復活
数年前、冒険者ギルド
暗黒竜だが人化の魔法で15歳ぐらいのクソガキになっているのが、あろうことか「ママ同伴」で冒険者ギルドに入場した。
年上のババアと若いツバメなのか本当にママなのか、女の方はデレデレで息子に腕を組んで受付カウンターまで案内していた。
「ここで登録するのよ~、ああ、これからボクチャンの黄金伝説が始まるのね~~(ハート)」
当然笑い者になって、カウンターに行く前に大人数の冒険者が絡んで来た。
「おい小僧、ママ同伴とは大きく出たなあ? 冒険者ギルドにも長く来てるが「家でママのオッパイしゃぶってろ」と言ったことは何度もあっても、本当にママと一緒に来たのはお前が初めてだ、褒めてやるよ」
半笑いで馬鹿にした冒険者に釣られ、周囲の冒険者も堪えきれずに笑った。
「「「「「「「「「「ギャハハハハハハハッ」」」」」」」」」」
暗黒竜でクソガキは臆することなく、絡んで来たオッサンの懐に入った。
「オッチャン、すげえキンニクだなあ、触ってもいいか?」
素早く「雄ッパイ」を握り締めてコロコロすると、素晴らしいテクニックですぐに冒険者を虜にした。
「アンッ(////)」
雄ッパイを揉まれた冒険者は、すぐにメスの顔になって顔を赤らめ「この少年にならはぢめてを捧げても良い」と思った。
「ママ、ちょっと手続きしといてよ」
「うん、ママ頑張るね」
御用を申しつけられたママもメスの顔でカウンターに向かい、受付嬢にはキツい顔を向けて用事を進め始めた。
「うちのボクチャンが冒険者になるのよ、イケメンだからって見とれてないで、ちゃんと手続きしなさい」
「え? ハイ」
その間にも冒険者への愛撫は続き、尻を撫でられたりケツのキンニクを揉まれた男も陥落し、フトモモの上に座られた男も即堕ちした。
バキの親父みたいに、自分よりも弱者で、竜から見たら人間の男も女も大して違いが無いので「全部異性」の暗黒竜のオスの前では全員メスになって、全員誑し込んで仲良くなった。
男なのに女の子みたいな良い匂いがして、オスのフェロモンプンプンに放出して、魔眼からも「俺に真剣でKOIしなさい」とギアスで命令が来て、オスの冒険者には存在しないはずの子宮がキュンキュンしてしまい、五分と経たずに全員と仲良しになって、暗黒竜に一人残らず魅了された。
「すげえなあ、腕にぶら下がってもいいかい?」
「おうよ、おめえ一人ぐらいぶら下がってもビクともしねえや(////)」
力士みたいに腕で鉄棒する遊びで、冒険者のオッサンも鉄棒か冷凍ソーセージみたいにカッチカチ(どこが?)になった。
どこかの武士と一緒で「そんな大きな黒船入港されちゃったら、拙者の浦賀港壊れちゃうよ(////)カアアッ」みたいな顔をして、クソガキが自分の腕にぶら下がって遊ぶのを嬉しそうに見送った。
「ねえ、ちょっと血を出してステータス登録するんだって、こっち来て」
自分に注意を引こうとママもやって来て、腕組んで自分の胸を押し付けてムギューとする。
ボクチャンに傷を付けるのは許さないが、ママが後で傷口をペロペロして、ムチュコタンが指から出す液で汁を嘗めさせてもらおうと思っているヘンタイは、冒険者登録の為に泣きながら自らボクチャンの指に傷を付けてしまい自責の念に駆られながら、一滴たらして以降はすぐにペロペロチューチュー指フェ〇して、自分の命よりも大切なボクチャンが出す汁をずっと吸い続けた。
暗黒竜の血を吸ったので弱い人間などすぐ眷属化されて、ほぼ不老不死になる。
今までもオムツの中に排便したのを食べてみたり、オムツ外した時に小便で顔面シャワーされても高級化粧水で洗顔料で髪のトリートメントとして笑顔で受け止め、体調不良が無いかシッカリ味わって確認して、釣りバ〇日誌の浜ちゃんみたいに「チーズの味がする」だとかホザいていた。
小さくて片翼で弱い方の姉竜に、呪われてもトリカブトで毒殺されても火を吹かれても呪いのアイテムで呪殺されてもスティーブンセガールみたいに後ろから首の骨180度回転させられてヘシ折られても、全部無傷だったBBA。
でもストナ一家では何回目かの毒殺で「おまえらの母親は死んだ」ことになっている。
男兄弟の中では、どこかのエデンの東のタカラヅカバージョンみたいに「僕たちの母さんが死んだと聞いてからは、母さんは天国に行って一番美しい翼を持った天使になったと話していたよね? でも本当は……」「やめろーーーっ!」となったように、売春宿のヤリ手ババアになっていたとか、本人も若いうちは体を売っていたんだとか、次男が先物取引で儲けた金でさえ父親から「返してきなさい」と言われて「大っ嫌いだーーーーっ!」になり、綺麗事ばかり言う父親ソックリの長男は、母親の第二の人生にショックを受けてしまい、酒を飲んで暴れてそのまま志願兵になって従軍、兄の婚約者は未亡人下宿の管理人的な感じになって、映画版も義理の弟と手を繋いで駆けて行くようなエンディングに。
ストナ家のママも長男のボクチャンの魔眼にヤラれちゃって脳殺。
心も体も命も魂までもムチュコタンのモノになって、それが嬉しいとまで言うほどのムチュコタンコンプレックスのママに成り果てていた。
「こ、これはっ?」
受付嬢は、種族の欄に「ドラゴン(暗黒竜)」と出てしまったのを見てしまい、緊急事態ボタンを押してギルドマスターを呼んだ。
当然ギルドマスターも腰を抜かし、レベルが300もある暗黒竜が人化しているオボッチャマだと知って平身低頭。
人間のレベル300とは桁が違うので、人間にするとレベル3000~5000ぐらい。
正体がドラゴンだとは箝口令が敷かれたが、すぐにCランク冒険者として採用。
定番の水晶とか魔法具で魔力を調べる器具も、凄まじい光を発して破壊。
買取カウンターにも壮絶なレベルの魔獣が未解体で山盛りに置かれ、ドラゴンの骨とか鱗とか牙も山積みされてしまい、解体場の人員や買取鑑定者も、天文学的な買取価格の査定が出るまで酒場で食事でもしながら待った。
そこでこれも定番の「今日は俺の奢りだ、ジャンジャンやってくれっ」と暗黒竜が言うと、オッサンとか爺さんも大喜び。
飲むと「俺も若い頃には……」とか語りだし、酒代が払えない元冒険者の飲んだくれまで過去の経験談を語りに騙り続けて全員教え魔になった。
「誰だ、子供に酒飲ました奴はっ?」
「ヒエッヘッヘッヘッ」
いつもいつもいつも怒鳴り声と喧嘩が絶えないギルドで、凱歌が響いて机の上で踊りだし、笑い声が絶えない場所になって受付嬢も号泣。
その後は試験官でもギルドマスターでも酔った状態で指一本で倒して、貢献度と強さとレベルの高さと種族的な優遇により、登録初日でギルドカード発行前にSランク冒険者として登録された。
その後は「冒険者? 誰か知らないけど全員抱いたぜ」みたいな感じで、酒場で雑魚寝していた冒険者全員メスにされてヒーヒー言わされ「俺はノンケでもホイホイ食っちまうような男だぜ」とか「受付嬢? ギルドマスター? 知らないけど全員抱いたぜ」的な展開になった。
どこかの漢楚の戦いの劉邦さんみたいに、酒場にいると話が面白くて客が絶えなくなり、クロコダイルダンディーみたいなホラ話を聞きに店の外まで客が並ぶようになって、金はあるのに酒代はタダになり、S級クエストを受けて何でも退治して帰って来ると「今日は俺の奢りだ」「「「「「ウェ~~イ」」」」」の無限ループ。
ソロが続いて心配する受付嬢に聞かれ「パーティー? ギルド全員オレのパーティーメンバーだぜ」になり、本人が与り知らぬうちにクランが結成されて、全員が自分にできることを見付けて、有能な者が追放されることも無くのびのびと才能を開花させ、会計だとか鍛冶師とか錬金術師とか魔物使いとか下層の掃除婦や飯焚き洗濯婦に至るまで全員ヒーヒー言わされて、史上最大のクランが近くの街に結成された、らしい。
竜騎士団
「さ、親父、一回帰ろうか? 全員出払って今あいつ(姉竜)一人なんだろう? 仕事? そんなもん明日でいいさ」
他の事は全て底が抜けていて、財布の底も抜けているが、幾らでも稼いで来れるし会計連中がしっかりしているので問題なし。
そんな状態でもお褒めの言葉だとか誕生日とか記念日とか細やかな心遣いだけは忘れないので、家にいる妹(姉竜)とか会計とか錬金術師とか鍛冶師の裏方にも優しい言葉をかけてやるので全員ボロ泣き。
さっきまでワンワン泣いていたのがヒーヒー泣かされて、全員忠誠度マックスで、クランの頭領である暗黒竜が追い出されたりもしない。
どっかのフェニックスの人みたいに「群れるのは嫌いだ」とか言いながら、暗黒聖闘士を大量に部下に抱えたり、折角の冥界編には一人も出て来なかったりしないで、群れるのがダイスキな頭領。
「帰るぞ、親父」
「うん(////)
一緒に仕事を片付けて親方部屋にも戸締りをして、足が遅い親父をおぶって帰る孝行息子。
縮地を使って光の速さでテレポートして、竜騎士団の門とかも飛び越え、凄まじい地響きを上げて村まで瞬着。
「おう、帰ったぞ」
家の扉もバーンと開いて、歯がキラーンと光ってオトコマエな表情で帰還。
「兄ちゃん」
姉竜(妹)が一番心細い時に帰って来てくれる長兄。
暗黒竜には妹センサーが標準装備されていて、妹達が危険に陥った時にはタキシード仮面様的な登場をして、惰弱な弟達がピンチに陥った時にはフェ〇ックス一輝的な登場をして、一番オイシイところを食べにくる。
「待たせたな」
オトコマエな表情のまま妹を抱き締め、涙を指で拭ってやる。
大半の弟妹の巣立ちを見送ってしまい、一番側にいて欲しい最高の瞬間を狙って帰って来てくれる兄。
「兄ちゃん、寂しかった……」
「ヨシヨシ、よく頑張ったな」
「うん」
これで姉竜も堕ちた。
そこでいつもの地響きを聞いた村の女連中は、着の身着のままで屋外に飛び出し、陸上選手のような正しい姿勢で走って掌を開いて腕を振り、一目散にストナ一家の家まで走って「猛竜注意」の柵を飛び越えて「笹食ってる場合じゃねえ」みたいな教本通りの飛び越え方をして、愛しい男性の元に駆け寄った。
もちろん男共も「アニキーーー(性的な意味で)」とか叫びながら正しい姿勢で走り切り「猛竜注意」の柵を飛び越えて「笹食ってる場合じゃねえ」みたいな教本通りの飛び越え方をして、愛しい男性の元に駆け寄った。
「帰って来たのねっ?」
「アニキッ、俺のバージン?貰ってくれよ」
全員「セキニンを取れ」などと言わず、またヒーヒー言わせてくれたり、次の子を産ませてくれればそれで良いので抱擁。
邪魔者の泥棒竜?で妹が抱き着いて泣いていたので数人で排除して、子供の養育費とか渡してくれるのも無視して抱き着いて、男共がワラワラと湧いてくるのも排除して順番にキスして行った。
親父も姉竜も、火が消えてしまったような家よりは賑やかで騒がしい方がありがたかったのか、いつもの暗黒竜のキャラなのか、いくらでも人が集まって来る。
出遅れた女とかも綺麗に化粧までして着替えて「お弁当作って来たの~~」と言う系統の、あざとい女も参加した。
カーチャとか聖女聖人達に世話になった家族も料理を持って来て、急遽開催されたパーティーに村人全員参加して、いつも周囲に人が絶えない兄を見て笑っていた。
「「「「「「「「「「ウェ~~イ!(意訳;乾杯、もしくは「シャンパン入りました~~っ」)」」」」」」」」」」
酒は樽ごと、金貨も樽ごとアイテムボックスから出して来て、自分の赤ん坊が生まれた女も男?も、貧しいお婆さんであろうが孤児でも母子家庭でも金貨掴み取り持ち帰り放題。
「いつもいつも済みません」
「何のお返しもできないで恥ずかしい」
「にいちゃん、ほんとにもらってもいいのかい?」
「いいってことよ、ウェ~~イ!」
何の関係も無い貧しい家の者が、今回も恥ずかしがりながら金貨を頂きに来て、泣いて感謝していても、食い物渡して酒でも飲ましてウェ~~イ!
父無し子を産んだ娘も陽気にウェ~~イ、誰が父親なのか分かっているので、村でも娘の父親でも歓迎。
できた息子も娘も種族がドラゴニュートで、力も人間の数倍で魔法の才能があって、竜が始祖のこの国なら貴族にでもなれるのでウェ~~イ。
何ならアニキ(性的な意味で)の子供の父親になりたい男が代わりにセキニンを取っていたりするけどウェ~~イ。
賑やかな宴がしばらく続いて、姉竜も泣かずに酒飲んでいたのでウェ~~イ。
竜騎士団長邸宅
やっと勇者を家に連れて来て、娘の墓に案内できるようになり、ウェ~~イはまだしていないが、通勤用の飛竜を飼育員に任せて進む。
「帰ったぞ、話は聞いているな? 妻を呼んでくれっ、歩けないようなら車椅子でも使って墓場に連れて来てくれ」
家令や執事に命じて、竜寄せ?があるヘリポートみたいな場所から階下に降りていく。
「あ、近所の連中生き返らせやしたら、全裸で出て来るんで着物と履物もお願いしやす」
三女四女や子竜幼竜の足を足拭きで拭かせ、カーペットを汚さないように歩く。
死者の復活などと言う大魔法は大聖女以外に唱えられない。
高額の寄付をしようとも、どれだけ願っても順番が回って来ない依頼達成が目の前に迫っているので、これぐらいの被害はキニシナイ。
屋外に出て段々早足になり、走るような速度で移動しているが、メスガキ達は元気なので竜と一緒に走る。
「ぐぎゃあ」
「ホキクカケコ」
「走れっ」
預けているだけでも問題を起こすアホウ共なので、目の届く所にいた方がマシなので墓にも連れて行く。
やがて、西洋式なので石造りの建物の中にある墓に着き、娘が納棺されている場所に入った。
「ここだ、どうかね? 生き返らせそうか?」
さっきの墓場の連中と同じで、目付きがヤバ過ぎる上にエンドルフィン不足なのかガッタガタ震えている団長。
目を閉じないので涙で眼球を守るために濡らすのか、魔法の照明器具で照らすと怖すぎる。
「天命は尽きてないです、ちょっと狭いけど大丈夫でしょう」
奥さんで母親を待たなくて良いのかと思ったが、まずは生き返らせてみる。
「ケルケルケルケル、クカカカカカ、キキキキキキ、カーーーッ」
大天使が降りて来るかと思ったら、竜騎士団団長の娘らしく天井から竜が降りてきた。
墓の前に光が集まり、三次元プリンタでプリントアウトされて13歳ぐらいの娘が復活した。
「おおおおおおおっ!」
この一年の悲願が達成され、ついに復活した娘を見て泣き始めた団長。
「あ、いきかえった~」
「すごーい」
復活の呪文を知られてはいけない二人に呪文を覚えられた。
使用許可は出していないが、緊急時に使われると人の生死のバランスが壊れ、いろんな退魔物みたいに死のケガレを持つものが街中を闊歩してしまう。
「言葉とか、家族関係ぐらいは覚えてやすが、一年も経ったので大分記憶が薄れてます」
「構わんっ、その程度いくらでも取り戻せるっ」
全裸の娘を抱きしめているので事案発生。ここを奥さんに踏み込まれると、ょぅじょ警察にタイホされる。
頭の中が空だったので、サービスに竜語を書きこんでおいたのは内緒。
「さて、ちょっと外に出てレベル上げしやしょう」
「「は?」」
復活したての娘も、二人ともイミワカンナイ状態で疑問符を浮かべる。
「レベル99にしておいたら、状態異常耐性で疫病なんか関係なくなりやす、ヒットポイントも2000ぐらいにして装甲1500以上にしといたら、地獄熊に刺されようが噛まれようが無傷です」
「そ、そうか……」
納得してくれたようなので、娘にメイドが持って来た服を着せて靴を履かせた。
墓の外に出てもまだ娘を抱いて泣いている団長を置いといて、死体しか入らないアイテムボックスにも入る、盾用のストーンゴーレムを出して手足を払って動けないようにしておく。
「さて、娘さん、これ握って刺して」
感度3000倍の剣を装備させて止めを刺させる。低レベルのタマネギ剣士なのでどんな装備も可能。
「はい」
攻撃力も3000倍なのでストーンゴーレムなど粉砕され、団長の娘もレベル99ぐらいまでカンスト。
99から100までの超えられない壁は超えなかったようだが、ムッキムキでテッカテカでカッチカチで「肩にちっちゃい重機乗せてんのか~い?」みたいになった。
ちょっとアヘ顔して白目剥いて舌も出しているが、硬直期間も終わった。
「これで流行病ぐらいでは死にやせんし、地獄熊に襲われても竜の初撃ぐらいは耐えられます」
「そうか……」
そこまで望んでいなかったようだが、死なないのは結構な事なので納得。
「娘よ、驚くかもしれないが、お前は去年、流行病で死んでしまったのだ、覚えているか?」
「ええ、少し」
病気の苦しみとか死の瞬間の絶望とかトラウマは無いようだが、自分が一度死んだという事実は認識している模様。
「こちらが今代の勇者、昨日から竜騎士団に来てもらって、竜騎士見習いになったストナ家のカーチャだ。彼女がお前を勇者の復活呪文で生き返らせてくれたのだ」
「へぇ、始めまして」
ちょっとテレて頭などかきながら団長の娘に挨拶する。
「始めまして、ありがとうございました」
自分の置かれた状況はあまり理解していないようなので、救われた後は狂信者の目になって泣き叫んだりしていない、
やがてメンヘラリスカヤンデレ女になっていた、団長の妻も車椅子で連れて来られ、娘と対面させられた。
「どうだ? 勇者の呪文で生き返らせて貰ったんだ、探していた文献の通りだった」
へんじがない、ただのしかばねのようだ。
「どうした? 娘が生きか……」
そこで娘の母親は、狂ったように叫び始めた。
「ちが~~~~~~うっ! あの子はもう死んだのっ、死んじゃったのよ~~~~っ!」
すっかり壊れている割には思考回路は正常なのか、勇者の呪文など存在しないと思って頭を抱えて泣き喚く。
レベル上げまでして、ムッキムキでテッカテカでカッチカチにしたのも悪かったのかも知れない。
「どうせまたよく似た子供買って来たんでしょ? そんなのにもう騙されない~~~~っ!」
既に身代わりのよく似た女の子を買って来たりして、身ぎれいにして貴族の振る舞いを教育してみたが、記憶確認テストで落第。もう同じ失敗は繰り返さないらしい。
今の娘も記憶が欠落しているので、母親と娘しか知らない出来事を聞かれると落第する。
「いやああああああっ、殺してっ、娘の所に行かせてっ、もう死なせて~~~~~~っ!」
どっかの真夜中に働いてる公務員に出て来た悪魔みたいに、恋人だった人間が100年も経たずに死んでしまったので、寄せ集めの若い体を何度か作って魂を入れても「違う~~っ、また自分の体じゃない~~、どうして眠らせてくれないの~~」みたいな地獄絵図が描き出された。
「え~と? 墓の中で天命が尽きていない、ご先祖様の子供とか目の前で生き返らせましょうか?」
先代か先々代ぐらいの、幼い頃に死んでしまった天命が尽きていない棺桶を出して、妻の目の前で復活呪文を掛けてやると、空から大天使が降りてきて、いつも通り光が集まって新しい体がプリントアウトされた。
「え~と、これがエイシェントドラゴンのじいちゃんに教えて貰った、勇者の復活呪文でさあ」
「え? ここどこ?」
ついでに復活させられた、団長の姉か叔母か祖父の姉妹、14歳ぐらいの女の子も蘇ってしまった。
「いやああ~~~~~っ、こんな事有り得ない~~~~~っ、娘は死んだのっ、もう死んだの~~~~~~っ!」
どこかの貴族令嬢だろうが、車椅子からも転げ落ち、地面を転げまわって泣き叫ぶ醜い生き物。
「済まない、君はもう生きられない」
団長まで壊れて刀に手を掛けて、妻を刺し殺してしまいそうなので、このままでは駄目なのと五月蠅いので時間を巻き戻すことにして「天使を呼びましょう」をやった。ガッツリ無断でやった。
天使が負傷や病気を見て時間を巻き戻すと、あれだけ叫びまくっていた妻は一年以上前の穏やかな表情になった。
ガリガリに痩せていたのもリスカ跡も、クビツリクビキリ跡も消え去って脳のダメージも消えたのか、目の前に娘を見付けてちょっとムキムキになっていたが気にせず、優しい言葉をかけて夕食に誘った。
「もう日が暮れたわ、夕食にしましょう、一緒に帰りましょうか?」
ドン引きしていた娘も母親に手を引かれて付いて行き、カーチャに会釈してから屋敷に戻った。
精神的に疲れ果てた団長が崩れ落ちて膝を着いたが、娘が生き返り、元に戻った妻と歩いているので一年間の労力が報われた。
「団長…… 娘さんが死んだとか生き返った話は奥さんの前では禁止ですだ」
「ああ、説明できんな」
「一年前に戻って、その間の事は覚えてやせんので、家の人にも話さないように注意して下せえ」
「分かった」
そこで残った問題が一つ。
「え~と、君、誰?」
カーチャが近くにいた子供に聞いてみたが、墓にいたので侯爵家関係者しかいない。
「無礼な、竜騎士。我は侯爵家令嬢、マリーナ・クローリアであるっ」
団長は、祖父の姉がそんな名前だったと思い出し、後で家系図を見る事にした。
「夕食をご用意しております、宜しければ御一緒にどうぞ」
「うむ、大義である竜騎士、お主は誰か?」
「貴方様の弟君の孫に当たる者で御座います」
「ファッ?」
60年ぐらいの時を超えて蘇ってしまった団長の大叔母。
まあこの平面世界は永遠の中世ナーロッパ世界で、人類が滅びないように生かすための箱庭なので、科学技術が発達したりしない。
見たことも無いテレビやスマホを見せられて、使えないので困ることも無く、旧態依然の千年前からある魔法具とか、精々最新の写真機の解像度に驚く程度で済む。
ただ、60年前の家族とか親戚とか友人が生きていると、早くに死んだ子の年を数え続けている人物もいるかもしれない。
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