表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
わたし達、冒険者始めます  作者: 遠ノ守
第一章 ここはどこ!?
17/246

17 Dランク講習会    前編  


 朝。目を覚ますと、隣に居るはずの月那るなさんの姿がなかった。

 着替えに行ったかな? と思いながら、一階の洗面に行くと、あーいたいた。


 おはようと声をかけ、すこし話したあと俺も洗面に入る。

 昨日の朝、寝顔をしっかり眺められたのが恥ずかしかったので、今朝はがんばって起きたのだと。

 うん、初々(ういうい)しい。


 洗面を済ませて脱衣所から出ると、月那さんが休憩所で待っていた。

 いっしょに食堂へ移動して、朝食を摂る

 朝食が終われば、宿の精算だ。

 洗面に行って、鎧姿に着替え、帯剣する。

 とは言っても街中であることだし、俺は盾なしで片手剣のみ装備。月那さんも両手剣は収納ストレージにしまい、代わりに腰に短剣ダガーして、昨日よりも軽装だ。


 宿の受付けで鍵を返却する。

 料金は前払いしてあるし、精算することもないので、これでおしまいだ。

 いい宿だったと思うよ。

 まあこっちで他の宿を知らないから、確実に言える訳でもないけれどね。

 では、お世話になりました。


 宿を出るとき朝2鐘が鳴っていたので、このまま冒険者ギルドへ向かえば丁度いい頃合いになるだろう。



    †



 ギルドへ到着すると今日はルーシーさんが居なかったので、空いている窓口で「Dランク昇級講習会」への参加者と告げると、二階の会議室で待つようにと言われた。


 二階へ上がり会議室に入ると、俺たちの前に来ていたのは二名、きのうの実技試験で俺たちよりも先に模擬戦闘をした四人の内の二人だった。

 適当な空き席へ座ってしばらく待つと、ぽつりぽつりと人が集まり、最後に俺たちの後で模擬戦闘をした二人……いや三人が到着した。

 あれ? 増えた。


 実技試験で治療班をしていた回復術士の少女が一緒だった。

 どういうことかなと思っていたが、さらに入ってきたのがルーシーさん。そしてすぐに講習会が始まった。


「おはようございます。

 これからDランク昇級講習会を始めます。

 わたしは冒険者ギルド、タルサ支部のルーシーです。

 本日の講習は、午前中は座学、昼食休憩を挟んで午後は初歩の実技訓練を行います。

 午前中の座学はわたしが担当します」


 ルーシーさんたら講師だったよ。



 講義の内容は、おもな冒険者ギルドの業務内容や、それを実施する冒険者に求められる資格、条件、手続き、より詳細な情報を得る方法などの、概略だった。


 あらかじめ、今日ここで話した講習の内容を全部覚える必要はないと言われた。

 いままでに疑問を感じた事がある事、話の中で引っかかりを感じた事、こんな事について聞いた事がある。という記憶程度でいいのだそうだ。

 なるほど。だいぶ厳しい(スパルタだ)ね。

 同じ依頼を受けても、得られる成果かせぎは当人の気の持ち方(ひと)つで如何様いかようにも変化するというわけだ。


 冒険者ランクごとの推奨レベルと標準報酬は、ランクを上げれば報酬がこれくらい増えますよという、おいしいモチベーションだ。

 駆除した魔獣の、魔石以外の有用な部位のこと、採取の初歩、近場のダンジョンの紹介、騎乗と輸送や護衛の任務のことなど、効果的に報酬を得るための様々な選択肢について。

 そして冒険者証の効力や取り扱い。などの本当に基本だけど有り難い情報。


 事例ごとの大まかな情報は、仕事を受注するときに受付に尋ねてもらってもいい。さらに詳しく知りたいのなら、ギルドの資料室で資料の閲覧が可能。行政区にある市の図書館でも調べ物ができるということだった。


 いいことを聞いた。

 ギルドの資料室と図書館か。


 午前のめとして、これだけは頭に入れておくように言われたのは、


1) 冒険者ギルドは、数多あまたの脅威から依頼者の生命財産を守るために

  活動する冒険者の、互助組織である。

2) 冒険者ギルドは、適正な依頼者を守る。

3) 冒険者ギルドは、不適正な依頼から冒険者を守る。

4) 冒険者ギルドは、国法や、1)~3)に反する行為を行う依頼者および

  冒険者を譴責けんせきし、司法機関へ告発する

5) 冒険者ギルドは、ギルドが適正と考える法をく地域以外へは進出しない

6) 冒険者は、受注した依頼を他者へ譲渡できない


 つまりは、

 冒険者は武力を行使することのある仕事だが、国法の内に在る者であり、法を守らなければ、冒険者ギルドと国によって処罰される。

 そして、冒険者ギルドが進出している国や地域の法は、ギルドがその法が適正であると認めている。

 ということだ。

 複数国にまたがるとはいえ、それだけで国に対してはっきりした態度を出せるものでもなく、冒険者ギルド自身が、それなり以上に有用なのだという自負の現れなのだろう。


 そして、面倒事トラブルを避け、安心して活動できるように、ギルドがギルド員に求めるのが、

「依頼の開始と経過と結末について、ギルドに報告をする業務」で、依頼などで所在地を離れる場合には、所属ギルド支部へ連絡を入れ、目的地のギルド支部はもとより、中継点になるギルド支部へも可能な限り通過報告を入れる。という行動だ。


 もともと報告をしなければ報酬も受け取れないので、報告しない訳にはいかないのだが、その上で強くすすめられているのが、


「移動の際には、私用の場合であっても依頼と同様に報告を入れる」ことだった。


 これはギルドが、緊急時に近隣で手配できる人員の把握に役立つというのが最大の理由だが、冒険者の側にも、ギルドから街道や地域の情報が得られる。ギルドの騎獣を格安で賃貸ししてもらえる。遠隔地でもギルドに作った自分の口座から現金を引き出せる(制限あり)。などの多くの利点があるそうだ。


 うん、「報告・連絡・相談(ホウ レン ソウ)」は大切だよね。


 そんなこんなで、午前中の座学は終わった。


 そうそう、Dランクの推奨レベルが、レベル11からレベル20という話を聞いたときには少しへこんだ。

 俺と月那さんの、レベル5の場違い感が、思いのほかズシッとのし掛かってきたのだ。

 これが分かっていたから、ギルド長が一昨日「お前たち二人は試験の結果如何に関わらず合格」なんて言ってきたのかね。

 見透かされたようでちょっと嫌なんだが、だからって合格を辞退するなんて子供じみた真似をするつもりは勿論もちろんない。

 ないよ。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ