3 再会
対峙していたゴブリンが崩れ落ちた。
首に短矢が刺さっている。
体を低くしたまま辺りを探ると、少し離れた岩陰に、弩を構えた女の子が見えた。
黒髪黒瞳の知らない女の子の筈なのだが、それにしては何か引っ掛かるものがある。
何だろう?
ゲームなら獲物横取りのマナー違反になりかねない状況だけど、たぶんこれは実戦だし、手助けしてもらったってことでいいかな。
「やあ。手伝ってもらってありがとう、助かったよ」と左手をあげて挨拶した。
「あの………」
岩陰から女の子が出てきて全身が見えた。
「あー、ひょっとして……ナルさん?」
「そうです! そうです! そちらはケインさん……なんです……よ…ね?」
ぶんぶんと頷きながら彼女は答えた。
「ケイン」は俺のメインアバターの名で、今日は倉庫兼生産アバターの「エイル」を使って、ナルさんとパーティーを組んでいたのだが、ナルさんの俺の呼び方はメインキャラのケインのままだった。
どうも真幸からそう説明されていて、切り替わらないらしい。まあ構わないんだけどね。
彼女は「ナル」というアバター名で、先ほどまでパーティーを組んでいた、俺の妹と高校で一緒だった友人で、もうすぐ大学一年生になる。
ゲームで遊んでいるけど、入学の準備は済んでいるんだよね?
アバターと違う顔なのになんで判ったかというと、顔は変っていたが、装備がまるきりナルと同じだったので思い至った。
茶色いスケールアーマー一揃えは、レベル1から装備できる店売り品としては最上のもので、レベル17で次の装備に切り替えるまで、装備の最低装着レベルを二段飛ばして使い続けられる優れものだ。
主武装は後ろに背負った両手剣。先ほどゴブリンに使った弩も、初撃用に渡してあった副武装だ。
妹の友人のスタートアップなので、余裕を持って始められるよう倉庫に眠っている中から良いものを一式まとめて貸してあった。
俺の倉庫、つまりエイルから出したので、たっぷり覚えがあったのだ。
ちなみに中の人とは初対面である。




