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染みは続けていった。

「ともかく、俺はお前の世界が広がった事を心から祝福するよ・・・俺にはお前を抱き締めてやることもできないが・・・」

この壁の賢者、どこからともなく染み出す頼りがいにこの言葉は結構具合がよい、はその皮肉っぽいしゃべり方ととがった外見には似合わず深い愛をたたえてこちらを見ていた(様に感じた)

「あなたの名前は何でしょうか?」

僕は思わずかしこまって訊いてしまった。

「好きに呼べばいい。名前なんてただのシンボルみたいなものだ。求めに応じてかわるものだから・・・」

と、いうので、彼をマイキーと呼ぶことに決めた。もちろん、ミッキーに似てるからマイキーだ。彼は頓着しないのだし、第一印象で、もう、それしか思いつかなかった・・・ゴメンよマイキー!

 僕とマイキーは夜を徹して語り合った。マイキーはまさに博識にして聡明だった。皮肉るような調子も、だんだんと僕が気にならなくなったのか、それとも彼が辞めたのか、まるで感じなくなった。

 マイキーをたかが壁の染みだとさげすむことは何人にもできないことのように思われた。

―そうたとえブッタだってイエスだってだ!―

それどころか、マイキーが彼らと同じアパートに住んでいたって僕はちっとも不思議ではないと思うくらいだ。

「マイキー、君はいったい何だってそんなに何でも知っているんだい?それになんで、壁の染みなんだい?」

赤くなってしょぼくれた目を瞬かせつつ僕は尋ねた。

「それは若干長くなるな・・・また後にしよう。そう、一眠りした後だな・・・眠くなっちまうような話さ!つまらない長い話・・・」

マイキーは優しく言った。すでに窓の外には白んだ空が広がっていた。

僕は軽くうなずくとどっさりと倒れた・・・


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