抱き枕と男
昨日見た夢です。
俺は今日も彼女たちとベッドを共にしていた。
「ふふふ。ゆあちゃん。ゆみちゃん。」
2人は結愛ちゃんと結実ちゃんだ。
双子であり、ほんわかお姉さん系の結愛ちゃん。
そしてちょっとツンデレ気味の結実ちゃん。
とあるゲームのヒロインだ。
昔は多かった分岐のあるシナリオゲーではなく、
1本ルートの姉妹ハーレムものだ。
主人公は結実ちゃんのことが好きだったのだが、
部活の先輩の結愛ちゃんに迫られて関係を持ってしまう。
結愛ちゃんの部屋で事に及んでいる最中に、
妹である結実ちゃんが帰宅してしまう… そんな話だ。
実は相思相愛だった結実ちゃんと最終的には和解し、
3人で幸せにハーレムライフを過ごすのだ。
2人の抱き枕を購入してから俺の生活は豊かになった。
生まれて今まで彼女なんてできたことはないが、
2人を抱きしめて眠ることで毎日幸せな夢を見ることができた。
今日も俺は半額の弁当をレンチンして食べてから2人と眠りにつく。
「おやすみ。結愛、結実…。」
俺は今日も誰かの胸に抱かれるような幸せな気持ちで眠りについた。
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なんだかまぶしいな…。
それになんだか騒がしい。
アラームが鳴っていないのでまだ時間には余裕があるはずだ。
騒がしいけれど、どうせ隣の部屋の大学生が朝まで騒いでいたのだろう。
俺はそんなことをぼんやりと考えながら、
再び眠りに着こうとした。
ん?あれ、抱き枕がないぞ?
目を閉じたまま手で位置を探ろうとする。
…手が動かない。
もしかしてこれが金縛りだろうか。
なんてことを考えていたら目が覚めてしまったので、
諦めて目を開けることにした。
たま~に寝相かなんかで布団から出ちゃうことあるんだよね。
そんなことを思いながら。
…俺は家賃3万のぼろくて壁の薄い、
壁紙がちょっとかびてる築50年のアパートに住んでいたはず。
目の前には高すぎる天井が見える。
30mくらいありそう。
白い壁が光を反射していてまぶしい。
ゆっくりと目をめぐらせる。
ステンドグラスだ。
ここは教会か何か?
ゲームの主人公ならこんなところで蘇生されそうだな。
そのままゆっくりと視点を下げていくと、
誰かの頭が見えた。
いや、首も動かせないから下の方を向けないんだよね。
その金髪の頭たちは、誰かと話しているようだ。
最初は何を言っているのかわからなかったが、
それでもやることがないので聞いていると段々と理解できるようになった。
それにしても、この声って…。
「君たちには主より使命が与えられている。
ユア、ユミ。2人は使命に従い、
魔王を退治してもらわなければならない。」
「嫌よ!どうしてそんなことしなきゃいけないの!
いきなりこんなところに連れてきて…。
しかもお兄ちゃんも抱き枕になっちゃってるし…。
あんたたち、お兄ちゃんに何かしたんでしょ!」
「結実ちゃん…。」
この声は… 聞き間違えるはずもない。
いつも一緒に眠りについていた、
俺のお気に入りのゲームのヒロイン。
悠木結愛と悠木結実の声だ。
現時点では続きを書くつもりはないです。