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勇者パーティーの隠居生活 3

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隠れ住むといっても、彼らの存在を知る者が居ない訳ではない。


『ガーランド帝国』


ザイガスが生活していた帝国の皇帝。

その臣下や、この森のすぐ近くにある村『ファラン』に住む人間は、勇者達の所在を把握している。

彼等勇者の所在は、世間一般には放浪の旅に出ていると伝わっている為、知るものは少ない。


しかし何故、彼等は帝国を離れたのか。

理由はいくつか存在する。


1、彼等英雄を戦争に利用する動きがあった為。


2、英雄を量産する為に、帝国によって多くの男女が差し向けられた為。


3、帝国が彼等を危険であると判断した為。


この3つが大きな理由であろうか。


ザイガスを含め、ガム以外の3人は先天的な英雄と呼ばれる存在であり、その血は子孫に受け継がれる。

すると劣化はするものの、人間の力を超越した存在が産まれる。

これを利用しようとする貴族達が後を絶たなかったのだ。


英雄色を好む、という。

その理論が通用すれば、確かにこれ以上ない戦力増強策であった筈だった。


しかし、彼等はその力と引き換えに代償を背負っている。

それにより、この計画は勇者達の心象を悪くするだけに終わってしまった。


漆黒の魔女 エリー


彼女の平熱は約1000℃程であり、彼女は自身で作り上げた魔法具の効果により通常の人間と同じ生活を送っている。

が、それは彼女が許可した物にしか作用せず、無断で彼女の肌に触れてしまえば無事では済まない。



錬金術師 マリーナ


彼女には、そもそも子供を産む為の器官が無い。

つまり、彼女の血は受け継がれる事はない。

そうとも知らずにノコノコやってきた男達の相手をし、ホムンクルス制作の研究材料にしていた様だ。

本人が相手をしたとは限らないのだが。


帝国騎士 ザイガス


感情の起伏が乏しく、更に堅物である事もあり誘惑に全く動じない。

また自身の身体能力が高過ぎる為に、下手に人に触れれば怪我をさせる恐れもある為、人に触れる事を避けている面もある。


ガーナルド、もといガムは後天的な英雄である為、彼の持つ宝具を奪おうと何人もの暗殺者が送られて来ているが、英雄達の様な色仕掛けは一切無かった。多少哀れである。


この事もあり、勇者達は皇帝との交渉の末に


『皇帝の招集には応じるが、直筆の署名が無い物は受け取らない。又、皇帝の命に強制権は無い』

『呪いの森での生活を許可し、この事は一部の人間のみが知るものとする』

『勇者パーティに害を与える帝国人は、殺害しても罪に問わない』


以上3点の契約を交わした。


勇者達に有利な契約が多いが、それは帝国側の『勇者を危険視する者達』の声により勇者達に不満を与えない為である。

世界を滅ぼす魔王を倒せる勇者に、世界を滅ぼせない道理はない。その事を帝国は分かっている。


しかし、このまま野放しにしておく訳も無い。近々帝国からの使者が訪れるであろう事を勇者達は予想していた。




「遅い」

非常に不機嫌そうな声が、ログハウスの中に静かに響く。

木製の椅子に深く腰掛け、脚を組みながら一人の女性がテーブルに本を置く。

「いや、あの、全速力で走ってきたんですけど」

と、機嫌を取ろうと下手に出ているのはもちろんガーナルドである。

「知ってるかしら、社会に置いては結果が全てなの。過程というのは結果が伴わなければ意味がないわ」

俺達社会人じゃなくて勇者なんですけどね。

なんて、そんな事を言ってしまえば明日の朝日は拝めない事は分かっている。

「あの糞勇者のせいで遅れました。大変申し訳ございません」

「60点。ザイガスが何をしたのかまで報告しなさい」

いつからアンタは俺の上司になったんだ。

いや、口には出さないけれども。

「あの野郎、俺の分のクッキー食いやがったから殺してやろうかと」

ピクリ、と彼女が少し反応を見せた。

「クッキーって、私が作ったやつ?」

「おう」

あまり感情を表に出さない彼女だが、この時の彼女の様子は流石にガーナルドでも分かった様だ。

どうやら、自分が作ったクッキーを食べたがっている事に少し喜んでいるご様子。


「そう、ならまぁいいわ。許してあげる」

「ヒヒッ、命拾いしたぜ」

はじめからガーナルドは分かっている。これは彼女の気紛れな暇潰しであり、本当に怒っている訳ではないと。齢1200歳を超えた彼女がこの様な事で機嫌を損ねていたら、世界は何度破滅した事か。

「ま、今度気が向いたらアンタ用に作ってあげるわ」

「そいつは光栄だね。魔女にクッキーを作ってもらえる男なんざ世界にそうそういねえや」

「私しか魔女が存在しないんだから当然よね」

「身も蓋も無い事言うなよ」

「あら、皮肉屋さんな貴方にはピッタリな返しだと思ったのだけれど」

彼女は少し笑いながら、再び本を手に取る。

どうやら危機は脱したらしい。それも上出来な結果でだ。


彼らが住むログハウスは元々建っていた物ではない。勇者達がこの場に建てた物だ。

ザイガスが木を素手で切り倒し、マリーのホムンクルスが材料を運び組立を行い、エリーが魔法で内装を整える。これにより僅か二日でこの地に出来上がってしまった。

各自に専用の部屋が一つ。広間が一つにマリーとガムの共用倉庫が一つ。

オマケに風呂とトイレまで魔法により完備されている。英雄の力の無駄遣いである。


外には畑が作られており、基本的にホムンクルスにより栽培、収穫が自動で行われている。

彼らホムンクルスは基本的に燃費が悪く、大量の魔力を消費する。

が、体長15cm程の彼らの魔力はザイガスの無駄に多い魔力によって賄われているので問題ない。


人の世から隔離された英雄達は、思いのほかスローライフを満喫していた

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