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わたし達、冒険者始めます  作者: 遠ノ守
第二章 冒険者パーティー始めました
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12 中休み《インターミッション》 


 事情聴取を終えると割りにいい時間となっていたので、昼食をはさもうという話になり俺たちはギルドを出た。

 もともとはギルドの打合せ区画で済ませるよう予定していたのだが、先ほどの騒ぎのすぐ後である。予定通りにすると面倒が増えそうなので、一旦外へ出ることで意見の一致を見た。


 そこで来たのが「タトロ」という名の茶館。

 前に月那るなとふたりで市内を歩き回ったときに立ち寄った、宿にほど近い坂の途中にあった、庭園テラス席がある店だ。

 今日も庭園席へ出て昼食を摂り、その後お茶を飲みながら午前中のことを思い返す。

 うん、今日も美味しかったです。


「それでルナ、どんな感じだったの? 魔術剣でもそれ以外のことでもいいけど」


 と、リディアが話しを向けた。


「一人目の両手剣の方のときは、とにかく攻撃をかわしながら両手剣の扱いをおぼえることだけ考えてました。

 そうしたらだんだん身体が軽く動くようになってきました。

 次の二人目の方のときは、一人目の方がやった動きを真似してみました。ただし一人目の方とは違って、軽く速くって考えながら。

 三人目の方のときは、もっと変わってましたよ」


 そうだよな。

 見たかぎりだと、立ち会いの中で、ゲームでいう熟練度スキルレベルがバンバン上がっていた感じだったものな。


「身体の動かし方を教えてくれるように、空気が手足や肩を押したり引いたり支えてくれたりしたのは一人目の時からありましたけど、三人目のときはそれが一段と強くなりました。

 加えて体の中を流れる水が感じられて、体を動かすのがとっても楽にできました。

 あと足下あしもとの踏ん張りがとっても安定してました。

 それから…」


 ずいぶんと盛り沢山だな。


「自分と相手の姿が三次元立体映像(3Dグラフィックス)のように見えて」


 なに!?


はじめは攻撃してもいい瞬間タイミングが分かるくらいだったんですけど、二人目の時は相手のかた攻撃時期まあいや攻撃軌道が分かるようになって、三人目の時には内向きの全周視界になって、前に真幸みゆきがやって見せてくれた対戦格闘ゲームを立体で観戦しているような感じと、自分で戦っている感じ…FPSでしたっけ?──真幸みゆきが説明してくれました──が同時に感じられました。

 結果はご覧の通りです」


 誰もことばを発しなかった。

 そりゃそうだ。

 それだけ色々あれば、戦いでは初心者の月那るなが正規の訓練を受けた相手に完勝した理由として相応ふさわしい。相応しいが今度は理由の方が問題で、なんでそんな事になったのか、まるで想像がつかない。


「……大気が、身体の、動かし、方を、補助、する、ように、手足や、肩を、押し、引き、支えた、というのは、身体強化、だね」


 しばらくして口を開いたのはシルィーだった。


「リディアが使うやつか?」


 と俺。


「ちがう、ボクが、使う、方。

 リディアの、身体、強化、魔術(●●)、は、被術者、の、体内、魔力の、活性、不活性、を、操作、して、強化、や、弱体化、をする。

 今日、の、ルナ、のは、身体、強化、精霊術(●●●)

 風の、精霊、が、動きを、強化、誘導し、水の、精霊、が、筋肉や、内臓を、保護、代謝し、地の、精霊、が、足下あしもとを、支え、体表を、保護する。火の、精霊、が、体温、を、保つ。

 ルナ、きみ、は、精霊、に、愛、されて、いるね。

 ────

 ところ、で、対戦、格闘、ゲーム、と、えふ、ぴー、えす、ってなに?」


 質問が返ってきた。


「あー、対戦格闘ゲームってのはだな、先刻さっき月那るなの対戦みたいなのを、後ろから操って代理戦闘させる遊戯あそびのことだ」

「人を術で操って遊べるの!?」


 と、リディアが食いついてきた。


「いま聞いた精霊術だとそんなこともできるかも知れないが、そうじゃない。

 一枚の紙芝居に描いた対戦者の二人を、それぞれ別の人間が操って試合するんだよ。

 最初に出たのが無手の格闘ものだったんで格闘ゲームと呼ばれていたが、剣や槍の対戦もある。

 一般の戦わない人にそうやって仮初かりそめに戦える環境を提供する……商売の総称だな。対戦格闘ゲーム。

 FPS(えふぴーえす)は、“ファーストポイントシューター”、または“ファーストポイントソードマン”を省略した言い方で、いま話した“対戦格闘ゲーム”が三人目の観客視点で眺めるのに対して、戦っている本人ひとりめの視点で戦う形式のことを言うよ」

「わか、った。

 あと、精霊術、で、人を、操って、対戦、格闘、ゲームは、できない。

 精霊、は、縛る、のも、縛られる、のも、嫌い。

 だから、無理、に、頼、めば、してくれる、だろう、けど、続けて、いると、精霊、が、近寄って、来なく、なる」

「ああ分かります。皆さん楽しそうに踊ってましたものね」


 月那るながすかさず同意する。そういう感覚だったのか。


「そう、楽しい、はだいじ。うれしい、もだいじ。

 だけど、嬉しさ、や、楽しさ、で、自分を、忘れ、ないで。もち、ろん、怒りや、哀しみ、でも、ね。

 自分を、見失う、と、精霊は、集まる、所、を、見失って、四散、する。

 爆発、する、ように、術者も、周りも、巻き込んで、はじけて、散る。

 でも、精霊を、怖がら、ないで。

 精霊と、交感、できる、者、が、恐がって、いると、精霊が、かまって、欲しくて、いたずら、してくる」


 精霊がいたずら好きって言われるのはそのせいか?

 術者の感情を映して行動するのかな? 精霊は。


「身体、強化、精霊術、と、精霊に、ついて、は、そんな、感じ。

 それで、変わった、視界、と、ルナへ、タイミング、を、教えた、のは、何が、あった、の?」


 そう言ったシルィーは俺の方を見てきた。

 え? 俺なの?

 他の者を見ると、月那るなはニコニコしながらこちらを見てるし、リディアとハンナもこっちを見ていた。


「えーと、なんで、俺?」


「自分で、気付いて、ない?

 ボクは、精霊を、見る、ことが、できる。精霊眼を、持って、いる。

 他の、精霊眼、持ちが、それを、使う、所も、見た、事が、ある、けど、今日の、タツヤは、その、精霊眼、持ちと、同じ、眼を、してた。

 だから、精霊が、ルナの、ところに、集まる、様子は、見えて、いた、んじゃ、ないかな? と考え,た。

 ボクの、精霊眼は、精霊を、見る事が、出来る、けど、変わった、視界を、持った、ことは、ない。

 リディアは、視覚、強化が、ハンナも、視覚、強化と、暗視が、使える、けど、視界が、変わった、こと、はない。ずっと、えふ、ぴー、えす」


 うーん、確かに変な風景は見えたのだけど…。


「…確かにおかしな景色は見えたよ。

 月那るなの体と剣に、まとわり付くもやのような明るい光だった。

 最初の二人は緑色の光だったんだが、三人目のときが豪華でね。

 緑が増えた上に、青と黄色が加わった。赤もすこし混じってたな。

 そんな光景は見えた」

「その、光が、精霊。タツヤは、極めて、珍しい、エルフ、以外の、精霊眼、持ち。 ルナも、極めて、珍しい、エルフ、以外の、精霊、使い」


 希少スキルらしい、いや体質?


「それで“内向き全周視界”、“全周視線”か? の話なんだが、精霊? が見えていたとき確かにそんな感じで見えていた。

 全周視線そのものには仕事絡みで馴染みがあるんだが、現在進行形リアルタイムで自分の視界がそんな風になったのは今回が初めてだ。目は二つしかないからね。

 さらにそれが月那にも見えたとなると、まるっきり原因の見当がつかない」


 まあ魔獣がいて魔術なんてものがある世界だからな。

 これまでの常識が通用しない事があっても「それはない」とは言い切れないんだが。


「あたしも一つ質問いいかな」

「なんだい?」


 ハンナもなにかあるようだ。


「ミユキって誰?」


 そこか。


「前に話した、わたしのお友達で達弥たつやさんの妹さんです」

「ああ生き別れたっていう。わかった」


 月那るなが間髪入れずに答えて、ハンナもそれで納得したようだ。


「じゃあルナが異様に強かったのは、ルナが精霊による身体強化を使ったため。

 魔術剣も精霊が手伝ったのかしらね。

 変な視線「全周視線」、全周視線はタツヤが使って、その原因は不明。

 タツヤの全周視線がルナに伝わったのも、原因不明。

 こんなところかしら。

 風と水の属性を混ぜたどころじゃなかったわね、これが流体制御スキルの効果なんでしょう? きっと」


 リディアがまとめた。

 四属性全部だものな。ちょっとびっくりだ。


「光と闇の精霊は来ないのかしらね」


 物騒だな、光と闇なんて属性もあるのか。

 ゲームでも出会ってないぞ。


「そのうちひょっこり顔を出すんじゃないの」


 ハンナさん、変なフラグを立てるのは止めてもらえませんか。

 せめてもう少し落ち着いているときにしてほしい。


「じゃあ、午後、から、どう、する?

 予定、通り、属性魔術、を、試す?」

「ルナとタツヤで立ち会ってみたらどうなるかな」


 なにっ!?

 ハンナが爆弾を落とした!


「それ、るのか?」

「嫌ならべつにいいけど、どのみち立ち会い訓練ができそうなのは、ルナとタツヤの組み合わせだけだし、そのうちする事になるんじゃないの? 立ち会い。

 それに、たたけばまだ何か出てきそうな気がするし」

「確かにそうね」「うん」


 叩けば出るって、人をほこりみたいに言わんでくれ。


 月那るなはと見ると、


「駄目ですか?」


 月那は手合わせをして欲しそうだ。

 月那と手合わせをしますか?


「…わかった…。手合わせしよう」

「はい! ありがとうございます」


 なんか月那が幸せそうだし、まあいいか。


「チョロいね」

「ちょろいわね」

「チョロ、イ」


 うるさいよ君たち。


 こうして午後は、俺と月那の手合わせをする事になった。


 どうしてこうなった?




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