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少年討戦  作者: 高木 勝
王都動乱編(過去)
8/14

任命式

翌日、クランシは王の間の扉の前でフリーデの後ろに少し離れて立いる。

扉が開く間、昨晩、フリーデに言われた事を頭の中で整理していた。

(フリーデ様は何故、私の様なものを近衛兵になどしたのか?)

幾ら考えてもわからず、頭が沸騰するのではないかと思うほど混乱していた。

考えが最高潮に達しそうな時に、扉が開き、そこから出る大きな風圧で頭が冷やされる。

(考えるのは後だ。しっかりとしなければ)

扉のを潜り、フリーデに着いて行くと赤と金で彩られたカーペットを挟む様に兵士が居り、自分と同じ高さの槍を右手に持ち、並んでいる。

進んで行くと、階段が二段あり、一段目に宰相が険しい顔でこちらを見ながら立っている。

二段目には椅子が5つほど並び、真ん中にイスタスが座り、他の席は空いており、イスタスの右側にフリーデが座り、クランシも膝をつき頭を下げる。

「面を上げよ」

そう言われクランシが顔を上げる。

イスタスは自分が座っていた王座から腰を上げ、階段を降りる。

クランシの前に立つとクランシはその気迫から逃げたくなり、手には汗をかいていた。

「クランシよ、其方は何があろうともその身を投げ、フリーデ・ソエル・ルソンを守り抜く事を誓うか」

「はい!このこの身に誓います」

「わかった。兵よ剣を持ってこい」

兵士の一人が金で出来た剣を持ってきた。

剣は全てが金で出来ており、刀身の部分には『真の王の剣』と書かれている。

その剣をクランシの肩に当てた。

クランシが野良から兵士へと生まれ変わった瞬間であった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


クランシの肩に剣が当たるのを見ていたフリーデは歓喜の声を上げそうになったが、その気持ちを抑え、いつもの美しい姫を演じていた。

(等々、彼が私のものに、くふふふふふ)

王から直々に荷を任せるのは今まで兵士長の二人だけであった。

その時は歓喜の声が兵士達から上がっていたが、今はその逆である。至る所から『何故あいつが』『野良のくせに』などの声が聞こえてくる。

(思う事は仕方がが無いでしょうが、少し不快だわ)

イスタスがクランシから離れ自分の横に着くのを確認すると、フリーデは席を立ち、イスタスと入れ替えにクランシの元のへと歩いて行った。

「クランシ、では生きましょう」

フリーデはイスタス会釈をし、その場を後にした。


フリーデがクランシを連れ、自分の部屋に帰って行った。

フリーデは窓際にある席に腰を下ろし、クランシは部屋の隅に立っていた。

「クランシ、こっちに来なさい」

フリーデは自分の向かいの席を指差した。

「いえ、私はここで結構です」

「命令です。ここに座りなさい」

クランシは渋々、命令に従い、席に着いた。

フリーデその犬の様な仕草を見、興奮を隠そうと必死であった。

「クランシ、あなたはこれから私の近衛兵です、分かりましたか?」

「はい、それは重々承知です。あなたに拾われた昨日から私はあなた様のものです。」

「そう、それは嬉しいわ」

フリーデは心の中で必死に感情を抑えていた。いつ爆発してもおかしく無い状態である。

こんな時間が永遠に続けばと思っていた。

そんな最中、急に扉がノックされた。

クランシも元の場所に戻った。

少し残念に思うが気持ちを入れ替え、部屋に招く。

「どうぞ」

「・・・・・失礼します」

開いた扉の間から一人の女性が出てきた。

女性はメイド達とは違い、兵士の様に鎧を着ていたが、兵士の鎧では無かった。

頭には一本の角をモチーフにした甲冑を被り顔だけが空いている。

胸は全体を隠す様に覆いかぶさり、腕や足にも鎧がつけられている。

右腕の鎧にはバラが刻まれ、それに合わせたのか、全体が真っ赤に染められている。それはまるで炎の様であるが、それとは反対に顔は表情が無く、目は冷たく感じる。

「どうしたのかしら『セルア』?」

『セルア・ルイード・カルス』王家直属の騎士の家に生まれ、フリーデに着いた時からフリーデの盾として生を受けた。

クランシと同じ立場であるが、今までの場数が違い、クランシなど足元にも及ばない気迫さが滲み出ていた。

「フリーデ様、例の準備が出来ました」

「そう、じゃあ、行きましょうか」

クランシが何のことか分からずにいると、フリーデは席を立ち、出て行こうとした。

クランシは急いでフリーデの後を追う様に急いだが、セルアがクランシの前に立った。

少年ではあるが男である事には変わりないが、前に立っている女性は自分の身長を優に超え、また筋肉も兵士長ガルフ程までにはいかないが、クランシよりは遥かにある。

その様なのが目の前に来たら普通は怖気ずき、逃げ腰になるが、クランシは違った。

逃げるどころか、胸を張り堂々と立っている。

「ほう、野良迷い込んだとは聞いたが、唯の野良ではない良いだな」

「私は先ほど、王に誓った時よりこの身はフリーデ様の為にある。この様な虚仮威しで弱る様では近衛兵などは務まらない」

「ふん!いいだろう。これからが楽しみだ。」

「セルア行きますよ」

「分かりました。フリーデ様」

再び、歩を進めた二人の後に続いたクランシだが、扉の前でフリーデがいきなり振り替え、クランシの前に来た。

「クランシ、あなたはここに居なさい。」

「何をおっしゃるのですか?」

「詳しい説明は省きますが、今から行くところは、あなたがまだ来るべき場所ではありません」

「フリーデ様、私はあなたの近衛兵です。王に誓った時から私はあなたの盾です」

「別に話合いをするだけですので大丈夫です」

「しかし・・・・」

「いいですか、クランシ、今のあなたはここにいる普通の兵士よりも弱いです。弱いままでは私の身は守れません。その為に今日は兵士長に頼みあなたの訓練のお願いをしています。ですので、今日は私とは別行動です。分かりましたか?」

「・・・・はい」

クランシを後にし、二人は部屋から出て行った。

二人が出て行きしばらくして、兵士長ガルフがやって来た。

お疲れ様です

また読んで頂けたら嬉しいです。

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