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【プロローグ】異世界に来たみたいです。

―――カタカタカタ…


カタカタカタカタカタ…


カタカタカタカタカタ…ターンッ!


今日も鳴り響くパソコンに文字や数字を入力する仕事。


毎日毎日毎日毎日…迫ってくる数字数字数字…


「おい!ちょっと来い!」


どうやら呼び出しを食らったみたいだ。


おっさんからの呼び出しなんてうれしくはないな。


呼び出してきた上司の前に行くとすでに顔を赤くしているおっさんが目の前にいる状態だった。


「社会人になったんだから数字責任を負うのは当たり前だ」


「で、それをしてどうなるんだ。具体的なビジョンが見えないならそれは意味がない。ただの妄言だ」


これまで義務教育と高等教育を合わせて大体16年くらいか


これまでの経験が生かせたことなんてほとんどないな


言われたことから逃れるために言ってしまったことの揚げ足を取られ自分が追い詰められていく


それが社会人の使命なのならしょうがない。


そんなものが社会人の使命だったなんて義務教育でも高等教育でも一切学んだ記憶がない。


義務教育で学んだことといえば


国語…文章を読んで作者の考えを応えさせられたり、その時の登場人物の心情を考えさせられた。


しかし、俺は目の前にいる上司の心情を読み取ることはできないし


上司は俺の心情を読み取ろうなんて微塵も考えていなそうだ。


それもそうか、国語なんて文字を追っていただけだから


目の前にいる人間の心情を読み取れってほうが無茶ぶりなんだろうな。


じゃあ、国語教育は、字を目で追うとき以外はあんまり意味がないってことになるな。


数学…足し算引き算などの四則演算。文字を使っての計算。関数や図形なんかも計算させられた。


じゃあ、目の前にいる上司の怒りのボルテージは、Y=aX^2の関数のX>0の範囲で現在なおもXの値は増加中ということで。


英語…日本語ではない世界各国で使われている言語の基礎を学んだ。


だが、目の前にいる上司は何と言っている?


「はっきりと俺が理解できる言葉で答えろ」


これはおそらく日本語で、俺=上司に都合の良いように応えろってころだよな。


こんなところで”I don't like you.”なんて言ってみたいものだが


そんなことを言ってのけたからといってこの状況からは抜けられない。


理科…自然の現象などなどを理論的に学んだ。


この状況の俺にはくその役にも立たない。


人間が怒ると額に欠陥が浮く理由なんてのはわからないが


それでも、これまでの経験で目の前の人物は憤っているというのはわかる。


社会…地理歴史公民…


これもまたくその役にも立たないようだ。


ここで、上司とは何たるものかを語ってみるのも一興かもしれないが


そこで具体例を挙げる程度にしかならないだろう。


昔々、中国にいたとある偉い人は言いました


なんてことを言ったところでまったくもって意味をなさない。


ああ、どうしてこんなことになったのだろうか?





そもそも、優秀な人とはなんなのだろうか


学生時代で言えば、成績が優秀な人。


成績が優秀とは?


大人たちが勝手に作ったであろう理想にいちばん近い回答を暗記してそれを適材適所で応えることができた人。


つまり、大人の言いなりになることができた人。


教師という各自治体で採用された公務員という職業の人たち。


この人たちは、立派な人間像を育成するために選び抜かれたそれまでの大人たちが作り出した理想的な人たち。


そもそもその大本はどこにあるのだろうか?


それは国として公教育というものをしているのだから、国が作り上げた理想像だろう。


たとえば、早寝早起き朝ごはん。


早く寝て早く起きる。そして、朝ごはんと三食しっかり食べている人が理想なのだろう。


話は、飛んでしまったが


その理想なんてものからしたら俺は理想からかけ離れた人物の一人だろう。


朝なんて気が付けば来ているものだし


朝ごはんなんて気が付いたら数か月取っていない。


正直そんなことをしなくたって生きていけると気が付いてしまった時点で


大人たちが勝手に作りあげた理想像なんてものからはかけ離れてしまったのだろう。


かけ離れてしまったからこの上司を怒らせてしまったのかもしれない。


この上司にもそのまた上司がいて、その上司に怒られたから腹いせに俺にこんな態度をとっているのかもしれないが


それは負の連鎖というものだろう。


まあ、目の前にいるこの上司もといおじさんが憤っているのは


ほかでもない、おれがやれと言われたことができなかったからだろう。


ようするに、テストで期待された回答ができなかったから怒られているんだ。


学校なら、補習という形でできるようになるまでそれを繰り返しやらせられてできるようになるまでやらせられる


しかし、社会人という名の大人になるとそれでは解決しないらしい。


さて、どうしたものだろうか…





「で、お前は今回の失敗に対して、どう感じているわけかを聞かせてもらってもいいか」


そんなん申し訳ないとしか応えるしかないじゃん。


それが、この世界で決まりきったルールなんだろ?


ここで、途中まではいい感じだったんです。でも、結果は出ませんでした。


なんて言ったところで認めてもらえないのは見え見えなんだけど


「はぁ…。うまくいかなかったことに関しては、申し訳ないと感じています。」


「だから、その申し訳ないのをどうするつもりなんだと聞いているんだ」


ほら、やっぱりそう来たじゃないか。


感じているかを聞いているはずなのに、どうするつもりなのか?と聞いているといわれたところで


そんな行間を読めよと言っているようなもの


国語でも習った記憶はない。


「じゃあ、どうするのが正解だったんですか?」


「お前は…普通なら先方に―――」


普通なら…ね


そもそも、今思ったが


俺は、ミスをしたところでこれだけ怒られてしまっているわけだが


会社側は俺に対していったことが守れていないときないかしてくれただろうか?


たとえば、休日の数について


俺の記憶では、週休二日と夏季休業と年末年始休業はしっかりあると聞いていたはずだが


週休二日とはなんだっただろうか?


確かに先月は忙しい月ではあったが


先月の日曜日4回中3回は出勤している。


そんな月が、年数回あった気がする。


それに対しては、特に何もなかったよな。


せっかくなら、会社にも今の俺と同じくらいお灸をすえてほしいものだ。


「はぁ…申し訳ありませんでした」


「その態度はなんだ!もういい。お前、明日から来なくていいから」


あら、ここでも選択肢を間違えてしまったらしい。


大学入試センター試験でも数択の問題から正解を選ぶだけでよかったはずだが、


今回の間違いは大きなものだったらしく


俺は見事にお暇を渡されてしまったらしい。


「そういうことならしょうがないですね。じゃあ、今までありがとうございました」


言い渡されてしまったものはしょうがない。


それが、おれ以外に負担をかけるのだとしても


”不用品”というレッテルを張られてゴミ収集車が車で待っているのはしんどいので


早めに退散することにしよう。


荷物を持ってそれまでの勤め先を出る。


エレベーターへ向かい一回まで向かう。


あの顔を赤くしていたおっさんとも今日でおさらばだ。


一階についた合図で扉が開き扉から出た。


そこで、おれの記憶は一度途切れた。




目が覚めたそこは日本にある建物とは思えないような光の取り込み方をした部屋の中だった。


目の前にいるのは一人の長髪の男性。


たぶん男性。


きっと男性。


髪が長いからよくわかんないけど、胸元がガバッってあいている服を着てて、そこから分厚い胸板が見えるからきっと男性。


「おや、目が覚めたかい?調子はどうだろうか?」


優しそうな口調で俺に話しかけてくれているようだ。


「調子?ああ、特になんともないな。上司にこっぴどく叱られた後だから気分はそんなによくはないが、それ以外に不調はなさそうだ」


「そうか…」


たぶん男性はそういうとにこにことこっちをじーっと見つめていた。


その視線と静寂に耐え切れなくなって俺は言葉を切り出した


「あ、あの…」


「ん?どうしたのかな?聞きたいことなら大体把握しているけど、あえてここは質問に答えていこうか」


めんどくさそうな性格をしているのはこの発言で簡単に分かった。


「ぶしつけな質問で申し訳ないのだが、ここはいったいどこなんだ?俺がさっきまでいた場所とは全然違っていて」


「そっか、君はそこから聞いてくるんだね。いかにもって感じだね。ここは私の部屋だよ。分けあって君をここに呼んだ形になるかな」


俺をここに呼んだ?


「なぜ、ここに俺は呼ばれたんだ?」


「そう来るか~。ほかにも知りたいことはたくさんあるだろうに。君をここに呼んだのは、君を見ていてとてもおもしろそうだと思ったからだよ」


「面白そう?見ていて?何を見られていたかわからないが、おもしろいことなんて一つもない。どこから見ていたかわかわないが、とりあえず、俺はついさっき職を失ったばかりだから忙しくなるんだ。帰らせてもらってもいいか?」


「まーまー。そんなに急がなくたっていいだろう?どうせ、君が望んでいるような職業なんてないんだし、もう戻れないんだし」


―――は?


望んでいる職なんてない?


何を知っていてそんなこと言ってるんだこいつは。


「戻れないってどういうことだよ」


「ごめんねーこれは俺の身勝手な善意なんだけど迷惑だったとしたら謝罪するよ。けれど、これだけは断言できる。君はもう元いたところには戻れない」


何を言っているんだこいつは?


あれか?新興宗教のもう信者か何かに連れ去られてしまったのか?あーつくづく…


「不幸だとでも思ったかな?」


「!?」


「そんなに警戒しないでくれ、私は新興宗教の信者なんかじゃないし、君を監禁してどうのこうのしようってわけでもない。そうだな君の警戒を解くためにも少し僕の話をしようか」


心を読まれているようだし何を考えてももう無駄なんだろう。


「そうそう。素直に私の話を聞くのが今はいちばんだよ。では、私の自己紹介から。私は神だよ」


うさんくさ


「えーひどいなー。結構服装にもこだわってみたんだけどだめだったかな~。まあいいや。続けるね。君をここに読んだのは、ほかの人間たちにもあるんだけど、世の中に不満があったっていうことなんだけど、その中でも、君のは違っていた。なんだろうなー。なんて言うか、現状のこれじゃない感の方向性が違っていた感じがしたんだ」


ふむ。よくわからんが、話は聞いておこう。


「おんなじような境遇の人間はたくさんいたけど、君は、自分の学んできたものを無意味だとは感じていたけど、学んできたことに対して自信を持っている感じがしたな~。そこが面白くってここに連れてきちゃった☆」


☆じゃねーよ。


「えー最高の神様スマイルだと思うんだけどうけなかったか~。残念。ところで君。自分の名前って思い出せる?」


え?何を言って…あ、れ?


『おい■■早くしろ』


「■■なんでお前は――――」


「…思いだせない。何をした!」


「そんなおこらないでよ~。本題はここからなんだから。君は、今までいた世界の個人という情報とは切り離された形になったんだ。だから、これまでの名前を思い出せない。思い出さなくてもいいと思って僕が勝手にやっちゃったんだけど、だめだった?」


「まあ、職も失って元いたところにも戻れないのなら名前を失ってもそんなに大きな意味もないのかもしれないな。おかげで吹っ切れたよ神様ありがとよ」


「むぅ~。そこは少し抵抗されると思ったんだけど、案外すんなり受け入れられちゃったな。これもまた計算外。それはそれでおもしろい。じゃあ、名もなき人間よ君に新たな名前を授けよう」


おお、神様っぽい。


「神様なんです!君はこれから自分のことはリヒトと名乗りなさい。苗字とかはめんどくさいからいらないよね。覚えるの楽だからそれでよし」


案外そういうのって適当なのか。


というか、こいつネーミングセンスないだけなのか?


「つくづく失礼だねーリヒト君は。はいはい。じゃあ、こっからが本番。リヒト君は働くならどんなことがしたい?」


神様は働くこと強制してくるのか。


いやな世の中だな。


遊んで暮らしたいよ。


「それじゃあ、君を呼んだ意味がないんだよ!今回君を読んだのは、自分の望んだ職業に就けたら人間はどんなふうになるのかを見てみたいんだよ。しかも神様の後ろだてつきだからね!これ以上の条件はないよ~」


うわーうさんくせぇ


「はいはい。わかったから君は何がしたいの?」


したいこと…か。


なんでも選べるんだったら…


「そうそう!なんでもなれるよ!この私が保証する。まあ、うまくいくかの保証はしないけどね」


「自分の学んできたことを生かしたい。16年も勉強をさせられてきたんだ。それが生かせるものがいい」


「ふーん。それが君の願いね。う~んそれならここがいいかな」


ここ?どこだ?


「君の仕事をする世界だよ。悪い選択だとはおもわないんだよな~。まぁ、とりあえず行っておいで」


バコンッ!


座っていた椅子の下からそんな音がして体が下に落ちていく。


「頑張っといで~リヒト先生」


あの野郎ゆるさねぇ。


特にあのにやけた表情がゆるせねぇ


自称神に見下されながら落ちていきながらまた記憶が途切れた。




ーーーう、うーん


風を感じる。


太陽の光なのか?眩しいな。


こんなに太陽が眩しいと感じたのはいつぶりだったかな…


今までは暑いか寒いかくらいしか感じていなかったから新鮮な感じだ。


「で、どこだここは?」


見渡す限り草原?


え?ちょ、俺何してたんだっけ?


虚ろになっている記憶を探る。


会社をクビになって、記憶が飛んで、自称神に尋問されて、記憶が飛んで、今ここ。


ああ、これは夢だ。


悪い夢でも見てるんだ。


うん。寝よう。


そしたら現実の俺が目覚めるんじゃないかな?


「じゃ、草原にさよならおやすみー」


ーーーヴーヴーヴー


人が寝ようとしてる時に限ってこういうの来るよな…


てか、リアルな夢だなー。


で、電話の主は…


非通知かーやめよ寝よう。


ヴーヴーヴー


ヴーヴーヴーヴー


ヴーヴーヴーヴーヴー


うっざ…


誰だよこの非通知


「はい。何でしょうか?」


「なんで寝ようとしてんのーー!!!!」


うるさ、てか何で俺の行動を…誰か見てんの?


「私だよ!わ!た!し!ついさっきまで一緒に話してたのにわかんないの??」


「あー、自称神様じゃないですかー。なんで神様非通知なんですか?」


「それには諸事情があってだね…じゃなくて、なんで自分の理解が及ばない範囲のことが起きたからって簡単に諦めて寝ようとしてんの?夢オチなんてことはないんだからね!」


「自称神様よく喋りますね。元気ですね。」


何このめんどくさい人。


「また、面倒くさがってる!ほんとにその性格何とかならないの?」


そんな事言われても、性格だからねー。


「いいから、近くに人がいるわ。その人困ってるみたいだから話しかけなさい。言葉とかは通じるから大丈夫よ。ほらさっさと行く!」


そう自称神様に尻をたたかれるようにして周囲を見回すと、後方に大きな木が一本生えていた。


「あそこなのか…?」


気は進まないが、特にやるようなこともなかったので、その大きな木に向かって歩みを進めてみる。


どんどんと近づいてきたが、明らかに大きい。


というか、正直大きすぎる木だ。


5~6回建てのビルくらいはあるんじゃないかと思えるくらい大きく太い木に着いた。


着いたとはいえ、裏側に誰かいてもわからないくらい大きく太い木である。


「こんなところに誰かいるのかよ…」


そうぼやきながら周囲を回っていくと、裏側に人影が見えた。

完全に行き当たりばったりで書いてます。

暖かい目で見守ってください。

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