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わたし達、冒険者始めます  作者: 遠ノ守
第一章 ここはどこ!?
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5 タルサの街へ         


 いいことがもう一つあった。「地図マップ」だ。


 ゲームにあった地図マップ機能が使えたので、領域エリア内での自分の位置と方向が分かる。

 街だの道だのが書かれていない白地図だが、自分たちの周り十数メートルの範囲が詳細表示に変っているので、“自動地図作成オートマッピング”じゃないかな。

 ある程度の距離を移動すればもっとはっきりするだろう。

 これも収納ストレージと同じで、視界とは別に地図が思い浮かぶ方式だ。

 不思議だね……。


 ともかく方向が確認できるのはとてもありがたい。地図マップ方位磁石コンパス屋外活動フィールドワークの必需品である。

 おまけに(グローバル)(ポジショニング)(システム)まで付いてるなんて、値千金あたいせんきんだ。



 人の居るところへ行かないとこの先どうしようもないので、収納ストレージの中にあった水と食べ物で軽く腹を満たした後、最寄りの街「タルサ」を目指して二人で歩き出す。


 歩きながらも考える。

 目を覚ました場所の周辺には、取り立てて何もなかった。二人ともだ。

 ゲームの最中に揃ってレア魔獣に倒されるなんて、恐ろしく珍しいというわけでもない出来事で、異世界転移とかゲーム内転移らしき事が起こるなんて、娯楽小説エンターテイメントノベルじゃあるまいし、勘弁してほしい。

 まだ夢だと言われた方がに落ちる。

 百歩譲って、魔獣に倒された事が引金になっているのだとしても、それが原因(●●)と考えるのはお気楽すぎるというものだろう。

 なぜこんなことになったのかというのは、きっと今考えても答えは出ないのだろうな。


 一方この体はやはり俺たちのゲームアバターが元になっているのか、持ち物はゲームをしているときのままだった。

 これは幸運なところだ。

 もともとが倉庫アバターだったので、装備・物資・資金がこれでもかと詰め込まれていたのだ。

 貨幣がそのまま通用するかどうかは分からないが、物資を売れば当面の暮らしに困ることはないんじゃないかな。

 手持ちの貨幣が通用するなら、当分遊んで暮らせるだけの蓄えもある。


 だがそれに身を任せて引き籠もるのは、たぶん悪手だろう。

 このゲームのような世界で、訳も分からないまま生きて死ぬというのは、苦痛でしかない。

 遊んでいたゲームの中や、よく似た世界に移動させられるなんてことは、話の中でならともかく、ふつう自然に起こることじゃない。たとえこれが現実リアルだとしても、どこかの誰かの意思なり条件なりが働いていると考えるのが自然だろうし、実現手段はいたって普通じゃない。

 ならその誰かさんの思惑というのも、きっとあるはずだ。

 その思惑に乗るか乗らないかは別にして、街に引きもって待っていれば、いつか自然に事態が好転し、ふたり仲良く元の世界へ戻れる……なんて都合のいいことは考え難い。


七国ゲーム」に準じているのなら、冒険者ギルドがあるはずなので、そこへ登録して、レベルとランク──階級──を上げ、行動範囲を広げながら情報を集めていくというのが、当面の行動方針だろう。


 なんてことだ。まるっきりロール()プレイング()ゲーム()じゃないか、トホホ。



 この世界で死んだ場合に、俺たちがどうなるのか? という問題もある。

 ゴブリンの死んだ様子を見ると、ゲームのように何処かへ送られて復活ということはなさそうだ。ひょっとたらあるのかもしれないが、自分の命を賭けネタにして試す気にはなれない。

 もしかしたら死ねないという可能性だってあるのだが、当面は命を大切に。ゲーム感覚は封印しておこう。少なくともこの世界の一般的というものが分かるまでは。

 ゲームの知識は役に立つかもだけどね。


 装備の様子から想像すると、俺たちは今レベル1なんじゃないだろうか。

 能力値ステータス画面がないので確認できないのだが、レベル16だったナルさんはレベル1装備の良品で固めていたので、装備に変化がなかった。

 レベル18だったエイル──俺の倉庫アバター──は、装着最低レベル17の装備に切り替え済みだったので、体がレベル1になって、レベル不適合で除装されたと考えれば、このあたりの辻褄は合う。


 全装備が除装された状態は、ゲームと同じアンダーギア──鎧下よろいした──姿だったが、ゲームとは違って、この鎧下も脱げそうなのに驚かされた。

 これも、ここがゲーム内ではなくゲームによく似た現実なのだという確信に、一歩寄る理由になっていたりする。

 鎧下は装備品一覧の中になかったので、衣類の扱いなんだろう。


 それで今は俺もレベル1装備を身につけている。

 店売りの普及品だ。

 もともと俺の装備品だからと、ナルさんが自分が着けていた装備の返却を申し出てくれたが、そちらはそのまま着けてもらっている。


 別に女性優先レディーファーストを気取ったわけじゃない。

 これも感触なのだが、魔獣と戦闘したときの殲滅せんめつ速度が、もとのレベルのときに近い速さだったのだ。

 レベル16と18というのは、序盤のこの草原地帯(エリア)ではレベルを上げられなくなる限界に近い。つまりこの場所の魔獣相手ではもう経験値になりにくい、それこそゲーム内で襲ってきたレア魔獣でも相手にするのでなければ一人で無双できる、弱敵じゃくてきしかいない地域エリアなのだ。

 それがあの殲滅速度である。


 推定レベル1だろう今の俺の攻撃力も防御力も、レベル10台後半のアバター(エイル)の強さと遜色がない気がした。

 つまりレベルは下がっても能力値(ステータス)は下がっていないんじゃないか? そんなことを想像させる感触だったのだ。


 文字通りのレベル1で、魔獣が闊歩かっぽする屋外フィールドを歩き回っている訳じゃない。安全マージンはそれなりにあると考えられる。

 警戒はなおざりに出来ないが、不必要に怯える必要はない。といった説明をして、彼女には引き続きそのままの装備でいてもらった。


 もう充分に驚かされているんだ。変化は気休めでも少ない方がいいだろう。





 ときどき襲ってくる角ウサギやゴブリンを、俺が止めて、ナルさんがトドメを刺す。倒しきれなければ俺がもう一撃入れるというスタイルで、流れ作業のように討伐を進められるようになってからは、危なげなく進めるようになった。

 最初に受けた不意打ちってのは、かなり危ないものだったんだな。


 そうこうしているうちに街道に出て、やがてタルサの街が近づいてきた。




また明日

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