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わたし達、冒険者始めます  作者: 遠ノ守
第三章 遭難しましょう?
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27 調査隊1  sideルーシー   


「君が調査隊をひきいてくれないか?」


 言われそうな気がしてた。

 女のかん


「私、冒険者は休業していますが」

「そうだな、だが休業であって登録抹消はしてないだろう?

 いやそうじゃない。そう言うことじゃないんだ。順番に話すとだな……。

 このあと君が作る報告書レポートは、タルサ市行政府(ぎょうせいふ)に回る。もともと行政府から調査を依頼されていた、“ダンジョンにけるDランクEランク冒険者遭難(そうなん)事件”にからんでいる可能性が高いからだ。

 そして今後の調査規模は、未踏みとう領域の発見にともない拡大されるだろう。

 ここタルサ市が国の(ダイレクト)(コントロール)ということもあって、国から学者などの調査団が送られる可能性が高い。

 それはいい。

 そこに文句はないのだが、調査が始まってしまえばそれが終わるまで何の手出しも出来なくなる。そして調査が終わった後、すべてがそのまま残っているとは限らない。

 だから第一印象ファーストインプレッションをだな……いやいやいや、それで調査隊を現場へ案内することになったとして、周辺状況がつまびらかにされていないというのは、現地の冒険者組合(ギルド)としては、忸怩じくじたるものがある」


 第一印象ファーストインプレッションとか言ってるし。

 でもまあそうよね。

 このダンジョンに人が入るようになって、記録によればもう千八百年。

 鉱山と違ってくされることがないから、どうみても歴史の領分テリトリーに突入している。

 より深くもぐることでひらかれる、新層以外の未踏みとう領域って、何百年ぶりかっていう話なんじゃない?

 しかもこんな浅域で。


「第六層からの径路ルートについては、予定通り“紅牙こうが”と“緑の旋風(グリーンゲイル)”にまかせればいいだろう。問題は、“またり”と“白き朝露”が通れなかったボス部屋とやらの“外側の様子ようす”だ。階層深度としてはCランク冒険者でおつりが来るが、中央岩塊の東側はひらけていて、冒険者に人気がある場所じゃない。つまり浅い割に、情報が少ない場所だ」


 日帰りの難しい深度だからDランクは来ないし、馴れたCランクはもっと実入りのいい深い層へ行ってしまう。昇級ランクアップしたての“C(マイナス)”ランクパーティーが腰掛けとして使う、言ってみれば端境はざかいの階層よね。


「第五層探索の主目的は、あくまで未踏領域外側の様子確認ということになる。首尾良しゅびよく扉が開けられたとしても、中で出てくるのが害猪イビルボアなら、C(マイナス)を脱したパーティーであれば、倒すのに問題はなかろう。むしろ君に頼みたいのは害猪イビルボアを倒した後だ」


 あと?


「オレもそうだったし君も覚えがあるだろうが、冒険者というやからかせぎのために魔獣とたたかっている。もちろん人類の脅威を取り除くという意識はあるが、それだけ(●●)で冒険者をやっている奴はほとんどない。だから心配なんだよ、お宝を見つけてちょろまかすとか、お宝を探し回って現場を荒らしちまうとか事故にうとかいうやつがな」


 あー、それはありそうね。


「普段ならそれでも構わんのだが、今回は後で本調査が入る。害猪イビルボアの討伐報酬の宝箱トレジャーチェスト程度なら問題ないだろうが、それ以上となると後で問題になる。

 調査を頼む緑の旋風(グリーンゲイル)がBランクなのでな」

「それににらみをかせるとなると、個人でBランクの私以上……ですか」

「わざわざ睨みを効かせる必要はないが、釣り合い(バランス)を取るという意味ではそういうことになる。君が気を配っていてくれれば盗掘とうくつ抑止よくしになるだろう。大手おおでを振ってダンジョンにはいれる組合ギルド職員で、かつBランクに対してそう言う気を回せる人材というと、あとはオレしか居ないからな。君の過去は承知しているが、今回向かうのはずっとずっと浅い第五層だ。君にはギルド職員として調査を主導してもらいたい。だからたたかいは、連れていくCランクパーティーにまかせて、君は物見ものみを決め込んでくれていい。

 頼む。護衛役のCランクが戦っている間の、案内役の安全確保を兼ねて、行ってもらえないか」


 “またり”さん達の稼ぎ方を見ると、あの人たちに第五層で護衛が必要とも思えないけど、確かに経験は足りていない。

 っておくのも気持ち悪いか。

 まあいいわ。


「分かりました。そうするといま私に付いていラピスは、私がダンジョンに入っている間どうしましょう? あと“武具防具の目録カタログ化”の話は進捗しんちょく報告や問合せがちょくちょくあります。“石鹸せっけん”と“風の探知ウィスパーディテクション”、それに“魔石を大きくする方法”の三件はこちら側の処理を一段落させていますので、すぐにはどうこうはならないと思いますが」


 ふだん受付けにいる私が、数日間ダンジョンに入るのだ。かかえているあれこれに、できるだけとどこおりが出ないようにしておく必要がある。


「ラピスは連れて行ってくれ。ダンジョンの中にではなく、とりで組合ギルド分室で君らの後衛バックスとして待機だ、砦の施設や周辺地理にも馴れてもらおう」


 騎獣を連れていったら、運動もさせないといけないしね。


「商業組合(ギルド)絡みの二件はうちの売店ばいてんへ回してくれ。オレが後ろに付く。“探査魔術”と“魔石”の件は、確かにしばらく動きはないだろう。君が戻るまでの間、なにかあればオレの所へ直接回してもらっていい。以上かな」

「分かりました。その内容で調整します。それでは」


 こうして五年ぶりに、私はダンジョンへもぐることになった。




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