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少年討戦  作者: 高木 勝
王都動乱編(過去)
6/14

感謝

今回作品は自分的にはあまりですが、読んで頂けたら嬉しいです。

少女は少年を拾い、城までつれていった。

城内に入るとその忌まわしい存在に対しすぐに注目が集まった。

「フリーデ様!何故その様なゴミを城になどお連れしたのですか!」

全身に銀色のローブを身に纏い、赤いタスキを下げた。茶髪の男が話しかけて来た。

髪により隠れているその細長い目を大きく開き、怒りを表していた。

「同じ種族に対しゴミとは何ですか、その命を存外に扱うなど、この国の宰相としてどうなのですか?」

宰相は今まで向けていた敵意がなくなり、元の細長い目をしていた。

「しかしですね。同じ種族だとしても何故その様なスラムのものを」

「命が消えそうであった、それだけです」

「それだけで、何故ですか!スラムのものの命など家畜の命と同等ですよ!」

「命は命です。それに前々から言いたかったのですが、その方針は私としましてはあまり好きではありません。確かに今はその考え方が一般です。しかし、命を存外に扱うのはそのものに対し失礼に値すると思われます。なので私はこのものを助けました。」

「しかしですねーーーーー」

「ーーーーー話は後です、そのものを大浴場に連れていき、洗ってあげなさい。そてと新しい洋服も用意し、私の部屋に連れて着なさい。」

そう言うと、少年を持っていた兵士とメイドの何人かがお辞儀をし、その場から消えて行った。

「フリーデ様、この事は王に伝えさせてもらいますよ。」

「それで結構です。それではまた、後ほど」

そう言うとフリーデは宰相横を通り過ぎて行った。

「何を考えておられるのだあのお方は」

宰相はそう言い、王に報告へ行った。


フリーデが自分の部屋で待っていると、ドアが叩かれた。

「どうぞ」

そう言うとドアが開き、兵士が少年を抱えていた。

「そこに横にさせなさい」

少年を自分のベットへ運び込ませ、横にさせた。

「ありがとうございます。下がっていて下さい。」

兵士は部屋を出、部屋はフリーデと少年の二人だけになった。

フリーデが少年に近づき、見てみると少年は綺麗に洗われ、その黒かった顔は白く輝いて見えた。

再び心が満たされるのを感じた。

「この少年はもう私のもの」

そう言い、フリーデの顔には不吉な笑みが溢れていた。


しばらくすると少年が動き目を覚ました。

「・・・・・・ここは?」

少年は起き上がり周りを見回した。

「・・・・・神様」

少年はフリーデを見、一言、溢れて出る様に言った。

その少年の目は輝き、涙を流していた。

「残念だけど私は神はなくただの人よ」

フリーデは少し笑ってみせたが、少年には冗談は通じないらしく、ただ、涙していた。

「いえ、あなたは私の命の恩人です。本当に感謝をしております。本当に本当に・・・・・」

最後は消え入る様な声で言っていた。

話題を変える様にフリーデは少し遮って話しかけた。

「ところであなたの名前は?」

「私は産まれてすぐに捨てられたので名前はありません」

「そうじゃあ、あなたって言うのも寂しいから『クランシ』ってどうかしら」

「名前を頂けるなどありがとうございます」

「いえいえ、それより何故あの様なところに倒れてたのかしら?」

クランシは今までの生い立ちを話した。

時には涙し、辛くもなったが何故かフリーデには全てを語らなければならないという心情を持っていた。

「そう、大変だったんですね。もう大丈夫ですよ。もうあなたは不安に怯え過ごす事はありません」

フリーデの言葉にクランシは涙を流すしかなかった。その涙は今まで出たことが無い暖かい涙だった。

「ありがとうございます、ありがとうございます」

「もう泣かないで下さい・・・・今からは私の前では笑顔をみせることわかりましたか?」

クランシは涙を流しながら、誠意いっぱいの笑顔を作り、フリーデに答えた。



読んでいただきありがとうございます


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