕、見上げた奴じゃ」


 先程まで売国奴と罵って怒っていた脳筋の老騎士も、バルトローエンみたいな顔になって愛国者に感心した。


 隣国に嫁いだものの国に帰された後亡くなった姫を思い、別の国の王子と恋仲になった姫との間に子供が生まれた秘密とか胸に隠して、姫様から拝領した色っぽい名前を付けられた馬と諸国漫遊する気になった。


「では姉さん、いえ勇者よ、大臣を魔物の腹の中から救って下さい」

「おう」


 なんかそう言う話になったようなので、余興の一つとして右大臣を復活させてみる。


「おお、大天使がっ」


 団長の家だけでなく、ついに公衆の面前で死者復活をやらかしたカーチャ。


 さっき奉加帳?の列に並んだ、家族を失った連中の目付きもさらにヤバくなり、復活の呪文は本当にあるのだと思い知らされた。


 首から下は残っていた右大臣だったが、統一されて新しくプリントアウトされたので古い体は無くなり、いつも通り「全裸で」復活した。


「ヤダ、わたくし裸」


 誰も喜ばないジジイの全裸だったが、光の斜線とか飛んできて、昔の洋画ポルノみたいに画面の前に何かが置かれて隠されていた。


 そこでウテナ様みたいなオトコマエの暗黒竜が、机の上に敷かれたテーブルクロスを引き抜いて、上に置かれたグラスや皿を一切倒さず取り出す場面が1カメから3カメまで繰り返され、全裸の右大臣に踊るようにしてテーブルクロスを巻いて、ドレスが破れたアンシーを隠すみたいに助けた。


 もちろん右大臣も「ドッキーン(////)」みたいなメスの表情になり、兄竜で暗黒竜でステキな盗賊で義賊に心を盗まれて、貴族で海賊戦隊の私鯨船に心も体も攫われてしまった。


(囚われの右大臣を後ろから抱き締める悪の海賊でバンパイアで暗黒竜が首筋に噛み付き、心臓の前で手を恋人繋ぎで組んで、後ろにのけ反って目を閉じて陶酔しているジジイの止め絵を、パンして引きで撮るイメージ映像)

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