それは突然に
今回は塔を回った後の話です。
全ての塔を周り終わったフリーデとクランシが城に帰る頃には太陽はもう沈んでおり、星と町の明かりだけだった。
城に戻り、クランシが馬車をおり、フリーデがそれに続き、降りようとした時であった。
「やあやあ、これはご苦労様フリーデよ」
城からは小太りに男出て着た。
その体からは考えられない顔付きをしており、凛々しい顔立ちをしている。
周りには兵が2人と少し威張っているように取れる男が後ろに立っていた。
「これはお兄様御機嫌よう」
『ヴァイス・ソエル・ルソン』
フリーデの兄の一人のであり次男である、もう一人の兄と王権を争っている。
なぜ、長男が王権を自動的に付けないのかは、フリーデの父、つまり現王が、2人に対し、「長男だからと言い自動的に王権を手に入れるシステムを無くす」と言った事がきっかけで、争うことになっている。今の状況としては、長男の方が有利と言える状況にある。
「うむ、それでフリーデよ、いつになったらその野良犬を野生に返すのだ」
フリーデに顔を向けていたが、目はクランシの方を向いていた。
その目からはクランシのとこを汚いものを見るように感じた。
(くっ!私がしっかりとした出身であればフリーデ様の顔に泥を塗らなくて済むのに)
クランシがフリーデに対し申し訳なく思っている理由の一つにこれがある。
もし、クランシがしっかりとした出身であれば、フリーデに向けられる白い目が無くなるのにといつもは考え、これ以上は迷惑をかけないために自分の中での最善の行動を行なってきた。
「私はクランシのことを"離す"事はありませんので」
「そうか、それでは仕方がないな」
「それはそうとフリーデよ少し話がしたい、一緒に来てくれるか?」
「クランシも同行させても?」
「いや、クランシは外してくれ、いいな」
「分かりました・・・・ではクランシ、自分の部屋に戻っていてくれる?」
「はい、分かりました」
そう言い残し、フリーデは城内に消えていった。
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兵舎は城の東と西の二つにあり、これは敵の侵入に対し迅速行動ができるようにするためである。
また、兵舎は基本的に東が近距離戦、西が遠距離戦で別れている。
これは、地形による不利を無くすためである。
東の兵舎からさらに奥に行くと古い兵舎がある。そこにはもう誰も立ち寄っては居らず、今はクランシけが住んでいた。
目の前の兵舎とは違い、普通の人が住むには嫌になるが、クランシは今までの住処?に比べると天国とも呼べる場所に感じている。
「はあ、暇だな」
クランシは一人だけの部屋でベットで横になっていた。
ベットで横になり今日の事を思い出していた。
(はあ、今日の俺はフリーデ様の近衛兵よして上出来だったがろうか?先ほどの時もっと上手く立ち回れなかったのだろうか。ただでさえフリーデ様の顔に泥を塗っているのにこのままではまだダメだ。私がしっかりとしないと!)
そう思いながら天井にある木目を眺めていた。
その時だった。兵舎から大声が聞こえ、警鐘が鳴った。
クランシは急いで寝床から飛び降り、兵舎の方へ走っていった。
この頃肩が凝って大変な思いです。
でも、頑張りたいと思います!!