2話 「調子に乗るなと、助手は言う」
「痛い、痛いのだよ。高千帆くん!暴力には復讐がつきまとい、復讐には復讐がつきまとう。ただ復讐という連鎖が生まれてしまうだけなのだよ。暴力は暴力しか生まないのだ!高千帆くん」
頬を抑え、抗議する。
「じゃあ、復讐の復讐を前借りしますか?」
……。
「さぁ、思考を再開しようではないか!高千帆くん。」
……。
「で?考えていたっていうのは、どーゆーことです?」
「そのままの意味なのだよ。考えている、即ち
思考し予測する。Equal知らない。」
「なぜ、そんなにも面倒な言い回し出来るんですか。知らないって、音喜多さんが注文したくだらないモノじゃないんですか?」
「くだらないという決めつけは良くないな。高千帆くん」
「そろそろ、話進めませんか?」
溜息をつき、呆れるように言う。
「では、高千帆くん。ダンボールを開けたまえ」
高千帆がダンボールに手をかけ、
ガムテープを剥がし蓋を開けた時だった。
ッ_
小さな鉄の金具が取れたような
音がした。
ダンボールの蓋の裏に紐が貼り付けてあり
開けた時にピンが外れるよう細工してあったらしい。
「これって……」
「爆弾であろうな」
中央に太いガラス菅が置かれ、その中で赤と青、2色の液体が真ん中で仕切られている。
黒・白・赤・緑・黄色・茶色の配線が、ガラス管の中央の
装置と、7セグメントディスプレイを繋ぐ。
そして、そのディスプレイは、残り時間を標示する。
9:59:47_
明日の午前4時に起爆されるようだ。
「ばッ爆弾って何故そんなものが、
とりあえず警察に連絡して…、」
右往左往する高千穂。
「慌てて何になる?慌てふためき時間をロスするなど、効率が悪いだろう?そんなことも分からないのかね。高千帆くん」
高千帆は思う。時折、音喜多は人を見下すように持論を述べたり、効率どうのこうの言う。ムカつく。そう、ムカつくのである。
それに伴い、高千帆から焦りの色が消え、怒りに火がつく。
「はいはい。わかりました。それで名探偵、挑戦状なるモノが入っていますが、いかが致しますか?」
小馬鹿にしたように、皮肉を含めて言う。
「名探偵。実に甘美な響きだねぇ。で?挑戦状とは?」
嬉嬉として挑戦に臨む名探偵。_
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挑戦状
挨拶から始めよう。ご機嫌麗しゅう。
仮にワタシはXと名乗ろう、ワタシX
を捕まえたくば、次の二つの問を解け。
期待しているぞ?音喜多 助よ。幸運あ
れ。
1、抜けているものを探せ。
元~45 /
三住安渋浅古川藤三
友田沢野河崎田菱井
2、雲水の正体は
孤独なヴァジュラは修行僧を討ち
千の眼を得る
その二つの答えを直線で結び
その中心のあるべき場所。
そこに第二の問が隠してある。
中心は君たちのすぐ近くにある。
頑張りたまえ。
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「とのことだ、高千帆くん。」
「とのことだ。キリッじゃねーよ!迷探偵!!」
「先程から、そのように褒めているが。何にもならないぞ?」
得意げな顔をする迷探偵に、助手は不服そうな顔をする。
「とりあえず、警察に連絡して爆発物処理班に来てもらいましょう」
「まて、高千帆くん。これは私に対する挑戦状だ。私はそれを請け負う」
「なに言ってるんですか!爆弾ですよ?」
「なぜって?名探偵だからだ。キリッ!」
「擬態語を口で言うな。そして、調子に乗るなぁ!」
ツッコミを入れつつ、高千穂はなぜと聞き返したが、それを反省した。彼は、音喜多はそういう男だ。事件に首を突っ込み、危険に自ら近づく。
それだけを聞くと、命を賭けることを快楽とする、狂人やサイコパスのように聞こえるが、それとはなにか違うように、高千穂は感じている。しかし、自身の命を軽視している節があるのも、高千穂が感じていることであり、また事実なのである。
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