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関西弁女の子と年下クール少女の『告白』

作者: ◆smf.0Bn91U

 久しぶりに本来の用途で短編書きました。

 今のブームと個人的な趣味全開です。ご注意を。

「告白ってどうやったらええんやろなぁ」


 隣を歩く年上の友達が、不意にそう訊ねてきた。


 それはいつものように、下校中に行う、とりとめのない会話の一つなのだろう。

 いつも通り。

 いつも通りのはずなのに、私の心臓はドキリと跳ね上がった。


「……なに? 誰かに告白したいんですか?」

「そういう訳や無いんやけどな~」

「先輩」

「ん?」

「好きです」

「ウチも好きやで~。って、そうやなくてやな~」


 えへへ、と嬉しそうなまま、ペシペシと私の腕を軽く叩く。


「ウチの中で告白ってな、二つあるんよ」

「二つ? 少なくないですか?」

「えっ、ウソやん! そんなあるっ!?」

「とりあえず、思いついた二つ言ってみて下さいよ」

「んとな、ドロッとした告白と、サラッとした告白」

「ドロっとした!?」


 聞いたことがない表現だ。


「何かこう、高級レストランとかに呼び出して、指輪とかケーキの中に忍ばせて、食べていったら出てくるみたいなん」

「それはもう告白でもなんでも無くてただのドッキリですよ。

 あと強いてあげればプロポーズの類かと」


 それと一つ、話の齟齬があることに気付いた。


「というか、告白って愛の告白限定なんですね」

「ん? せやで」

「私はてっきり、秘密の告白とか、犯罪の告白とか、そういう意味での告白の種類かと思いまして」

「あ~、なるほどな。

 それはウチの言い方が悪かったわ。ごめんな」

「いえいえ。もっとちゃんと謝って下さい」

「なんでっ!?」


 ごほん、と一つ咳払いし、友達は続ける。


「まあええわ。

 それで話戻すけど……。

 ……どう思う?」

「話を戻すための記憶点を忘れましたね」


 まあ良いですけど、と思い出す。


「ドロッとした告白と、サラッとした告白でしたっけ」

「そうそうそれ~」

「で、ドロッとした告白って何ですか?」

「んと、さっき言ったのがプロポーズレベルになるんやったら……せやな~、校舎裏に呼び出して、って感じかな」

「なるほど。要はしっかりとした告白ってことですか。

 それで、その二つがどうしたんですか?」

「いやな、どっちの方が良いんかなぁ、って話」


 例えばやけど、と指を一つ立てる。


「ドロっとした告白やと、絶対に告白って分かってもらえる代わりに、断られた時絶対友達には戻られへんやろ?」


 どうでも良いが、ドロッとした告白ってなんだか卑猥に聞こえる。


「その点サラッとした告白やと、断られても友達に戻れそうな気軽さがあるけど、告白って分かってもらわれへん可能性があるやん」

「ですね」


 二つ目の指を立てて言った言葉に、全力で同意を返してしまう。


「そやろ? だからどっちが良いんかな~、って」

「でも先輩、誰かに告白する気は無いんですね?」

「まあせやねんけど~。気になってもうてな」

「気になる……」

「ちなみにやけど、どっちが良いとかある?」

「……それ、答えないといけないですか?」

「いや、別に良いんやで?

 良いんやけど、どっちかな~、的な」

「じゃあ、先輩がどっちなのか教えてくださいよ」

「ウチ?」


 ん~……、と腕を組んで悩む。


「ウチか~……ウチはな~……やっぱ、サラッとかな~」

「どの口が言ってるんですか」

「え?」

「なんでも」


 誤魔化し誤魔化し。


「先輩、サラッとした告白なんて気付くんですか?」

「当たり前やん~」

「誰が……誰の口が……!」


 ギリギリと奥歯を噛み締め、握りこぶしを作ることで、言いたいことを(少ししか漏らさないようにして)堪える。


「で、どっちなん?」

「…………………………………………私も、先輩と一緒ですかね」

「そっか~」


 ニヘヘ、と笑う顔を見て、ああもう、と口だけが動いてしまう。

 だってもう、それだけで、さっきまでの苛立ちとかムカつきとか、全部吹き飛んだから。


「なあなあ」

「はい?」

「ウチもあんさんのこと、めっちゃ好きやで」

「……はあ、どうも」


 全く、こっちの気もしらないで……そんなことを気軽に言ってくれる。


「む~……ちゃうやろ~」

「え、あっ」


 ムスッとしながら肘を突かれ、この話題を始めた時、私が真っ先に告白したのを思い出した。

 関西的なノリで、同じような流れを汲んで、オチを作りたいのだろう。

 先輩に教えられたことが実践できなかったな、と反省。


「すいません。私も先輩のこと好きですよ」

「ホンマにっ!?」

「え、ええ……」


 ……ん? 何か間違えた……?

 えっと……。


「……な、なんでやねん……?」

「えっ、なにが?」

「……いえ、なんでも」


 何か違和感あるが、先輩がニッコニコしているのを見ていたら、もうどうでもよくなった。


 全く……鈍いにも程がある。

 せっかく先輩曰くの「サラッとした告白」を実践していたって言うのに気付かないなんて……。


 ……は~……全く先輩は、いつになったら私の気持ちに気付いてくれるのだろうか。

 マンガとかにあるエセ関西弁を喋っている女の子って可愛いよね…という衝動に任せて書いた代物。

 よくあるお話ですが個人的に満足。


次:https://ncode.syosetu.com/n7875fm/

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